【秘】 8435 黒塚 彰人 → 7734 迷彩 リョウ はじめに声になったのは、やはりというか。いつもの相槌。 「そうか」という三音節の無関心。 指の股を白色がすり抜ける。語ることが真実ならば、これが柔らかい少女のものであった頃があるのだろう。己と同じ色だったことも、また。 不便だな、と思う。それ以上はなかった。 「……お前の母親は、お前を生かそうとしたんだな。 母親にとって、首に縄をかけるだけの価値があった」 愛だったのだろう。他人の皮を被ったこれを、我が子と思えた程度には、恐らく。 それならば、いいことじゃないか。それ以下でも、なかった。 (-207) 榛 2021/09/22(Wed) 20:23:28 |
【秘】 8435 黒塚 彰人 → 7734 迷彩 リョウ 腰に添えた片手で身体を支え、前髪をやわく指ではらい。覗く朽葉色と視線を合わせる。 仕草だけは慈しむようであるのに、男の瞳にそんなもの、欠片もありはしない。 浮かぶのは、蔑み、嘲り。 無関心の裏に隠れた、間違いがちろりと顔を出す。 「お前、報いてやる気がないんだな」 ふ、と息を漏らし、口の端が自然、持ち上がる。 はは。乾いた笑声が室内に溶ける。 事に及んだのちにあるべき甘い空気など、この部屋のどこにもない。霧散するまでもなく、はじめから。 男の指先が耳元を擽り、頬を掠め、顎をつ、となぞって、 「それなら、今ここで死んでも同じだろうに。 ――――なあ、そうは思わないか。リョウちゃん?」 ……細い首へ辿り着く。男は、笑う。きっと、嘲笑っていた。 (-208) 榛 2021/09/22(Wed) 20:28:02 |
【独】 8435 黒塚 彰人/*おかしい こんなはずでは おかしいよ どうして??????????? どうしてわたしは リョウちゃんにこんなことするロールを?????????????????????? どうして??????????????????????????? (-211) 榛 2021/09/22(Wed) 20:43:12 |
【赤】 8435 黒塚 彰人 投げ返された端末を掴み損ねる。 ごと。指先で弾かれて、床へ落とされた。 「――……何かあったか。良い事でも」 拾い上げ、画面を確認しながら尋ねる。 視線も寄越さずに放られたそれは、どう考えても皮肉だった。 (*2) 榛 2021/09/22(Wed) 21:07:19 |
【独】 8435 黒塚 彰人>>*2 画面の中、投票先は目の前の少年を示していた。拾い上げた拍子に触れでもしただろうか。 あながち誤操作でもない気分だったので、放置した。 /*投票→3839 南波 靖史 (-217) 榛 2021/09/22(Wed) 21:10:22 |
【秘】 8435 黒塚 彰人 → 4432 貴戸 高志 少年の姿を認め、声をかける。 場所は、廊下かもしれない。食堂の片隅かもしれない。 あるいはどこか、別の場所でもいい。 とにかく、そこにいた少年に声をかけた。 「高志」 ひとつ確かなのは、この男の言動に遠慮が見られないこと。 こんな企画が始まる以前、いくらかの交流があったのなら、それと変わらないだろう。 黒塚は、同い年である数名の少年相手には案外ざっくばらんに接していた。大人たちが、親しさと見まがう程度には。 「相手になってくれるか」 つかつかと歩み寄る。ゆるく首を傾げ、囁きを吹き込む。 ――――課せられたノルマ、それに満たない。 相手を探していた。偶然に目に映った。それだけの理由だった。 ひとまずのところ。 (-222) 榛 2021/09/22(Wed) 21:41:03 |
【秘】 8435 黒塚 彰人 → 7734 迷彩 リョウ 冷えた両手は、喉元へと簡単に到達することだろう。 引き換えに、男の指先に少しばかり、力が籠るかもしれないけども。 「へえ、身体が要るのか? 『同じ』になりたいんじゃなかったか、お前」 互いに首へ手をかけあって、それでも、なお。薄っすらと笑みを浮かべて語りかける。 間違いなく、少年を揶揄っている。 ……この男には、いくつかのどうしようもない悪癖があって。 そのうちのひとつは、加虐癖だったりする。 (-231) 榛 2021/09/22(Wed) 22:48:43 |
【秘】 8435 黒塚 彰人 → 7734 迷彩 リョウ 喉元、痛みが走って。わずか、じん、と脳が痺れる感覚。 「……強がりが上手だな、リョウ」 少年の首から不意に外された手。 するりと肌の上を滑って、左胸にひたりと当てられる。 ト、トッと指で薄い胸を叩く。脈打つ音と同じ間隔、逸る鼓動を教えてやるように。 あるいは、何事かを考え込んでいるときのように。 (-283) 榛 2021/09/23(Thu) 19:29:16 |
【秘】 8435 黒塚 彰人 → 7734 迷彩 リョウ 唐突に。ぴたりと指の動きを止める。 人差し指を浮かせ、感情を隠した口から単調な声を吐く。つまるところ、普段の調子。 「お前の欲しいものは分かった。手に入るといいな」 言って、あっさりと少年の腕を退け、あしらい。床に足を下ろす。 彼が抵抗したのならば、ベッドに叩きつけるくらいのことはしたろうか。 のちに引き摺らない程度の、侮りすら窺える力だったろう。 立ち上がると、ずっと低くにある小さな頭へ手を置いた。これまでのどんな時より、自然なしぐさで。 それから「風呂に入れよ」と、場違いの言葉と掌を浮かせて出入口へ向かう。かちゃ、きぃ、ばたん。内鍵をまわし、扉を開け、閉めた音。 纏わせたままの上着だけを残して、男は振り向かなかった。 (-284) 榛 2021/09/23(Thu) 19:32:46 |
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