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【秘】 村人 ニア → ■■■■ シトゥラ 深く、貪るような口づけに耽溺する。 いつまでもこうしていたい。 鼻にかかった、甘えたような声が漏れる。 まだやめないで。 青年の背に、たどたどしく腕を回す。 もっと触れあいたい。 その手にナイフは握られないまま。 もうすこしだけ、先がいい。 そうやって、与えられるものを味わって。 遠い雨音を耳にする。 青年の声だけが、くっきりと浮かび上がっている。 ――――また、もし、出会えたら。 それは、心からの言葉? 甘く、夢見るような言葉に瞳が揺れる。 そうだとするのなら―― (→) (-360) 榛 2021/04/29(Thu) 14:04:02 |
【秘】 村人 ニア → ■■■■ シトゥラ ゆっくりとした瞬きを、ひとつして。 瞼の下から現れるのは、どうしようもなく餓えた瞳。 「口約束は、いやよ」 少女のかたちをした獣は、そう告げる。 甘い言葉ひとつでは、足りやしない。満たされない。 ……お腹が空いて、空いて仕方がないから。 それで満足できるような、可愛らしい女の子にはなれない。 青年の左手を掴む。両手でしっかりと握って、 爪の先に、手の甲に、指の付け根に幾度も口をつける。 どうしたって、この手から――その口から与えられるものを、次から次へと求めてばかり。 「……破ったら、承知しないわ」 見せつけるように口を大きく開いて―― 心臓にいちばん近い指。 忘れないで、覚えていて。 永遠を誓うそこに、歯を立てる。きつく、つよく。 死んだらそこでおしまい、そのはずなのに。同じ夢を見ることまでも、求めてしまう。 (-361) 榛 2021/04/29(Thu) 14:05:12 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → 村人 ニア彼女の声と、雨の音。 時が止まったような感覚に罅を入れたのは痛み。 餓えた獣の瞳を見る。それは、ひどく美しい煌めきをしている。 「ニア?」 その場所に歯を立てる意味を、そこに痕をつける理由を。 青年が理解しない訳は──無い。 永遠を、誓って欲しい。素直な言葉を口に出来ない少女の精一杯の表現。 彼女の手を取って、同じ場所に口付けた。 それが、終わりの合図。蕩けるような恋人の時間の終わり。 「──ええ、僕がアンタに嘘を吐いたことがありましたか? きとんと、お迎えに上がりますとも」 少女を見下ろす。首に手を伸ばすのを、想像する。 → (-367) chige_00 2021/04/29(Thu) 15:00:16 |
ニアは、会議の場。いつも座っていた席で不機嫌そうに口を噤んでいる。 (c139) 榛 2021/04/29(Thu) 15:08:55 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → 村人 ニア 僕と一緒に逝きましょう 「だから、安心して死んでください」 少女の首に手を伸ばす。 辿って、指を絡ませ、締め上げる。 ここで、時間が止まれば。 躊躇いはしない、力は抜かない。 彼女の唇が、空気を求めてはくはくと開閉をするのが見える。 アンタを殺さずに、済むのかな。 少女は、不可視の水に溺れている。 浮かび上がろうとする彼女の手を何度も引きずり降ろす。 微かに血の滲む薬指が目に映る度、どうしようもない気持ちに襲われる。 永遠にも感じるような時間が流れた。 雨の音が、ひどく遠い。 彼女の苦し気な吐息と、自分の荒い吐息。 ──ニア、アンタを守れなくて、ごめんなさい。こんな形でしか、愛せなかった。 少女の首を絞めながら、少年は嗤った。 笑ったような、顔をする。それは、いつかのメサの前にした顔だ。 その歪さを指摘してくれる人間は、もういない。 (-370) chige_00 2021/04/29(Thu) 15:13:58 |
