【人】 空腹な迷い人 レックス[ 人狼の娘の本を閉じてから。 また、一冊。もう一冊と、本を読むのが楽しくて ついつい長居をしてしまっていた。 鬼になってしまった妹を 人間に戻す方法を探しながら、鬼と戦う少年の話。 地獄の住人たちの日々を描いたブラックコメディ。 ついつい読みふけってしまうのは、 この場所が居心地が良いせいだろう。] そろそろ、帰らないと…… [ 読んでいた本を棚に戻した。 それから、個室に一度戻って、空の皿を手に取った。 カウンターに戻り] (18) kasuga_2jp 2020/09/15(Tue) 21:43:28 |
【人】 空腹な迷い人 レックスごちそうさまでした 美味しかったです [ 店員さんがいれば、そう声をかけて、皿を返した。] それじゃ、僕はこれで…… [ 元の世界に帰ろうと、踵を返す。 だが、ふと思い出して、振り返る。] もう、会うこともないかもしれないけど 折角、出会えたから…… [ 握手を求めるように、手を差し出した。] 僕は、レックス ――――君と同じ人ではないものさ [ 人食い鬼だけど、スキュラは食べないから安心してね。 手を握り返してくれたかどうか。 それは気にせずに、今度は振り返らずに。 入ってきたときは違い、 しっかりとした足取りで、扉を開いた] (19) kasuga_2jp 2020/09/15(Tue) 21:43:31 |
【人】 空腹な迷い人 レックス[ 扉を開くと、同時に鳴り響く鐘の音。 扉の向こうに、そびえ立つ館。 左右に広がる庭園。 左手に湖、右手に森。 固く閉ざされているはずの大きな門は、 "ゲーム"の参加者を、 受け入れるために、飲み込む為に、今は開け放たれていた。] (21) kasuga_2jp 2020/09/15(Tue) 21:43:37 |
【人】 空腹な迷い人 レックス[ 門の向こうに無数の 紅い蝶 が舞っている。それは、やがて人の形になる。 煌めく 金糸の髪 透き通った 海色の瞳 蘇芳に染まったドレスに、 黄金の刺繍 ゆったりとした豪奢なドレスを、 ふわりと揺らして、美しい魔女は、――現れた。 魔女は、優雅に微笑んで、ただ待っている。 おもちゃ "ゲーム"の駒が、その手に収まるのを。] …………僕が、僕のまま帰れたらいいな [ カツンと一歩。 扉の向こうに、踏み出せば、 ゆっくりと扉は締まっていく。 扉が完全に閉まる前に、 少しだけ名残惜しくて、振り返った。] (22) kasuga_2jp 2020/09/15(Tue) 21:43:39 |
【人】 空腹な迷い人 レックス――――さようなら、 [ 血生臭くない、穏やかな世界とはお別れだ。 最後に浮かべた微笑みは、少しだけ寂しさが滲んだ。**] (23) kasuga_2jp 2020/09/15(Tue) 21:43:41 |
【秘】 空腹な迷い人 レックス → やる気のないアルバイト でゅーーす[ 扉を潜るその背に聞こえた小さな声。 その声に、泣きそうになった。 だけど、なんとか堪えて、一歩踏み出した。 ――あぁ、それでも 込み上げる想いに、振り返った視線には、 寂しさが滲んで、それから笑った。] いつか、また――… [ 唇だけで、言葉を紡ぐ。 忘れないでくれて、ありがとう。 憶えていてくれて、ありがとう。 魔女の気まぐれで訪れた世界だけど、 束の間の安らぎを与えてくれた場所 決して、忘れはしないだろう。 ――――――僕が、僕である限りは、] (-67) kasuga_2jp 2020/09/16(Wed) 20:33:59 |
【人】 空腹な迷い人 レックス[ 想いは、力になる。 たとえ、魔女の力に敵わずとも。 繋いだ縁は、切れることなく。 それはいつか、形となって実を結ぶ日が来るだろう。 この身が、その日まで続いていれば……] (44) kasuga_2jp 2020/09/16(Wed) 20:34:02 |
