【人】 娼婦 セツナ慣れ親しんだ街は、それは酷い様相だった。 私は向かう。あの宝の元へと。 愛しいあの人が願ったあの力の元へ。 一振りの小太刀を手にしながら、けれど、目立つように走るのではなくて、物陰から物陰へ、隠れるように、逃げるように。 欲望を抑えられなくなった人間は恐ろしい物だ。 ただでさえ、その欲を受け止めて暮らしの糧を得ていた私だが、それだって耐えられないと思う時はあった。 娼婦なんて弱いもの。 換えの効く欲望の吐口の最もたるもの。 首を絞めるのが好きな男がいた。 髪を掴んで手綱のようにして犯すのが好きな男がいた。 前戯もろくにせずに痛がるのを好む男もいた。 締まりが良くなるからと尻を叩く男も。 そんな男たちが欲を曝け出したなら、此方は殺すつもりでないと勝てないだろう。 私の力は決して強くない。 だから、逃げて逃げて、この機会に得る物を得て、そうして飛び出すつもりだったのだ。 飛び出して、あの人の元へ。 (80) もくもく 2022/11/08(Tue) 22:02:57 |
娼婦 セツナは、メモを貼った。 (a16) もくもく 2022/11/08(Tue) 22:05:24 |
【人】 娼婦 セツナ── 夕方:北西の路地にて ── 死体なんて気にしていられない。 此方が被害者にならないよう、そればかりを気にしている。 だから、転がってる死体には目もくれなかったし、今気になるのは目の前の男のことばかりだった。 ここで見てしまって、いきなり掴まれるかもしれないのだ。 いきなり犯されるなんてものは良い方で、そんな事は毎日やられている。 想像もできないようなえぐいことを強要されたら。 死んだ方がマシと思うようなことをされたら。 そう思うと、男の存在を確認した時、どうしたってその危険性を確認したくなっていた。 いきなり殺せなかったのは、自分の中に残る人の理性というものだろうか。 (99) もくもく 2022/11/09(Wed) 20:54:24 |
【人】 娼婦 セツナ「べとべと? 毒?」 >>96悲鳴をあげたかと思いきや。 物騒なことを口にする男を訝しむ。 どうして毒なんて纏っている? 見たところこの怯える男は、欲望を隠すための赤い布は身につけていないよう。 とすると、これがこの男の欲望? だとするとうわあ、と思わずどん引いた。 よく考えればこれがこの男の、種としての特徴かもしれないと思い痛れたかもしれない。 しかし、今は非常事態。 そこまで冷静に考えつくことができず。 「毒浴びるなんて…変態…?」 その毒を自分で浴びている分には良い。 けれど、いつそれが「君もどう?」となるか分からない。 道を明け渡すという男に油断なく切先を向けながらじりじりと背を向けずに横を通り過ぎようとする。 此方に攻撃してくるなら許さない。 少しでもおかしい挙動を見せれば、その切先は彼の肌を裂くだろう。 (100) もくもく 2022/11/09(Wed) 20:54:53 |
【人】 娼婦 セツナ「近づくだけで人を殺すような毒をまとって 平気なのは種族のこともあるでしょうけど …気持ち悪い。」 それは、ほとんど独り言。 吐き捨てるようにつぶやいた言葉が苛立ち紛れに零れ落ちる。 あの毒は接触したら? 吸い込んだら? 摂取したら? どんなふうにきいてしまうのだろうと思うと、その危険性に鳥肌が立った。* (101) もくもく 2022/11/09(Wed) 20:55:13 |
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