人狼物語 三日月国


219 【身内村】魔法使いと失せ物探し

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到着:

【人】

  ***


[ まだ僕が子供の頃のお話 ]
   


 
(14) 2023/07/17(Mon) 20:19:25

【人】


[ 
噓つき
って言われると思っていた。
  僕自身も半信半疑だった。

  僕には探し物の場所が分かる
  特別な力があるって教えてくれた
  僕のおじいちゃんもきっとそれが分かっていたから
  誰にも言っちゃいけないよ、って。
  小さい僕に言って聞かせたんだと思う。
  
  僕のもつ特別な力なんて
  偶然で片付けられるくらい、凄いことじゃない。
  どうせ特別な力があるのなら
  風が吹いたり傷を治せたり。
  もっとわかりやすい魔法みたいな力が良かった。 ]

  
(15) 2023/07/17(Mon) 20:20:35

【人】



   
……つまんない。



[ 誰にも言えない、言えたって信じてもらえない。
  つまらないな、って思ってしまうのも
  仕方のないことだった。 ]

  
(16) 2023/07/17(Mon) 20:21:10

【人】



[ 信じてもらえる人に会いたい。 ]


  
(17) 2023/07/17(Mon) 20:21:33

【人】


[ たとえばそう、同じように特別な力がある人に。
  これって探し物、なのかな。
  でも、人は物とは違う。

 
  
それに、見つからなかったとき傷つくのは自分だ。


  
結局怖くて、人相手には力を使ってこなかった。 ]

  
(18) 2023/07/17(Mon) 20:23:05

【人】


[ その日は、外で友達と遊んでいた。
  夜になる前には帰っておいで、って
  お母さんには言われていたし、
  夜が危ないのも知ってたから
  暗くなる前には帰るつもりだった。 ]


   
……妹がいない?



[ 帰ろうって思って公園を後にしようとしたら
  聞こえてきた会話。
  近くを探してもいない、どうしよう、って
  そんな焦った声が聞こえてくる。


  先に家に帰ってるとかそう言う事でもないらしい。 ]
  
(19) 2023/07/17(Mon) 20:24:40

【人】



   あの、その子ってどんな見た目ですか?
   

[ 初めて、この力が役に立つのかもって思った。
  感謝されるのかも、って。

  
後から思い返してみれば浅ましい。


  ヒーローからは程遠い理由で、
  僕は妹を探してるお兄さんに声をかけた。 ]
  
(20) 2023/07/17(Mon) 20:25:28

【人】



   僕も、手伝います。


[ あくまで、普通に手伝うふりをして
  探し人の特徴と、名前を聞いた。

  ちょっと渋られたくらいじゃ引かなかった。
  すんなり教えてもらえたかな。

  教えてもらえたなら。 ]
 
(21) 2023/07/17(Mon) 20:27:13

【人】



[ 目を閉じて、その子のイメージを
  心に描いて、どっちだろうって探す。

  まるでそう、糸を手繰るみたいに。 ]

  
(22) 2023/07/17(Mon) 20:27:39

【人】



   
―――こっち?



[ 感じるままに、歩いていると
  元の場所からは
  結構遠いところまで来ていた。

  本当にこんな場所まで、
  女の子が一人できたのかな。

  場所が場所なだけに、僕が僕自身の力を信じ切れずに
  立ち入り禁止の看板の前で暫く立ち尽くす。 ]
 
(23) 2023/07/17(Mon) 20:28:08

【人】



  
[ でも、この先だ、って。勘がそう言うから。 ]


  
(24) 2023/07/17(Mon) 20:30:00

【人】


[ 立ち入り禁止のロープをどうにか乗り越えると
  その先の高台へと歩いていった。

  辺りはもうすっかり暗い。
  早く帰らないといけない時間。

  猫の声が聞こえた気がして
  ふっと辺りを見回すと、木の根元に誰かいた。 ]
  
(25) 2023/07/17(Mon) 20:30:39

【人】



    ―――――……大丈夫?


[ 君はまだ、眠っていたかな。
  それとも、起きていた?
  
眠っていたなら、軽くゆすって起こしてから。


  僕は、君に向かって手を差し出しながら
  こう聞くんだ。 ]**
  
(26) 2023/07/17(Mon) 20:31:18

【人】



    もしかして……
    星川緋彩ちゃん…かな?

