人狼物語 三日月国


145 【R18G】星仰ぎのギムナジウム2【身内】

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視点:


【赤】 高等部 ラピス

バレンタイン! 今日がお前の命日だ!
dome 2022/05/06(Fri) 21:00:00

【独】 高等部 ラピス

/*
つらスンギ
(-4) dome 2022/05/06(Fri) 21:08:38

【人】 高等部 ラピス

普段通りに食堂に顔を出す。
人が足りないことがいつも通りになっていることには苦い気持ちが混ざるのだけれど。

「………?」

連れてきた下級生たちのトレイに配膳をして、席まで送る。
自分の分もゆっくりと準備をしながら、
分かりやすく落ち着かない様子のクロノを見て思案げにしていた。
(3) dome 2022/05/06(Fri) 21:28:50

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

『不思議ですね』

含みなく返される言葉に、また同じく首を傾げた。
視線が自分の手に向けば、まじまじと眺める。
器用ではない青年の仕草は、どこか好ましい。
いつかは話さなければならないだろうと思っていたそれについて話すために、黒板に言葉を連ねた。

『これが病気だから です』

短くそれだけ答えて、ゆっくりと黒い布地に手をかけた。
現れた素肌は日に当たらないせいで真っ白。
ただ、それよりも異質なものがあった。
部分的に、深い青色の鉱石が肌を覆っている。
そこだけ夜空を切り取って貼りつけたような青色が、あなたの視界に入るだろう。

まるで、ラピスラズリのような。
(-10) dome 2022/05/06(Fri) 21:36:57

【独】 高等部 ラピス

/*
よくもこんなことに加担させてくれたなギムナジウム
(-12) dome 2022/05/06(Fri) 21:43:42

【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

まずは、拒絶されなかったことへの安堵が勝っただろう。
それから目に見えたものをうまく認識できず、反応が返らなかった。
指で、美しい色彩を拾い上げて。微かな木漏れ日に照らして、首を傾げた。
青色は張り付いているのではなく、人体と一体化しているのだ。

「……きれい……」

呟いた言葉に嘘はないものの、少しだけ眉はひそめられた。
手袋に包まれた指先でつついて、ひっかいて。
合間合間から見える真白い肌色を引っ張って、関節のあたりを曲げてみる。
手付きは無遠慮だ。そうした配慮は、あまりできるほうではない。

「痛くない?」
(-14) redhaguki 2022/05/06(Fri) 21:55:04
ラピスは、食事をとりながら、青年の言葉を静かに聞いていた。
(a12) dome 2022/05/06(Fri) 22:29:43

【赤】 高等部 ラピス

からり、扉を開く。

準備をするより前に訪れていたクロノを目にとめると、数度瞬きをして。
食堂から早くに居なくなったのは知っていたけれど。

この上級生は、特にトットの不在に動揺した気配はない。
(*1) dome 2022/05/06(Fri) 22:30:16

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

病を綺麗と形容されるのは不思議な心地がした。
自分もこれを初めて見たなら、同じ感想を抱くかもしれない。

触れてみれば、硬い質感が返ってくる。
確かにそれは鉱石に類似した何かであるらしかった。
指が曲がるのに合わせて、青色も追随して動く。
無理に可動させなければ特に痛みも生じないだろう。

痛くない、と告げるように頭を振った。

身体が部分的に鉱石のように変質していく病なのだと少女は語る。
声が出ないのも病が原因であると添えて。
今は投薬で進行を抑えている。
根本的な治療法は、まだ研究中であるそうだ。
(-21) dome 2022/05/06(Fri) 22:33:37
ラピスは、昨日から小さな花を胸ポケットに挿して過ごしている。
(a13) dome 2022/05/06(Fri) 22:38:05

【赤】 高等部 ラピス

「………………。」

伝えるべきか、迷いはした。
でもいずれ知ることになると思ったから。

『昨日が』
『トットくんの番でした』

胸ポケットに飾られた花。
それが、
誰がトットを連れて行ったのか

何よりも明らかに語っていた。
(*3) dome 2022/05/06(Fri) 22:46:31

【赤】 高等部 ラピス

/*
スゥーーーーーッ ということで実質最終日ですの 
トットくん……ウッウッ 我ら小さいものクラブ 墓と地上に別れようと最後の時まで一緒ですわ………

本日で決着がつかなかった場合、自動的にコミットで狼を吊ることになりますわね。
まあ9割方コミット進行になると思いますので……差し支えなければ提案がございまして。
(*5) dome 2022/05/06(Fri) 23:25:08

【赤】 高等部 ラピス

/*
私凶狼お嬢様、クロノちゃんを噛んでもよろしくて!!?!?!?