【墓】 N[IA<NβP村C★]>人≪観≫θ ニア>>+146 サダル しきりに頷いている わかり手になってしまった 彼を見て、思わず、 えー…… という顔になる。ちょっと大げさじゃないかしら……? しかしすぐに気を取り直して、つんとした表情に戻って。 「物は言いようね。でも、そんなのじゃないわ。 心の底からの文句よ」 このひと本当にお人好しね……と思っている。 こんなに人に甘いから疲れるんだわ、とも考えている。 その甘さにすこしずつ、寄りかかっている身で。 ……依怙贔屓全肯定男さんの誕生にはまだ気づいていない。 「そう。……悪いことをしたとは思ってるわ。 あのひとは随分いろんな人と仲が良かったみたいだし」 ほんのり嫉妬の色が滲んでいる。優越も、ちょっとばかり。 それから、問いには不器用な肯定を返す。 「あんたもそうしてくれるなら、話してあげてもいいわ。 ……わたしだけ弱みを晒すなんて不公平だもの」 (+164) 榛 2021/04/29(Thu) 15:43:18 |
ニアは、ホワイトボード>>G128を眺めて、(朝まで一緒だったって、ほんとなのね)と思った。他意はない。 (c141) 榛 2021/04/29(Thu) 15:46:51 |
【秘】 村人 ニア → ■■■■ シトゥラ 言葉を返す暇もなかった。 幾度も頭を撫ぜたその手で、透明に浸される。 ――ごめんなさい。ナイフを握れなかった少女は思う。 見えない水で、肺が満たされていく。 くるしい、 もう空気を吸えないことは分かっているのに、 それでも体は生きようとするのが滑稽だった。 たすけて、 手足の先が痺れて、震えて。冷たくなっていく。 こわい、 シーツにしがみつく。皺を増やす。 しにたくない、 だけど――せめてもう、邪魔だけはしたくない。 雨の音はもう聞こえない。 耳に届くのは、弱まっていく自身の心音。 ひたひたと迫った、死の音だけ。 酸素を無くした脳が鈍っていく。 これまでのことが、ひどく遠くにある。 嗤う青年の顔が、滲んでいく。 ――変な顔ね。 (→) (-381) 榛 2021/04/29(Thu) 17:45:59 |
【秘】 餓狼 ニア → ■■■■ シトゥラ――少女は刹那、夢を見た。 ベッドの上、ここが今日の舞台だと言わんばかりに佇んで。 小さく一つ、会釈する。 そうして口を開いて、 たったいちどの、大切なお願いをした。 >>3:*35……仲良くなりたかった子が、いたのだ。 この場所で、仲間になりたかった人たちがいた。 空かせた腹の底にあったそれを捨てて、餓えた獣はここで死ぬ。 もう、殺すことは必要ではなくなったから。 そのとき、上着のポケットの中。 星 が光って、色を変えて 。どこかへ消えた。――それから、もうひとつ。 彼のために願う。 >>3:*36彼の死んでしまう、今日という日くらいは。 すべてを捨てて、共に死んでくれる今日くらいは、 昨日までの――彼らと過ごした彼が報われたって、良いと思うのだ。 それだって、嘘じゃなかったんだろうから。 それを嘘にしてしまったのは、ニアなのだから。 (→) (-382) 榛 2021/04/29(Thu) 17:48:52 |
【秘】 ニア → ■■■■ シトゥラ 少女は一筋、涙を零す。 わずかに動いたようにも見える口から、音は出なかった。 『 よ、シトゥラ』 ――約束、守ってちょうだいね。きっとよ。 ――ふ、と。シーツの皺が、緩む。 (-383) 榛 2021/04/29(Thu) 17:50:36 |
【墓】 村人 ニア【ソロール】 『村人』がどのようにして狼になったのか。 その内容を詳らかにしましょう。 ❀ むかしむかし……というほど遠いことではありません。 その村人は、年端を数えるのに、 まだ両手足の指で足りるほどの少女ですし―― この世界ができたのはその実、つい近頃のことですから。 その村人はレムノスから離れた、 とある小さな、ありふれた町のひとつに生まれる予定でした。 ※『村人』とはただの役割の名称に過ぎませんから、 村人が町に住んでいても、何らおかしくはありません。 村人は順風満帆に暮らしてきました。 あたたかい家族。語りあう友。 おいしい食事。綺麗な服。ふかふかのベッド。 満たされていました。 笑顔と幸せに満ち満ちた、平凡で素敵な人生。 ❀ そういうありふれた『設定』を持つ、この世界の住人。 少女はそういう存在になるはずでした。 (→) (+172) 榛 2021/04/29(Thu) 18:21:02 |
