人狼物語 三日月国


79 【身内】初めてを溟渤の片隅に【R18】

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【人】 とある書物



   甘くても
   ちょっと苦くても、

   たいせつな 想い出 ──────

 

(0) 2021/06/20(Sun) 0:00:00

[ がつがつと余裕なく貪り口付ければ、
鼻から抜ける吐息混じりの。
声は低く、甘く。
鼓膜から脳髄を溶かすように響く。

呼吸ごと奪うように弄っていた舌が吸われ、食まれ、
ぞくりと欲が迫り上がる。
混ざり合った唾液を飲み込む彼の喉の動きにさえ
どくんと心臓が激しく鳴いた。
噛みつきたい衝動を、レンジの電子音のせいにして
どうにか押さえて。 ]
 


[ 余裕なんてあるわけない。
余裕あるフリすら出来ない。
二日すらモたない、お前の空気を吸わないと
息ができない、なんて。

見透かされているように撓む目元に負けた気がして
眉間に皺を寄せてちょっと睨む。
熱と欲を携えた瞳では、きっと迫力など
ないだろうけれど。 ]
 


[ 腰に触れていた手がするりと滑らかに動いて
後頭部を包む。
傾げられた首、浮かぶ笑み。
余裕の無い自分を嗤うような表情で囁く熱っぽい声、
おいそれはずるいだろ─── ]


   ─── ん、 ッ……


[ 忘れる筈のない、あの日と同じような
頸動脈にじんと重い圧迫感。
引き寄せる力の強さ。
荒い吐息と、あられのない水音。
飲み込むタイミングを失った唾液は唇から顎へ
伝うだろうか。
それでも離してもらえそうにないなら、
こちらからも整った綺麗な歯列、
裏側から口蓋をも丹念に探る。 ]
 


[ あの日と違うのは、自由を得た己の右手が、
同じように彼の頸に触れること。
柔らかな髪が、指の間を擽ること、
名前を呼ばれると甘い痺れが脊髄から
脳へ駆け上がって、
自分のものじゃないような声が漏れること。


押し付けられ布地越しに感じるお互いの兆し。

酸欠でくらくらしそうなほど繰り返し贈られる
口付けが、ようやく少しずつ落ち着きを取り戻し、
後頭部の掌の力が緩んだ。 ]
 


   ……ッ、は、───


[ 肩で息をしながら唾液を飲み込む。
ゆっくり瞼を開いて見つめればその瞳は
興奮の灯を灯したまま、潤んで、微笑んで。

力の入らない手を彼の頸からそっと動かして、
その唇を親指で拭う。
そのまま自分の唇も拭った。 ]
 


   っ、 なっ……


[ ごちそうさま、とどこか楽しそうに
語尾の上がる言葉に思わず絶句して。
それでも、わずかに離れた身体が惜しくて。]


   ─── わかってるくせに
   Two winsのベーシストは意地が悪りぃ。


[憎まれ口をひとつ。
己の口はぎこちなく動く。]
 


[ 意地っ張りで素直になれないはずの自分が、
珍しく曝け出す本心。
寝不足のまま空きっ腹に煽った鎮痛剤のせいか
下半身で主張する欲望のせいか、

どうにも溢れて止められない想いのせいだろうか。]



   ずっと、先に進みたくて、
   ……前から聞こうと思ってた。

   けど、お前、どうしたい?
   ……その、あー……


[ 言葉に詰まって彼の髪をぐしゃ、と掴んだ。
大事なタイミングでまたピーピーレンジが鳴って、
うるせぇな!と八つ当たりを投げた。]**
 


[唇から溢れて、落ちて、伝う、互いの唾液が
 白い首筋に見えて、ぞくぞくする。
 余裕なんて、ない。
 本当ならこのまま、全てを味わいたい
 そんな欲を抑えて、笑んだ。
 飯を食うと先に言ったのは、彼だから。
 食う気ないだろ、といいたくなるほど、
 熱っぽく応えてくれたことは、まあ、さておいて。

 だって、その親指が唇に触れるだけで。
 拭ったそれで、彼の唇が拭われるだけで
 どきどきして、下腹部に血が集まるのがわかる。
 だけど、理性をなくしたいわけじゃない。
 だから、その身体を離したのだ。

 ごちそうさま、と弾んだ声をなげれば
 不服そうに、憎まれ口が飛んでくる。
 それすらも愛しくて、破顔した。]

 




   ふは、 そう?優しくしてるつもりだけど


[そう、目を細めるのに。
 ぎこちなく続けられる言葉に、簡単に心臓は打って
 目が開いて、一瞬揺れて。
 伸ばした手が、彼の髪に触れて、梳く。]


