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【雲】 貴族の娘 アウドラ素敵な名前だと、思ってくれるの? ……嬉しい。 名前について、あまり話したことが なかったからなのかもしれないけれど。 [ 彼が褒めながらも笑ったところを見て 少しだけ頬を膨らませてみせたような。 でもすぐにその表情は元に戻って、 愛猫の新しい名前をピヤールに決めてもらい ふわっとした感情に包まれた。 彼の物言いから、 ピヤールの意味を知っているのかと 彼女は聞きたくなったけれど、 それは、どうして?と聞かれたら 彼女が答えられなくなるので 口にするのは躊躇われた。 ] (D5) anzu_kin_ 2021/04/20(Tue) 9:46:21 |
【雲】 貴族の娘 アウドラ私は、不思議なの…? …確かに、うちから出たことがなくて、 お母様の意向もあって輿入れもなく。 …………外のお話が聞きたくなるわ。 [ ルシアン改めピヤールは 人間の事情など全くお構いなしで お昼寝をはじめてしまい、 彼から丸くなった毛玉を受け取った気分になる。 その時一瞬だけ、彼女の手が 彼の手に触れ合って、彼女の頬が少しだけ赤らんだ。 だが、彼女自身は赤らんだとは知らず、 大切そうにピヤールを抱えている。 体が上下に動くピヤールを優しく撫で、 セトを見上げれば、首を傾げた。 ] (D6) anzu_kin_ 2021/04/20(Tue) 9:47:54 |
【雲】 貴族の娘 アウドラ────そう、なのね。 気をつけるわ、迷子のときは。 オアシスを見つける旅だもの、ね? [ 父親のことが嫌いと言われたとき、 どうして、とは聞くことができなかった。 聞く権利もないと思ったのと、 彼の雰囲気から満足な生活を与えられていないと 何も知らない彼女でも分かったから。 彼女は腰を上げ、部屋からひっそりと去った。 彼女はただ迷子になっているだけなのだけれど 彼が何かを呟いたのなら、 ふっと振り返ってなぁに?と聞いたかもしれない。 ] (D7) anzu_kin_ 2021/04/20(Tue) 9:48:42 |
【雲】 貴族の娘 アウドラ──────── [ それから、何度も彼女は迷子になった。 人が手薄になる時間や、両親が家から出ている時間を 見計って、迷子になり逢瀬を重ねた。 無論、彼女は生娘のまま。 彼女にとっては異性に会うということ自体が 逢瀬に近いのである。 彼との距離は少しでも縮まっているか。 そうなら、指のひとつでも自然を装って 絡めているかもしれないが、 彼女に他意はないのである。 ] ピヤールは、少しずつ成長しているわ。 抱きかかえるのが少し大変に思うけれど あなたにとっては、そうでもないのかしら。 [ いつもではないけれど、 偶に愛猫も一緒に迷子になっている。 その時によく抱き抱えられているのを 思い出して、今日はいないのに聞いてしまった。 本当は、愛猫の話よりも もっと外と彼自身の話を聞きたいのに。 ] (D8) anzu_kin_ 2021/04/20(Tue) 9:49:40 |
【雲】 貴族の娘 アウドラ外で私が暮らすなんて、 とても……無謀な話だと、思う? [ 彼の返事なんて、わかり切っているけれど 聞きたくなってしまったから、 彼女は素直に質問を口にする。 実は彼に出会って、愛猫を紹介してから ずっと彼を自由にする方法を 彼女なりに模索はしているのだが まだ分からなくて、何も伝えていない。 彼の邪魔になっては意味もないので。 ]* (D9) anzu_kin_ 2021/04/20(Tue) 9:50:44 |
【雲】 貴族の娘 アウドラ狩りをするなんて、本能には抗えないのかしら。 まだ、今のところ狩猟の結果を 持ってくることはないけれど、覚悟しておくわ。 [ 猫というものは、そういう生き物だと 彼が教えてくれたか、他の誰かが言っていたか。 あれ以来ピヤールは随分と彼を気に入り、 一緒に遊びにきては勝手に腕の中から 彼の膝の上へと移動するようになった。 座るものがあるわけでもないので、 彼女はしゃがみ込んだり、立ち上がったり、 普通の貴族の娘からは考えられないことを この場所にいる間、よくやっている。 他の誰とも会うわけではないので しゃがみ込むことに慣れていることには まだ気付かれていないと信じていたい。 ] (D16) anzu_kin_ 2021/04/20(Tue) 22:49:46 |
