人狼物語 三日月国


246 幾星霜のメモワール

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「嘘だろ、もう告白の選択肢見えてたんだけど。
 もはや最近は魔女ちゃんに操を立てて、
 このまま他の女の子には声を掛けないまであったのに。
 いや、まだ好感度が上がればチャンスはある……。
 このまま他の女の子に声を掛けずに一途で行こう……!」

硬く決意をする。滅多なことがなければ破られないだろう。
声を掛けられたら本性出ちゃうけれど。滅多です。

「あ、大丈夫だった、バラバラ死体もできなそう。
 多分この分だと魔女ちゃんのとこにもこの問題届くかも。
 遅かれ早かれ魔女ちゃん向きの話だし。
 聞き耳も立てないからゆっくりしておいで。
 こっちもこっちで楽しくやってるからさ」

飲んでも意味ない酒なんか飲みながら。

「別にいいのに。あなたが一途なところで、
 あたしの心は結構移ろ気よ?
 これだけ話しただけでも、面白いなあとは思ったけど」

つまり、ちょっとは気に入ってるということ。
何だかんだチャンスは生まれつつあるのかもしれない。

「ああよかった。あたしにお鉢が回ってくるのはいいわ。
 向いてるなら猶更……でも、ま、
 埋め合わせはいつか要求すると思うから考えといてね」

魔女の小さな契約。冗談めかして言ってから、
誰かに声を掛けられたのか一度念話が途切れるだろう。

【人】 薄荷 アンジュ

「……賑わっていますね」

聖女様より祝福を受けた立場とは言え、商人であるなら仕事はきっちりしなければならない。
然程目立つ店構えでもなく、有名な店舗や店というわけでもない木端の小さな店主は薬草や薬の店を開いていた。
何かに選ばれた大層なお方という風にも見えない少女は、ともあればただの売り子とすら認識されそうな程こじんまりとしている。
煎じて飲む薬草から焚いて使うもの。流通に出回りにくいものから一般的なものまで取り揃えているものの。
如何せん大衆的には『祭りに来てまで買うものか?』と問われれば難しいのかもしれない。
つまるところ、あんまり売れていないようだった。

#メインストリート
(7) 2024/01/31(Wed) 13:06:50

祭り初日の、朝。

「 ファリエ 」

どこからかあなたを呼ぶ声。
遅れて、雪のような白銀の髪が空気に揺れた。

「 お祭り やくそくよ 。
 …… ねえ、いつからいけるかしら? 」

跳ねるような声。姿を見せた聖女の口許は笑んでいる。
待ち望んでいたと、楽しそうにくるりと回った。


「……人聞きが悪いなあ。
 まるでボクが血も涙もない酷いヤツみたいに言っちゃって。
 みんなが消えないように聖女様のお願いを聞いてるだけさ」

建前の上では何もやましいことはない。
自分たちのすることは世界から消えてしまう者を救うこと。

何度も祭りに参加していれば真実を知らないはずもないが、
それでも悪魔は、後ろめたさなど感じないかのように嘯く。

「この世界も悪いことばかりじゃない。
 今ではすっかりこの世界に骨を埋めるつもりのやつもいる。
 キミだってたくさんの人に助けられたりしてきたでしょ?」

隙の多いあなたが今まで生きてこれたのは、そうした良い縁に恵まれたからのもあるだろうと決めつけるように尋ねながら。

「寂しがる人とかもいるんじゃないかな、キミがいなくなって。
 それもキミの心を引き留めるには至らなかったみたいだけど」

「リッカ?早起きだね」

朝早く孤児院の外に出て、冷たい空気で目を覚まそうと深呼吸をしていた時だ。
聞きなれた声の主は、優しい月光ではなく眩しい陽射しを反射する。
朝露のような煌めきに思わず目を細めながら、どこか違う雰囲気のあなたへと流れる髪を辿って。

