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【秘】 明日へ進む 青嵐 → 少年 編笠俺、『アホ嵐』だからさ お前の悩みとか全然気づいてやれなかったけど お前が俺のこと、凄く信頼してくれるのは分かってたし 俺も、同じくらいお前のこと信頼してたし、 お前が傍に居てくれてよかったって思ってる。 お前の期待に応えられてるかは未だ分からないけど、でも、約束する。 俺だけは、何が起こってもお前の味方だ。 口に出さなくても、お前ならわかってくれるだろうけど。 「…またアカネに悩まされてんのか。 でも、もうアカネに負けるあの頃のアキラじゃないだろ?」 ▼ (-7) gu_1259 2021/08/17(Tue) 2:11:14 |
【秘】 明日へ進む 青嵐 → 少年 編笠親友から打ち明けられた内容を聞いて、どう思ったかって? まぁ驚いたよ。 俺たちずっと一緒で、もう兄妹みたいな、そんな感じだったから。 アカネにはちょっと悪いなって思ったけど、 もし付き合うんだったら、どうせ知る事になるんだろうし、まぁいいか。 でもさ、今まで一番真剣な表情だったから もっと深刻な問題かと思ったのは内緒な。 まぁ、こんな顔になるくらい…それだけアキラが 俺たちのこと大切にしてくれてるって証拠だよな。 背中を叩いて活を入れてやる。 え?傷が痛いって? 男だろ、そんくらい我慢しろって。 「行ってこい、 んで男らしく決めてこい! お前には俺がついてる。 なら、今のお前は――無敵だろ?」 そうして、青空にも負けない晴れやかな <心からの> 俺はお前の背中を押してやるんだ。 「…頑張れ、アキラ!!」 ―お前が居れば、俺も無敵だ。 嵐が俺を叩いても、雨がお前を濡らしても、 ――二人いれば、俺たちは無敵だ! (-8) gu_1259 2021/08/17(Tue) 2:16:59 |
【秘】 親友 編笠 → 明日へ進む 青嵐「――っ」 バシィン! と。 背中を打擲する音が、高らかに青空に響いた。 手加減も何もないまっすぐな活は、 今何より自分に必要なもので――。 いつか俺のやらかしたことにこうやって、 お前がぶん殴ってくれる日もちょっとだけ願っている。 ――今頃になって気づいた。 アカネに言われ、夕凪の姉さんに言われ、アオに言われて。 何もかもが欲しかった。 失ったものを取り戻したかった。 この場所に永遠に保管して、大切に守っておきたかった。 でも、本当にそう思うなら。 ――迷わず言葉にして伝えるべきだったんだって。 (-9) reji2323 2021/08/17(Tue) 3:45:32 |
【秘】 親友 編笠 → 明日へ進む 青嵐気合が入った。熱が入った。 いつだって『編バカ』に火を入れてくれるのは『アホ嵐』だ。 どんな冒険だって乗り越えてきた無敵の二人が。 ――10年の時を経て、再びここにある。 「……よし。 ありがとな。 やっぱり、最初に相談するなら、お前だと思った」 倒しておいた自転車を立てて、再びそれに跨る。 「……結果がどうあれ、必ず報告にはくるから。 ……だから、そんときは、笑い飛ばしてくれよ」 そしてそのために。 今お前が地球上のどこにいたって。 ――また遊びに誘うから。 自転車の上から、ビシッと指さして。 「 ……おう、任せろ、アオ! 」そして再び、ペダルを前傾姿勢で漕ぎ出して、発進する。 ――目指すは、アカネの元へ。 (-10) reji2323 2021/08/17(Tue) 3:46:50 |