【墓】 村人になれなかった ニア>>+172 けれど、少女はこの世界を統べるものに、 目をつけられてしまいました。存在を見出されました。 片隅の街で冒険者に挨拶をするはずの、ただの村人。 そうなるはずだった彼女は、 狂った殺人鬼へと書き換えられました。 覚えているでしょうか。 このβテストの前から、遺体が発見されていたこと。 ――あのうちのいくらかは、きっと。 この少女の手によるものです。 ❀ 殺人鬼は、ある日ひとりの冒険者を襲いました。 深い森の中で、胸を刺して殺し、弓を奪い。 彼が参加する予定の、会議のことを知りました。 そこでは「シータの痕」事件についても扱うのだと。 そう知った彼女は、思いました。 ちょっと、揶揄ってみようかしら。 ……いいえ、本当に思っていたのは、こう。 そこに行けば――誰か、わたしに気づいてくれるかしら。 そうして、霧の向こうからやってきた少女は、 ひとつ余った席に腰を掛けました。(→) (+173) 榛 2021/04/29(Thu) 18:24:57 |
【墓】 村人になりたかった ニア>>+173 それが、この少女の『設定』です。 これ以上はありません。詳細は存在しません。 少女が席に座るのに、これ以上は必要がなかったからです。 ❀ そうあれかしと定められた、彼女の罪。 それは、彼女への罰でもありました。 ――その話は、いずれまた。 兎が穴から飛び出すころ、語ることになるでしょう。 (→) (+174) 榛 2021/04/29(Thu) 18:26:44 |
【墓】 N[IA<NβP村C★]>人≪観≫θ ニア>>+174 ――わたし、 「ごきげんよう、キュー。 悪い子同士、仲良くしましょう」 こんなことをしてしまうの、 「こちらのことは『ガルデニア』と呼ぶように」 他の誰だってしないようなことだわ 「お馬鹿さん」「お寝坊さん」 「キュー、あんたも病気なのね。間違ってるのね。狂ってるわ。 だから――――わたしたち、仲良くできそうね?」 ほら、わたし、悪い子でしょう? 「わたしが何者かって? ……そんなの決まってるじゃない」「ニアよ」 Loading... (+175) 榛 2021/04/29(Thu) 18:29:26 |
【墓】 N[IA<NβP村C★]>人≪観≫θ ニア>>+175 「知らないわ。お馬鹿さんの―― あっさり人のことを信じちゃうような、 、、 お馬鹿さんたちの考えることなんて」 叱ってちょうだい! 「わたしたちは殺したいから殺して、 それらしい理由で飾りつけているだけよ」 諭してちょうだい! 『……優しいのね』 悪いことだと教えてちょうだい! 「逆よ。ニアだから、ガルデニア」 誰でもいい、 Loading... (+176) 榛 2021/04/29(Thu) 18:30:24 |
【墓】 N[IA<NβP村C★]>人≪観≫θ ニア>>+176 「ねえ、キュー。……あのひとは、やめて」 誰だっていいから 「――そうしたいと言ったら、連れていってくれるの」 お願いよ 「だから、殺してちょうだい」 「そのかわり―― 今日は、誰も。 殺さないでちょうだい 」――――わたしを見て!!!! Completed (+177) 榛 2021/04/29(Thu) 18:31:35 |
【墓】 N[IA<NβPC]>★村人≪観≫θ ニア>>+177 ! データの読み込み、および復元が完了しました。 File:Gardenia 「 I, said Nia. 」 ――その声を聞いて以降の彼女は、 『ガルデニア』と名乗った殺人鬼の記憶を有します。 【ソロール:[File:Gardenia] 完】 (+178) 榛 2021/04/29(Thu) 18:42:22 |
【墓】 N[IA<NβPC]>★村人≪観≫θ ニア>>キュー 少女はあらゆるところに存在している。 分裂バグだ。 この少女は街の中を歩いている。 いつかのように、時報の姿を探している。 (+179) 榛 2021/04/29(Thu) 18:47:58 |
【墓】 N[IA<NβPC]>★村人≪観≫θ ニア (+181) 榛 2021/04/29(Thu) 19:03:50 |
【墓】 N[IA<NβPC]>★村人≪観≫θ ニア>>166 キュー 「相変わらず面倒な話し方をするわね……」 呆れ口調でそう言って。すぐさま本題を口にする。 ……残された時間はきっと少ない。 「声を聞いたわ。 ……それできちんと思い出せたことには感謝してあげる。 あんた、これからどうするつもりなの?」 (+182) 榛 2021/04/29(Thu) 19:19:52 |