「心配しないで。待ちきれないで今日来ると思ったから空けてあるよ。
 あんまり待たせてたら子供の世話をしているときに出てきそうなんだもん」

こうして見ると完全に子供の引率と変わらない。
似たような対応を昨夜、興奮で眠れない子供達にしたばかり。
もう少し落ち着いてから出ようかと思っていたけれど、既に身支度は済ませている。
孤児院で完結する生活を送っているため、普段から洒落っ気など皆無に等しい。
何より道具を揃えるほどの貯えも無い。精々簡単に髪を整える程度。

「……それで?
 どうして一緒にお祭りに行こうなんて言い出したか教えてくれる?」

歩き始める前にひとまず気になっていたことを聞いた。

消えないように、聞いてるだけ。
何を白々しい、と敵意は刹那、苛烈さを増し、しかしその後のロキの言葉に何を焼くこともなく直ぐに淡く冷えていく。

「……それは、きっと、いてくれるけど」

まるでこちらの無情を咎めるかのような言葉に、黙して視線を俯かせる。
ロキの言うところに誤りはない。仮にも二十余年、この世界の人間として過ごしてきたのだ。少なからぬ縁というものは生じているし、マーサが惜しむ人間も、マーサを惜しんでくれる人間だっているだろう。
少なくとも、この世界に産み落としてくれた、現在も壮健な両親は自身の喪失を嘆くのには違いない。

しかし。
それでも、前の世界に帰るべき責任というものは、確かにマーサの内にはあった。

「……、そっちはどうなの、ロキ。
何回も何回も参加してるみたいだけど、いったいいつからここに居るの。……戻ることなんて、考えたこともないの?」

伏した眼差しを持ち上げて、そちらの眼をじっと伺う。

【人】 薄荷 アンジュ

>>9 シヴァ
「おぉ、シヴァ殿。ごきげんようです。
 あの時は人数もいたので話しかける機会がありませんでしたね。ご無沙汰しております。
 ……良いコートを身に着けておりますね。冒険者としては盛況化か一発ヤマを当てたか、羽振りも良いのでしょうか」

声をかけられた矢先に肩を震わせたが、すぐにシヴァに向き直って背筋を伸ばした。
数日前には見えていた装備を隠すような形で着込まれたそれを、じっと眺めた。

「じつは、とても暇していました。
 普段であれば相応の種類の薬が売れるところですが……。
 祭りが絡むとこうした『有事の際のモノ』は売れにくいのが困りものです」

一般的な物から珍しいものまで。
各種薬草の他に、眠気を引き起こす薬草から、食べると非常に辛味を感じる植物まで。
薬以外にも素材となるものの他に聖女祭を祝って作った花冠といった植物由来のアクセも売り物として並べられている。

#メインストリート
(10) 2024/02/01(Thu) 2:56:02

【人】 薄荷 アンジュ

>>11>>12 シヴァ
「あはは、おめでとうございます。良き縁と機会をお互い賜れましたね。
 シヴァ殿……に限りませんが、冒険者とは再会できることそのものが珍しいですから」

 もともと表情が出にくいので表面的には物静かだ。囃し立ててくれる彼のテンションが羨ましくもあり、助かっている面もある。
 店構えは遠目から見れば茶葉を売る店とも間違えられそうなくらいには彩りもないからだ。

「なるほどなるほど。よくお似合いですよ。とても格好良いです」

うんうん、とあなたの衣装の着こなし具合にうんうんと頷いてから。

「ヨスおじさんのお店ですか。こういうお祭りの時はよくくじ引き形式で販売しているんですよ。
 レートが高めでお財布を持っている大人向けですけど、子供にねだられてやる方もいるので繁盛しているようで」