【秘】 無敵の二人 青嵐 → 親友 編笠「アキラは俺のこと買いかぶり過ぎ。 …って言いたいけど、嬉しいな、やっぱ。」 お前の隣はいつだって心地がいい。 似て無さそうで似てる二人だからか はたまた無二の友だからか。 きっと、そのどちらもなのだろう。 「おう、待ってる。 …別に、報告じゃなくてもいつでも来いよな。」 お前が来るか、俺が痺れ切らして行くか、きっとどっちかなのだろう。 その時は、またいつもみたいにバカやって、騒いで遊ぼう。 後先考えない俺のこと、今度はお前が止めてくれるよな。 俺達の冒険は、まだ続くのだから。 啖呵を切ってから勢いよく自転車を漕ぎ出した親友の背を いつまでも、いつまでも見ていた―――――。 (-11) gu_1259 2021/08/17(Tue) 5:51:29 |
【人】 親友 編笠砂利道を、上り坂を、道なき道を、下り坂を。 息を切らせてペダルを踏んで駆け回る。 居そうなところ、思いつく場所を片っ端から自転車で周り、 小一時間もしたところで、強烈な『違和感』に気づく。 流石に、思いつく場所は全部探し終えた。 ――ここまで、どこにもアカネが居ないのはおかしい。 額から滴る汗を掌で拭いながら、 高く登る太陽を仰ぐ。汗が出るのに、喉が渇かない。 そうだ、都合のいい世界で、ここまで都合が悪いのは、 なんらかの作為があるはずだ。 考えろ。 考えろ、考えろ、どんなに探しても探しても、 アカネの元にたどり着けないことの意味を。 「っ、はぁ……はぁ……!」 ▼ (9) reji2323 2021/08/17(Tue) 21:00:04 |
【人】 親友 編笠>>10 そこにたどり着くと、 ――自転車を叩きつけるように置いて、 流石に全力で漕いで来たので膝に手をついて長く息を吐いた。 その俺の隣を――子どもの姿の―― "添木の旦那"と"清和の旦那"が追い抜いていく。 汗に塗れた顔で、その後ろをよろよろと追いかける。 子どもの添木の旦那が、公民館の番号錠に手を掛ける。 それは、この村での記憶の"残像"だ。 "この村のカギの番号、全部頭に入ってるんだ。" 嘘吐けよ。子どもの頃は、間違いなくそう思ってたけど、 どこに侵入するにも番号錠をすぐに開けてた姿を覚えている。 だから――添木の旦那が言ってたそれは、 案外誇張なしで本当だったのかもしれない。 それを証拠に、俺が教えてもらった番号に錠を合わせると、 "見事に鍵は開かなかった"。 ……そうだった。俺たちが特に悪さをした大抵の施設の鍵は、 ある時期を境にドアの鍵を無意味なものにした添木の旦那のせいで 片っ端から取り換えられてたんだった。 本当、つくづく思い通りに行かせてくれねぇあの旦那! ▼ (11) reji2323 2021/08/17(Tue) 21:09:33 |
【人】 親友 編笠>>11 "ここに関しては覚えなくても大丈夫だ。こうすれば開くから"。 子どもの清和の旦那が、ドアの枠ごと上に持ち上げた状態で、 ドアの左下を蹴る。物理的に老朽化した鍵が跳ねて、 ガチャンと目の前でドアが開く。 俺もそれに倣い、ドア枠を持ち上げて同じ個所を蹴ると、 番号錠を無視してドアが開いた。 ……ホンット。 「ただただ冒険の仲間に入れてほしかっただけのガキに、 悪いことばっかり、教えてくれてんなっ……あの二人! おかげで、めちゃくちゃ助かったよこの野郎……!」 歯を剥いて、笑ってしまった。 こんなに愉快なのは生まれて初めてかもしれない。 俺たちが公民館に忍び込む理由だった『それ』の場所も、 もう俺にはわかっていた。 それは、"田舎"には絶対にあるものだ。 そしてそれは大人たちが用意に子供には触れられないように 普段は隠されているものだ。 でも俺は知っている。悪い年上のせいで、知っていた。 ――俺は、 トランシーバー をひっつかむと。それを肩から下げながら公民館を出て、再び自転車に跨った。 (12) reji2323 2021/08/17(Tue) 21:14:26 |
