［　唇が触れ合えば触れ合うだけ
　　生気が飢えていた体に流れ込む。

　　一滴、一滴、欲が溢れ落ちる。　］

　　生気が、久しぶり過ぎた

［　渇望した生気を貪りたい欲が
　　耐えることなく湧き出る。溢れ出る。
　　まだ、抑えられる。

　　だが何故口付けを知っている？
　　誰かとしたことがあるのか？

　　誰かと……？　
　　許さぬぞ
　　謀ることは許さぬぞ……！

［　荒々しく頭を掴み
　　強引にでも唇を合わせる。

　　息を吸い

　　舌を絡め、その舌すらも吸い上げる
　　力任せで、噛み付く様に激しく強く
　　唇を離すことはせずにただ吸い続ける。

　　やがて呼吸できずに苦しくなるであろうことは
　　この時は頭になかった。

　　卑猥さも感じる様な水音が二人から出る。
　　吸い上げ絡めた舌に牙が当たったか
　　舌から血の味が広がろうとも
　　その血には唾液よりも生気が強い。
　　さらに口付けは激しく貪ることになったはずだ。　］

　　みつ、き。……足りぬぞ
　　もっと、そなたを我に与えよ
　　ッ……！は、っ、いいぞ、もっとだ

［　離れた唇を再び勢いよく合わせる。
　　それは齧り付くといった表現が的確であろう。
　　生気は死ななければまた巫子の体の中で作られる。

　　苦しさの中に快楽を拾えたか。
　　絡み合った口内で
　　快感を目覚めさせる動きに変わる。

　　生気を奪っていた鬼の口から
　　巫子に流し込むのは己の欲か妖気か────。　］

［　この身果てても 消えないほどく　］

［　苦しい、くるしい、くるしい
　　視界が涙でぼやけて、見えなくなってくる
　　苦しさと嬲られているかのような水音だけが
　　行為の続いていることを示していた

［　勿論言葉など作らせないように
　　息を奪い、声を奪う。
　　
　　漏れ出る声すらも己のものだと
　　矢継ぎ早にみつきを奪い、味わう。

　　漏れて聞こえる吐息と声を楽しみながら
　　己の欲に突き動かされるまま
　　生気とみつきを求め続けた。　］