【雲】 貴族の娘 アウドラそう、よね………… [ 彼の返事に、彼女はゆっくりと頷く。 そう言われるとわかっていて、 彼に質問をしたのだから。 でも、どこか動揺を隠さないでいる彼女は 彼の瞳を見ることまでは出来た。 その後は、少し呼吸を置いて。 ] …………お父様が、輿入れを… まだ、正式に決まったわけではないの。 でも……全く会ったこともない方のところに 行くことになってしまいそうで。 ──────あなたなら、よかったのに。 (D17) anzu_kin_ 2021/04/20(Tue) 22:50:35 |
【雲】 貴族の娘 アウドラ[ 彼女の両親が、彼と会っていることに 勘付いたわけではないと思いたいけれど 先日、父親が縁談を持ち込んできた。 慣例として数ヶ月に及ぶ婚礼の儀式を 省略して早ければ数日以内に、と 言ってきたのだ。 勿論、彼女は何を今更、と嫌がった。 だから、返事はまだしていないと思う。 そんな話を鉄格子越しに彼と近づいて 指を絡めながら出来ただろうか。 彼女にはまだ好きという感情も未知で どうして彼ならいいのか、 不明瞭な部分はある。 けれど、何度も話をした相手だから 安心してしまっているのかもしれない。 ] (D18) anzu_kin_ 2021/04/20(Tue) 22:51:25 |
【雲】 貴族の娘 アウドラどうしたら、良いのかしら………… [ 困った顔で声を潜めて、 彼女はまた、彼に聞いてしまう。 彼を困らせる内容でしかないというのに。 ]* (D19) anzu_kin_ 2021/04/20(Tue) 22:51:59 |
【雲】 貴族の娘 アウドラなら、近くに布を置いておくわ…… 褒めるのね、褒める…… [ 慣れていないことに変わりなく。 こうやって、彼は知っている知識を彼女に 優しく教えてくれることが多い。 やはり、この国ではない彼だからか。 外を知っている分、知識量は遥かに多く。 近い距離で話をするようになってから 彼の吐息を偶に感じるようになった気がして その度に胸の鼓動は速くなる。 熱というものを、手のひらとその吐息で 密かに感じてしまっているからだと 彼女も少し気づき始めていた。 しかし、いつもより大きな震え声に その感情は一気に切り裂かれてしまう。 ] (D26) anzu_kin_ 2021/04/21(Wed) 20:18:17 |
【雲】 貴族の娘 アウドラどうして、そう言うの…? 私は、………… [ ひとまわり以上歳が違う異性のところなんて。 その一言さえ言えていたら、 話は変わったかもしれないのに。 彼くらいの年齢、 もしくは彼女と同じくらいの年齢なら もう大人しく従うしかないと思ったが、 まさか、12歳以上も歳上の相手だなんて まだうら若き彼女にとっては受け入れがたい。 だから嫌だと言っていたいのに、 結局は子供は親には勝てないことが分かる。 どう足掻こうとも、この婚礼は勝手に決められる。 ] (D27) anzu_kin_ 2021/04/21(Wed) 20:19:46 |
【雲】 貴族の娘 アウドラっ……──── 期待をしてしまった私が…… 子供だったのよ。そう、ね。…… [ 口元は笑っているのに視線を逸らされると 彼女は立ち上がり別れの挨拶もなく その場を去っていった。 その瞳は絶望を感じていたが、 視線は合わなかったので彼に気づかれることも なかったと思われるのだが、定かではなく。 ] (D28) anzu_kin_ 2021/04/21(Wed) 20:20:41 |
【雲】 貴族の娘 アウドラ────────── [ あれから、彼の元へ迷子にはなることはなく。 ただ手元にピヤールを置いて 彼女は窓の外を眺めるのみ。 婚礼など頭にはなく、衣装なんて そこに飾ってあるのみで、 日の目を見るのだろうかと考えさせられる。 ] ピヤール?………… 彼の元に行けるわね? [ そう言って、彼女は簡単な手紙を 愛猫の首輪にくくりつけて送り出した。 多分、これが最後かもしれなくて。 筆記具もなかっただろうから、 彼からの返事は期待できないけれど もう会えないのであれば、 最後くらい甘えさせてほしい。 というのも、あの後彼女はほぼ幽閉に近く 部屋から出ることを禁じられ、 婚礼までの間、会う人を制限されていた。 ] (D29) anzu_kin_ 2021/04/21(Wed) 20:21:58 |
【秘】 貴族の娘 アウドラ → le chien セト 無事に届いているかしら。 明日には輿入れ。 来世で幸せになりたいわ。 あなたとなら、どんなところでも 幸せになれると思っていたのだけれど さようなら、私の大切な人。 (-57) anzu_kin_ 2021/04/21(Wed) 20:24:28 |