【神】 編笠――田舎には、その声を端まで届けるスピーカーが必ずある。 緊急時や災害時に、通信手段を持たない村には、 その声を村の端まで届けるその装置が必要不可欠だった。 だから俺たちにとってはそれは絶好の遊び道具で。 そしてこの村のその発信機は、トランシーバーの形をしていた。 これを勝手に持ち出したときが多分、 俺たちがこの村で一番怒られたときの記憶だ。 あのときは大声で言った俺の" ちんこ "が村の端までエコーを伴って響き渡っただけだったが、 今度は違う――今度は明確な意図を以って、 そのスイッチが入れられる。 自転車をこぎながら、トランシーバーに口を当てる。 『……あー、テステス、こちら編笠晶。 あー、悪ぃ、後で死ぬほど怒っていいから、 ちょっとだけ話を聞いてくれ……』 ▼ (G5) reji2323 2021/08/17(Tue) 21:31:37 |
【神】 編笠>>G5 この世界の意味を、理由を、真実を、 皆がどれくらい知っているかはわからない。 でもそれは、俺が伝えることじゃない。 そんなことじゃない、俺が伝えたいことは。 『……" 助けてほしい "んだ。村の皆に』ずっと言えなかった。たったこれだけのことを。 子どもだって言えるそれを、俺はずっと言えずに黙って俯いてた。 『人を探してるんだ。 絶対に会いたいやつがいるんだ。 そいつに、直接言葉を届けないといけない。 でも、それは今の俺じゃできないんだ。 そして一人じゃ、絶対にたどり着けないと思う。 だから……ちゃんと言葉にして、 この言葉に耳を傾けてくれるお人好しな誰かに。 今度はちゃんと言うから…… "助けて"ほしいんだ ……!』トランシーバー越しに、スピーカーから音が鳴り響く。 (G6) reji2323 2021/08/17(Tue) 21:33:04 |
【神】 編笠『みんな知ってると思うけど、俺多分バカなんだと思う。 一人でどうにかできるかもしれないなんて思って、 子どものくせに背伸びして、大人の振りしてたら、 少なくとも自分の事褒めてやれると思ってた」 母親が居なくなったとき、俺は泣かなかった。 卯波が、青嵐が、茜が居なくなったとき、 ずっとここにいてくれなんて言わなかった。 何処にもいかないでくれなんて誰にも言わずに我慢していた。 悲しいから、一人だから、寂しいから。 だから助けてっていう言葉を言わないことが、 孤独な自分が惨めにならずに済むための唯一の道だと思ってた。 でもそのために飲み込んだ涙のせいで、 俺はその先10年の涙を失った。 泣き叫べばよかったのに、追いすがればよかったのに。 俺とずっと一緒に、大人になってくれって、 ――ちゃんと伝えればよかったのに。 (G7) reji2323 2021/08/17(Tue) 21:36:05 |
【神】 編笠「だけど、俺はまだクソガキのままだってようやくわかった。 ――何もかも間違ったあとで、 自分一人じゃどうしようもないって分かって。 だから……10年経った今こんなことを言うのは虫がいいけど。 助けてほしい。 ここから先、この田舎から出たとき 俺は、人を探して歩こうと思うんだ。 伝えたい言葉があるから、話したいことが、 たくさんあるから……! でも俺一人じゃ全員を探し切ったりできないから、 だから……もし俺がこの村の誰かに、 ここから出て出会えたら――。 もし知ってたら、そいつの居場所を教えてほしい……! どうしても会いたいそいつに、ここじゃない場所で、 ちゃんと伝えたい言葉があるから……!!」 そして伝えたい言葉がある者がこの田舎にいるなら、 俺がそうやって架け橋を作るから。 もう出会えない人もいるのは分かってる、 でも今からでも遅くない相手に、伝えたい言葉が山ほどある。 (G8) reji2323 2021/08/17(Tue) 21:43:07 |