祭りの雰囲気や熱にあてられて紐が緩むというのはどこでもある話だけど、最大限利用できる商売がうまい人という印象だった。


#メインストリート
(14) 2024/02/01(Thu) 18:41:08

【人】 薄荷 アンジュ

>>11>>12 シヴァ
「手慰みに作ったものですけど……良いでしょうか」

薬や薬草を主軸としているものの、売れないというのも概ね理解している。
だからこそ工夫が必要と考えて拵えたものだけど……想定以上に良い声色が返ってきて目を白黒させていた。

「お、おぉ……香り付け……化粧品やパン屋、カフェのような雰囲気作り……。なるほど、とても大事なことでした」
 
小瓶を受け取り、軽く嗅いでみる。

「この色と香りは……夢見草の香水ですか。……それなりのお値段のものなのに、その、ありがとうございます」

香り付けや化粧に興味はあっても、自分が使う分は安物が精々だったから。
アドバイスを受けるとその通りにしてみます、と配置換えを手伝ってもらいながらレイアウトを変えてみた。
薬草臭の強い印象と質感のあった店構えは、アクセを主軸にした配置からちょっとお洒落な店構えへと変貌した

#メインストリート
(15) 2024/02/01(Thu) 18:41:45

「 ふふっ 本当? うれしいわ 」

くるり、くるり。
文字通り地に足もつけないで、嬉しそうに衣服を翻して。
またおんなじように、白銀の髪がきらきらと朝の冷たい空気に揺れていた。

邪気ひとつなく彩やかな、それでいてどこか澄み渡った聖女のこえ。
それはこの冬の寒空にどこか似ていた。
そんな快晴を背に、聖女はくすりと喉を鳴らす。


「 ――― 聞きたい? 」


勿体つけるみたいに、蒼の瞳を細めて。
浮かび上がったその身体が、あなたの正面でぴたりと止まった。
じいと、あなたの化粧けもない顔をその蒼に映す。


「 だって、今年これ
  最後になっちゃうかもしれないでしょう? 」

―――当たり前のことみたいに、聖女はいった。
転生と、聖女祭りと、痣と。……あなたの記憶と。
そういうことが全部、その一言には内包されている。

聖女の知る限り、痣が出た人間で記憶を取り戻していないものはいない。
だから、あなたも当然。と。
あなたがそれをこれまで口にしなくとも断定するのは易く、故にこうして、あっさりと口にすることもできる。


そうして、何でもなさそうに、聖女は微笑んでいる。


「 わたし、
  ファリエと お祭りが見たかったのよ 」


それだけよ、って。
そう空気に溶かして、微笑っている。

「それ、聞いちゃう?
 今回もこの祭りにいることが一番の答えでしょ?」

いまさら多くを語るまでもないことだろう。
何度も祭りに参加し、聖女からの祝福を賜っている。

それはすなわち、この世界から抜け出したいと考え続けている証左に他ならないのだから。

「いつからここに居るかなんてもう忘れちゃったよ。
 うんと長生きしてると物覚えも悪くなって困るね」

こちらを伺う眼差しに返るのは、軽薄でおどけたような態度と言葉。
いつからここにいるのか、忘れたと語る口もどれほど信用できるか。
悪魔として生きてきた今生で得たものは、このようなものばかりだ。

「いっそ、何もかも全部忘れてくれれば気楽なのにね」

諦念と哀愁を帯びたこの言葉も、どれほど信じるに値するだろうか。

/*
お疲れ様です!
次回の更新が近づいてきているので襲撃についてのことを決めなければと思っております!

無慈悲な聖女様がさっそくマーサさんの証を光らせることを決めてしまったので、襲撃ロールをやるとなった場合はマーサさんの担当であったほうが良いかなと思っているのですが、いかがでしょうか?

襲撃対象も含めましてそちらにおまかせするつもりでいますが、何か相談事がありましたら何でもおっしゃっていただければと!

