人狼物語 三日月国


131 蕐の残香、追憶のブーケトス

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視点:


到着:ピアニスト イングラハム

【人】 ピアニスト イングラハム




The secret is just like a wedding veil.

女の秘密とは、花嫁のベールだ。




(15) 西 2022/02/13(Sun) 16:38:16

【人】 ピアニスト イングラハム



   そう、私の父は言っていた。
   その意味を幼子の私が知るはずもないが。

   
   ピアニストの父と母もしかり
   私の家系は芸術に対するバイブスが高めらしい。
   それは私自身もそうで、ピアノの演奏には
   幼い頃からずっと魅了され続けている。

   ボランティアとして病院でコンサートを
   開催することだって何度もあった。
   私としては慈善なんてない純粋な演奏を
   味わい、楽しみたかったのだが。そうも言えない。



(16) 西 2022/02/13(Sun) 16:41:07

【人】 ピアニスト イングラハム



   兎角、想い馳せるは薄れゆく記憶。
   ベールにその素顔をひた隠す少女。>>12

   いつか出会った君の真っ白なヴェールを
   私が外すことは叶ったのだろうか。

   今の私にはもう、その答えが、分からない。


(17) 西 2022/02/13(Sun) 16:44:55

【人】 ピアニスト イングラハム



  ***

   遡ること数年前。
   私にとっては数あるボランティア活動のひとつ、
   病院でのコンサートに出向いた時だ。

   「音楽は人の心を癒し、勇気を与える」と
   そんな両親の言葉を胸に臨む演奏は
   首輪を繋がれた犬のような息苦しさを覚えて。

   休憩と称した期間限定の逃避行の果てに
   私は
彼女
のいるその場所へ、辿り着いた。


(18) 西 2022/02/13(Sun) 16:46:38

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   いや、違う。
   本当は君をずっと探していたんだ。

   病院の中ですれ違った時の君の顔色が
   まるで春を迎えた白雪のように今にも溶けて
   どこかへと消えてしまいそうだったから。

   だから中庭で僕らが出会ったのは、必然さ。


(-1) 西 2022/02/13(Sun) 16:53:11

【人】 ピアニスト イングラハム



      「やぁ。こんにちは。」


(19) 西 2022/02/13(Sun) 16:55:39

【人】 ピアニスト イングラハム



   演奏者として恥じない礼装姿のまま
   先客にそう声をかけた。
それが始まり。


   彼女の反応なんてお構い無しな私は
   まだ子供のように無作法なままで
   彼女が何を思うかなんて知らずに。

    「本、好きなの?」

   そう言って手元の本に視線をやったりもした。


(20) 西 2022/02/13(Sun) 16:57:03

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   本当は君の指先を見てたんだ、なんて
   そんなことは口が裂けても言わないよ。
   詰め寄られたら分かんないけどね?


   なんで指先なんか見てたかって?
   それは、そう、綺麗だったから。それだけさ。*


(-2) 西 2022/02/13(Sun) 16:58:06

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



   その時は偶然だと思っていても
   後から思い返せばそれは必然だった。

   そうやって二人で笑い合えたら
   素敵だと思わない?

   
   
だからそうね、私たちの出会いはきっと必然。


  
(-6) alice0327 2022/02/13(Sun) 17:51:30

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



[ もう病衣姿で人に会うのも慣れたと
  私は思っていたのに。
  貴方の前だとなぜかそわそわしてしまうの。 ]


  
(-7) alice0327 2022/02/13(Sun) 17:53:07

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム


[ 名乗ったら貴方の名前もきけたかしら。
  まさか指先を見られていたとは
  思っていないけれど、
  もし、私の口元に視線が移るようなら。

  私の指、何かついてたかしらって
  たてていた指を二本に増やして
  あなたにピースサインを送ってみましょうか。 ]*
  
(-8) alice0327 2022/02/13(Sun) 17:55:34

【独】 ピアニスト イングラハム

/* 何この子めっちゃ可愛いんだけどなんで死んでしまうん???
(-10) 西 2022/02/13(Sun) 18:01:47

【人】 ピアニスト イングラハム



   病院が慈善活動の溜まり場にされたとして
   命懸けで戦う患者からすればいい迷惑だろうに。

   そんな承認欲求のために患者を利用する気分は
   当然、いいものとは到底思えない。

   だがまさか鍵盤の音色に隠れた私の顔色を
   見抜いてしまうような者がいたとは思わない。
   全く、不思議なこともあるものだ。>>22



(28) 西 2022/02/13(Sun) 18:33:33

【人】 ピアニスト イングラハム



 ***

   その出会いは、冷えた心には心地いい。
   いい天気だという彼女に同意を示し、
   隣へと腰かければ見えぬ物も見えてくる。

   太陽を知らぬ純白は外界との距離を感じさせ、
   その程度は知らずとも、病院にいる理由が
   私にもなんとなく分かる程だった。


(29) 西 2022/02/13(Sun) 18:34:04

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   何を着るかではなく誰が着るか
   男はそんなことしか見てはいないよ、と。

   いつか君に話す機会があって欲しいものだ。
   僕はそう...願わずにはいられない。


(-11) 西 2022/02/13(Sun) 18:34:56

【人】 ピアニスト イングラハム



    「退屈、か。」


   正直、驚きはしなかった。
   少し考えれば想像がつく話なのだから。
   それでもってこの事は
   周知の事実というわけでもないらしい。

   脳裏に浮かぶ「同情」の二文字は
   ぐっと脳の奥深くへと押しやった。



    「その本は僕も見た事がある。
     確か本屋でも最近見かけたやつだよね。」


   面白いの?そう聞かない理由は、
   彼女の言葉がその答えだ。>>26


(30) 西 2022/02/13(Sun) 18:36:46

【人】 ピアニスト イングラハム



   幸か不幸か、彼女を知らない私は
   彼女が造り上げたフィルターが効かない。
   本好きのアンネと聞いて首を傾げたのは
   言うまでもないこと。>>27



    「あぁ、ごめん。最初に名乗るべきだった。
     僕はエドワード・イングラハム。

               よろしくね、アンネ。」


   間違えていた順序を正すと
   私は彼女に倣うように自身の名を名乗る。


(31) 西 2022/02/13(Sun) 18:38:58

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   僕の意図を知ってか知らずか
   君の口元を向く僕に示されるは二本の指先。
   
   透き通るような真っ白なそれは
   僕にとっては魅了の対象であり
   同時に羨望の対象でもあった。

   いいピアニストは指先が綺麗だと
   僕はそう教えられてきたのだから。

   不思議そうにしているアンネに
   僕は小さくふふっと笑う。


(-12) 西 2022/02/13(Sun) 18:40:57

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   「今アンネが言ったことは秘密にするよ。>>27
    だから僕が君の指先が綺麗だって見惚れた事も