  
(27) 2023/07/17(Mon) 20:32:10

【人】


[ 焦って走り出していくお兄さんを
  呼び止めることはしなかった。

  一人の方が、好都合だったし。

  明らかに普通に探してるように見えない
  適当に歩いてるようにしか見えない僕を
  お兄さんに見られるのは良くないと思って。 ]

 
(34) 2023/07/18(Tue) 0:21:25

【人】


[ お兄さんの心配なんてどこ吹く風、
  君は、それはそれはぐっすりと眠っていた。

  規則正しい寝息だったから
  倒れたとかそんなんじゃなさそう、って
  ちょっと安心したんだ。 ]
  
(35) 2023/07/18(Tue) 0:21:43

【人】



[ この時までは。
  僕にとって、君はただの他人だったからこそ
  ここまで冷静だったんだろう。 ]


 
(36) 2023/07/18(Tue) 0:22:02

【人】


[ 目が開いて見えたのは

      
緋色に彩られた瞳の、女の子。 ]

 
(37) 2023/07/18(Tue) 0:22:43

【人】


[ まだ少し寝ぼけてる様子の君は
  差し出した手を取ってくれて。
  握った手は自分より小さくて、温もりが伝わってくる。

  手は握ったまま、目線を合わせようと屈む。 ]
  
(38) 2023/07/18(Tue) 0:23:11

【人】



   そっか、やっと見つけた。


[ 聞いていた特徴のままだったから
  間違ってるとはあまり思っていなかったけれど。
  本当に自分の力で探し出せたことに
  僕は舞い上がってしまっていた。

  だから、自分のことを聞かれて
  自己紹介、しようと思ったんだけど。

  くしゃみをした君は
  急に慌てだして。その様子がおかしくて
  思わず吹き出してしまったんだ。 ]
  
(39) 2023/07/18(Tue) 0:23:40

【人】



   っふふ…もしかして、やっと起きた?

   今は……何時、だろうね。
   多分、お父さんお母さんに怒られるくらいには
   遅い時間だと思うよ。


[ 時計なんて持ってきてなかったから。
  そんな曖昧な答えを返す。
 
  猫、と言われれば
  そういえば声はしたな、と思ったけれど。
  こう暗くては何処にいるかはわからなくて。 ]
 
(40) 2023/07/18(Tue) 0:24:31

【人】



    ―――僕?

    僕は
月影帳

    君のこと、迎えに来たんだよ。   


[ お兄さんに頼まれて、ね。
  そう付け加えると、微笑んで見せた。 ]
  
(41) 2023/07/18(Tue) 0:25:09

【人】


[ 特別な力がある、って
  そのまま言うことはできなかったけど。
  こんなこと言ったことは今までなかった。
 
  頼られてるみたいで嬉しかった僕は初めて、
  力のことを仄めかしてしまったんだ。 ]


   帰ろっか。
   君のこと、お兄さんがすごく心配してたよ。


[ そう言って立ち上がると。
  君の手を引いて、
  家まで送っていこうとするんだ。 ]**
 
(42) 2023/07/18(Tue) 0:26:23

【人】


[ 顔を赤くしたと思えば、
  怒られるってつぶやいて落ち込んだ様子の
  君を見て、
可愛いな、
なんて
  吞気に思ってしまっていた。
  
まあ、怒られるのは他人事ではないんだけどね。


  友達なのかって言葉には少し詰まった。
  だって、僕はその場に居合わせただけだし。

  結局、本当のことと嘘を織り交ぜて ]
 
(48) 2023/07/19(Wed) 1:03:50

【人】



   
友達…の友達、みたいな感じ、かな。


   困ってるみたいだったから。
   それだけだよ。


[ 可愛い女の子の前で格好つけたくて
  何でもないような顔をして言う。

  
本当はそんなかっこいい理由じゃないのにね。 ]

  
(49) 2023/07/19(Wed) 1:04:19

【人】



   
……どういたしまして。



[ 改めて言われるとなんか気恥ずかしくなって
  ふっと目を逸らす。
  多分恥ずかしいだけじゃなくて。
  君の笑顔が眩しくて直視できなかったんだ。


  それに、嬉しかった。
  自分の力だって役に立つんだ
  必要だって言ってもらえてるみたいで。 ]
  
(50) 2023/07/19(Wed) 1:10:32

【人】



   そうだね、でもお兄さんは
   怒るより先に安心するんじゃないかな。
   君に何もなくてよかった、って。


[ この時間になっても帰ってないなんて
  お咎めなしとはいかないだろうから
  怒られないと思うよ、
  なんて気休めは言えなかったけど。
  
  家の方向を教えてもらいながら
  僕たちは家に無事に帰ることになるんだ。 ]
  
(51) 2023/07/19(Wed) 1:11:06

【人】



[ 特別な二人が出会った日で。
  僕たちの最初の思い出は、この日だったね。 ]**

  
(52) 2023/07/19(Wed) 1:12:05

【人】

  ***


[ 最初の出会いから少し経って。
  再開したのは小学校の中、だったかな。

  放課後、帽子が風で飛ばされて。
  校庭の隅に植えてある木に引っかかってしまって
  途方に暮れていた。

  登って取ればいいんだけど。
  ずっと前からある木、だとかで
  木登り禁止、って言われてる木だった。

  先生を呼ぶ間に
  またどこかに飛んでいったりしたら困るし
  どうしよう、って僕は木の下で悩んでたんだ。 ]
  
(53) 2023/07/19(Wed) 1:14:16