【人】 薄荷 アンジュ

>>18 シヴァ
「ちょっと奮発してお金を出せば良いものが手に入るかも……を百人の人に思って貰えれば良いって聞いたことがあります。
 1000Gだと安っぽいけど、2000Gだと丁度いいと思う金額だって。そういうところは見習いたいです」

分かりました、と答えながら、配置換えを終えると一息ついた。
花が目立ち、良い香りがする上で、店の奥に薬草をまとめれば、場末の量り売り屋みたいな様相からちょっとお洒落っぽい薬屋さんのレイアウトへ切り替わった。

「なんだかちょっと浮かれた感じになりそう……でもシヴァさんならお似合いになると思います。とても明るいですから」

友人へプレゼントするでも、あなたが着飾るでも、どちらにせよそれっぽい。
あなたに示された花冠と、所定の薬を手に取る。
麻痺性のある粉末は一般の薬同様に市販のように販売……というわけにもいかないので、重要な配合はこちらで行った上であなたに渡すことになる。
眠り薬に関しても、以前聞いたことがある使い方や種類があればその通りに用意しただろう。

「眠り薬の方は……ご自分でも使用されるんでしょうか。
 魔物用や個人用と揃える方もいらっしゃるものでして……所定の種類と配合が必要なら都度調整できるので、その際はお気軽に言ってください」

「おまたせしました。合わせて1500……いえ、1000Gです。露店の整理を手伝って頂けたので」

#メインストリート
(19) 2024/02/01(Thu) 23:53:24
「……、だったら、他の人が帰りたい気持ちだって分かるでしょ」

その上で、彼らの願いを踏み付け蹴り飛ばし、自らの願いだけを貴ぶ。
それがマーサには、酷く恐ろしく痛ましい。何度も繰り返すのなんて、想像するだけで怖気が走る。
彼女は、自らの悪徳に寛容に出来ていなかった。今回"こちら側"に立つことになったのも、相当以上の躊躇の末だ。

尤も、決めてしまった以上、他者を顧みることこそ浅薄で傲慢なことかもしれないのだけど、マーサはその事実に思い至らない。

ただ、彼女と自分とは分かり合えない。
論議に痛む胸を疎んでそう結論づけた女は、しかし耳元に滑り込んだ最後の言葉に目を瞬かせた。
そして、ふるりと頭を振る。

「忘れたくないから、七年ごとにここに来てるんでしょう。
……どうせ、忘れたら忘れたで、正体不明の焦燥に苦しむんだと思うよ。
私がそうだったから」

――前世の記憶が戻るまでの幼少期。
年齢に似付かわしくないまでの使命感と、その使命が何なのか把握できずに不安だけを募らせていた時期を思い出した。
無意識のうちに、肩口の痣をそっと撫でる。

/*

お疲れ様です!
一発で抜かれてしまうとは……短い赤窓でした。
墓場から健闘をお祈りしています。せっかくだから村人を全滅させてくれ……!

襲撃対象については……白状しますとほかの誰とも対話ができていないため……ランダムで運のない人を襲っちゃおうかなあと思っていた次第でした。ロールと連絡は……今からです! 動きが遅くて本当に申し訳ない……。

ただ、処理順的には処刑の方が先っぽいのでロキさん襲撃の方が順番としては自然なのかな……? とも思った次第でした。
でも正直ロールで前後しそうなのでこれはどちらでも!
何よりここで死んだら仕事をしないチュートリアル狼さんになってしまう……。

ともあれ、こちらの担当で良ければランダム選出で行こうかなと思っています、とだけ! 決まったらすごい嫌そうにしながらやりますので、覚悟を見せるときとかそんなふうにそそのかして頂ければありがたいかなあと思います!