OKいただければ匿名箱でも確認取ってきますわ
(*6) dome 2022/05/06(Fri) 23:25:33

【赤】 高等部 ラピス

/*
後追いの上から襲撃をかけられるクロノちゃん二重に命を散らしていて心がボロボロになりますわね
まあまあ最終日 殺りたいこと殺ったもん勝ち青春ならですわ
承諾いただきありがたき幸せ よろしくお願い致しましてよ……
(*8) dome 2022/05/06(Fri) 23:42:21

【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

見た目には美しいそれは、けれども美しいばかりではないのだろう。
触れた石は暖かくはなかったから。青年の頭でも、確かにわかることだった。
つるつるとした手触りを、なにか確かめるように触れて。

「……戻らない?」

美しい瑠璃色は進行性のものだと今聞いた、では。
退行して元の身体を取り戻すのは、難しいのだろう。
少なくとも抑制するだけが精一杯の今は。
それがなんとも寂しくて、小さな手を自分の膝の上に乗せて。
体温を移すように、ぎゅうと頬で挟んだ。固い感触が、時折あたる。
(-40) redhaguki 2022/05/07(Sat) 0:11:56

【赤】 高等部 ラピス

『クロノちゃんのせいではありません』
『大人が決めたことです』

緩く首を振って、心に浮かんだであろう可能性を否定する。
少なくとも大人達が連れて行く彼らに関しては、
くじ引きのように決められていくだけだ。

『そろそろ』
『終わりが近づいています』

伝え聞いたところによれば、大人達の目的は達成されつつあるらしい。
だからこの集まりももうすぐ終わりだ。
もう君も、罪悪感に苛まれなくて良くなる。


「………」

飾られた花が、小さく揺れた気がした。
(*10) dome 2022/05/07(Sat) 0:35:47

【赤】 高等部 ラピス

/*
ようやく終盤 健康を優先してごゆっくりですわ
無理ないペースでお付き合いくださいまし!
(*11) dome 2022/05/07(Sat) 0:35:59

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

『少なくとも、今は』

不可逆のものだと頷いた。
研究が進めば、或いは元に戻るのかもしれない。
外科手術で取り除いたこともあるが、それは対症療法のようなもので。
根治できなければ、また夜色が身体を覆っていく。

じんわりと、肌の温もりが移る。
感覚の消失した石部分はそれを感じ取ることはできなかったけれど、肌には確かに温かさが灯った。
感触を確かめるように微かに動かされる指の動きが青年の頬に伝わるだろう。
(-51) dome 2022/05/07(Sat) 1:16:08

【赤】 高等部 ラピス

「………」

無垢できれいな手は、一度も汚れなくていい。
私が悪かったことにするためには、それがいい。

無理に仲間にされて、大人に突き出された事実があれば。
多少は疑いの目を逸らすことができる筈だから。

待ち受けている治療が少女にとって残酷なものである可能性だってある。
バレンタインのように。
だからこれは傲慢で残酷で身勝手な決定だ。

『次も、私がやります』
『ですが』
『準備があるので、また夕方に話しても良いですか』

生徒が居なくなるのは夜。
それまでは知らせない方が都合が良い。
この黙秘をどう受け取るかは、少女に委ねられている。
(*13) dome 2022/05/07(Sat) 1:35:35

【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

他人のことは、他人が説明してくれるから。
自分のことよりもなんだか深刻なもののように感じられたのだ。
人それぞれの状況に、程度問題の差などないのだろうけれど。

ぱち、ぱちと目を瞬かせる様子は眠りにつく畜獣のよう。
甘やかな膚の香りと、つややかな指の触れる感触が。
どうしても、ひどく、――に思えたから。

ざら、と舌が指先を這って。
かりと、尖った歯が白い指に立てられた。
(-62) redhaguki 2022/05/07(Sat) 2:36:15

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

「………?」 「??」

大型犬のような仕草が可愛いな、とぼんやり考えていたから、続く行為の理解がすぐには追いつかなかった。
まず歯が立てられる感覚への驚きで反射で肩が跳ねて、
それからぱちくりと目を丸くして手を見る。

