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【人】 アーレンベルクの書魔道を志す者にとっては 切っても切れない関係である魔力源。 その量は生まれ持った素質に左右されると言われ、 血統により多少の偏りはあるものの完全な遺伝はしない。 手っ取り早く得る方法は“相手を殺害する”事。 人を統べる王は高名な魔術師であればあるほど、 その豊富な魔力を狙われるのが常だった。 この世界における革命に慈悲や妥協は有り得ず、 統治を誤れば地図上に命を散らすのが乱世の定め。 其れでも人々は支配者を求める。 群れを率いる完全な王を打ち立てては崇め、 自らの神であるかの様に慕う。 故に王は更なる力を欲し、 より上質な器を作り上げる為に 残忍で凄惨な世襲制度から脱却出来ない儘でいた。 (38) のーまん 2020/11/29(Sun) 2:26:05 |
【人】 アーレンベルクの書代替りは指折りの忠臣を証人とし 王宮の庭園にて執り行われる事となった。 若獅子が国土に入って間もないその日、 彼の護衛役にして騎士団長であるサー・アルベルタが 嚴めしい両手剣を抱えて庭園へと降る。 崩御の瞬間まで正当な皇帝である父は、 跪かなければ頭を垂れることもない。 その上で斬首用の得物を選んだのには、 罪人でなくとも安らかな慈悲を与えるという意図が 含まれている────という説が一般的だ。 (40) のーまん 2020/11/29(Sun) 2:27:06 |
【人】 アーレンベルクの書実母の鮮血を被って生まれ落ちた皇子は、 実父の血を浴びると同時に『王』と成った。 先帝の崩御を告げる鐘が町中に響き渡り、 道を往く誰もが足を止め、王宮へ向けて祈った。 誇り高き国民は皆、返り咲く時を待ち侘びている。 両腕に預けられた首を棺桶にその手で納め、 拾い上げた剣を大地に突き立てて 彼は皇帝として初めの命令を降す──── (46) のーまん 2020/11/29(Sun) 2:31:02 |
【人】 アーレンベルクの書帝国歴720年 風の月8日 先帝ヘルマンの“急逝”は周辺諸国にも伝わったが、 同時期に起こった帝都からの中央軍出兵は 公国領において大混乱を引き起こした。 平原に居城を構える公国諸侯アリン家は 充分な武器と人手を揃える暇もなく戦争に突入する。 後の世に『獅子戦役』と謳われる闘いの幕開けであった。* (48) のーまん 2020/11/29(Sun) 2:32:30 |
【人】 『ブラバント戦記』アズール平原の豊かな穀倉地帯に軍靴が響き渡る。 二万の軍勢を率いた新皇帝は無人の大地を瞬く間に駆け、 アリン家の構える居城へと迫った。 展開された公国側の兵は軒並み猛者と呼べるものではなく、 優秀な騎士団の前には為す術もない。 新兵を前線に立たせて稼いだ時間を用いて、 アリン家当主ジョセフは籠城作戦を企てていた。 帝都から遠乗りで一週間足らずの平原に位置する城は 強固ではあるが、安全に脱出する手段がない。 諸侯からの応援と補給を絶たれた彼等が 喉元に喰い付かれるのは時間の問題だった────…… (66) のーまん 2020/11/29(Sun) 17:13:43 |
【人】 『ブラバント戦記』赤く揺らめく 焔 。アーレンベルクの御旗に画かれる獅子が抱くもの。 夜の闇に新星の如く猛火が上がる度、 各地で人々は武器を取り、軍勢に加わった。 彼等はシェーンシュタインの雨以降、 滅ぼされた主君に与していた者共として領土を奪われ 国土の隅に追いやられたかつての戦士の末裔だった。 簒奪者を討ち滅ぼす焔を合図とするかの様に、 軍勢はより長大な列を成す。 今こそ新たな名君に剣を預け、雪辱を期す時。 (68) のーまん 2020/11/29(Sun) 17:14:55 |
【人】 『ブラバント戦記』『要塞を落とすには、敵の三倍の兵が要る』 高名な指揮官の言葉通りの戦力は帝国にはない。 各地で蜂起した戦士達を加えても尚、足りなかった。 跳ね上げられた橋、固く閉ざされた門。 静止の命令を受けた兵士達が沈黙を守る中、 分厚い人並みを割いて一頭の騎馬が前に出る。 腰に提げた剣を抜き、彼は号んだ。 (69) のーまん 2020/11/29(Sun) 17:15:13 |
