【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット本当は、青年についてくる必要はなかった。 でも、しいて共に森を進む理由を挙げるのならば、やはりそこには心配があったからなのだろう。 連れ立って歩くあなたの様子からは、一片の疑いも読み取れなくて。 それは、暗闇が視界を妨げたせいではなかったと思う。 ほんの僅か滲む嬉しそうな気配が、また罪悪感を募らせる。 ぴしり、と身体が固く軋んでいくような気がした。 堅い面持ちの大人たちと対峙して、その大きな背に庇われて。 結局青年は何を治さなければいけないのかも、少女は知らないままここまで来た。 普段より鮮明に届く声。 それは、暗闇が感覚を研ぎ澄ましたからではなかったと思う。 言われるままに逃げるのが賢明だったかもしれない。 自分を庇おうとしてくれる、無垢ですらあるその優しさを受け入れるのが正しかったかもしれない。 それでも、見届ける義務があると少女は判断したから。 己が何に加担しているのかを胸に刻むべきだと判断したから。 少女は数歩下がったけれど、立ち去ることはしなかった。 だから、大人達のその言葉を聞いた。 血のついたリボン。 あの飼育小屋で、小さな命に括りつけられていたものが頭に過ぎる。 そこでまた初めて、青年が抱えているものの一端に触れた。 (-123) dome 2022/05/03(Tue) 22:21:44 |
【秘】 充溢 バレンタイン → 雷鳴 バット「……そう。別にそれでも、構わない。 勘違い、されたり……怒られるのには……慣れてる。 けれど配慮、されるのは……悪い気は、しないな」 さしてどう扱われようとたいした興味はないようで、ただその姿勢を、有り体のままに受け入れる。実に大らかで、気ままだ。 早々森に立ち寄る用事もない、と思っていたのだが、 今日みたいなことも意外とあってしまうものなので、 軽く道順や目印などを頭に置いておきつつ。 鼻腔を突く異臭にほんの少し目が冴えた感じがして── おそらく、人のものではないだろうそれをどうにか軽く脳内で咀嚼し、パニックに陥ることもないようにする。 人の怪我でなければ、やはり強く気にはしない。 「もし、問題があったら……その時は、その時、だな。 ……多分、みんなが……朝いないのには、関係なさそうだ。 だけれど……罠を大人たち、が把握した上で…… 連れて行くなら……それなら、かからないのか……?」 あるとすればそのくらい。 そもそも大人、先生が関与しているかは知らないが。 (-130) backador 2022/05/03(Tue) 23:02:10 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 雷鳴 バット/* お外には出たりしていますが、基本長くは開けず貴方の帰りを心配そうに待っています。 都合が合えば帰ってきたときの描写や、帰らないのであればその旨を教えて下さると幸いです。 ご無理なさらず〜、個人面談に付き合って下さりありがとうございました! (-142) toumi_ 2022/05/03(Tue) 23:51:31 |
【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピスここに従属する大人たちのうちには、軽蔑すべき性質のものもあるのだろう。 治すべき子どもたちを確実に確保するために、貴方がたを利用しているのだ。 自身の立場を利用して、子どもたちに浅ましいことをする者もいる。 さて、そのうち前に立つものが普段何を抱えているのかはわからないが、 少なくとも、彼らは僅かな警戒をにじませて青年とその後ろに控える貴方を見る。 『ラピス、危ないから下がりなさい。何をするかわからない』 大人は確かにそう言った。異分子を前にし、貴方を慮った。 そしてその内容はやはり青年自身も理解しているだけに、 貴方がここにいる理由への疑いをかける材料には、少しもなりはしなかった。 「はい、そうです」 危険であると言われた青年は腕を下ろし、審判を待った。 意外でもなんでもない答えを聴き、大人たちは更に険しい顔をした。 ゆっくりと近づきながら、更に問答は続けられる。 『埋葬をしたのもお前か』 「そうです」 『森に罠を仕掛けたのもお前だな』 「そうです」 『生徒にはまだ被害を及ぼしていないな』 「はい」 『本当か』 「はい」 『両腕を前に出せ』 「はい」 → (-194) redhaguki 2022/05/04(Wed) 13:08:26 |