一体どうしたというのだろう。
困惑の色が強い視線が向けられている。
(-72) dome 2022/05/07(Sat) 5:22:45

【赤】 高等部 ラピス

「………」

俯いたままのその顔は何を考えているのだろうと思った。
きっと罪悪感だとか、不信感だとか、恐怖心だとか。
そういう様々な負の感情に支配されている。
………そうだ。 負の感情に。
それがどれだけ大人達に都合が良いかもわかっていた。

少女を解放するために、少女に治療を受けさせる。

また、勝手なことをする。
どうしたってその不安を拭えないままで、
きっと自分が無力であることもよくわかる。

何か伝えたくて、でも言葉は出てこなくて。
チョークの先が黒板に当てられる音はしたけれど、
それ以上の、文字を綴る音はしなかった。

だから少女が振り向かずに教室を去っても、何も変わりはなかったのだろう。
(*15) dome 2022/05/07(Sat) 13:54:52

【秘】 高等部 ラピス → 童心 クロノ

クロノが丁度部屋にいる時間。
ラピスがふらりと部屋に戻ってくる。
両手には、いつものホットミルクが甘い香りを漂わせていた。

「?」

飲む?と首を傾げる仕草で尋ねて、共用テーブルに。 

恐らくは、朝にうやむやになった話について
再び話にやって来たのだろう。



/*
会議は朝の時系列で、そこで引き渡すと他の場所で以降の時系列ロールができなくなるかな、と思ったので無理やり夕方or夜にすっ飛ばしました。都合良い時系列で構いません!
(-78) dome 2022/05/07(Sat) 14:07:01
ラピスは、中庭で休んでいるバレンタインを見かけた。
(a17) dome 2022/05/07(Sat) 17:46:52

【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

愛されて、艷やかで。白色のりんごみたいにほころんだ頬。
果実に挟まれた花びらみたいな唇が言葉を発さず、表情だけを作るのを見ている。
檸檬の枝のように細い指は青く艶めいて、それだけが冷たい。

「ラピスの指は、きれいだ。
 でも、僕は。生身のままのキミが好き。
 青い石には、なってしまわないでほしい」

さみしいと思うのは、変化が目に見えてあるからだろうか。
他人の病気は見えないものだから、こうして明らかなものがあるから?
離れていく船を見ていくような寂寥を湛えた目はじっと貴方を見上げて、
もしくはぼんやりと、指先からつながる根本を見て。

獣のような牙が、白い肌を突き破るほどに突き立てられた。
(-85) redhaguki 2022/05/07(Sat) 19:14:40

【秘】 童心 クロノ → 高等部 ラピス

部屋の自分の机について
ぼんやりとペンを動かしていたクロノは、
同室者が部屋に戻ってくるのを見、立ち、
共用テーブルの方へと座り直す。

「…………朝の、話?」

ぎこちない表情でそう問い掛けながら、
ホットミルクの入ったマグカップへと手を添える。
それに何かが盛られている可能性など、考えなどしていない。


/*
わーい時間軸変更ありがとうございます!
特に問題なく夜の時間軸としましょうか!よろしくお願いします!
(-86) Rurux_is_me 2022/05/07(Sat) 19:51:06

【人】 高等部 ラピス

「………」

じっ……。
こねこねと形作られるパンたちを眺める。
パンの香りにつられて、
他の生徒たちが集まっているようだ。

率先してパン作りに興じている実習生の姿を見て、
自分もやろうかな……と厨房に入る。
気晴らしはいつだって必要だ。
手袋の上から更にビニール袋をつけて、こねこね。
まんまるの形に整えていく。

少女は固いパンが好き。
パンの固さ:43%
(10) dome 2022/05/07(Sat) 19:57:48
ラピスは、ほどほどに固いパンができた。
(a18) dome 2022/05/07(Sat) 19:58:19