        他の人には内緒にしておいてくれる?」



(-13) 西 2022/02/13(Sun) 18:42:53

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   それでお相子だよね、って。

          君は納得してくれたかな?*


(-14) 西 2022/02/13(Sun) 18:43:36

【独】 ピアニスト イングラハム

/* 詰め寄られてないのに結局言ってんじゃねーか、ってなりそう。おっしゃる通りです...(((
(-15) 西 2022/02/13(Sun) 18:51:31

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム


***


[ 誰が着るかを見ているのが男だとしたら
  一秒でも可愛く、美しく見せたいのが女だと思う。
  
それが、気になる異性の前なら、なおの事。


  話す機会はあったんじゃないかしら。
  服を気にするそぶりを隠しきれるほど
  私は器用じゃないんだもの。 ]
  
(-17) alice0327 2022/02/13(Sun) 21:13:08

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム


[ 二本の指を示す時
  もしかしたら少しだけ前のめりになったかも。
  詰め寄っているつもりはなかったけれど
  もしそう見えたならそれはきっと
  貴方ともう少し話したいって思いが
  意図せずに溢れてしまったんだと思うの。 ]



   私の指に……?面白いこと、言うね。
   私は貴方の指も綺麗だと思うわよ。

  
(-18) alice0327 2022/02/13(Sun) 21:15:48

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



   そうね……内緒にする代わりに
   
私ともう少し、お話しましょう?



[ 小さくわらう貴方に向かって
  何処か子供のように悪戯に笑ってみせるの。
  本当は、貴方の秘密をばらすつもりなんてないし
  貴方が示した条件で十分お相子なのに
  さらに我儘を上乗せしてしまう。  ]

  
(-19) alice0327 2022/02/13(Sun) 21:16:23

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



   なんてね。
   安心して、これは私たちだけの
秘密。


  
[ 貴方の反応はどうだったかしら。
  いいよって即答でもされない限りは
  私は冗談だよって空気で
  我儘を誤魔化そうとするでしょうね。
  貴方の手を取って、
  自分の大きくない手で包み込みながら、
  秘密はこの手の中、って言わんばかりに。

  即答されたら?
  それなら勿論、喜んでお話するわ。
  普段何してるかとか、好きな物とかを
  貴方に聞いてみようとするはず。  ]**
  
(-20) alice0327 2022/02/13(Sun) 21:18:46

【人】 ピアニスト イングラハム



 ***

   分かるよ、と共感を示すべきか?
   生憎と消毒薬に満ちた病室の虚無感を
   私は知らなければ、知ることも無い。

   私が知っていることはただひとつ、
   共感こそ毒に他ならないことのみだ。>>32

   毒を毒に思わせない器用さがあれば
   少しはマシなことも言えたかもしれないが。



    「確か、恋愛小説だったっけ。
     僕も詳しくは知らないんだけどね。」


   表紙とタイトルからの予測だったから
   その辺はあまり自信がなく答えてしまった。

   それなら読んでみようかなって
   そう思う理由は、秘密だ。



(35) 西 2022/02/13(Sun) 22:27:23

【人】 ピアニスト イングラハム



   恐らく他者とアンネの間にとって
   本好きというのは演劇の役であって
   それでいて私とアンネの間に演目はない。
   笑うアンネの姿に尚更首が傾くばかり。

   それから思いついたように目を見開いて


    「せっかくだし、エドって呼んでもいいよ。
     僕と仲のいい人は皆そう呼ぶんだ。」


   彼女が私にアンネと呼ぶことを望むなら
   それと同等のことを望んでいたい。
   そんなわがままを伝えてみせただろう。


(36) 西 2022/02/13(Sun) 22:28:23

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   人は見たいように見、信じたいように信じる。
   だからきっと君は前のめりでいてくれたんだろう?
   僕がそれを望んでいたんだから。



    「これでも一応ピアニストだからさ。
     指が綺麗な人は、羨ましくてね。」


   そう本心を伝えて。
   自分の指を褒められれば意外そうに
   今度は自分の指先を見つめてしまう。

   もちろん光栄ではあったが
   君からそんな言葉を貰えるほどの
   自信はなかったからね。

   けれど付け加えられたわがままには
   僕は思わず目を丸くしてしまったんだ。


(-22) 西 2022/02/13(Sun) 22:31:10

【独】 ピアニスト イングラハム



   狡いな、君は。

      そう言いたくなる気持ち、わかるかい?

(-21) 西 2022/02/13(Sun) 22:31:32

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ




   「冗談にしてはタチが悪いな、全く。」


   掴み所がないその様子は僕の気を引くには
   充分すぎるほどのウェディングベール。

   悪戯な笑みを浮かべるアンネの姿に
   苦笑いを浮かべていた僕の表情は
   きっと明るいままだったはずだ。

   彼女の手に包まれる僕の手は
   不思議と熱を帯びていくような感覚がする。
   それはまるで、暗闇に火が灯るように。



(-23) 西 2022/02/13(Sun) 22:32:42

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ




   「じゃあ、僕の秘密をもっと明かしたら
    そしたらもっと...君と話していられるのかい?」


   
(-24) 西 2022/02/13(Sun) 22:33:27

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   上乗せされるわがままへの答えはイエス。
   仕返しだと悪戯な笑みを浮かべて
   彼女が振ってくれる話題に答え始めるのだ。

   と言っても普段やってる事は演奏ぐらいで
   好きな物が実はチョコレートだったりと
   話題性のなさに我ながら情けないと思うのだが。



(-25) 西 2022/02/13(Sun) 22:35:35

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   話し始めれば話題は無限に湧くが時間は有限だ。
   終わりは僕の逃避行が終わりを告げたと同時。

   「エド」と、こちらに手を振る両親に
   今行くよと答えれば、途端に名残惜しさが募る。

   しかし今度ばかりはわがままも言えずに
   アンネとはその日は別れることになったのだろう。


(-26) 西 2022/02/13(Sun) 22:36:45

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   しかし別れ際、君にだけわかるように重ねた手は
   両親に見えないように二人の身体で隠す。

   それからアンネの指先に自身の指先を合わせると



(-27) 西 2022/02/13(Sun) 22:38:59

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ




   「ねぇ。アンネ。
    君の為だけに、僕はまた病院ここへ来るよ。

    そしたら、今日の話の続きをしよう。」



(-28) 西 2022/02/13(Sun) 22:41:43

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ




   それは僕から再度重ねた、わがままだった。**


(-29) 西 2022/02/13(Sun) 22:42:19

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



   そうなのね。でも、綺麗な音を紡ぐのに
   必要なのは指の綺麗さより……
   心じゃないかしら?

   
心の内に眠るものを呼び覚まして

   
言葉にできないものを表現するのが音楽だ…

   なんて、これは前に読んだ本の
   受け売りなんだけどね?


