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【秘】 遊惰 ロク → 療育 クレイシ「だなァ」 心を擦り減らした看護師に笑いかける。 男が今、笑い顔の下に隠したのは怒りであり、憎悪であり。 ハッキリとした侮蔑だった。 ――笑わせる。大人はガキを守るモンだろうが。 嘗て守られなかった少年は胸中で吐き捨て、一つの決意をした。 「――可哀そうに」 嗤う。その拍子、十字架が揺れた。▼ (-2) 榛 2021/06/30(Wed) 21:40:05 |
【秘】 遊惰 ロク → 療育 クレイシ「――ガキの好奇心はこえェよなァ。 『あれナニこれナニどうなッてンダロ』、 ちいさくてやわこい体でどこにでもいっちまう。 お前サンもさぞかしタイヘンな思いをしてンだろォなァ。 言うこと聞きゃァしねェガキの面倒みてやって、 必死ンなってアチコチ駆けずり回ってやって。 ビャクエの天使サマだもんなァ、 ブジに見つかるまで気が気じゃねェわなァ」 「――ケレドモシカシ、探せど探せど見つからねェ。 溢れかえった水の中は探したかい? 崩れた土の下は? あァア、お前サンのせいだねェ。 ちいせェガキから目を離したお前サン。 言うこときかせらんなかった大人のお前サン。 齢七つのカワイイカワイイチサチャン、 キット今ごろ賽の河原で泣いてらァ」 「――優しい優しい天使サマ、 ハハ、フタをあけりゃァ鬼畜生ってか」 (-4) 榛 2021/06/30(Wed) 21:41:35 |
【秘】 療育 クレイシ → 遊惰 ロクまるで一つの石が水溜りの中に落とされたかのように。 「──。」 いっそ、いなくなってしまえばいいのに。 投げかけられた言葉にかき回され、胸の底に沈んでいた本音が、必死に抑えていた怒りや苦悩ごと浮き上がる。 「──、……い。……さい。 うるさい うるさい うるさい! 君に……余所者の君に、一体何がわかるッ!」 ▼ (-101) もちぱい 2021/07/02(Fri) 18:21:15 |
【秘】 療育 クレイシ → 遊惰 ロク「鬼か?畜生か?俺をそう罵るのなら、人を不必要に煽る君はとんだ悪魔じゃあないか! どうして君なんかが来てしまったんだ、アユミはやはり馬鹿なのか!?もう食料の備蓄だって底がつきそうなんだぞ!この穀潰しが!」 病院側の人間しか知らない事情を、葛藤を、躊躇いもなく吐き散らす。 さながらそれは外の川の如く。氾濫してごぼりごぼりと溢れかえって。濁りきった感情が、周囲を侵蝕し始める。 ▼ (-102) もちぱい 2021/07/02(Fri) 18:21:44 |
クレイシは、ロクの胸ぐらを掴み上げた。 (t11) もちぱい 2021/07/02(Fri) 18:21:53 |
【秘】 療育 クレイシ → 遊惰 ロクあまりに細く軽い青年の体をそのまま壁に押し付ける。 憤怒に満ちているようで、けれど少しつつけば崩壊して泣きじゃくってしまいそうな頼りない顔を近づけ、震える声をぶつけていく。 「チサが見つからないのは俺のせい?この状況は俺のせい?なあ、俺が悪いのか?必死に頑張った人間は、結果を出せなかったら悪だと罵られるしかないのか? チサが死んだのが見つかったら、それは、俺は、俺が…………、っぁあ、あぁあ、糞っ、畜生……ッ」 一方的に吐き捨てて、手を呆気なく離す。それから濁りきった瞳は青年に向けられることなどなく、看護師は頭を掻きむしりながら踵を返してその場を後にしようとするだろう。 (-103) もちぱい 2021/07/02(Fri) 18:23:36 |
クレイシは、血の気の引いた顔をしながら病院内を彷徨う。子供の名前より、呪詛を吐く数が増えていく。 (t12) もちぱい 2021/07/02(Fri) 18:28:51 |