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

「──!」

声は出すことができない。
だから、喉の奥を細く息が通る音だけが出た。
牙が肌を食い破ったのなら、そこから赤い血が滲んで垂れる。
白い肌の下に巡っているそれが、確かにまだ生身が残されていることの証左だろう。
痛みを抑えるように自らの袖を握りしめた。
暫くそうやって、困惑と痛みを落ち着ける。
浅い息遣いだけが耳に届いただろうか。

青年の行動は獰猛さを纏っていたけれど、その奥にある寂しさも見えた気がした。

石にはならないよ。

何か言いたくても片手がこれでは難しかったから、
そう伝えるように青年の頭に手を置いた。
(-87) dome 2022/05/07(Sat) 20:05:40

【人】 高等部 ラピス

「!」

『誰かにあげるのも良いかもしれません』

固いパンは自分用にするとして、
自分も動物型のものを作ってみることにした。
二重に手に被せものをしているせいか少し動きはぎこちないけれど。
実習生は流石そつなく作っているなぁ、と感心していた。

動物っぽさ:86
(13) dome 2022/05/07(Sat) 20:15:45
ラピスは、かなり動物っぽくできた。
(a21) dome 2022/05/07(Sat) 20:16:16

【秘】 高等部 ラピス → 童心 クロノ

クロノが席につくのを見て、
いつものように黒板に文字を書いていく。
テーブルの上には、厨房で作ったパンが置かれている。
ホットミルクを置いた後、続けて持ってきたものだ。
固いパンと、動物っぽいパン。
もしかするとクロノの好きな動物の形かもしれない。

『お願いがあります』
『治療を、受けてほしいのです』

ホットミルクに口がつけられる前に、その言葉を見せた。

今の"お願い"と、"準備"の話。
両方から、誰が治療の対象になろうとしているのかは想像に難くない話だろう。
(-93) dome 2022/05/07(Sat) 20:21:11
ラピスは、アオツキの励ましの言葉にうんうんと頷いていた。
(a34) dome 2022/05/08(Sun) 0:28:11

【秘】 童心 クロノ → 高等部 ラピス

ホットミルクに口を付けようとして、
並べられるパンに手を止めて。
そういえばしばらく、全然食事が摂れてないなと
ぼんやり思いながら。

綴られた文字を見れば。

「っ、…………、」

目を見開いた後に、俯いた。

(-136) Rurux_is_me 2022/05/08(Sun) 3:26:37

【秘】 童心 クロノ → 高等部 ラピス


──もしかしたらと、少しは思ってた。
だって、そうじゃなかったら教えて貰えない理由もない。
そりゃ、わたしが心配だから、自分だけでやるため
みたいな風にも考えられたけれども、
頑張っていいように考えたら、なだけ。


俯いた手元に、白い水面が見える。
眠れない時とかにあなたが作ってくれる、
甘くて美味しいホットミルク。
ここでうん、って言わなかったら。
ラピスちゃんにも迷惑がかかるんだって、わかってる。


「…………。」

でも、言葉が出てこない。
素直にわかったと言えない。

こわい。


口を引き結んだまま、黙りこくって。
漠然と手元を見つめている。
(-137) Rurux_is_me 2022/05/08(Sun) 3:29:53

【秘】 高等部 ラピス → 童心 クロノ

素直に頷くことが難しい願いだろうことはわかっていた。
何も言わずに眠らせた方が、事が面倒にはならないのも。
でも、話しておくべきだと思った。
勝手な願望でもせめて幼い協力者には真摯でありたかった。

『全て終わらせるためです』
『あなたを早く解放してあげるには、
 これしか思いつきませんでした』

治療対象になって処置されてしまえば実行者に加わることは暫くなくなる。
断られれば困ってしまうのはそうだろう。
無理やりに連れて行かなければならない。
しかしクロノの体格では、大人達が動員されればすぐに捕まってしまうだろうことも予測できる。

『こわいことかもしれません』
『でも、約束のために』
『治療を受けてはくれませんか』

交わした約束。
もしも、この治療で良くなったのなら、外へ出る日が一歩近づく。
他にも様々な理由はあるけれど、この理由も本物だった。
(-148) dome 2022/05/08(Sun) 12:28:16