【雲】 貴族の娘 アウドラ[ たしか、地下室を出るときに この言葉を使ったことはない。 また、といつも言っていたはずだから。 気づいてくれるかどうかもわからないけれど 彼女は輿入れのタイミングを見計らって 生きることから逃げ出してしまおうとしている。 それは、勝手に婚礼を決めた父親への反抗。 それだけを示しているが、 正直言って怖くてたまらない。 どうせなら誰かに連れ去られてしまう方が まだいいのではないかと、 悪い方向にばかり考えてしまうほどに。 ]* (D30) anzu_kin_ 2021/04/21(Wed) 20:25:12 |
【雲】 貴族の娘 アウドラ…………何も言わずに出てしまったわ。 今度、会いにいくときを… 最期にしましょう、か…… [ 婚姻を結ぶ相手のことを 全く知らないわけではないのだけれど 愛情から程遠い人のようだった。 情欲のみを満たすために、 第二夫人以降も娶っているらしく 飽きてしまえば全く気にもかけないとか。 真贋は全く見えてこないのに 先々の不安だけはすぐに見えてくる。 母なら止めてくれるのではないかと 心のどこかで期待していたけれど そんなことはなく、 寧ろ相手の支度金の潤沢さに 差し出されたようなものはあった。 ] (D39) anzu_kin_ 2021/04/22(Thu) 20:52:19 |
【雲】 貴族の娘 アウドラ外の世界が、楽しそうに見えてしまうせいね…… [ 彼と話して外のことを知り、 侍女達とこっそりと外に出てそれを体感して。 不自由ながらの自由というものを 焦がれてしまうようになったから。 彼女は、何もできないから、で 話を終わらせてしまうような人ではないらしい。 しかし、数日後。 父親によって部屋から一歩も出られなくなった。 『どこの馬の骨かもわからない犬に お前が噛みつかれてしまわないようにするため』 そんなことを言って、部屋の鍵を閉めてしまった。 ] (D40) anzu_kin_ 2021/04/22(Thu) 20:52:57 |
【雲】 貴族の娘 アウドラ──────── あら、おかえりなさい。 きちんと、わたせたかし…ら………… [ 彼女は愛猫の首元に手紙が残っていたので 残念ながら、ピヤールは会いにいかなった、と 思い、火にくべようとその手紙をとった。 しかし、最初のときとどこか違った巻き方に 彼は読んだのでは、と感じたので 改めてその手紙をひらいた。 そこに残るは唇の跡。 彼女は静かにその跡に自分の唇を重ねた。 その思いは、血よりも濃い赤いものと 感じ取ってしまったのだ。 自惚れなら、彼にまた会ったときに さようならと言ってしまえばいい。 ] * (D41) anzu_kin_ 2021/04/22(Thu) 20:53:53 |
【雲】 貴族の娘 アウドラピヤール?……私と一緒に来てくれる? [ 夜になり、皆が寝静まる頃。 扉が開けられるかどうか確認してみた。 なんとまぁ。 幸か不幸か簡単に開いてしまった。 ピヤールは開いた扉からするりと抜け出し 1人でどこかへ行ってしまったが、 彼女は静かに気づかれぬように、 地下室を目指して歩いた。 ] ……でも、どうしたらいいかしら…… [ 向かっている最中に大きな問題に気づく。 鉄格子の鍵をどう解錠するのか。 多分、持ってるのは父親だと思うけれど 一本のはずはないと思って、 何か、誰か他に、と考えていた。 すると、目の前に父親の秘書のような 存在の従者が見えたので こほん、と咳払いをした。 ] (D42) anzu_kin_ 2021/04/22(Thu) 20:54:35 |
【雲】 貴族の娘 アウドラねぇ……お父様の……あれ、 いなくなってしまったみたいなの。 [ その人物は、それを聞いただけで 目的地まで走っていったようだった。 よし、とこっそり追いかけて 彼がいる場所に向かうことに。 ちゃりんと鍵が聞こえたとき、 彼は目を覚ましていただろうか。 彼女は背後からその人物の頭めがけて 廊下に飾ってあったツボを 振り下ろしたのだが、 うまく失神してくれてほしい。 ] ……さいごのおわかれを してしまったことを後悔しているの。 * (D43) anzu_kin_ 2021/04/22(Thu) 20:54:49 |
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