[ 貴方が自分の指先を見つめるのにつられて
  同じ方を見る。あの時滑らかに動いてた指は
  綺麗だなって思っていたし
  今見ても、綺麗な指だと私は思う。

  私はピアノが弾けるわけではないから
  どちらかというと指の綺麗さと音は関係あるのか
  なんて純粋な疑問なの。
  勿論、怪我をした手で弾けるとは思わないから
  手を大切にするのは自然だと思うけれどね。 ]
 
(-33) alice0327 2022/02/14(Mon) 0:34:48

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



   ごめんなさい、
   でも、話していたいって思ったのは本当なの。


[ タチが悪いって言われたらほんの少し眉が下がって。
  でも、それも一瞬の事。
  だって貴方の顔は曇ってなかったもの。 ]

  
(-34) alice0327 2022/02/14(Mon) 0:35:23

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



   そうね、たくさんお話したいから
   貴方のこと、もっと聞かせて?

   

[ 我儘を叶えてもらえるなら
  貴方の仕返しなんて気にならない。
  嬉しくて笑みがこぼれるのを止められないの。

  普段やってることが演奏だと聞けば
  どんな曲弾くのかとかそれはそれで興味は尽きないし
  チョコレートが好きなら、今度一緒に食べたいとか。
  今度の約束なんてまだしてないのにそんなことを。

  手元にあった本の話も少ししたわ。>>35
  貴方は知らなさそうだったから
  簡単なあらすじを伝えて、
  興味があるなら読み終わったら貸そうか、
  って言ってみたりもしたのよ。 ]

 
(-35) alice0327 2022/02/14(Mon) 0:36:10

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



[ 楽しい時ほど時間がたつのはあっという間。
  逃避行だったとは知らない私だけど
  
呼ばれている人を引き止めることはできずに。

 
  その日はそれでお別れすることになるの。 ]

 
(-36) alice0327 2022/02/14(Mon) 0:36:42

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



  大丈夫だからって普段虚勢を張ってるから
  誰かを引き止めようなんて思わないのに
  今日ばかりは引き止めたいと思ってしまった。


  もっと、お話したいと思ったから。
  もっと、時を重ねたかったから。 
 

  
(-37) alice0327 2022/02/14(Mon) 0:37:22

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム


[  私にだけわかるように手が重なって
   自身の指先にエドの指先が重なる。

   時を重ねたいって私の思いが
   伝わっているみたいに思えて、
   白い頬に熱が集まるような感覚がした。 ]



   会いに来てくれるの?嬉しい。
   そしたら、貴方が来るまでにこの本、
   読み終わっておくから。借りにきて、ね?

   勿論、もっとお話もしましょう。


[ 花が咲くように微笑んで
  約束を交わして、彼をその日は見送ったの。 ]**
 
(-38) alice0327 2022/02/14(Mon) 0:38:28

【人】 ピアニスト イングラハム



   仲間入り。言い得て妙な話だ。>>37
   こちらの意図を丁寧に読み解く姿に
   私は驚きを隠すことが出来なくて。


    「そういうことになるね。
     正しくは、仲良くなりたいと思うくらい
     君に興味を惹かれてるってところかな。」


   そういう意味では仲良しの人よりも
   特別なのかもしれないね、と。
   楽しげに笑っているアンネに私は告げる。


(41) 西 2022/02/14(Mon) 3:02:01

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   指先の綺麗さを求めるのは手を怪我しない
   プロ意識を高めるための方便に過ぎず、
   真に求めるべきは心の有り様。

   君の口から毀れた感想は真理を突いている。
   それがたとえ受け売りに過ぎないとしても
   本来あるべき初心を指し示していた。

   君はそれも素人意見だと思うだろうか。>>22
   僕としてはどこかの阿呆に聞かせてあげたいくらい
   君のその言葉、好きなんだけどね。



(-39) 西 2022/02/14(Mon) 3:02:42

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ




    「それなら、もしアンネが演奏したら
     きっと素晴らしい音色が聴けそうだ。」


   君の言っていることは間違っていないよ、と。
   君に伝わることを願って、僕は再び笑う。
   一瞬だけ眉が下がった時には少し動揺したけど
   僕の真意はちゃんと伝わっていたみたいだから。
   何も心配なんてしちゃいない。


(-40) 西 2022/02/14(Mon) 3:04:19

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   「僕でよければもちろん。
    それに、君の事も聞かせて欲しい。」



   アンネはともかくとして
   僕には話せないという話題はないのだから
   聞かれれば素直に答えよう。

   何度かコンサートをやる機会があって
   都度、課題曲の練習をしていることや
   好きなチョコレートの話だってしてみせよう。

   流石にコンサート見に来てよ、とは
   この時には言えなかったけどね。
   今度の話をされるのは、悪い気がしなかった。



(-41) 西 2022/02/14(Mon) 3:05:49

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   本を読もうと思ったのは
   一冊の物語を通して、君と同じ世界を
   共有してみたいと思っていたからで。

   貸そうかと言ってくれた君には
   お願いしたいと僕も頭を下げただろう。



(-42) 西 2022/02/14(Mon) 3:09:37

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   そしたらさ。

   「この本、返しに来たよ」って。
   君に会いに来る理由がもうひとつ作れるだろう?



(-43) 西 2022/02/14(Mon) 3:10:21

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   そんな言葉にしない願いを込めても
   過ぎ行く時間は憂うことしかできず
   取り戻すことは出来ないから。

   今の僕に出来るのは未来の話だけ。
   未来の提案を受け入れられれば
   花に誘われる蝶のように頬は緩んで。


    「あぁ、約束だ。」



   別れ際に約束の証として
   小指を差し出して見せたのだった。

   
(-45) 西 2022/02/14(Mon) 3:12:38

【独】 ピアニスト イングラハム




   見舞いを気取って
   僕は君に会う時間を増やしていく。

   君のふわりと柔らかな笑顔を
   僕はずっと傍で見ていたかったから。

   気づけば僕の頭の中は君でいっぱいで。
   重ねられた時は、
幸せ
と呼ぶに相応しい。



(-44) 西 2022/02/14(Mon) 3:20:09

【独】 ピアニスト イングラハム




   いつしか僕は、君を好きになっていたんだ。


                   アンネロズ。




(-46) 西 2022/02/14(Mon) 3:22:51

【人】 ピアニスト イングラハム



 ***

   私が彼女に会いに行った回数など
   両手両足の指を足しても及ばない。

   彼女の両親に会うことがあったのなら
   プロの演奏家らしく礼儀正しく振舞っただろう。


   しかし彼女の前とあっては私も流石に気が緩む。
   見舞いに来る度に彼女に何を話そうか
   次第に考えることが楽しみになっていた。

   
(42) 西 2022/02/14(Mon) 4:36:12

【人】 ピアニスト イングラハム



   いつの日だったか。
   お見舞いにと持ってきていた果物を
   冷蔵庫へとしまおうとした時に
   私はそのチョコレートを見つけた。

   「これは?」と尋ねてみれば
   どこか得意げにチョコを準備するアンネがいて
   私は嬉しさのあまり思わず笑ってしまったのは
   今でも記憶に新しい。


(43) 西 2022/02/14(Mon) 4:38:50

【人】 ピアニスト イングラハム



   「ふふ、僕のためにか。
    それなら今度から紅茶を持ってこよう。
    アンネが紅茶が苦手なら他のお茶でもいい。」


   優しさと気遣いに何も添える物がないのは
   すこしばかり寂しい気もするからと
   その日を境に見舞いは小さなお茶会へと変わる。


(44) 西 2022/02/14(Mon) 4:40:34

【人】 ピアニスト イングラハム



   重ねられるお茶会の時間。
   アンネが楽しそうに聞いてくれるから
   最初はほとんど私の話ばかりだった。

   もちろん彼女の事を聞こうとしていても
   なんだかんだで自分の話をして時間切れだ。


   またいつものように迎えてくれるアンネに
   私は微笑みかけて、あの時の本の話を始めると
   読み終わったと彼女が言っていたものだから。


(45) 西 2022/02/14(Mon) 4:41:55

【人】 ピアニスト イングラハム



   「本の見所を聞いてもいいかい?
    本の内容は流石に聞けないけど...