【秘】 童心 クロノ → 高等部 ラピス

「………………、」

きっと、わたしのことを慮ってそう言うのだろう。
でも、そうなったら。
トットも居なくなった今。
あなたは終わるまで一人で、罪を重ねていくのだろうか。

それは怖いことな気がした。
あなたがそのまま、罪の意識なんかも
分からなくなっちゃったりしないか、なんて。

けれど。
選ばれたのなら───無理にでも、あなたは
わたしを連れてかなきゃいけないんだろうから。
わたしの出来ることなんて。
迷惑かけずに連れてかれるか、
無理矢理連れてかれるか。それしか、ないんだろう。



「…………」

頷くしかないことは、分かってるのに。
声が出なかった。
声が出なくて、
手元のホットミルクを、口元に持ってくる。
それをゆっくりと、飲み下す。
(-155) Rurux_is_me 2022/05/08(Sun) 16:20:16

【秘】 高等部 ラピス → 童心 クロノ

心まで石になっていく心地がする。
そう思っていた。
けれど、そう思いたかっただけなのかもしれない。
罪の意識に蝕まれないように、心の外側を石で覆っていただけ。
その下にまだ血が巡っていることを、最近知った。

きっとこんな時でも、あなたは自分への負担を考えていてくれるのだろうなと。
それがとても、申し訳なかった。
こんな手段しか選べない自分が情けなかった。

「………」

飲み下されるそれは、無言の肯定だったのだろう。
かつかつと、ゆっくり黒板にまた文字が書かれる。

『ありがとう』
『ごめんなさい』

せめて、苦しみが少なくて済むことを祈るしかできなかった。
(-162) dome 2022/05/08(Sun) 17:12:20

【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

血の塩気を求めるように舌が動く。
日常から剥離した味を吸い上げる内に次第に、頭ははっきりとして。
ある時やっとはっとしたように目を上げた、けど。

「……」

貴方の手が優しかったから。これでいいのかな、なんて。
受け入れられたのかと状況を違えたまま、貴方の手を掴んで話さない。
退けられなかった口先はちると、自分でつけた傷に口づける。

どれだけ時間がたったのか。ごく短いものだったかもしれない。
肉食獣のそれのようにざらついた舌が、肉を削るかすかないやな感触。
この場所であれば些細なことかもしれないけれど、それでも。
手首を引き寄せる力をどうするかを決めるのは、貴方の自由だ。
(-169) redhaguki 2022/05/08(Sun) 18:17:59

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

ざりざりと肉が削れるような感覚がして身体が強張る。
頭の奥で痛みが警鐘を鳴らす。
まだ自分には生身の部分が残っているんだ、なんて当たり前で余計なことに思考を巡らせた。

一連の行動を経て、漸くあの夜の姿と青年が重なる。
それは戯れにじゃれついて小動物を害してしまう獣のように思えた。

「………、」

青年を拒むことはしたくなかったけれど、自分の指がどうにかなっては流石に困る。
それこそ噛み千切られて生身が無くなったら本末転倒だ。
頭に置いていた手を、少し顔の方にずらす。
額のあたりをぐい、と軽く押して離そうと試みた。
(-177) dome 2022/05/08(Sun) 19:01:45

【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

鈍く動きの悪い頭は、ただ。
ひた隠しに抱えていたものが他に受け入れられたことが嬉しくて。
それが良くないことだと理解したのは、貴方の小さな手で押しのけられてから。
ぱっと顔をあげて口を離す。しばらく、様子を伺うように薄い色の目が貴方を見た。

「……」
「……ご」
「め、ん」

唇の皺には血が濃く滲み、啜った血と唾液が混ざったものが顎まで垂れていた。
自分がしたことに対してどんな言い訳を吐けばいいのか。
頭の回らないまま視線は消極的に下がっていって、うつむいた。

「戻って、いい……よ。
 まだ僕は戻らないから、……森にはいかない、大丈夫」

共に歩いて帰るのは、こんなことをしてしまった後では厳しいだろうと。
指を押さえつける手はなく、貴方に縋りつくだけの指もなく。
いつでもあなたは、自分の好きな時に逃げられる状態だ。
(-180) redhaguki 2022/05/08(Sun) 19:14:30

