153 『Override Syndrome』
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| (-0) 西 2022/06/14(Tue) 2:23:41 |
| (-1) 西 2022/06/14(Tue) 2:30:18 |
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…ここは安全。
あなたの努力を奪う人も 踏みにじる人も、ここにはいないから。
(-2) 西 2022/06/14(Tue) 2:31:47 |
| [ 心療内科、の文字には誤解と偏見とが 重なって見える気がしていた。 人の心を失った者と失ったふりをする者。 真の患者の症状を判断するのもまた、ヒトなのだ。 ヒトを救う、治療する、という大義名分のもと 明らかな哀れみの視線が降り注ぐのだろう。 心を閉ざした患者は心療内科から逃げ惑い、 行く宛を無くした先に待つのは……… >>0 ] (20) yukiyukiyuki 2022/06/15(Wed) 0:08:18 |
| 世の中の人間の「実生活」というものを 恐怖としながら、 毎夜の不眠の地獄で呻いているよりは、 いっそ牢屋のほうが、 楽かも知れないとさえ考えていました。 (21) yukiyukiyuki 2022/06/15(Wed) 0:09:06 |
| (22) yukiyukiyuki 2022/06/15(Wed) 0:09:55 |
| (-4) yukiyukiyuki 2022/06/15(Wed) 0:10:54 |
| [ 目の前の笑みは、低レベルの解像度で 網膜に映る。 >>!0 頭がいいって、苦痛だ。 忘れない、忘れられない、 忘れてくれない。 記憶。刻まれたメモリ。 艶やかな髪。穏やかな表情。 目を閉じて、開く。 肺の奥まで酸素を吸って、同じだけ吐く。 勧められるままに腰を下ろした。 ] (!6) yukiyukiyuki 2022/06/15(Wed) 0:12:31 |
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─── はい、初めてですね。 べつに、緊張していませんが ずいぶんお若い女医さんで驚いていました。
[ しっかりと合わせているようで、 自分の視線は相手の鼻の位置にある。 逸らされることのない視線を真っ向から 受け止めることがいつからか こんなにも恐怖と同義になっていたことに気付く。]
(!7) yukiyukiyuki 2022/06/15(Wed) 0:13:23 |
| 自分にとって、「世の中」は やはり底知れず、おそろしいところでした。 (!8) yukiyukiyuki 2022/06/15(Wed) 0:14:07 |
| (-5) yukiyukiyuki 2022/06/15(Wed) 0:14:47 |
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居るじゃないか。 ……ほら。
(-6) yukiyukiyuki 2022/06/15(Wed) 0:15:16 |
| [ 伸びてきた手を避ける動きが遅れた。 ひたりと触れる柔らかな掌が頬を撫でる >>!4 咄嗟に腕を曲げて、 たたき落とすように振り払った。 ] あ、……あぁ、ごめんなさい。 触れられるのは、苦手なので。 その、特に、顔は。 [ どくん、どくんと心臓の拍動が全身を駆けて響く。 驚かせてしまったか傷つけたか、 それともこんなことは日常茶飯事なのか。 ] (!9) yukiyukiyuki 2022/06/15(Wed) 0:16:33 |
| [ 呼吸を整えている間に、流れるような手つきで 差し出されたのはマグカップ。 いかにも高級だと分かるような 造形のものだったか、薄く繊細なものだったか いずれにしても己が心を動かすものではなく。 ただ、受け取った。 部屋の中の空気に妙な匂いが混ざって不快で 酷く眩暈がした。 ] ハーブティ……ありがとうございます。 [ カップを口に運ぶ動きさえ >>!5絵になる、と思った。 あの日、約束したコーヒーではなくて。 解像度が上がる。鮮やかに蘇る。 ] (!10) yukiyukiyuki 2022/06/15(Wed) 0:17:48 |
| ……でも、結構です。 吐き気がする。 コーヒーのほうが好きなんですよ。
あと、俺は特に大変ではありませんし 今"も" というのは あまり聞いていていい気持ちはしませんね。
─── ご無沙汰しています、古森さん。
[ カップから湯気が立ち上り、 顔に煙幕に似たヴェールがかかる。 過去をなぞり優しく微笑む医者に 俺が感じたのは、猛烈な嘔吐感。
そしてその嘔吐感に、陶酔する。 ポケットの中で、イヤホンが転がっている。 ]**
(!11) yukiyukiyuki 2022/06/15(Wed) 0:20:27 |