    君がどんな場面が好きだったか、
    君が見たままで聞いてみたいんだ。」


   本を読む前に聞くのはタブーだったかな、と
   アンネのリアクション次第では今のは無しと
   取り下げることになるだろうが。

   頭にチラつくのは病気のこと
   だかその話題は繊細なもので
   こちらから聞くことは、本来許されない。



(46) 西 2022/02/14(Mon) 4:42:21

【人】 ピアニスト イングラハム



   好きな食べ物のことなど
   アンネに聞かれたことはお返しにと
   聞き返すことがほとんどだった。

   後は...そうだね。
   どんな演奏を聞いてみたい?とか
   どんな場所に行ってみたい?とか

   話はどんどん病院の外のことへと
   渡り歩いていくことになっただろう。


(47) 西 2022/02/14(Mon) 4:43:48

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   「僕は、君の病気の辛さを知らない。
    もしかしたら外の話なんて
    聞きたくないかもしれない。

    けれど何処かに行く度に、何かを得る度に
    すぐに君に話をしたくなってしまうんだ。

    もしもアンネと一緒ならと想うと
    いてもたってもいられなくてね。」



(-47) 西 2022/02/14(Mon) 4:47:25

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   言い訳のように並べた句。
   それがもしも君の気分を害したとしたら
   その時は静かに頭を下げることになる。*



(-48) 西 2022/02/14(Mon) 4:49:03

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



   私が……?
   もしピアノを弾くなら貴方に教わりたいわ。

   
そうしたら、もっと素敵な音色になると思うの。



[ 奏者じゃない人が分かったように言うなんて、とか
  気を悪くさせてしまったらとも思ったけれど
  それは杞憂だったみたいね。
  間違っていないと伝えてくれる貴方に笑いかけた。
  貴方の意図が私に伝わったように
  私の意図もきっと貴方に伝わっている。
           
そうならいいな、と思うの。 ]

  
(-50) alice0327 2022/02/14(Mon) 11:02:53

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



   ふふ、嬉しい。
   私の事ももちろん話すわ。
   病院ではあんまり変わったことは起きないから
   思い出話が多くなりそうだけど。


[ 練習、頑張っているのね、とか
  私もそのチョコレート好き、とか
  傍から見たら他愛ない話だったかもしれない。
  でも、私たちにとってはとても楽しい時間。

  貴方の練習の話を聞いたら尚更
  コンサートに行きたいと思ったけれど
  外出できるか分からない状態では言えなくて。 ]


 
(-51) alice0327 2022/02/14(Mon) 11:03:31

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



   頭を下げられたら快くいいよって言ったの。

   貸そうか、って言った理由はね。
   貴方なら返しに来てくれると思ったから。


  
(-52) alice0327 2022/02/14(Mon) 11:04:19

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



   そうしたら。
   「感想、聞かせて?」って
   貴方とお話する話題がまた一つ増やせるでしょう?


  
(-53) alice0327 2022/02/14(Mon) 11:04:54

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



[ 言葉にしなくても互いの願いは同じだから。
  未来に向けた約束が二人を繋ぐなら
  過ぎた時間を憂うこともないわよね。 ]


   
約束ね。また会いましょう。



[ 差し出された小指に小指を絡めて。
  また来てくれるって約束を疑うことのない私は
  さよならは言わなかった。 ]

  
(-54) alice0327 2022/02/14(Mon) 11:05:37

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



[ 
死ぬかもしれない人と仲良くなりたい人が

  
何処にいるというの?


  決意ある別れなんてそう簡単に出来はしない。>>n1
  別れの可能性がちらつく中で会うよりも
  何も知らないまま、楽しい時間を過ごしてほしかった。

  それがより貴方を苦しめるかもしれないと。
  来るかもしれない別れに私が向き合えていたなら
  想像も出来たかもしれないのにね。 ]


  
(-55) alice0327 2022/02/14(Mon) 11:13:19

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



   貴方の話はいつでも楽しいわ。
   私はあまり外に出られないから
   知る機会をくれるエドに感謝しているのよ。

   それに、そうやって私に話してくれる
   エドの顔を見ていると私も楽しくなるの。

   だから、もっとたくさん話して、ね?


  
(-56) alice0327 2022/02/14(Mon) 11:14:46

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



[ きっと気を遣ってくれたんだと思うから
  気にしないで話してほしくて
  偽りない心を貴方に見せる。

  ここで病気は辛くないと強がれたなら
  もう少し安心させられたのかしら。 ]*


  
(-57) alice0327 2022/02/14(Mon) 11:15:30

【人】 ピアニスト イングラハム


 ***

   彼女の両親の前でやけに緊張したのは
   はて、何故だったんだか。

 
   好意的に接してくれる彼女の両親の言葉は
   迷惑かという私の懸念を打ち消してくれた。
   なんとなく血の繋がりを感じたりもして、>>49
   不思議とあの日食べたチョコレートに
   心満たされたことも記憶に在った。
 

(57) 西 2022/02/14(Mon) 23:40:15

【人】 ピアニスト イングラハム


 

    「アップルティーか。よし、覚えた。
     楽しみにしていて欲しい。」
 

   彼女の好みをまた一つ知るその裏で>>51
   今にして思えば「今度」なんて無粋かと
   そんな不安があったりもしたものだ。
 
 
(58) 西 2022/02/14(Mon) 23:41:05

【人】 ピアニスト イングラハム



   重ねられるお茶会の時間の最中
   語られる本の見所に私は耳を傾ける。
   核心に触れずに見所を教えてほしいなんて
   我ながらとんでもないわがままだとは思う。>>54


   答えてもらえば考えるように指先を顎に当てて
 
 
    「強い心、か。
     我の強ゆえの優しさなんだとしたら
     二人は最後に幸せになりそうだね。」
  
  
   そんな感想の口にすることになるだろう。
 
 
(59) 西 2022/02/14(Mon) 23:43:26

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ




   それだけ強い興味を持って聞いてしまったから
   本当は聞き流してしまえばいいことだったのに
   その一字一句を正確に聞き取れてしまった。
 
 
        そしてそれを口にしてしまうのは、
         大人になりきれない僕の甘さのせい。



(-59) 西 2022/02/14(Mon) 23:46:37

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ

  
 