【人】 編笠>>15 アカネ 少しだけ視線を逸らして、頬を掻いた。 卯波が踏み出し、アオが踏み出し、 アカネが目の前にいる。 「皆知ってるだろ、馬鹿なんだよ多分。 だから、また馬鹿だなって笑ってほしいんだ。 ……ここにいる俺は、 村のどこにいたって聞こえる声しか出せなかったけど、 世界のどこにいたって、また声を伝えようって思うから」 だからこれは、告白ではなく宣言だ。 今から何百回、何千回と繰り返し伝える言葉の、 覚えていないかもしれない最初の一回だ。 一番恥ずかしい思いをさせたら、 もしかしたら永遠に残るかもしれない。 その胸の高鳴りを抱いたまま、 いつか俺が来るのを待っていてほしい。 同じ空が続く、世界のどこかで。 ▼ (16) reji2323 2021/08/18(Wed) 21:35:15 |
【人】 編笠>>15 アカネ 「ああ……任せろ。 どこにいたって、どんな姿をしてたって。 必ず見つけてやるから。 自転車の後ろに乗せるから、皆に会いに行こう」 手を取る。差し伸べられた手を握ると。 そこには10年前に欲しかった温もりがあった。 「……ごめんな、アカネ。 俺はお前を、 卯波を、青嵐を。 永遠に夢みたいな楽園にいさせてやりたかった。 これは、掛け値なしに本当の気持ちだった。 でも、どうやらそれは無理みたいだから――」 だから。 「――お前のいる"現実"を、 夢みたいな場所にすることにした。 今度は、諦めたりしねえから。 ……アカネが味方なら、百人力だしな」 ▼ (17) reji2323 2021/08/18(Wed) 21:36:45 |
【人】 過去から 編笠>>15 アカネ ばあちゃんみたいに、全員を一気に集めるとかできないから。 だから俺は、一つずつ繋いでいく。 糸を編むように、繋げていく。 出来るかなんてわからない。何年かかるかもわからないし、 その間にほどけて行くものがあったとしても、それでも。 それが今の俺に出来る、精一杯の感謝と謝罪だ。 握ったアカネの手を引き、相手の背中を抱いて。 その耳元に頬を寄せ――。 ……静かに、今度はアカネにしか聞こえない声で囁いた。 「―― だから"未来"で待っててくれ 。"10年前"から、一気に自転車ぶっ飛ばして。 必ずお前に「好きだ」って言いに行くから 」だから今は、少しだけお別れだ。 青く、青く澄んだ空の下で。 伝えられなかった言葉を、静かに伝えた。 誰かが、微笑んでくれているのを感じながら。 (18) reji2323 2021/08/18(Wed) 21:40:07 |
【人】 過去から 編笠>>23 凪 ――俺は、静かにその言葉に応える。 「……ああ。分かった、姉さん。 それだけは、絶対に約束する。 俺も自分の気持ちに、はっきりとケリをつける覚悟、 姉さんのお陰で出来たから。 お互い、どこまで覚えているか分からねえけど、 だからこそ意味のある約束を、ここでしよう」 言いながら、目の前の誰かに、小指を差し出した。 それは意味のない約束だ。 ここから出たときに、夢から覚めた後に、 どれくらいそれを覚えているかは分からない。 ましてや本人でもなければ、今のままの姿とも限らない。 それでも、今ここに居る俺たちの間で約束をすることが、 必ず意味を持つ。 (24) reji2323 2021/08/20(Fri) 19:34:14 |
【人】 過去から 編笠>>24 夕凪 「……俺が出来る限りの何もかもを引き連れて、 必ず、会いに行く。夕凪の姉さんが思っているよりも、 もっともっとすげえものを見せるために、 ちゃんと自分の声を伝えに行く。 ――今なら、 自転車一個でどこまでも行けそうな気するんだ。 夢のような言葉も、夢のような現実も、 何もかも持って行くことを、ここで約束しよう」 だからこの"初恋"だけは、 もう少しだけ決着を先延ばしにしておく。 これは間違いなく、"本人同士"の問題なんだから ちゃんと失恋なりなんなり、しにいかねえとな……。 「なあ、こっちからも一つだけお願いしていいか、 ――『夕凪の姉さん』」 相手に、静かに尋ねる。 (25) reji2323 2021/08/20(Fri) 19:35:43 |