【秘】 遊惰 ロク → 療育 クレイシ ――あァ、やっぱり食いモンは足りねェンだなァ。 吐き散らす目の前の看護師を眺めながら、 男が考えていたのはそんなことだった。 「ッ、…………グ、」 手を伸ばされた一瞬、ビクリと肩が跳ねる。 掴まれ浮かされるより僅かに早く爪先立った様子からして、 男にとってその行為は不意打ちでは無く、 さらに言えば慣れたものだったのにも関わらず。 クロスグリ色の瞳に滲んだのは間違いなく怯えで、 それは意識の外、身に染みつく恐怖が招いた反応だった。 けれども一つ瞬いて直ぐ様消してしまう。 運が良ければ見間違いで片づけられる程度には素早く、 然し運が無ければシッカリ伝わる程度には顕著な感情を。 壁に叩きつけられた頃には、スッカリと消え失せ――▼ (-105) 榛 2021/07/02(Fri) 19:50:58 |
【秘】 遊惰 ロク → 療育 クレイシ 嗤って、男からぶつけられる言葉をアッサリ聞き流した。 ――――そののち。 自由になった喉でケホ、と一つ咳き込んで。 直ぐにも立ち去ろうとする看護師の背中に問い掛ける。 「ン? ハハ、お前サン。 どうしてそンなに怒ることがあンだ? なンの謂れもなく罵られちまったからかい? 心にもねェことをわかったように騙られたからかい? ――それとも図星つかれちまったからかい」 その背が遠のいてしまわぬうち、矢継ぎ早に畳み掛ける。 「死んでほしくねェのは誰のためなんだろ。 ブジに見つかってほしいのは? 怪我のヒトツもしねェでいてほしいのは? ちいせェやわこい、チットモ可愛げのねェメンドウな子。 おっちんじまったら困るのはイッタイ全体誰なンだろ」▼ (-106) 榛 2021/07/02(Fri) 19:59:19 |
【秘】 遊惰 ロク → 療育 クレイシ ――不意に、ふ、と表情を和らげてみせる。 背を向けた男にはこの顔が見えぬかもしれない。 声の調子を穏やかに整えて、上っ面の同情を語りかける。 ここまで聞かせにゃ、煽りに煽った意味が無い。 「なァんて――お前サン、カワイソウになァ。 このままじゃァこんなひでェことばっかし言われちまう」 「誰にも罵られねェ、たったひとつのやり方。 ――教えてやろうか」 其れはきっと、蛇の声。 (-108) 榛 2021/07/02(Fri) 20:08:11 |
【秘】 商人 ミロク → 療育 クレイシ習慣というものは、いつの間にか身についている者ですから。 あなたが意識してもしなくとも、脳の中には残っています。 たとえば、そう。 よく遊びに来ていた猫だって。 あなたに懐いていたわけではありません。 ただ、ここにくると、食事がもらえました。 もらえない日もありましたが、暖かい部屋がもらえました。 寝床がもらえて、やっぱりたまに、食事がもらえました。 だから、来るんです。 期待を、するんです。 だから来ない日は、習慣でなくなってしまったか。 新しい習慣がついたのでしょう。 ▼ (-111) toumi_ 2021/07/02(Fri) 20:34:53 |
【秘】 商人 ミロク → 療育 クレイシ何日も、何日も、来ませんでした。 嵐がやってきました。 その日も来ませんでした。 あなたが子供を探している間にも、現れず、 例の場所をあなたは訪れたでしょう。 その日の、その時間、その場所で。 黒猫の代わりに立っていたのは私[一人の男]でした。 そこは、私が立つには違和感のあるような場所でしょうか。 裏口なら他人が来るような場所ではありませんね。 田んぼの近くなら雨の中で何をしているのでしょうね。 私の足下には猫の亡骸がありました。 黒い猫でした。よく見なくとも、脚が欠けていてました。 私はそれを見ていました。あなたがやってくるまで。 (-112) toumi_ 2021/07/02(Fri) 20:37:59 |
【秘】 流転 タマオ → 療育 クレイシ 何処かの廊下。ころん、あなたの足は何かを蹴って転がした。大きなびぃ玉よりも一回り二回り大きな球体が、ぽつぽつと赤い跡を床につけてゆき、そして見えなくなった。 ──それは、人間の眼球だった。 ほんの一瞬だけ視界に入った翡翠は、血に濡れてなお現実離れした鮮やかさを保っていた。誰のものかはすぐに思い当たるだろう。 何処を探しても翡翠を閉じ込めたそれは見つからない。血の跡も気付けば綺麗さっぱりなくなっていた。怪奇現象に遇ったか、狐に化かされでもしたかのようだ。 (-169) Vellky 2021/07/03(Sat) 22:51:38 |
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