    「強くなくてもいいんだよ。
     僕だって、君と同じだから。
     強い心を持つ人なんて、そうはいない。」



(-60) 西 2022/02/14(Mon) 23:47:52

【人】 ピアニスト イングラハム



   そう呟くとすぐにはっとして。
 
 
    「ごめん、知ったようなこと言って。
     気にすることじゃないって言いたかったんだ。
       .......この本、読んだらちゃんと返すから。」
 
 
   誤魔化すように笑って彼女から本を受け取ると。
   いつか求めた未来の予定を口にすることになった。


(60) 西 2022/02/14(Mon) 23:49:17

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   幸せな時間の中で交わされた密約。
   決して踏み越えてはならない線引きは
   奇しくも君の思惑を綺麗になぞっていた。

   それでも次第に大きくなっていくのは
   病気のことを聞きたくなる気持ち

   幼い僕は君がどれだけ重い病気か知らずに
   一緒に背負いたいなんて青臭いことを
   ずっと考えてしまっていたんだ。



(-61) 西 2022/02/14(Mon) 23:50:42

【人】 ピアニスト イングラハム



   ありきたりな答えであっても
   私にとってはダイヤのように貴重な資源
   期待はずれなどありえない。>>56

   しかし彼女の考えていた通り
   「貴方の演奏」と言われれば戸惑いを
   隠さずにはいれられなかったのも事実。


   イメージが浮かばずに困っていると
   その答えを彼女はくれる。
   それは私にとっては理想の演奏の形で
   それもまた彼女に惹かれた理由だ。


(61) 西 2022/02/14(Mon) 23:52:18

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   君が話してくれた夢を
   僕に叶えることが出来るのだろうか

   そんな不安すら僕は跳ね除けてしまうほど
   君の笑顔を見ていたくなってしまう。
   それが結局気休めでしか無かったとしても

   それでも僕は耐えきれずに。

(-62) 西 2022/02/14(Mon) 23:54:56

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ




   「それならいつか、海に行こう。
    僕の演奏だって何度でも聴かせる。

    いつになるか分からなくても
    こうして話をするだけじゃなくて
    
    君の行きたい場所に僕が連れていくよ。」



   
(-63) 西 2022/02/14(Mon) 23:56:25

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   気づけば僕は君の手を握って
   じっと見つめてみせただろう。

   君がもっと笑っている顔が見たくて。
   僕は一番やってはいけない約束を、してしまった。
**


(-64) 西 2022/02/14(Mon) 23:58:00

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム


 ***


[ 余計なことを言ってしまったと自分でも思う。
  言わなければいい事だったのに。

  貴方が私の話を熱心に聞いてくれる人なのは
  わかっていた、はずだったのに。

  きっと貴方の前では出来るだけ心を偽りたくない
  そんな気持ちが、言葉を溢れさせてしまうのね。


           
少しでも隠し事の罪悪感を

            
減らそうとするかのよう。 ]

  
  
(-69) alice0327 2022/02/15(Tue) 2:10:31

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム




   
エドも、同じ……?



  
(-70) alice0327 2022/02/15(Tue) 2:10:56

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



[ 幸せな時間を過ごす中で
  貴方が一度も病気のことを気にしていないと
  思っていたわけではないのよ。
  むしろ、気にしている可能性があることは
  漠然とではあるけれどわかっていた。


  いいえ、わかってるつもりだっただけなのかもね。
  貴方が背負いたいと思ってくれていることまでは
  気づきもせず、私は隠し続けていたの。 ]


  
(-71) alice0327 2022/02/15(Tue) 2:13:11

【秘】 愚者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム




   
貴方の気持ちを無碍にして。


           
アンネは愚か者だわ。
 

  
 
(-72) alice0327 2022/02/15(Tue) 2:14:57

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム




   
わがままを言うのなら


           
私一人のために。



  
(-73) alice0327 2022/02/15(Tue) 2:16:44

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



[ そんな我儘は伝えなかった。
  でも、私は貴方の予想外の返答に
  思わず言葉を詰まらせてしまうの。 ]



   
……っ、エド…………。


   
  
(-74) alice0327 2022/02/15(Tue) 2:18:35

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



[ 本当?って聞き返しそうになったけど
  ぐっとこらえたのは、
  手に伝わる貴方の温もりと
  交わる視線が、嘘じゃないと伝えていたから。

  自分でもわかるくらい頬が紅潮して
  あんまりにも嬉しかったから、
  思わず泣きそうになってしまったわ。 ]


  
(-75) alice0327 2022/02/15(Tue) 2:19:05

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



   
ありがとう、エド。


       
( そんな貴方のことが
――――
。 )


  
(-76) alice0327 2022/02/15(Tue) 2:20:15

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



[ 芽生えつつある……もうとっくに芽生えていた
  気持ちに、名前を付けるのは簡単だけど
  それは出来なかった。名前をつけてしまえば
  私はきっと、死を今よりも怖がるから。


  だから私は少し潤んだ瞳でお礼だけを告げて。
  貴方が見たいと願ってくれた笑顔を見せたのよ。 ]**

  
(-77) alice0327 2022/02/15(Tue) 2:21:01

【人】 ピアニスト イングラハム



 ***

   私の言った意味を知ってか知らずか
   呆気に取られたような彼女の表情は
   少しばかり怖くも思える。

   引いた国境を踏み越えるような不安は
   相手を想えば想う程花瓶になるのだから。



    「それなら良かった。
     あぁ、必ず、返しに来るよ。」


   必ず、と口にしたからには返しに来るのも
   当然早くなるもので。余す時間の全てを
   読書に注いだのは言うまでもないこと。


(66) 西 2022/02/15(Tue) 8:25:24

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   恋愛小説なんて本当は好きじゃない。
   悲観と妄想に満ちた男女の物語なんて
   僕の心を掴みはしなかったから。

   けれど、この本を通して見る景色は
   君と出会わなければ知ることもなかった。
   君を通して見る景色は、美しかった。


   自分の為だからと迷わず行動を起こす姿に
   僕は影響を受けてしまったのかもしれない。>>53

   それでもなおこの国境を越えない臆病者。
   それがエドワード・イングラハムであり
   僕が弱者たる絶対的な所以でもあったんだ。




(-78) 西 2022/02/15(Tue) 8:27:34

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ




     どうか安心して欲しい。

        愚か者はここにも一人いる。

           君は...独りじゃないから。




(-79) 西 2022/02/15(Tue) 8:28:38

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



      弱者の声にならない主張など
      壁の向こう側にいる君に届くはずもなく。**



(-80) 西 2022/02/15(Tue) 8:29:28

【人】 ピアニスト イングラハム



 ***

   君一人のためだけに僕の音色を届けましょう。

   そんな想いは運命の因果を掛け合わせて
   結果、彼女の優しさに甘える形に収まる。

   叶うかも分からない約束を交わせば
   それは私自身の生きる糧ともなっていった。

   課題にも観衆にも民俗にも縛られない
   そんな自由を彼女の為に使えるのなら...。


      未来を夢見ていたのは、お相子というわけだ。

      