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

「………」

身動きが取れるようになったけれど、
視線を下げている姿が、
それこそ捨て置かれた子どものように見えてしまったから。

まずはポケットからハンカチを取り出して、血が垂れた口元を拭おうとする。
避けられなければ、お返しとばかりにぐしぐしと少し乱暴に拭かれるだろう。
この際汚れても良いかと割り切って。
それから折り畳んで、きれいな面を傷に当てて結んだ。
深刻な傷ではないと思うけれど、念の為。

手当が済めば立ち上がる。
でも一人で立ち去ることはせずに、あなたの腕をぐい、と引っ張った。
大きな身体は、自分の力だけでは動かせない。
青年の意思でついてきてもらわなければ。

『一緒に帰りましょう』

自由になった両手で、黒板にそう書いた。
(-184) dome 2022/05/08(Sun) 19:31:33

【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

「……」

いいのか、と見上げる目。
貴方は声は出ないのだから、青年が黙ってしまうと何の音も交わせないまま。
ぱちぱちと、目を瞬くまま見上げる時間があった。

「いいの?」

何に関しての問いかというのは、なんともあやふやなままだ。
日のない内は十分に言葉も話せるだろうに、声に成ったのはそれだけ。
言葉を尽くさねばわからないことさえ、足りないままの小さな言葉。

惑うような沈黙が流れたのは、そう長い時間ではなかっただろう。
それでも焦れて、勿体ぶっているように感じられるには十分なもの。
立ち上がった貴方よりも視線の低い、しゃがんだ身体はようやっと、
ちらちらと辺りに振れる目をひとつに留めて、立ち上がった。

きゅ、と握った手は頼りなく、無事なほうの手を握りつぶしてしまうことのないように。
指の先をちょっとひっかけただけの、とてもささやかなもの。

「……」
「ラピスが、いい」

何が。なんてのはやっぱり、言葉足らずの飾り気のないもの、
貴方が手を引いてくれるなら、貴方の足に合わせて寮への道を歩く。
(-191) redhaguki 2022/05/08(Sun) 19:51:07

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

言葉なく見つめ合う時間があって、短くない間そうしていた気がする。

「!」

やっと指先が引っ掛けられれば、随分上にあるのにどこか今は頼りなさそうな、所在ない表情を見上げて満足気に微笑んだ。
青年の言葉にははっきりとした頷きで返す。
音は紡がれなくとも、それでも少女の浮かべる感情はわかりやすい。
無口な二人は、時に思惑がすれ違うこともあるけれど。
今、一緒に帰ろうと歩む気持ちは同じだった。

『今度は』
『バットくんの手袋の話を聞かせてくださいね』

小さな歩幅に合わせてもらいながら、寮までの道を手を引いて歩き出す。
そうしてそこまで遠くない帰路を辿って、その日はそれぞれの部屋に戻ったことだろう。
(-197) dome 2022/05/08(Sun) 20:11:11

【赤】 高等部 ラピス

深夜。
寮の部屋を抜け出して、空き教室へ訪れた。
気づく同室者も今はいない。

「………、………」

ぼんやりとした顔で、黒板でチョークを削っている。
何度も何度も上から書かれた文字列はもはや何が書かれているのか読み取れない。

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きっと色んなことを私は間違えた。
(*16) dome 2022/05/08(Sun) 20:15:45

【赤】 高等部 ラピス

「………………」

もうすぐ終わる筈だ。

黒板を綺麗に掃除してから、教室を後にした。
もう、ここに誰かが来ることは暫くないだろう。
(*17) dome 2022/05/08(Sun) 20:15:57

【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

貴方の顔を見下ろせば逆光になってしまうのだろう。
たとえどんな恐ろしい表情をしていたとしても、
貴方には何も見えはしないのだろう。
だから、そう。そこにある表情が確かな慈しみだと、伝わっていたならいい。
指先がとても熱く感じるのは、血が流れるせいばかりではない。

「……うん」

移り変わった月光が照らす貴方の表情は、とても尊いものなのだろう。
少なくとも青年にとっては、そうだ。
言葉少なな懐いが何であるかというのは、今はわからなくとも。
どうか己が貴方を傷つけてしまわないように。
どうか貴方が己を見守っていてくれるように。
どうか同じ気持ちでありますように。


ふたつの足音は、また明日へと進んでいく。
(-205) redhaguki 2022/05/08(Sun) 20:41:14
ラピスは、人気のない廊下で教師に呼び止められた。
(a49) dome 2022/05/08(Sun) 20:49:19