【人】 過去から 編笠>>27 夕凪 ずっと、その器用に何かをこなす彼に憧れていた。 子どもだった俺たちは全員、その背中に背負われてきたはずだ。 普遍で、不動で、信頼できて、 何故かそれが絶対崩れないと信頼していた。 だから、誰も気づかなかった。 他の皆には夜凪の旦那がいても、 夜凪の旦那には、夜凪の旦那が居なかったことを。 弟分が、卯波が憧れを捨て去ったなら。 あいつのことを格好いいと思ってしまった俺が。 ――じゃあいつまでも、 こんな気持ちを抱えてていいはずがない。 助けての言葉が言えない相手に、手を伸ばさずにいられない。 「……伝わんないかもしれないけど。 ……全部勘違いかもしれないけど。 俺は憧れていた『夜凪の旦那』になる覚悟が出来たから。 だから、アンタにも必ず会いに行くよ。 でも、一人じゃ何もできないから。 ――たくさんの仲間を連れて」 そしたらきっと。 俺は、俺たちは――無敵だと。 そう信じさせてくれた親友がいるから。 (30) reji2323 2021/08/20(Fri) 21:37:16 |
【人】 夜を越えて 編笠>>27 夕凪 たち 一人じゃ救えないかもしれない。 一人じゃ答えを出せないかもしれない。 人は、誰かを救うようには出来ていない。 何もかもを解決するなんて無理だ。 なあ、もう一人の俺。 もし会えたら言うよ。必ず探し出して伝えるよ 人の腕が二本しかないのは。 誰かの差し出した手を握り、誰かに手を差し伸べるためだって。 「……だから夕凪の姉さん。 『 旦那も姉さんも待っててくれ 』って。そう伝えてくれねえかな。必ず、迎えに行くから。 それが、俺のお願いだ」 少しは、これで惚れた相手の前で格好つくかなと、 少年だった顔で、自然な顔で笑って肩を竦めた。 (31) reji2323 2021/08/20(Fri) 21:39:34 |
【人】 夜を越えて 編笠>>33 夕凪 「残念だけど夜凪の旦那との関係は、 夜凪の旦那との関係だけなんだよ。 同じように、夕凪の姉さんとの関係も、 夕凪の姉さんとの間のものだけだけど。 だから、俺にとっては…… どっちだって欠けがたいもんなんだよ」 それは。 幼馴染三人の誰一人、 何一つ手放す勇気を持てなかったのと同じで。 今まで何かを支えてきた人が居るなら、 今度はそれになりたがったっていいはずだ。 どうせここが夢なんだとしたら。 夢みたいな話をしたって構わないだろう。 そしてその夢を現実にするために、 少しばかり頑張ってしまうのが男という生き物なんだ。 大切な誰かの夢を叶えてほしいから、 方法を迷わないのが、男なんだ。 そうだろう――夜凪の旦那。俺たちやっぱ、似てるかもな。 (34) reji2323 2021/08/21(Sat) 0:18:55 |
【人】 茜差す方へ 編笠言いながら、自転車に跨った。 もう、後ろは振りむかない。 後ろに置いていくんじゃない、前に迎えに行くために。 だから、ここでは、さよならしなきゃな。 少年の残滓を置いていくようにして、 自転車のペダルに足を置いた。 「さあ、伝えてくるか。 ――今度は、俺の番だ、アカネ」 世界の何処にいたって一番最初にはきっと、 お前を見つけてやる。何回でも。何十回でも。 そう思いながら、自転車に跨った。 お前のことが好きだと。 今どこにいても伝えにいってやるからな――。 (36) reji2323 2021/08/21(Sat) 0:23:11 |
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