【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス例えば突然に悪辣に振る舞うのでもなく、暴れるのでもなく。 青年は未だに従順なままで、教師群のいうことに従った。 それでもなお彼らは大きな獣を相手取るように、じりじりと距離を詰める。 まるでそこにいるのは人間のかたちをした危険な生き物であるかのように。 貴方の目の前で、青年は手錠を掛けられた。 次に、犬につけるような口枷を着けられた。 肘を振り回されることのないように、縄で遠巻きに引きずられる。 その様子は、狂犬病の犬にも似た扱いだった。 青年はどこかしらに連れて行かれるのだろう。 その先で何をされるのかはともかく、不思議と、そこまで理不尽な扱いではないように見える。 観念したように押し黙った青年が、明日どのように他の人間と接するのか、 きっと今まで以上に遠巻きなものになるのだろうというのだけは確かだ。 (-195) redhaguki 2022/05/04(Wed) 13:08:45 |
【秘】 雷鳴 バット → 充溢 バレンタインかすかな鉄錆びた匂いは、少なくとも香る程度には新しいものだ。 それに反応する様子にはちらと目を向けて観察していた。 それを地面へと下ろす際に、かすかなとっかかりに手首を引っ掛けた。 手首から指先まで手袋で覆われているから、怪我の程度は袖口に僅かに覗く程度。 少なくとも今の青年の様子から、うっかり引っ掛けるなんて真似はしそうに なかった 。さ、と傷口を手で覆い、漂う血の匂いを隠す。 何事もなかったかのように、再度歩みを進めた。 あちこちに目を配り、手掛かりを探している素振りも別に、 ついでではあるかもしれないが嘘をついて連れ出しているものでもない様子。 「そろそろ、森を抜けそう。 見つかる前に、戻ろうか」 もうしばらく歩いたならば、順路は庭園へと再び抜けるだろう。 やり残したことはないか、とばかりに声を掛けた。 (-197) redhaguki 2022/05/04(Wed) 13:27:43 |
【秘】 充溢 バレンタイン → 雷鳴 バット「その前に怪我の処置を──……」 言いだそうとしていたけれど、言葉を選ぶために、 黙りこくって後ろからついていき、 掛けられた声でようやく咄嗟に声を返そうと思うものの。 不安の手前に違和感らしきものが膨れ上がっていて、 なんども咀嚼していたけれど何故だか飲み込めなくて、 それが代わりに溢れて、口をついて飛び出していく。 「さっき。君は…… わざと怪我をしなかった、かな」 夜の明かりに髪が照らされて、 その奥に垣間見える瞳には眠気はかけらもない。 不安でも疑惑の目でもない。 真剣に向き合い、相手を見定めようとしているような。 (-200) backador 2022/05/04(Wed) 13:48:40 |
【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット大人達の扱いと、それを受け入れる青年。 両者にとって彼が危険であることは異論ない事実であるらしかった。 言われるままに、後ろに控えたままでいるしかなかった。 「……」 埋葬、罠、被害。 およそ普段接する青年からは程遠いとすら思える語群。 それに思いを馳せる間に、青年は様々な拘束に囚われて。 まるで獣にする扱いにも、青年は不平を言う素振りはなく。 むしろ正当な対応であるかのようだった。 終始従順に大人達の言いつけに従う様子。 引き摺られながら遠くなっていく巨躯を見送る。 せめて姿が見えなくなるまではと。 一体彼の何が危険だったのか、少女にはついぞわからぬままだった。 それから、教師群の内の残った一人に『もう戻りなさい』と声を掛けられたように思う。 きっと自分は、青年が庇った通りに、大人達の中では無理に連れてこられたことになっているのだろう。 違うと否定しても、かえって青年がそう言うように指図したと思われるかもしれない。 だから何も言葉にしないままで、踵を返すしかできなかった。 来たときとは半分の足音だけが森の静寂に溶ける。 血のついたリボンのことが、頭から離れなかった。 おやすみなさい。また明日。 音にならない願いを、誰に届かせるわけでもなく呟いた。 (-202) dome 2022/05/04(Wed) 15:15:34 |