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あなたが、必要だった。**
(-7) 西 2022/06/16(Thu) 0:32:07 |
| [ 思考がまだ、まともに働く僅かな時間には 時々、考えることがある。 あの時の自分が 持ち得る側の人間だったとして 誰からも何からも 邪魔されなかった未来があったとしたら 俺も 誰かを────── >>27 ] (43) yukiyukiyuki 2022/06/16(Thu) 20:36:51 |
| [ 例えばそうだとしても 俺が生きるために何かを必要としていたか そんなものがあったかどうか。 >>28 ] (44) yukiyukiyuki 2022/06/16(Thu) 20:37:31 |
| [ 必要なものがあったとして、それが あなただったとは思えないけれど。 >>28 ] (-8) yukiyukiyuki 2022/06/16(Thu) 20:38:03 |
| [ 嫌悪、拒絶、どちらも。 >>!12 そうだな、そして、きっと恐怖。 素直な謝罪に辛うじて頬を歪めた。 ハーブティーが癒すもので コーヒーがそうではないもの >>!13 ただの色の着いた液体に ヒトが勝手に乗せた種分け、期待、願望。 さながらあなたはハーブティーだと? そんな気の利いた?クソみたいな? 言葉が出てくるなら、この場はナンパ足り得た? はは、馬鹿馬鹿しい。 あの時、手にできなかったのは ハーブティーではなくて コーヒーだったんだ。 >>!14 ] (!20) yukiyukiyuki 2022/06/16(Thu) 20:39:20 |
| [ ぴき、ぴし、と 氷や鏡のようなものにヒビが入る音がする。]
ずいぶん、上からだね。 ……大学の時、 俺が無理しているか否かを判断できるほど あなたと親しかった記憶は俺にはないけれど。
[ くす、と笑んで見せた。 上手く出来たかは置いておいて。 ]
(!21) yukiyukiyuki 2022/06/16(Thu) 20:40:57 |
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俺は、学生でいた頃に 大変だと思ったことはある。 ……けれど大変だったことはないよ。 そして、それは、 今も、かわらない。
[ ゆっくりと首をぐるりと回した。 ばき、ぼき、と骨が鳴る音が響いてくる。 ぐらりと回る世界。歪む。
吐き気と、吹き出す汗、 そして恐らく蒼白になっているであろう顔色が
今自ずから口にした言の葉が 正直なものでないことのあからさまな証拠。
そうさもちろん自覚はある。
ただしそれを認めるわけにはいかない。 ]
(!22) yukiyukiyuki 2022/06/16(Thu) 20:42:26 |
| [ しかしながら薄く脆く、ヒビが入った硝子は、 指先でそっと触れるだけで砕けてしまうもの。 あなたが意志を持って砕こうとしたのなら なおさら簡単に。 そうだねあなたも優秀な学生だったのだから。 彼女の手の中にある紙の束 >>!19の 表面に、己の名前。 塗りつぶされた持つ側の者の名前と 手書きで足された見慣れた文字列。 それを見た瞬間、ぶつん、と脳の扉を 絡めた鎖が引きちぎれる。 ] ……なぜ、 (!23) yukiyukiyuki 2022/06/16(Thu) 20:45:00 |
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[ 込み上げる嘔吐感と悲鳴。 飲み込もうとすれば、 喉からは車に轢き潰された蟾蜍の声。 ]
やめ、ろ
(!24) yukiyukiyuki 2022/06/16(Thu) 20:45:44 |
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思い出させないで
いまさら、なんの話を 聞きたいって言うの ぜんぶ、しってるくせに。
(-9) yukiyukiyuki 2022/06/16(Thu) 20:46:22 |
| [ 乾いた笑いが、溢れて。 ]
お前の心残りなんて知らない。
[ ハーブティーの香りが満ちる診察室が 狂ったOS罹患者に相応しい けたたましい笑い声で埋まる。 ]
古森さん……あぁ、違うな先生 前言撤回するかも知れないんだけど、 大変、だと認めれば、さ
(!25) yukiyukiyuki 2022/06/16(Thu) 20:47:35 |
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─── 殺してくれる?**
(!26) yukiyukiyuki 2022/06/16(Thu) 20:48:02 |
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