人狼物語 三日月国


45 【R18】雲を泳ぐラッコ

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[ぱちりと目が覚めたのは変わらず中庭だった。
お嬢様と呼ぶ声は懐かしくて、ここで聴くはずのない声で、
まだ夢かと呼ばれる方を見た。

屋敷にはあの日の顛末を知っている者が沢山いる。
そのうちの1人が手引きしたに違いなかった。


夢でも見たことのない祭服に片メガネを付けた人。
記憶よりすこし縮んだような背丈に、
最近は高いヒールを履くようになったことに気が付いた。
私この人を知ってる。忘れてないよ 忘れられなかったよ]


 おかえりなさい、リフル


[今度は喉をふるわせて声になってあなたに届いただろう]


 おかえりなさい……

[あの日の面影は少ない方がありがたかった。
泣き出してしまう私《メグ》を後ろに庇って、
とびきりの笑顔を咲かせた。

あなたとの六年越しの再会は笑顔で。

――その後に「お子さんですか……?」と
小さな子を前にちょっと泣きそうな声が続いたのは秘密にしておいて欲しい]

―― 六年越しのお茶会 ――
[彼の時間がゆるすなら、とお茶の準備をしてもらって
リフルとお嬢さんをテーブルに招いた。
私の方も教会に用事があるのだから、
そっちに出向くなら一緒にと
出かけるまでの時間をねだった。
去年はレモンが豊作だったから、
レモネードの蓄えは出来がいいのです。
ぜひあなたと味わいたいの。]

[すっぱくないですか?ってルミお嬢さんに伺いながら、
これまでの話をいくらでもせがんだだろう。
小さな淑女に聴かせられないこともありそうだと汲んだなら]

 今晩、お酒でもいかがですか?

[そっとお嬢さんに聞こえないように囁くのだ。
場所は屋敷の客室だろうか。
外へはあまり行かなくなってしまったし、
部屋に招くのも少し悩んでしまう。主に私の心が暴走する意味で。

氷の溶ける音に耳を傾けながら、ゆっくり話がしたい。
どうですかって保護者さんを伺って萌黄の瞳を見つめた**]

[アジダルは危ない水着を過去に着た事があり、
持っていたらしい。
それなら、女装の1つや2つや3つしてても、
おかしくはないとは常々思っている。
女装姿が見たい訳ではないが、
濃い目の化粧も似合うのではないだろうか。
化粧をしていたなら、
踊り子もそこそこ似合っていた…様な気がする。
なお、先程のランウェイはノーメイク

扉を開いた切っ掛けになったのは汗の滲む男臭さ。
女装を妄想する分には精神影響は薄い。


メンズブラは最近付けている物が多いらしい。
例のマッチョな友人も興味を持ってたし、
きっちりしたのも好きそうだし意外と好むんじゃないか、と

夢から起きて万が一覚えてれば、
送り付ける日が来る………のだろうか?]*

[懐かしい友人に連れられて、案内されたのは玄関を抜ける迄。
用事があるからとさっさとどっかへ行ってしまう彼とは、
今度飲みに行こうと約束だけ交わして。

毎日歩いていた廊下の先で、
知った顔と見知らぬ顔の二人組のメイドと出会う。
帰って来たの?と声を弾ませた顔見知りは、
積もる話もそこそこに、
中庭にあのお方がいらっしゃるわよ、と教えてくれた]

[彼女は変わっただろうか。
己の事を……少しでも覚えてくれているだろうか。

自分に逢う資格があるのかと考えないではなかったけれど。
年月を経た彼女は、今どうしているのか。
元気でいるのか。
それを確かめたい気持ちが優に勝ってしまった]


  ぇっ と……


[けれど、実際目の前に彼女が現れれば言葉が萎む。
おかえりなさいに答えていいものか、迷った。
迷っている間にも、萌黄の瞳は懐かしい人を映して、瞬いて、思い出の姿と照らし合わせる。

あぁ、変わらない。
少し大人っぽくなった。きれいになった。
背が伸びた。(伸びてない)

けど変わらないな、と、
勝手に頬が緩んで、勝手に返事をしていた]


  ただいま……


[色んな事があったのに、何年も経ったのに。
こうしてまた逢えて、彼女が微笑んでくれた事、神に感謝した]

[「お子さんですか」と聞かれれば、あ、と思い出した様にルミを前に優しく押して、
「娘だ」と頷いてから、詳細を説明した。
いきなり養子だと説明するとルミは機嫌を損ねるので。

機嫌は損ねなかった様だが、
ルミはじーーーっと無言でシャーリエを見上げていた。
多分、お姫様の様な姿に憧れたんだろう]

[……いいんだろうか、こんな普通に昔に戻って。
いやオレが逆の立場でもこうするけども。
そう思うと少しは気持ちは軽くなるが、すわりはどうしても悪い。
でもレモネードは美味い。
ルミも「すっぱあい」と口をすぼめながらも、グラスを離さなかった。