   ───…うん


[珍しく曝け出された彼の欲に、
 茶化すという選択肢がなかったわけでは
 なかったのだけれど。でも、それは、
 素直に嬉しくて。愛おしい、から。
 言葉の続きを促すようにじっと見つめると、
 半ばしどろもどろになりながら、羞恥を微かに浮かべ
 ゆっくりと選ぶように紡がれる言の葉。
 迷うように、なんていったらいいのかわからない、と
 それだけはあからさまに。

 最後の最後、八つ当たりするみたいに電子レンジに
 怒鳴って締め括る彼に、また、笑んで。]

 




    …おれは、触れられるなら、それで。
    どっちでも。雨宮の好きにしていいよ。
    こんな図体のでかい俺ですけど。


[少しだけ離れた身体をそっとまた寄せて、
 両手を彼の腰に回し、そのまま組む。
 背中を曲げて、窺うように、見上げれば。]
 


[ 細く、柔く、撓む目元。
太い四弦と共にある指が、毛足のぱさついた
己の髪を梳く。
楽器を奏でるような優しい手つきが妙に心地良くて
目を伏せて凭れかかり、そっと頭の重みを預けた。

茶化されるかな、と内心思っていたけれど。
そんなことはなくて、伏せた瞼を持ち上げれば
静かに頷いてこちらを見つめる瞳が、
ほんのすぐ近くで、
やっぱり、綺麗で。 ]
 


[ やり場のない感情を八つ当たりで電子音に
ぶつければ、また穏やかな笑みが降る。


好きにしていい、
なんて。

懸命に紡いだ言葉に、あっさりとそう返されて、
顔が熱くなるのが自分でもわかる。]


   ……優しくは、ねぇな。


[ むぅ、と唇をへの字に結んでそう言えば
またひとつ、距離が近くなった。
背に回された両手が組まれて
己とてさほど小さくはないはずだけれど、
不思議にすっぽりと収まってしまう。

包まれた腕の中、心臓が跳ね回って、痛い。]
 


[ 長い身体を折るように曲げて
下から見上げてくるのは、
広い海のように穏やかな双眸。

瞬きもせずに見下ろし見つめ返せば
出会ったころから変わらない、煌めき。

ガキ臭い己のアップダウンを受け止めてくれる、
いつだって荒んだ心が凪いでいく。

そしてそのたびに、甘えているなぁと思う。


己は彼に、なにを返せているのだろうか、と。
 ]
 



   ……っ、───!


[ 小さく、低く、
色と艶と、甘さと毒と。
いろんなものを含んだ声が、脳を直接嬲る。

ぞく、と背中を震えと汗が伝った。


彼のニーズや欲求を、何より優先したいと思う。
他の人には感じたことのないそんな気持ちが
彼にだけは湧いて溢れて、ブレーキが効かない。

なのにあっさり選択権が手渡されて、息が止まった。]
 



   ……ず、っりぃな、ぁ───


[ 絞り出した言葉に呼応するように身体中が熱い。
きっと赤に染まってしまった顔も耳も、
隠すように彼の胸に押し付けて、伏せた。

窓から、明るい陽が差し込んでいる。
きちんと整えられたベッドを、ちらりと目で追った。]
 


――――――――


    ふふ、やっぱり美味しい、ですね


[ 潤さんが洗い物を終わらせて
  二人でグラスを傾けていると幸せだなあって
  そんな気持ちが溢れてくる。
  すり寄るようにぴったり横にくっついて ]


    潤さん、
大好きです



[ ふわっと笑って言えば
  いつの間にかグラスは空になっていた。 ]**

  


 
[弦よりもずっと細くて、柔らかな髪。
 そのぱさつきさえも、肌を撫でると
 くすぐったくて、心地いい。

 かかった重みに彼の熱を感じて、愛おしさは増す。
 じっと見つめながら、本心として、
 答えを告げれば、その唇がへの字に曲がるから
 かわいらしくて、触れるだけの口づけを。
 そのまま背を折って見上げれば、
 瞬き一つせず、じっと見つめ返してくる瞳。]

 



[もしも、その思考が読めたならば、
 返すものなど、必要ないと告げただろう。
 己とて、彼に与えられてばかりだと、
 そう思っているのに。

 あの日、彼と共に奏でられた音楽。
 同時に知ることができた、己の気持ちと
 今こうして、共に歩んでくれること。
 何もかも、全て、彼がいたから。

 いまだって、この幸せは、己の人生における幸せは
 雨宮、お前がいてこそなんだ、と。]