【秘】 雷鳴 バット → 充溢 バレンタイン薄ら差し込む月光がまばらに模様を作る。 互いの表情も見えないなか、逆光を受けて。照らされる貴方の表情を見た。 どのような表情で貴方を見下ろしているかは影に隠れて見えない、ただ。 貴方から投げかけられるものがあったことに、悪い気はしていなかったと思う。 「もしも近しいことだったなら、一人で思い悩むのは寂しいから。 けれど直接聞くのは、怖いし、わからないから……」 青年の言葉はいつも拙く言葉足らずで、真意が相手に伝わることは多くはない。 だから発信する側としてもそれは不足のあるものだろうし、 聞き取る側としても全て察することは出来ない、仕方のないものだ。 貴方がどのように受け取ったって、それはあとあと気にすることなどではない。 「罰せられたいのかもしれない。 よくないことをしたことが、もうバレたと思うから」 今日、その日貴方が離れた頃に青年は大人の元へ連れられていく。 それは当人も誰も知らないことだし、知らされてはいないことだ。 それでも、ジャステシアがいなくなったことで何かを肌に感じているのかもしれなかった。 あやふやな応答ばかり、もっとわかりやすく打ち明けられたなら、 これまでの何年かのふれあいの中で、きちんと話ができていたのだろう。 (-210) redhaguki 2022/05/04(Wed) 18:49:59 |
【秘】 雷鳴 バット → 月鏡 アオツキ――青年が部屋に戻ってきたのは、姿のなかった一日を過ぎ。 もう辺りが夜闇に紛れて、月が高く昇った夜のことだった。 ようやっと顔を合わせることが出来たのは、ひょっとしたら朝だったかもしれない。 或いはそうでなくとも、会話が出来たのはやはり朝日が昇ったあとだろう。 なぜなら。 教師棟の渡り廊下を行き交う姿。 背の高い大人たちに紛れるように、青年の姿はあった。 生徒たちが就寝してすっかり施設内に静けさが降りた頃に、 彼はようやく"治療"を終えて部屋へと帰されることになったのだが。 寝台の上に転がされた青年には手錠が掛けられ、口枷をつけられ。 朝まで目覚めないようにと、鎮静剤が打たれた状態だった。 昼の内に姿を見られることがないように、このように移送されたのだ。 こうした処置を取られたのは、同室が実習生である貴方だからなのだろう。 連れてきた教師は貴方に伝えた。 朝まで決して拘束を外さないように。 万一暴れたらこの鎮静剤を再度打つように。 もしもきみが傷つけられることがあったなら、 患部を押さえてすぐに医務室に事情を伝えるように。 何があっても生徒たちにはこのことを報せないように、と。 目を閉じてじっとしている青年は、少なくとも自ら暴れたりはしなかった。 けれども教師たちは真剣に貴方に伝えた。面白半分ではなかった。 そうしたことは起こりうる可能性なのだと、その目は確かに訴えていた。 静かな夜が、過ぎていく。 (-215) redhaguki 2022/05/04(Wed) 19:37:54 |
雷鳴 バットは、メモを貼った。 (c0) redhaguki 2022/05/04(Wed) 19:50:05 |
【墓】 雷鳴 バット青年はその日、太陽のあるうちは教員棟から出されることさえなく。 月のあるうちは部屋の中から出ることさえ叶わなかった。 獣は檻に入れられたまま、また、誰かのいない朝が来る。 (+2) redhaguki 2022/05/04(Wed) 20:58:45 |
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