 
──これは、あなたが見た夢だったかもしれない。
 
 
──水晶玉を通して見た景色だったかもしれない。
 
 
──白昼夢のようなまぼろしだったかもしれない。
 

あなたはこの夢の光景を、音を、どのような手段で知っていても構わない。


 
これは、誰かに焦点を当てた夢。
 
 
ずっとずっと、この世界の外を見続けた誰かを見ている夢。
 

 
彩雲の夢

/*
主に一人称視点で描写予定です。
描写外のことは、曖昧になっているものとして
お受け取りください。例えば思考している時の声だとか。

何かあればご連絡くださいませ。
この窓が見えているあなた様方の良きようにしていただければ幸いです。


彩雲の夢


「あなた達に新しい命をプレゼントします」

突然の衝撃、転がるバス。
その次に見たのは、よくある異世界転生でありそうな空間に、
これまたご都合主義に無償で良くしてくれる女神様。
ああいや、正しくは聖女様か。

どうやら自分達はあのまま死んで、本当ならそのまま終わるはずだった。
そんなところを、聖女様が自分の世界に転生させてくれるそう。
話を聞くに、一応善意であるらしいことは理解できた。

所謂チート染みた特典だとかはないようだが、
現代日本の知識を持って渡るだけでも大きなアドバンテージだ。

異世界転生ものが流行ってどれくらいだろう?
自分が転生したら、というのは勿論考えたことがある。
正直わくわくした。まさか現実になるなんて!

とは言えその現実は、まずひとつの大問題にぶち当たったわけだが 


彩雲の夢


『幾星霜のメモワール』

自分の出生が判明してすぐ、
この世界がいくメモの世界であることが分かった。
設定が補完されていそうな部分もあるから、
正しくは似た世界なのかもしれないが、細かいことはいいだろう。

どうしてすぐに分かったかと言えば、家名に覚えがあったから。


──ミューツバイ家。

何作品目だっけな、サブイベントで黒幕だった中流貴族。
密輸+密売が名前の由来だ。ヘンキョー国ドイナーカ村だとか、
見てそのままの名称はいくメモでは度々出てくるが、
これはイベントを進めていて「おっ」となったから、結構印象に残ってる。

大問題というのは、将来的に滅びることが予想されるということ。
世代が違う可能性も考えたが、父親や兄達の名前は覚えがあるものだった。

ゲーム内では当主、妻、長男次男に末娘以外の子どもには
触れられなかったから、自分の行く末は分からない。

 罪を犯した没落貴族の第n子が幸福になれるとは、到底思えなかった。


彩雲の夢


先ずは最低限、この世界で生き延びられる力を
つけることを第一に、勉強や鍛錬を重ねた。
時期当主にだなんてまつり上げられないように、実力は極力隠して。
何だか、ますます転生もののやれやれ系主人公っぽいな。

手を出してもバレないと思える程度に実力をつけた頃、
書庫の隠し棚を漁った際に、古代文明関連の書籍を見つけた。
そう言えば追い詰めての隠し球でロストテクノロジーを使っていたな。

書籍は古代文明の研究者の著のようで、
最初は何か使える技術や情報があればと読み進めていた。

が、途中で目的が変わった。

直接的には書いていなかったが…
…この本の著者は自分と同じく転生者らしい。
元の世界…つまり現代日本へ帰るため、研究を続けていたとのことだ。

──彼はそれを、宇宙へ行くと表現していた 


彩雲の夢


家を出て現代日本とゲームの知識で無双する。
無双なんてせず程々に楽しく一生を過ごす。
──そこに加わった、第三の選択肢。

たぶん、現代日本に戻るよりも、
人生を成功させられるのはこの世界の方だろう。
人生二周目、かつ外から知識を持ち込んでいるのだから、
当然と言えば当然だ。

それでも。

それでも、選択肢を並べて考えた時に思ったのは、
『帰りたい』ってことだった。

漫画の続きが見たい。友達とバカ騒ぎをしたい。家族に会いたい。
大それたことなんてない些細な望みだが、
俺にとっては大切だと思えることだった。

 