 


[低く、甘く、問いかけた言葉に、
 彼の息が詰まって、それから、WずるいWと
 紡がれるから、目を細めた。

 そう、俺はずるい。
 ずるくてもいい。ただ、雨宮の欲しいものが
 与えられたら、それがいい。
 もっと依存して、もっと、俺に落ちて。
 離れるなんて、考えられないくらい。

 触れる形なんてどうだっていい。
 彼を、この腕の中に閉じ込められるなら。]
 


[真っ赤になった耳の淵を撫でようと腕を
 ほどきかけたそのとき、彼の喉が震える。
 胸に押しつけられる額。
 半ば懇願するように響いたそれに、
 どく、と心臓が一つ打った。
 微かに、付け足された言葉が空気を震わせる。]


   ───わかった


[萎えるわけない、と言ったところで、
 信じてもらえるか定かではない。
 間違いなく、萎えることはない。
 そんなこと、わかりきっている。
 そうじゃなければ、欲情もしない。

 けれど、続いたそれに、こくりと唾を飲む。]
 




   ───俺は、

   雨宮に触れられるなら、
   どんな形だってうれしいよ。

   ただそれは、雨宮が望んでくれる形がいい。

   …それは、わがままかな。


[そう、あくまで優しく、問いかけて。]

 


[ ずるい、と、駄々っ子のように責めても、
変わらず穏やかに細められる瞳。
焦れて焼けつくほどに、愛しい。

ライブできゃーきゃー言われていることにも
嫉妬してしまうほどに、とっくに堕ちて、
求めているのに。


本当にずるいのは、きっと自分のほう。 ]
 


[ わかった、と言う声と、ほんの少し緩んだ手の隙間。
身体を捩る。
右腕を動かして、己の左肩を掴んだ。
自身を抱いて、まるで肌を隠すように。


極力人目に晒さないようにして過ごしてきた。
傷も、心も。
そういや林間学校で風呂に入ったなと思い出すけれど、
今あの頃より彼はずっと近くて、

だからこそ、怖い。
 ]
 


[ 乙女かよ、頭の中で嘲る声に、
わがままかな、と優しく問いかける声が重なった。
目を見開いて小さく、首を振る。 ]


   ……目が、覚めたら、
   大事なもんが、急になくなってんだ。
   俺は、それが怖い、

   お前もいつか、
   居なくなるんじゃないか、って


   求めて、萎えられたら、ってびびってる。


   ……ずるいのは、俺だな。
 


[ 俯いたまま、訥々と口を動かして紡ぐ本心。
応えるようにとん、とん、と背中に軽い振動。
あくまで優しい声は、形が見えるほど
凄艶でさえあった。 ]


   ─── 俺も、おんなじ。
   けど、いまは、


[ すう、と息を吸い込んだ。
首元のシャツのボタンを、ひとつ、外して
ゆっくり、顔を上げる。 ]
 


[
だ、い、て、く、れ、
 と、

唇だけを動かした。

笑ったつもりだったけど、
きっととても情けなく崩れた表情で。]**
 


[嫉妬の話がでれば、そんなものキリがない、と
 いくつだって挙げることができる。
 林間学校の時のキスだって───
 ああもう、あれはなんか、あのあと
 小っ恥ずかしいからやめよう。
 
 彼の手が触れる、その左肩に、腕に、
 残る傷をきちんと直視したことはない。
 きっと、あまり見られたくないだろうと
 勝手に思っていたし。
 体育の授業の更衣室なんかでも、
 目を逸らしていた。
 ただ、今は、今からは───]

 



[腕の中の彼が、小さく首を横に振る。
 続いていく言葉は、ただ黙って聞いて。
 「ずるいのは俺だな」と一度締められたそれに、
 開きかけた唇はなにも言葉にすることなく、
 そのまま、背中をとんとんと叩いた。

 ずるいのは、俺だよ。
 だって、どうしたって聞きたい。
 心の中では決まってるくせに。
 どっちでもいいって言いながら、本当は
 雨宮のこと、思いっきり抱いて、俺のものに
 してしまいたいっておもってるくせに。
 それを、隠して、それでもなお問いかけるのは、
 彼が選んだと自覚して欲しいから。
 逃げることの、できないように。

 こんな欲を彼が知ったら引かれてしまうかも。
 怖がられてしまうかもしれない。
 だから、口には出さないで。
 あくまで、優しいふりをしてる。

 ほんとに、ずるい。]