【人】 『ブラバント戦記』Ein Arenberg zahlt immer seine Schulden────『 獅子は必ず借りを返す 』 集いし者全てが声を揃えて繰り返した時、 濠の対岸に降り注いだのは赤い 雨 祖先を虚ろなる王へと変えた夜宴の意趣返し。 (71) のーまん 2020/11/29(Sun) 17:16:29 |
【人】 『ブラバント戦記』包囲突破作戦の折、アリン公は 最後の一人となる覚悟で戦い抜いたと云う。 物量で上回っていた彼の敗因を分析する学者らは 奇襲、準備期間、地理……と様々な要因を挙げるが、 最大の理由は“相手が悪かった事”に尽きた。 居城の広間にて捕えられた当主ジョセフは 死の間際まで皇帝を避難し続けた。 『宣戦布告を行わなかった卑怯者』 『青二才なんぞに命乞いはしない』 『貴様の様な男は卑しき魔物同然』…… (98) のーまん 2020/11/30(Mon) 9:20:59 |
【人】 『ブラバント戦記』アリン家滅亡の報せは公国諸侯にとって 十分過ぎる事実上の脅迫になっただけでなく、 其の衝撃性から遠方に至るまで知れ渡っては 異常な求心力によって各地の統治環境を狂わせた。 文字通りの火と血の雨を降らせた闘い振りは噂になり、 真の王の訪れを信じた人々が領土に溢れる。 彼をテリウス大陸全土の王と謳う者さえ居た。 アリン家が納めていた集落は『解放』されたが、 新皇帝は略奪や徴収を決して許可しなかった。 (102) のーまん 2020/11/30(Mon) 9:23:33 |
【人】 『ブラバント戦記』緑樹の葉が落ちる頃には国に戻り冬に備える。 冬支度をし、暫くの平穏に息をつく事が出来るのは、 この国の深く積もる雪の功績でもあった。 同時に敵には充分な時間を与える事になる。 次の攻撃はこれまでの様には行かないだろうと、 世論も議会も721年度の計画を慎重に練っていた。 侵攻を恐れた近隣諸国から舞い込む無数の交渉。 金品や栄誉にまるで興味を示さない帝に、 女ならばと実の娘を投げて寄越そうとする王族。 仇ですらない彼等の憂慮は的外れであったが、 皇帝はいつしか供物として捧げられた女達の中から 一人を選んで妃として迎えた。 (104) のーまん 2020/11/30(Mon) 9:24:33 |
【雲】 学匠の手記七年に及ぶ研究の甲斐あって、 遂に帝に献上が叶う出来栄えの秘薬が生まれた。 芥子、麻……その他様々な原料を混ぜ合わせたこの品を 『夜の翳り』と呼ぶ事にする。 凱旋されてからというもの、 陛下は不調続きであらせられる。 戦により経済が活性化したのは良い兆候だが…… 既に冬が訪れたが、城下では流行病の報せが出ている。 万が一にも陛下が罹患でもなされたら大変な事だ。 よく眠られる様に我々が手を尽くさねばならない。 赤子の頃から陛下を密かに見守って来たが、 少年にして既に不眠症を患われていた。 あれは恐らく……根本的な解決まで至るには 国中の解呪師を掻き集めても不可能なのだろう。 そういった類のものだ。 (D0) のーまん 2020/11/30(Mon) 17:42:41 |
【雲】 大臣の手帳我らが王は真実を見抜く力に長けておられる。 先日も仰せつかった通りに議員を問い詰めた所、 やはり公国に金を握らされた工作員だった。 これで投獄された政治犯は三桁に及ぶ。 陛下曰く、解っていて泳がせたとの事だが そう顔を合わせる訳でもない議会の連中を 如何にして見極めているのだろうか。 旧い付き合いであるあの学匠であれば、 何か秘密を知っているのかも知れないが。 下手に探れば次に飛ぶのは私の首かも知れない。 私は粛々と裏切り者を裁くだけだ。 (D1) のーまん 2020/11/30(Mon) 17:44:48 |
【雲】 侍女の日記先日毛布をお届けに寝室へ向かった所、 夕餉がまだですが既にお休みになられている様でした。 しかし微動だにされなかったので不審に思い、 近付くとどうやら呼吸をしていないのです。 まるで毒を含んだかの様に……息を詰まらせて。 わたくしは慌てて揺り起こしてしまいましたが、 陛下はお気付きになると感謝を述べられました。 曰く、ここの所ずっと眠りの質が悪いのだとか…… 前の廊下を通る際にも、何やら呻くような声が 部屋の中から聞こえた気もします。 やはり戦争が陛下を変えてしまったのでしょうか? (D2) のーまん 2020/11/30(Mon) 17:45:29 |
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