宇宙へ行く元の世界に帰ること──それが俺の夢になった。
 

彩雲の夢


彼との出会いは、7年前のこの祭りの頃だった。
彼はどうやら見習いらしい様子だったが、
俺は店主の品よりも彼の品に目を引かれた。

オーダーメイドの品を頼まれて嬉しげにしていたのと同じツラを、
まさか暗殺依頼の現場で見るとは思わなかった。

──古代文明の研究者の暗殺依頼。

ゲームでは主人公の目の及ばないところで
暗殺の知らせだけを聞かされて、
それでしばらく後に実は生きていたと出てきたNPC。
どうやって助かったんだよ、ってネットで一生言われてたっけな。

放っておいても死なないかもしれない。
けど、死ぬかもしれない。

盗賊ギルドで見つけた依頼を、俺は受けた 


彩雲の夢


暗殺の偽装は初めてのことじゃない。失敗しない自信はある。
──と思って行ったらまさか他の暗殺者が、
それもついこの間知り合いになった奴がそこにいるなんて。

ふと気付くことがあって、もしかして…と名を呟いたら
どうやら合っていたらしく、爪の形で判断したと言ったら唖然とされた。

俺も正直自分でもどうかと思う。素直に気持ち悪いだろ。
なんで覚えていた? パッシブスキルのおかげだちくしょうめ。
いつもお世話になっています。

最終的に、俺の方がその場で彼に暗殺の偽装依頼をする、
というところで手を打った。
金はまた稼げる。神経は多少擦り減るが。

彩雲の夢


彼の偽装工作は、
俺がやるよりも非の打ちどころのない、完璧な工作だった。
暗殺を依頼する人間がどういうところを見るかを心得ている。

実際に見たわけではないが、
暗殺技術そのものも高いだろうことが窺えた。
後で聞いたが、これは暗殺の才能があると言って過言ではない。

とは言えあまりやりたくなさそうでもあったから、
そんなことをしないでも生きていけるようにの
助けにはなってやりたいと思った。

したくないのなら、しないでいられた方がいい。

この世界の人の基準で言えば甘い考えかもしれないが、
俺は平和ボケした現代日本の人間なので。

俺自身、殺しは絶対にしない。
この世界の裏側で許容されていることだとしても。

誰かの命を奪った上で、自分はきっと
平和に暮らせないのを知っているから。
俺はそういう人間だ。

彩雲の夢


閑話休題。

兎角彼に俺ができることと言えば、
金を払ってやること程度だった。次にこの町に来るまでにと、
結構な難しい依頼を押し付けて行くことにした。
彼に作ってもらった外套は、今でも冒険でよく使っている。
高い所に軽い労力で行けるのって強いだろ?

5年以上ぶりに会っても皮肉を言われる程度には
そこそこ無茶な依頼をしたとは自分でも思う。
が、店を持てたというのは、素直に喜ばしく思えた。
かなり安定していそうだったな。

技術は前よりもずっとずっとよくなっていた。
が、この何年かで、少なくとも見ただけで使える
鑑定スキルは習得していなさそうで。

それは、よかった。

死の呪いがどうのなんて、知らない方がいいと思うから。
久々に会った知人が死ぬかもしれないとか、要らないだろ?

そう言えば店名が若干気になりはしたが、結局聞きそびれてしまった。
予想通りだとしたら戒めか何かなのだろうか、と勝手に思っておく。
聞くことがあるとすれば、今回のことで俺が帰れなかった時にだろう。
…あまり考えたくないな。


彩雲の夢

/*
すみませ〜ん!
村建てさんの指摘諸々を受けまして処理順敵に襲撃先はこちらのランダムで決めさせていただきます!
システムの理解が浅く話が二転三転させてしまい申し訳ない!

襲撃ロールはそのままマーサさんの担当ということでよろしくお願いします!
もしも既に襲撃対象が決まっていましたら共有いただけますと助かります!

/*
とりあえずささっと襲撃先を決めてしまうぜ……
<<エミール>>who