【独】 高等部 ラピス

《ラズライト。少しいいかな》

人気のない廊下で教師に呼び止められた。
生徒回収を持ち掛けてきた大人の一人。

空き教室へと先導されて、向かい合って机に座る。
アオツキに個人面談をしてもらった時とは正反対で、
たいそう居心地が良くなかった。

目線を緩慢に巡らせて落ち着かない調子でいたら、
ぺらりと、一枚の用紙が机に置かれた。
小さな四角が縦に並ぶそれは、書き込むことを想定されたもの。
つまるところ、問診票だった。
(-208) dome 2022/05/08(Sun) 20:50:12
ラピスは、空き教室で、問診票への記入を指示された。
(a50) dome 2022/05/08(Sun) 20:51:21

ラピスは、事務的に記入を進めていった。
(a51) dome 2022/05/08(Sun) 20:52:08

【独】 高等部 ラピス

《定期検診のようなものだ》
《これに記入してくれるね》

定期的に、ストレス負荷を調査するための問診。
こんなものを書いたところで、この役割から直様解放されることはないのはわかりきっていた。
あくまで、道具が壊れていないことを確認するためのチェッカーだ。

「………」

特に拒否する理由も益も無い。
大人しく、事務的にチェックボックスを埋めていく。

雑談で場を保たせようという気遣いなのか、
良く言えば他愛のない話、悪く言えば興味もない話を
教師はつらつらと並べ立てる。
他の生徒の治療は順調だとか、
負の感情の回収は目標値まで達成されつつあるとか。
どれも記憶に残らないような内容だったけれど、
その後に掛けられたものが、ひどく頭の中に響いた。

《トットとクロノだが、》
《……ああ、お前もだけれどね》
《期待していたよりも役に立たなかったなぁ》
(-209) dome 2022/05/08(Sun) 20:52:38
ラピスは、ある言葉を教師に掛けられた。耳を疑った。
(a52) dome 2022/05/08(Sun) 20:53:23

【独】 高等部 ラピス

「───」

思考が止まった。
ペンを動かす手が止まった。
呼吸が数瞬、止まった。
まず己の耳を疑って、壁掛け時計の秒針が進む音を聞いて、聴覚は正常であることを再認識して。
次いで耳に届いた言葉が、聞き違えたものではないと再認識して。

ふつ、と胸焼けのような感覚がした。

──役に立たなかったとは、なんだ?

目の前にいるのは、一教師であることは理解している。
無思慮なその発言が、大人全ての総意でないことも。
どれだけ私たちが苦しんだのだろう。
望まぬ治療を受けた子も、望まぬ治療を受けさせた子も。
見守ってくれると約束してくれた大人も。

──くるしいね。
──はやくおわって。
──……応援させてくれますか?
──そんなことが、ゆるされるの?
──僕は"病気のこども"じゃなくなるのかな。
──良いことなんて……悪いことの前には……無力で。


色んな言葉が頭を巡った。
その全てを、踏みにじる言葉が許せなかった。
(-211) dome 2022/05/08(Sun) 20:54:00
ラピスは、その言葉がどうしても許せないと思って、
(a53) dome 2022/05/08(Sun) 20:55:27

【独】 高等部 ラピス

がたり、と乱暴に席を立って、
何事かと瞠目する教師の横まで歩を進める。
暴力が短絡的な手段であることは承知していた。
こんなことをしてもどうにもならないことも。

でも、今は"未熟な子ども"である自分の立場を利用してやろうと思った。
子どもの訴えを、その身で味わってもらうべきだと思った。

これが問題行動と捉えられれば、自分の治療を最後に回収作業を止められるかもしれないと、希望的な観測があった。

だから、
(-214) dome 2022/05/08(Sun) 20:55:47
ラピスは、そのまま腕を振りかぶって、
(a54) dome 2022/05/08(Sun) 20:56:05

ラピスは、初めて、怒りのままに人を殴りつけた。
(a55) dome 2022/05/08(Sun) 20:56:11

ラピスは、初めて、ギムナジウムの大人に反抗した。
(a56) dome 2022/05/08(Sun) 20:56:32

 




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0回 残 たくさん

……。

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あいしているから

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