(67) 西 2022/02/15(Tue) 8:32:04

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   表情に出ようとも出なかろうとも
   病室に漂う空気が君の涙を予言する。
   僕はといえば心配になってつい君の
   様子を伺うことにするのだが、

   告げられた感謝の言葉に
   杞憂であることを教えられて。


    「あぁ、楽しみにしていてくれ。」


   君の涙ぐむ笑顔につられるように
   僕も小さく微笑んで、決意を固めてみせただろう。


(-81) 西 2022/02/15(Tue) 8:33:15

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



     愚か者の抱いた決意が

          過ちだったとも知らずに。>>n1**



(-82) 西 2022/02/15(Tue) 8:35:56

【人】 ピアニスト イングラハム



 ***

   彼女の助けになろうと躍起になったものの
   実際、私は私で彼女に救われた。

   それは譜面に音符のインクが滴るように
   彼女との約束は私の演奏への意欲を
   この上ないほどに高めてくれていたから。

   両親がからかうように
   「何かいいことでもあった?」などと言うので
   やめてくれと不満を顕にすることもあったが。



(68) 西 2022/02/15(Tue) 8:55:32

【人】 ピアニスト イングラハム



   新たに予定表に書き込まれる日課
   学校と演奏の練習以外には何よりも優先される
   病院への見舞いというイベント。

   それまではアンネが病室から出られる日がある
   なんて思ってもみなかったから。
   アンネからそれを聞いた時は分かりやすく
   喜びの表情を浮かべることになっただろう。>>64

   受付で看護婦が微笑ましげに
   ニヤついていた理由が、その時初めて分かった。



(69) 西 2022/02/15(Tue) 8:56:12

【人】 ピアニスト イングラハム




   「本当か!?」


   外出の許可が降りたということは
   回復も近いのだと私は勝手に解釈して
   病室には相応しくないくらい声を張り上げる。

   それからこほんと咳払いをして
   頑張ったんだね、などとアンネを労うと


   「なら、その日は必ず予定を空けるよ。
    僕にとっては君が一番大事だから。」


   そう、意気込んでみせるのだった。
   その心臓の奥底に、大きな決意を秘めて。



(70) 西 2022/02/15(Tue) 8:57:48

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   演奏を聴かせようと、海へ行こうと、決めたあの日

   僕の秘めた想いも、決意も
   その全てを明かそうと思っていたんだ。
   君と一緒にいたいと、心からそう思ったから。



(-85) 西 2022/02/15(Tue) 8:58:43

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   アンネロズ。

   ずっと、僕の傍にいてくれないか。
   君の病気のことも、一緒に背負わせて欲しい。


             僕は.........君の事が────



(-86) 西 2022/02/15(Tue) 8:59:50

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ




   それは、二度と消えることの無い傷跡後悔**




(-87) 西 2022/02/15(Tue) 9:00:42

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



[ この本を読んでいて良かったって。
  本好きのアンネはただの役に過ぎなかったのに
  貴方と何かを共有できるならそれは素敵なことだし
  本を読むのもいいものだって思えたわ。


               
これは貴方のおかげね。


  貴方と共有することで、
  一人で読んだ時には恐らく
  強くは感じなかったはずの気持ち……
   ハッピーエンドへの羨望 
            を抱いてしまったけれど。 ]

  
  
(-88) alice0327 2022/02/15(Tue) 12:12:54

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム




   貴方と私も物語みたいに……なんて
   そんな風に思ったことだけは、言わなかった。**



  
(-89) alice0327 2022/02/15(Tue) 12:13:43

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム


 ***


[ 貴方の小さな微笑みを見て
  ただただ、幸せだな、って思っていた。
  この幸せな時間が、ずっとずっと続いてほしい。

  
貴方の隣でずっと微笑んでいたい。


  心に秘めた想いを音にはしなかったけれど
  私は握ってくれていた貴方の手をとって
  自分の頬へと引き寄せると
  あたたかさを確かめるかのように
  
いとおしさを表現するかのように

   
            
頬擦りして、微笑った。 ]


  
(-90) alice0327 2022/02/15(Tue) 12:16:06

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム




     
音にしなかった過ちを


          
後悔したときには遅かった。 **



  
(-91) alice0327 2022/02/15(Tue) 12:16:46

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



[ 貴方に報告する私はきっと嬉しそうにしてたはず。
  そうして二人で予定を決めた。
  私はとても楽しみだったの。

  貴方の演奏を聴けることも
  海へ行けることだって。


  
何より、貴方と病院の外で会えることが。
 


  
(-92) alice0327 2022/02/15(Tue) 12:22:22

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



   その日は私も普通の女の子になれる。
   そう、夢を見ていたの。

   病気なんて忘れて、好きな場所へ行ける
   ただのアンネロズになれるって。

   貴方の傍に居られるって、思っていた。


   きっとその日なら、病気のことを聞かれても
   私は答えたんだと思うの。
   貴方の決意を、聞くことが叶っていたなら…。

  
  
(-93) alice0327 2022/02/15(Tue) 12:23:09

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



[ 本当に楽しみにしていたのに。
  二人にとって大切な約束が
  貴方に消えない傷をつける結果になるなんて。 ]**


  
(-94) alice0327 2022/02/15(Tue) 12:23:37

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



[ でも、見られてしまったのなら
  どう思っているのか、聞きたくなるでしょう…?

  だから私は、置いてあったリボンを結んでから
  貴方の前に行って、少し裾をつまんで見せて。 ]


    
ねぇ、エド。


          
この服、可愛いでしょう?



[ そんな風に笑いかけたの。
  
似合ってるって思ってくれていたらいいな。 ]*


 
(-95) alice0327 2022/02/15(Tue) 12:27:08

【人】 ピアニスト イングラハム



 ***

   あの日は確かたまたま近くで公演があって
   せっかくだからと病院に足を運んでいた。
   観客から頂いたフルーツのおすそ分けという
   我ながら取ってつけたような理由を添えて。


   とはいえ急な来客だったものだから
   迷惑でないか、と病院の看護婦に
   再三確認を取ったわけで。

   とんとん、というノックと共に
   彼女が許可をくれれば病室にその顔を
   覗かせるのだったが。>>74

   私が驚きのあまり口をポカンと空けたその顔は
   まさにマヌケと呼べるような情けないものだった。


(76) 西 2022/02/15(Tue) 21:27:27

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   目に映るのは、普段とは違う君の服装。
   頭で分かっていたことだったのに

   君が普通の女の子だってことを改めて実感すれば
   込み上げるものだって当然あるんだ。



(-97) 西 2022/02/15(Tue) 21:27:54

【人】 ピアニスト イングラハム



   サプライズドッキリにしては
   あまりにも空気が読めてなかったらしい。

   アンネがどうして不服げなのか
   すぐに察した私はというと


    「あ、いや、ご、ごめん。
     一言連絡をするべきだった。

        その......僕は、間が悪いな。



   思わず頭を下げると慌てて病室の外へと
   出ようとする。

   しかし目を逸らすアンネを前にして
   そのままトンズラをこくという訳にもいかず
   ただ反省の色を浮かべることしか出来なかった。


(77) 西 2022/02/15(Tue) 21:29:02

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   逸らされた目がだんだんと泳ぎ始めて。
   醸す不服は段々と興味へ、その香りを変える。

