きっと、みんなそうなんだ
　　　隠して、知られたくなくて
　　　でも誰かに知って認めて欲しいって思ってる

　　　家族が泣かないで、悲しまないで
　　　笑顔でいられるように

願い

［　家族が俺の幸せを……>>132
　　その言葉には思わず悲しさを
　　隠せずに笑った。　］


　　人って咄嗟に出る言葉は本心なんだ

　　例えば川で俺と弟が溺れていたら
　　両親は弟を迷わず助けるだろうな

　　それが俺の家族の幸せの形だ

　　俺はそれを悲しいと思うよ、寂しくもある
　　でも弟を助けなかったら俺が後悔する

　　それが”兄”だろう？


［　君もわかるはずだ、と
　　同意を求めるような問いに
　　君の答えはあったかな。　］

　　あの時……欲しかった言葉だった

［　「　小学生の子らしいわよ
　　　　傍に高校生の子もいたみたい。　」

　


　　　「　貴方が近くにいながらどうして……！　」



　「　こんな小さい子が可哀想に。　」

　　　　　　「　車道側にいたんですって。　」


　





　　　　　　　　　　　　あれは誰の言葉だった？　　］

［　学校の帰り道。
　　小学生の弟の手を引いて
　　公園でバスケをするつもりだった。

　　弟と一緒にするバスケは楽しかった。
　　どんどん上達して
　　俺と同じ中学で、高校で
　　バスケをすると楽しそうに話してくれた。

　　青信号が点滅する。
　　急ごうとした弟を俺が止めた。
　　次の信号まで待とうと。


　　　　　　　　
　　　　　　　　
　　その選択が　　分岐点。　　］

［　横を見た瞬間
　　投げ出された、体の形が歪んで
　　声も出せないまま血が花火のように飛び散る。

［　途切れそうな心臓の音。
　　体が考えられなような方向に曲がって。

　　それでも俺は弟を抱きしめた。



　　放心なんかしていられない
　　通報を、救急車の手配を。

　　止まっていられない。
　　判断を鈍らせてはいけない。
　　俺が動かなければ……俺が。　］

［　助けられなかったのは俺のせい
　　俺の注意が足りなかった。

　　……居れたら。


　　弟はもうバスケが出来ない体になった。
　　そう医者が淡々と述べた。
　　生きているだけで凄いことだと。

［　弟の病室で何度も謝った
　　外も中も傷ついてしまった弟
　　コードに繋がれて……機械音が部屋に響く。

　　父も母も疲労してしまっている
　　俺は……。
　　俺は弟に全部を渡すつもりだった。

　　全部使ってくれ、俺が痛さを背負うはずだった

　　弟が助かるのなら俺はなんだってやる。　］

［　加害者は休み無しの過重労働での
　　居眠り運転。
　　世間は加害者に同情した。

　　被害者に同情していた者も
　　手のひらを返して叩き始める。





　　　違う、

　　　そんなこと……思ったことはない。
　　　ただ、日常を返して欲しかっただけだ。
　　　それだけなんだ……。　］

［　バスケットボールに触れられなくなった。
　　弟がバスケの出来ない体になったと聞いた時から
　　体が拒絶した。

　　俺の記憶の弟と二人でしていた
　　バスケの記憶が割れた。
　　パラパラとガラスのように砕けて落ちて
　　


　　どうにもならないんだ
　　俺の力ではどうでも

　　　］

　　　　　　　　　［　誰も苦しまないで良い。

　　　　　　　　　　　俺のせいだから
　　　　　　　　　　　俺が全部背負うから。

　　　　　　　　　　　だから早く俺をして。　］**

　　でも聞こえてて起きないなんてね？

　　君は俺より睡眠をとったって事だよね。
　　いいけど、健康は大事だからね。

　　ただ、あまり俺を放っておくと
　　君に悪戯しちゃうかもよ。

　　俺に君を頂戴
　　君の罪ごと君を奪いたい

　　……辞めたやつがなに言ってるんだって
　　怒られる話だけれど

　　あるといいと思う、違う道が