【人】 空腹な迷い人 レックス[ ぱたり、と扉が閉まれば、元の世界に帰ってきた。 門の向こうで、魔女が待っている。 一歩、また一歩。 門に近づいて、門の目の前までやってきた。] ごきげんよう、麗しの魔女グロリア様 お初にお目にかかります 覗き見はずっとされていたようですが [ 含みたっぷりな挨拶をしながら、一応頭を下げる。 魔女は特に怒った様子もなく、 相変わらず優雅に微笑んでいるだけだ。 門をくぐるのを待っているのだろう。 大きく深呼吸をすれば、意を決して一歩、踏み込んだ。] (45) kasuga_2jp 2020/09/16(Wed) 20:34:04 |
【人】 空腹な迷い人 レックス[ 踏み込んだ瞬間。 足元から舞い上がる無数の紅い蝶。 優雅に嗤う魔女の声が、響き渡る。 思わず目をつぶって、両腕で顔を覆い、 一歩後ずさろうとしたが、そこにあるはずの地面はなく。 ふわりと身体が浮き上がり ――――そこで、意識は途切れた**] (47) kasuga_2jp 2020/09/16(Wed) 20:34:09 |
【人】 空腹な迷い人 レックス― 魔女の部屋 ― [ さらさらと落ちる砂の音がする。 頭の下に柔らかな感触がする。 それから――…] ん、んん……? [ 緩く瞳を開けば、見慣れない天井。 豪奢なシャンデリアが、キラキラと光を煌めかせていて それをぼんやり見つめていると、 急に視界に入ってくるものがあった。 白い髪に、頭の上に白い三角の耳。 無邪気な笑顔を浮かべた少女だった。] 『起きた起きた? 鬼さん、起きた? ミケはね、鬼さん起きるまで見張っててって 魔女様にお願いされたから、見張ってたんだよ!』 [ 猫の少女は、嬉しそうに喋る。 魔女にお願いされたということは、従者か何かなのだろう。 ゆっくりと身体を起こして、周囲を見渡す。 赤い絨毯に、黒に近い茶色の調度品。 何処かの貴族の部屋のような様相だった。] (51) kasuga_2jp 2020/09/17(Thu) 20:47:24 |
【人】 空腹な迷い人 レックスミケ、だったかな 魔女はどこにいるんだ? [ ソファに寝かされてたらしいが、 上等なソファのおかげで、身体は痛くはなかった。 猫の少女に魔女の行方を聞けば、不思議そうな顔をする。] 『魔女様は、いるよ! どこにでもいるよ!! 魔女様、魔女様、グロリア様! ね、そこにいるでしょう?』 [ ぴょんぴょんと、跳ねるように部屋を歩き回り 頭の耳を揺らしながら、愛らしく笑う。 その視線は、背後に向けられていた。 振り返るとそこには、いつのまにか――魔女がいた。] (52) kasuga_2jp 2020/09/17(Thu) 20:47:27 |
【人】 空腹な迷い人 レックス 『ミケ、言いつけを守ってくれたのね あとで、ご褒美をあげましょう』 [ 魔女は、甘い声で優しく微笑する。 猫の少女は、嬉しそうに飛び跳ねると、 そのまま紅い蝶に変わって消えてしまった。 その一部始終を、呆然と見つめていると 魔女は、こちらに向き直って、また嗤った。] 『さて、取引をしましょうか これは対価ではないわ、"取引"よ 私がお前に求めるのは、二つ』 (53) kasuga_2jp 2020/09/17(Thu) 20:47:29 |
【人】 空腹な迷い人 レックス― 庭園 ― 一つ、3日生き延びること 一つ、――ベネット・ロペスを、殺すこと [ 魔女が言った、二つの条件をぽつりと呟いた。 全ての季節の花が咲き乱れる庭園の中。 魔女との会話を思い出す。 条件を満たせば、 生死にかかわらず願いを叶えてくれると言う。 魔女の目的は、結局分からなかった。 だが、願いを叶えられるなら、それも些末なことだろう。] …………ベネットは、何者なんだ? [ 魔女が自分の手で殺せない相手。 その人物が何者なのか、魔女の口からは語られなかった。 ただぼーっと、花を眺めながら、 他の参加者たちが来るのを待っていた**] (54) kasuga_2jp 2020/09/17(Thu) 20:47:31 |
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