【墓】 N[IA<NβPC]>★村人≪観≫θ ニア (+186) 榛 2021/04/29(Thu) 19:37:09 |
【墓】 N[IA<NβP村C★]>人≪観≫θ ニア>>+165 シトゥラ ちょっと、と言って手を避けるようにゆるく首を振る。 戯れのような抵抗。 だって、両手は左手を握ったまま。 「――ええ、」 小指同士を絡めて。 子供っぽいしぐさ。 淡く笑みを浮かべて。 慕情をたたえた瞳。 少女はようやく少しだけ、素直に言葉を吐く。 、、、 「今度も守ってちょうだいね、シトゥラ」 (+188) 榛 2021/04/29(Thu) 19:48:00 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → ニア少女の唇が、泡を吐く幻を視た。 彼女の喉を締め上げる指。 ニアの噛んだ傷から、血が、ゆるりと垂れて。 「ニア?」 小さな手から、その指先から、力が失われて。 シーツの皺が、解けた。 呼吸の音が、止まる。 手が、震えた。 ――約束、守ってちょうだいね。きっとよ。 少女の、声を聴いた気がした。 彼女の瞳から一筋、涙が零れる。 「ニア、ニア……」 置いて行かないでくださいよ。また、いつもみたいに笑って。 それを、奪ったのは僕なのに? その瞳を開いて、嘘だって、言って欲しいと願った。 手から力を抜いた、震える手を、握った。 ──雨の音が、戻ってくる。 取り残された部屋の中。 ふたりっきりだった部屋はひとりを失って。 残ったのは、ひとりきり。→ (-393) chige_00 2021/04/29(Thu) 20:03:12 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → ニア「ニア」 少女の濡れた頬から、涙の雫を掬い上げた。 さいご、残った温もりはやがて、この少女の輪郭を失う。 その前に、伝えたいことがあった。 「ねえ、ニア。僕はね、アンタに一目惚れしたんですよ。 最初に会った時のことを覚えていますか? 随分、かわいい子だと思った。 僕が描いてた、理想の“可愛い女の子”が想像から抜け出してきたみたいで、驚いたんですよ。 話してみたら、はは、馬鹿みたいにつれなくて」 青年は笑った。その頬を涙が、伝う。 「絶対揶揄って、面白がってやろうって。 それだけだったんですよ。 別に、アンタが僕を好きになんてならなくてもいいって。 ただ少しだけでも、その心に居座ってやろうって」→ (-394) chige_00 2021/04/29(Thu) 20:11:29 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → ニア「なのにさ、アンタは笑うから。 ちょっとした言葉で、言葉を詰まらせて。 触れた手を、伸ばした手を──拒みもしない。」 最初、戯れで手を伸ばした。 次に触れたとき、微かに胸が疼いた。 青年は、今しがた少女を殺した自身の手を見た。 握って、開いて。喪失を実感する。 最後に触れたとき、胸がひどく痛んだ。 「しかも、僕が本当に哀しい時。 アンタが一番に傍に来てくれた。傍にいてくれた。 下手くそな言葉でさ、慰めてくれた。 その時、アンタの傍に居たいって、心から思った。 それまで、ぼんやりしてた感情が、はっきり形になった。 守りたい、傍に居たいって、思いました。なのに。 アンタは犯人側で、僕は犯人を追う側だった。 だから僕は全員を裏切ろうと思った。 最後まで、アンタの手を握って居ようって。 でも、ニア、情けないことにですね、」→ (-398) chige_00 2021/04/29(Thu) 20:23:08 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → ニア「裏切ろうと思うと、あいつらの顔が浮かんでくる。 あいつらとした、約束が浮かんでくる。 最高に、身勝手だ。最低の人間だ。 バカみたいですよね。全部捨てたって言っておいて。 結局、苦しいからって、アンタまで殺して」 青年は、肩を震わせた。シーツに雨が降る。 ──彼女が最後まで握っていたそれが。 いつかの夜も、彼女が握った。 今はなぜか、酷くにじんで見える。 「アンタが、欲しくて。 あいつらにも、苦しんで欲しくなくて。 そんな身勝手が、この結果を生んだんです」 メサを殺して、ニアを殺して。