   僕が君に何を想うかなんて
   そんなの決まっているのに。


   それは覗き見てしまった代金なのか
   感想を求められた僕は頬を染めて。


    「えっも...その服は、僕の...ために...?」



   自惚れを承知の上で、尋ねてしまう。
   もしも君の答えがYESなら
   僕はさらに手で顔を覆い隠すところだ。


(-98) 西 2022/02/15(Tue) 21:29:59

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ




   「あぁ...よく、似合ってると思う。

        こう言ったらなんだけど...
        凄く、ドキッとさせられたよ。」



(-99) 西 2022/02/15(Tue) 21:31:10

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   そう感想を告げた僕はと言えば
   その日は終始頬を染めていたものだから。

   病室にやってきた看護婦にからかい気味に
   微笑みを向けられてしまったわけだ。**


(-100) 西 2022/02/15(Tue) 21:32:36

【人】 ピアニスト イングラハム



 ***

   アンネとの約束の日。
   私は朝から落ち着かない気持ちでいた。

   演奏の練習も全てキャンセルして
   彼女に会うためだけに身嗜みに普段以上に
   気を遣ってみせたりもして。
   彼女の可愛らしい姿を思い出して
   少しでもそれに釣り合うようになりたかったから。


   この後何を予定しているかは
   傍から見ればすぐに分かってしまうほど
   私はずっと浮き足立っていた。
   まるで、何も知らない呑気な子供のように。


(78) 西 2022/02/15(Tue) 21:34:03

【人】 ピアニスト イングラハム



   病院から一番近いところにある海
   付近の公民館をわざわざ無理を言って借りて
   夢を叶えようとこの日の準備を重ねてきた。

   彼女はどう喜んでくれるだろうか。
   そんな期待に胸をふくらませて。

   私は病院へと向かって歩き始める。
   「お昼頃にそっちへ迎えに行くよ」と
   そんな連絡をひとつ残して。

   私は彼女に、会いに行くのだった。*


(79) 西 2022/02/15(Tue) 21:35:14

【独】 ピアニスト イングラハム

/* 死にたいです(誤字)
(-101) 西 2022/02/15(Tue) 22:11:05

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



[ 普段病衣ばかり見せていたから。
  私だって、気にしていたのよ。
  
  
可愛いって、思われたいから……。


  頬を染めた貴方から自分のためなのかって
  問いが返ってくれば、ふふっと笑って。  ]

  
   
そうよ、貴方と出かけるときのために。

   

[ 自惚れなんかじゃないわ。
  貴方の前では可愛い女の子でいたい。

  手で顔を覆い隠している貴方を見ると
  私まで、頬が赤くなっていくの。
  
だって、恥ずかしいじゃない……。 ]

  
 
(-102) alice0327 2022/02/15(Tue) 23:17:56

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



   それなら、たくさん悩んだ甲斐があったわ。

          貴方に、喜んでほしかったの。


  
(-103) alice0327 2022/02/15(Tue) 23:18:37

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



[ そのあとは、その服を着たまま、
  いつものようにお茶会を始めたはず。

  ずっと頬を染めている貴方が珍しくて
  いつもより貴方の事を見つめてしまっていたから
  看護婦さんが微笑んでいたのには気づかなかった。


  似合ってるって言ってもらえたことを
  心の中で反芻しては終始笑顔で過ごしたの。 ]**

  
(-104) alice0327 2022/02/15(Tue) 23:19:18

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム




    
エド……、 ―――――。



  
(-105) alice0327 2022/02/15(Tue) 23:24:00

【秘】 患者 アンネロズ → ピアニスト イングラハム



 
[ 例えば。 ]




        
抱きしめて




          [ って。
            言えばきっと叶ったのに。 ]


  
(-106) alice0327 2022/02/15(Tue) 23:27:07

【人】 ピアニスト イングラハム



   部屋を後にして数分。

   誰もいない部屋の隅の棚
   飾っていたピアノの写真が
   棚から落ちて砕け散った。

   砕け散るガラス片が何の予兆なのか
   私は取り返しがつかなくなった頃に思い知る。

   それが全ての終わり。

   
(92) 西 2022/02/16(Wed) 2:19:25

【人】 ピアニスト イングラハム



    そして二度と、始まる事などない。



(93) 西 2022/02/16(Wed) 2:20:18

【人】 ピアニスト イングラハム



 ***

   病院に辿り着けばもう一度アンネに連絡を送る。
   この前は急で驚かせてしまったから
   今度はそうならないようにと気をつけた結果だ。

   しかし、送った連絡に返事が来ることはなく。
   私は少しだけ心配になりながら院内へと
   その足を踏み入れることとなった。


(94) 西 2022/02/16(Wed) 2:21:01

【人】 ピアニスト イングラハム



   やけに重苦しい空気が満ちる。
   汗を垂らし走り回る医者に
   まるでお通夜のように顔を淀ませる看護婦


   穏やかな空気じゃないのは確かだ
   それはまるで、誰かが亡くなったかのようで。
   けれどそれが誰なのか、私には見当もつかずに。



(95) 西 2022/02/16(Wed) 2:21:43

【人】 ピアニスト イングラハム



    「えっと、すみません。
     アンネロズさんと面会を
     お願いしたいんですが......。」


   そう受付の看護婦にいつものように声をかける。
   けれど看護婦はいつものようには答えてくれず
   何かを隠すように口ごもっていて。

   その理由を知った時、私は息を飲んでしまった。


(96) 西 2022/02/16(Wed) 2:22:22

【人】 ピアニスト イングラハム




       え───────。



(97) 西 2022/02/16(Wed) 2:22:53

【人】 ピアニスト イングラハム



   本当の絶望を目の前にすると
   人は怯えることすら出来ないのだと
   私は最悪の形で学びを得る。

   アンネの訃報の引き換えに得たのは
   知りたくもない人間の真理と、消えない傷。


   けれど、彼女はそんなこと一言も言ってなかった。
   いつか自分が死ぬかもしれないなんて
   彼女は一言だって言ってはいなかったはずなのに。

   彼女はきっと、回復の途中だと思っていたのに。


(98) 西 2022/02/16(Wed) 2:23:48

【人】 ピアニスト イングラハム




     「なん、で.........。」



(99) 西 2022/02/16(Wed) 2:24:27

【人】 ピアニスト イングラハム



   現実を受け入れられなくて怒るのでも
   現実を受け入れて哀しむのでもなく

   まだこれが現実だという自覚すら持たず。
   私はただ鉛のように重い身体を引きずって
   彼女がいつも出迎えてくれた病室を目指した。



(100) 西 2022/02/16(Wed) 2:25:17

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ




   そうだ。こんなの、悪い冗談だ。


         あの病室にはきっとアンネがいて。


   またいつものように僕は出迎えてくれる。


         用意してくれた可愛らしい服を着て


   僕と外に出ることを待ち侘びてくれている。


         そうに、そうに、決まってるんだ。




(-111) 西 2022/02/16(Wed) 2:26:19

【人】 ピアニスト イングラハム




     しかし事実は残酷で。
     私の眼前に飛び込んできたのは

               アンネの、亡骸だった。



(101) 西 2022/02/16(Wed) 2:27:46

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ




    世界でたった一人だけの

        僕が愛した人の、亡骸だった。



(-112) 西 2022/02/16(Wed) 2:29:13

【人】 ピアニスト イングラハム



   くらりと意識が飛びそうになる。
   血管が悲鳴をあげるように
   血液までパニックを起こしかけた身体を
   無理矢理奮い立たせると
   病室にいた者たちの視線が私へと集まって

