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【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす[アルバイトが顔を上げたのは 目覚めた青年の小さな声を聞き止めたから>>16] おう、起きたッスか! はよざいやーす。 [カウンター越しに尻尾をふりふり 片っぽの唇だけ上げてみせる。 そのまま起きなかったら……とか 救急車呼ばなきゃならないかな……とか 正直気が気じゃなかったのは内緒なのだ。] (25) ヨキ 2020/09/12(Sat) 18:25:44 |
【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす腹減ったなら何か作りましょーか。 ……っつっても、軽食くらいッスかね ここにある材料だと。 [頭をボリボリ掻きながら 口をへの字に曲げて思案顔。 この青年が、訳ありそうなのはともかく 一見普通の人間だと思っている。 万が一にも生き血のリクエストがあったなら ]流石に度肝を抜くだろうが。 スキュラ、オイシクナイ、オイシクナイヨ…… (26) ヨキ 2020/09/12(Sat) 18:26:53 |
【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす[リクエストがあったかどうか。 無くても「そうスかー」なんてキッチンに入って 賄いを作りに掛かるだろう。 鍋でパスタを茹でている間に 半端に残ったピーマン、玉ねぎ、アスパラガスを 適当な大きさに刻んでいく。 パスタが茹で上がったら、切った野菜を にんにくチューブと一緒に炒めてしまえ。 ケチャップと胡椒で味付けする頃には 辺りにふんわり、いい匂いが漂ってくるだろう。 本日の賄い飯「ナポリタン」の出来上がり。] (27) ヨキ 2020/09/12(Sat) 18:32:27 |
【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす[リクエストがあったなら その料理を青年の元へ運んだろうし 何も言われなかったら、ナポリタンを皿に盛って 束の間の休憩に羽根を伸ばすだろう。 ……ちょっと作りすぎたんで 分けてあげてもいいんスけどね!なんて 内心思いながら。]* (28) ヨキ 2020/09/12(Sat) 18:36:36 |
【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす[肉が欲しい、なんて不思議なリクエストだったけど 望み通りにソーセージをたっぷり入れた ナポリタンにしてやろう、と 長い尾をしゅるり、と引きずりながら 奥へと引っ込んでいくのだった。 下半身が蛇であること、別に隠しちゃいない。 たまに失礼な輩から「異形」と言われるけれど 此方からすればこれが通常なわけで。 そうして湯気の立つひと皿を 青年の前に持ってきて───── 無邪気な笑みを見たならば>>36] きしし……ごゆっくり。 [そう、また尾を揺らすのだ。] (74) ヨキ 2020/09/13(Sun) 8:47:18 |
【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす[けれども、それからしばらくの後 フォークが床を叩く音に顔を上げれば そこにいたのは無邪気な青年じゃなく さっきよりグロッキーな顔した男>>48] 個室使うのは大丈夫スけど…… アンタ、本当に大丈夫ッスか? 顔色、すげえ悪いけど……。 [調子悪いならちゃんと言うんスよ、と きちんと言い含めた上で 個室に消える青年の背中を見守るだろう。 何度も読み返した万葉集も 一句一句、頭の中を滑っていく。] (75) ヨキ 2020/09/13(Sun) 8:47:54 |
【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす[まあ、ここは漫画を読むために オーナーが作った空間ではあるけれど、 休みたい人は休むだろうし ただ友達と語らいたいだけの人もいる。 何処でどう過ごそうと、自由な空間。 ─────ああ、だけど、ご覧! ここにある一冊一冊は、 君を決して孤独にしない! アルバイトがかつて「客」として この店を訪れた時に出逢った本のことは 今でも鮮明に覚えている。 ろくな娯楽もない世界でただ真面目に 与えられた課題をこなすだけだった男の前に ある日突然この店は姿を現して たくさんの本で男を魅了したのだ。] (76) ヨキ 2020/09/13(Sun) 8:48:19 |
【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす[これだけある中の一つくらい、 俺だけのものにしたっていいだろ? ─────そう思って、漫画を一冊、 ジャケットの内側へと忍ばせた。 あの日から男はずっとここに居る。] (77) ヨキ 2020/09/13(Sun) 8:50:44 |
【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす[本当に、ここにはたくさんの本がある。 そこには描き手の描いた空想や思想、 誰かに分かってもらいたい気持ちが 所狭しと店内を埋めつくしている。 たったひとりぼっち、空腹に耐えて それでもより良く生きようと 足掻いて生きようとした異形の者の物語も もしかしたら─────? カウンターへと戻ったアルバイトの目に 棚から一冊転げ落ちた漫画が止まる。 『ポーの一族』と書かれたその漫画を 棚に戻すと、男はまたカウンターでとぐろを巻いた。]* (78) ヨキ 2020/09/13(Sun) 8:51:37 |
【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす[そう、例えば『ポーの一族』。 不死の生き物バンパネラにされた主人公は 巻き込むまいと妹を遠くの街へ養子に出したのに 結局妹は自らバンパネラに加わることを望み、 最愛の妹は人間との戦いの末に散ってしまう。 例えば『レベルE』。 食人鬼の少年は葛藤の末、 愛する少女を食べてしまった。 それは「許されないこと」だったけれど 同時に「仕方の無いこと」でもあって。 食うなと言われても腹は減る。 寝るなと言われても眠くなる。 彼らは人の間で暮らすには あまりに違いすぎたのだ。 例えば、『うしおととら』。 獲物と捕食者の関係だった二人は 幾度もの冒険の末に最高の友になった。 「喰ってやる」という執着は いつしか「俺以外に喰われるな」という 絆の形に変わっていった。] (157) ヨキ 2020/09/14(Mon) 13:04:23 |
【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす[探せば幾らでも、物語はある。 その中のどれが、明日を生きるために必要なのか 一見じゃ分からないだけで。 それが和歌であろうが、漫画であろうが 劇であろうが、歌であろうが 世界は決してひとりぼっちにさせてくれない。 それはいつも、読み手の心に 音もなく寄り添ってくれるのだ。] (158) ヨキ 2020/09/14(Mon) 13:04:44 |
【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす世の中を 憂しと恥しと 思へども 飛び立ちかねつ 鳥にしあらねば [そう、或る歌人は詠ったけれど 唯一許された翼が、自由だ。 想像の翼は時を越え、場所を越えて 種族を越えて、心の扉を叩きに来る。 そういう世界に、このアルバイトは 心を揺さぶられたのだ。] (159) ヨキ 2020/09/14(Mon) 13:05:19 |
【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす[─────ただの「客」から 「アルバイト」へと変化せしめた運命の一冊も 今はこの店を埋め尽くす本棚の一角。 誰が手に取るか知らないし 手に取ったとて、男の同じくらい 心を揺さぶられるとも限らない。 けれどその秘宝は静かに 手に取られる時を待っている。]* (167) ヨキ 2020/09/14(Mon) 13:15:54 |
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