『おや ヌンキ様 こんにちは』

『ええ 勿論覚えております 憶えております

そうにございますね 前よりも 後の方が嬉しいでございます
折角いただくのですから 味を深く感じれるように』

『オーケー了解したよ。それならもし今日本当に君が処刑される流れになったとしたら、また後で連絡をいれるね。

和食洋食中華、何か食べたいものがあったら教えておくれ。こちらも色々考えておくよ。

それじゃあまた後ほど』

少し時間をおいて、もう一度連絡が飛んでくる。

『あまり無理しないでね』

たったそれだけの、短いメッセージだった。

『お声をいただいた直後に決まってしまいましたね

食べたいものは そうですね』

手が止まってしまいました。ああ･･･。
少し 少しの間を置いて。

『優しい味のものが食べたいです

ありがとうございますね ヌンキ様』

短いメッセージには、心を見られているのかと。
･･･それを告げることは、ありませんが。

「あぁ、昆虫食はねぇ……そうね……見た目もダメな人多いわよね……。
アタシは……ピクルスがダメよ。酢漬け」

これだけの簡単な質問にすら、考えるだけの時間を要した。
そのくらい、普段誰かと話すとき、自分の話はしないのだ。
けれど今はただ会話を楽しんでいる。

「…ふ、ふふ、嬉しいこと言ってくれるのね。じゃあゲームが終わった後、一緒にお食事しましょ。楽しみだわ」

拒まれなかったどころか、貴方から出向いてさえくれるという意思。それがどれだけ心地よいことか。

「そうなの、アタシが吸うのはフレーバー付きが多いから余計に。
……あらやだ、随分話し込んじゃったわね」

そうして、時間の経過に気付く。楽しい時間というものはあっという間だ。

「楽しかったわ、話しかけてよかった。またね」

最後に笑顔を向け、手をひらりと揺らして。
何もなければ、機嫌良くその場を去っていくだろう。

>>a168
『拝啓、シェルタン様！お前また愉快なことになってる気配あるんだけど生きてるー？』

あ！また最悪の連絡だ！いい性格の男の襲来パート２だ！

/*ハァイ、アタイよ。誰かに回収されてないならちょっかい出しに行こうかしらの気持ちでいるわ。他の方が回収しているのなら馬鹿の連絡後に通信切るから安心してちょうだいな！

『･･･何故わかるのでしょうか』

少し迷いました。なんせずぶ濡れ。
髪も服も水を吸って思いです。

『中庭 服 タオルを頂けるとお礼に何かさせていただくかもしれません』

迷った末に欲しいものを言ってきた！うわ！
でも本当に困っています。このまま処刑は。

/*
誰にも回収されていませんﾃﾍｯ
ちょっかい是非是非 よろしくお願い致します

『なんでだろーな？なんでだと思う？ヒントは俺の装備している電子機器！』

全身に色んな電子機器を装備している男だ。きっとどこかのカメラとかを覗き見たのだろう。

『おう、すぐ行くわ。お前のサイズ分からないけど俺のサイズならまあ着れるだろ。部屋に行くまでくらいは問題ないと思う。……あーお前のびしょ濡れ姿楽しみー♡』

最悪のキャッキャをしながら中庭へ向かう。びしょ濡れ姿を見たいだけじゃないか？


/*わーいじゃあいただき！よろしくお願いいたします！

『なんだかメタな内容が見えた気が致しますが 私は触れません』

既に言っておりますがそれはそれ。これはこれ。

『お待ちしておりま

･･･いい性格しております』

因みに髪は解いております。多少しぼりました。
ですが服はもう、それはそれは。

というわけでまだ浸かっております。寒いです。

「はーいタオルと着替えのお届け物でーっすうわ本当びっくりするくらい濡れてる」

明るく笑いながらやってきたしあなたを発見しての第一声も最悪だ。
とはいえバスタオルを３枚も持ってきているし着替えはフリーサイズのものを持ってきている。

「頭拭くのと身体拭くのとでとりあえず２枚使うかなって思って。どうよこの配慮？」

「ええ 私もびっくりでございます 困っております」

本当にそうでございます。

「そして流石にございますね バーナード様
私シェルタン とても とても 助かりました･･･」

ええ こちらも本当に。

ゆっくりと立ち上がりますが･･･あ 重いですね。
ざぱぁ！！とお風呂にでも入っているかのような音。

「ありがとうございます」

ですが それはまぁ置いておきます。先にタオルを下さい･･･。

「何シェルタンお前噴水と一体化してた？新しいオブジェか何か？」

（音が）デカ過ぎんだろ……。
噴水から少し離れたところにバスタオル１枚、その上に着替え……を置いて、残り２枚を持ってそちらへ。１枚をとりあえず差し出して、もう１枚もすぐ渡せるようにしておく。

昆虫食の話には頷きました。
「ピクルスでございますか それではムルイジ様とのお食事はピクルスは絶対に選ばないようにしましょうね」

その時間さえもシェルタンは楽しんでいます。
それは考える時間を使って選ばれた答え 会話を楽しんでくれていると受け取れる ひとつの。

「勿論にございます 私も楽しみにしております
･･･食事だけでなく 他にも機会を得て」

機会があれば ではなく 機会を得たいのです。
あれば等と告げるうちは叶いませんからね。

煙草の話になるほど と言葉を紡ごうとすれば、ああ 確かに。
少しのお話 という予定でしたが、思うよりも長く 早く 時間は経っていたようです。

少し寂しくもありますが今宵はここまで。
またお話しましょうね ムルイジ様。

「･･･かなり長い間 浸かっておりましたので」

一体化したかもしれません。オブジェかもしれません。
どうして直ぐに助けを呼ばないんですか？？

･･･どうすればいいか分からずにかたまっておりました。

タオルを1枚受け取りまずは髪から。
ああ〜 吸水性抜群でございます 最高でございます！！

次に服を脱いで濡れた上着等を噴水のふちに置き、身体を拭きます。
全部は脱いでいませんからね 大丈夫でございます。

一応他人が来ないかだけ確認しつつ身体を拭いている様子も時折伺いつつ。適宜タオルを渡したり着替えを渡したりしていく。

「髪はあとでも乾かせるからとりあえずは身支度、だな。……とはいってもなぁ……」

今日の処刑対象があなたであることは、知っているので。
中庭を離れる時に、一言だけ質問を投げかけたことだろう。

「なあ、シェルタン。怖くねえの？」

というわけで色々飛ばして動くことは叶いました。
噴水から脱出です。わ〜

髪のことも、処刑のことも笑顔で返しました。
何も言いません、内緒です。

と思いましたが、一言だけ。

「･･･怖いですよ」

それは本音。
小さく零しますが、その表情は笑顔のままでした。