   私に気づいた彼女の両親が
   その全てを、教えてくれた。>>90


   こちらへ謝罪をする彼女の両親は
   私よりも深く哀しむことになるのだろうに

   最後まで他者を気遣うその心に
   私は彼女の面影を辿らずにはいられない。



(102) 西 2022/02/16(Wed) 2:30:27

【人】 ピアニスト イングラハム



   今ここで泣き叫ぶことだって出来た。
   それをしなかったのは
人徳者彼女の両親
の前で
   私がそんなことをするわけはいかないからで

   そんな私に追い討ちをかけるように
   忘れていい。>>91
そんな言葉が心臓を抉る。

   彼女の両親の気遣いだということは
   痛いほど伝わってきた。

   それに憤る資格など私にはないということも
   十分に分かっていた。


(103) 西 2022/02/16(Wed) 2:31:43

【人】 ピアニスト イングラハム




   「すみません。少しだけ...
    彼女と二人にさせてもらえませんか。

    彼女に...ちゃんと別れを、告げたいんです。」


(104) 西 2022/02/16(Wed) 2:32:18

【人】 ピアニスト イングラハム



   赤の他人の私が言えたことではない
   しかしこれまでの事を好意的に見てくれた
   彼女の両親は私の願いを聞き入れてくれて


   部屋に残ったのは
   取り残されてしまった私と
   逝ってしまったアンネの亡骸だけとなった。


(105) 西 2022/02/16(Wed) 2:32:54

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   二人きりになった病室。
   君がいつも用意してくれた椅子に座り
   僕は冷たくなった君を見つめる。

   涙なんて、流さないよ。
   君に余計な心配をかけたくないからさ。


   麻痺すら覚える意識を振り絞り
   僕は震えた声で彼女に語りかけた。


(-113) 西 2022/02/16(Wed) 2:47:16

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   「ねぇ、アンネ。

    今日はさ、海に行こうとしていたよね。
    今の季節はあんまり人がいないからさ。

    外に慣れない君も安心して楽しめるかなって
    そんなふうに考えてたんだ。

    それに、君のために練習した曲を
    君に披露するのも楽しみだったんだ。
    失敗するかもしれないって不安だったけど
    君の前なら笑って許してくれるかもって
    不思議と緊張も無くなっていた。

    本当に僕は、君の事ばかり考えていたんだ。」


(-114) 西 2022/02/16(Wed) 2:48:41

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



      ─────────



(-115) 西 2022/02/16(Wed) 2:49:50

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   「僕は...君に謝らないといけない。

    僕が君の事を...君の病気の事を
    怖がらずに聞いていればよかったのに。

    僕のせいで、君に一番大切な事が言えなくて
    一番大事な時に、傍にいられなかった。」



(-116) 西 2022/02/16(Wed) 2:50:41

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   「信じてもらえないかもしれないけどさ。

    僕は......君が好きだったんだ。
    君が好きで、誰よりも大切で。

    僕はずっと、君に傍にいてほしいと
    そう思っていたんだ。」


(-117) 西 2022/02/16(Wed) 2:51:41

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ




      ─────────



(-118) 西 2022/02/16(Wed) 2:52:25

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



    「ごめんね。こんな僕で.....本当に...。」
    
(-119) 西 2022/02/16(Wed) 2:54:10

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



    静寂の病室。

        僕は永眠る君に誓いの口付けを重ねる。



(-120) 西 2022/02/16(Wed) 2:55:59

【秘】 イングラハム → 患者 アンネロズ




    大丈夫、僕は泣いてないよ。

    君を失ってしまった哀しみが
    少し目に染みてしまっただけなんだ。**




(-121) 西 2022/02/16(Wed) 2:57:48

【人】 イングラハム



 ***

   アンネに別れを告げて病室を出ると
   外で待っていてくれた彼女の両親に


    「ありがとうございました。 」


   そう深々と礼をして私はその場を後にする。
   向かう先は病院の玄関出口...ではなく
   誰も通らないような外付けの非常階段で。


(106) 西 2022/02/16(Wed) 3:31:25

【人】 イングラハム




    私はコンクリートの壁を


          己の握り拳で殴りつけた。



(107) 西 2022/02/16(Wed) 3:32:45

【人】 イングラハム




   なにが『約束』だ。


   なにが『強くなくてもいい』だ。


   なにが『一緒に背負いたい』だ。


   なにが『僕が連れていく』だ。



(108) 西 2022/02/16(Wed) 3:34:10

【人】 イングラハム



   自惚れるな、惚れた女一人守れぬクズが。

   お前に出来ることなど何もない。



(109) 西 2022/02/16(Wed) 3:35:06

【人】 イングラハム



   アンネロズを失った痛みが魂を引き裂く。
   壁へとぶつかる怒りの数だけ
   引き裂かれた魂が更にバラバラに崩れていく。

   粉々に砕け散る魂が今更どの面を下げて
   彼女を愛しているなどと言えようものか。



(110) 西 2022/02/16(Wed) 3:38:25

【人】 イングラハム



   ゴン、ゴン、と不細工な音を奏でる度に
   耐えかねた拳からは流血が零れ落ちていく。

   あぁ、痛くない。痛くないよ。
   君が背負った痛みや、君を失った痛みに比べたら。


   すると胸ポケットから何かが
   血溜まりの上に落ちていった。

(111) 西 2022/02/16(Wed) 3:40:04

【人】 イングラハム



   それはチョコレート。
   アンネが私の為に用意してくれた
   甘くて美味しい、私の一番好きな食べ物。

   包みから落ちて血と砂で汚れたチョコレートを
   拾い上げて、それを口へと放り込むと

   甘くて蕩ける想い出の味を
   ざりざりとした鉄の味が邪魔をする。


   
(112) 西 2022/02/16(Wed) 3:41:58

【人】 イングラハム



   それでいて。

   このチョコレートは
   もう二度と、口にすることは出来ない。



(113) 西 2022/02/16(Wed) 3:42:31

【人】 イングラハム




   小鳥が囀り子供たちがはしゃぐ
   そんな長閑で平和な病院の何処かで


         一人の男が、慟哭を奏でていた。**


(114) 西 2022/02/16(Wed) 3:43:27
 




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