アンタレスを殺して。 仲間皆の期待を殺して、残った自分は。 もしかしたら、誰よりも空腹な獣だったのかもしれない。 「死ぬなら、殺されるなら。 黙って死ねばよかった、アンタを殺す必要なんて、」 「──シトゥラ。」 「──なかったのになと思うのに。 アンタが此処に居ることが、嬉しい。 苦しい。 アンタを殺したのが、僕で良かったなと思う。 アンタが、欲しかったんだ。心も、体も、命も。」→ (-401) chige_00 2021/04/29(Thu) 20:35:42 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → ニア「アンタは全部くれた。」 立ち上がって、ベッドの下に落ちていたナイフを拾い上げる。 彼女がきっと、僕を殺すために持っていたもの。 それはおそらく、メサを手に掛けたナイフと同じ。 「だから、ニア。」 青年は鮮やかに笑った。 ナイフを、掲げて、自身の心臓に向ける。 ──雨の音がする。 誰かが雨の話をしていたのを思い出した。 雨は、人を引き留める。愛しい人が、何処にも行かないように。 そんな雨も、あるのだと。 ──曰く、“遣らずの雨”。 アンタはそっけないから、逝ってしまったけれど。 「──僕も全部、アンタにあげます。 そんなのいらないって、笑うかもしれない。 でも、アンタが僕をこんなところまで連れてきたんですから」 ……責任、取ってくださいよ。 ナイフが、胸を貫いて。 唇の端から赤い血が垂れた。 血が零れる度、命が欠けていくような感覚がする。 ナイフを抜かないまま、少女の傍に戻る。 少女の肌は、冷たい。 冷たいまま時を止めた、氷の彫像。→ (-403) chige_00 2021/04/29(Thu) 20:49:58 |
【墓】 N[IA<NβPC]>★村人≪観≫θ ニア>>171 (>>174) キュー 「……そう」 彼の顔を覗き込む。定まらない視線から、 こちらのことは見えていないのだろうとは分かっている。 けれど、合わない視線を承知で、薄紫で彼の瞳を見つめる。 「死ぬのって、こわいことよ。そう決めていたとしても。 ……たくさん殺してきたわたしが言うのも、ひどい話だけれど」 声色に後悔が滲む。今の少女にとって、ここは現実。 そういう『役割』だったから、と自身を許せるわけもない。 「つらくて、苦しいわ。それで、寂しいの。 ――あのひとに触れていたかったけれど、 きっと爪を立ててしまうから、それもできなかった」 受け入れることを選んだ少女が己に握ることを許したのは、 彼の手ではなく、無機質なシーツだった。 (→) (+198) 榛 2021/04/29(Thu) 21:02:28 |
【墓】 N[IA<NβPC]>★村人≪観≫θ ニア>>171 >>+198 キュー 彼の腕をつよく掴む。……触れられない。 きつく握った手のひらに、爪が食い込む。 「ねえ、時報さん。 ……殺されるって、そういうことよ。 それでも、『ミンナ』のこと。信じるっていうの?」 (+199) 榛 2021/04/29(Thu) 21:04:06 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → ニア少女の肌に、髪に、赤い雫が落ちる。 ──赤い雨が降る。 それは、手で拭っても、拭っても。 「──ニア。」 青年の手が、少女の手を求めた。 指を絡めて、握って。体が平衡感覚を失う。 雨の音は、聞こえない。 視界は、ぼんやりと滲んでいる。 夜の訪れた部屋は、ひどく昏くて。 ──まるで、海の底みたいだと思った。 青年は、ひとつ息を吐いて。 「僕は、きちんと、守りますから」 瞳を、閉じる。 彼女の冷たい指の感触だけが、この世界のすべてだ。 やがて、静かな部屋は音を失って。 そこにいた、人の気配を喪った。 残されたのはただ、静かな雨の音と。 ふたりの、亡骸だけ。 「また、会いましょう。」 【雨に沈む梔子の部屋で】END (-406) chige_00 2021/04/29(Thu) 21:05:27 |
ニアは、反対言葉を呟く。「さよなら、時報さん。ここで、待ってないわ」 (c167) 榛 2021/04/29(Thu) 21:52:21 |
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