この後教会へは是非一緒に、と頷いた。
彼女と関係がある事を知ってもらえば、何かとスムーズになる事も多いと思ったし。
そんな正直な話もしたし、連絡が途絶えた理由も話したし……
盗賊団がどうなったかは、
そのワードがよくなかったものだから、口籠った。
すると、彼女の方から提案があった。]


  ……ルミも一緒で良いか?
  多分、この子途中で寝ますから。


[己にとってはよく知る地でも、ルミにとってはそうではないから。離すのが恐ろしくて、三人で居る事を望んだ。

そうして教会だか、夜の客室だかで落ち着いた頃、
思い出した様に声を上げた]


  あ、そうだ……
  土産とか何もないんだ……悪い。


[すぐに会いに来るつもりで
帰って来た訳ではなかったから……。**]

【人】 二年生 早乙女 菜月

「エレベーターで、ベースはそんな足の持ち方しちゃだめ! 手でトップの体重のかかりかたを感じて、トップから目を離さない!」
「エレベーターに乗り込むとき、トップはもっと膝の屈伸を使って! スポットはただいるだけじゃないのよ、ちゃんとトップの腰を支えなさい!」
「ダブルテイクの時は、トップの足の高さを合わせて! そのためにはベースが高さを合わせないとダメ! トップ、内股!」
「そんなやり方でエクステンションを続けたら、ベースは肘を壊す!スポットはもっとトップの足首を握って全体を観察しなさい! 何のためのスポットなのよ!」

[大学で入ったチア部は、高校以上にスパルタだった。
 私はチアをやめることなく、ずるずると続けている。アキナと同じ大学で。

 大学の中で会っても、外で会ってもどこで会っても、アキナは何も言わない。ただ、割れた鏡のような目で私を見るだけだ。
 いっそ何か言ってくれれば、と思うけれど、私だって自分からは話しかけることができない。
 結局私たちは微妙な関係のままだ。]
(14) 2020/10/09(Fri) 6:39:52

【人】 二年生 早乙女 菜月

[つまんないな、と心から思う。
 チアをやっていても、どこか冷めた自分が邪魔をする。

 苦しい思いをして、考えないで済む時間ができるのはありがたい。
 だけど、チアそのものの魅力には、コロナ前の方が取りつかれていた。

「今」の菜月が好きだよ。>>3:-48


「今」の私はどうだろう。]
(15) 2020/10/09(Fri) 6:41:19

【人】 二年生 早乙女 菜月

[鞄の中には一冊のお守り。
 一枚も増えていない、正しい重さの童話集。
 ラミネートコーティングされ、
 「私立桐皇学院高等学校」と書かれている。
 結局高校の図書室に残していくことはできず、
 通常よりも高い値段で買い上げた。

 ともすると、友君と過ごした日々が
 ただの妄想じゃないかと思ってしまう。
 
そんなのは悲しすぎるから。

 今となっては、この本だけが
 あの不思議な現象の証拠になってしまった。

 やりとりが何一つ残らなくなって、
 確かに友君と過ごしたんだ。
 私ひとりじゃ本なんか読まない。
 私だけじゃ、こんなに四季には気づけない。
 友君からもらった言葉で、私は世界を表していく。

 だけど、だけどね、やっぱり、
さびしくて、しかたがない。]
(16) 2020/10/09(Fri) 6:41:35

【人】 二年生 早乙女 菜月

「お、早乙女。いい加減続き読んだか?」
[構内をふらふらしていると、小埜先生に話しかけられた。
 小川未明を研究しているとかで、彼の授業を取って以来、なんとなく気にかけられている。他学部の私がわざわざ受けに来たのが珍しいらしい。
「続きは読まないですよ」「そのこだわり何なんだよ」「貞節です」
 授業は意味が分からなかった。だけど、毎回単位を落としながらも、同じ授業を受けている。
「下手の横好き、ここに極まり、だな」
 いいんだ、必修じゃないし。]

「そういや、今年もう一人入ったぞ。小川未明好きが。早乙女と違ってできるけど」
 悪かったですね、と唇を尖らせるのも、小埜先生は聞いていない。ちょうど外から入ってきた男子学生に手を上げて、「あ、いたいた。おーい小林……消毒!」アルコールをせずに入ろうとした青年に叱責を飛ばす。]


 ……小林?


[はいはいと聞き流そうとして、それができずに青年を見た。
 よくある名前だし、ただの偶然、だとは思う。
「小林、こいつが前ちらっと話した面白いやつだ。文学部じゃないのに俺の授業撮って、歴史に残る酷いレポートを書きながら毎回授業取ってくる。今年も落ちる予定だ、なあ早乙女」
 ぺらぺら話しかけてくる小埜先生を無視しながら、
 それでも、ほんの少しだけ期待してしまった。]*
(17) 2020/10/09(Fri) 6:44:06
[まだ覚えていられたままの声が、
ただいま、と空気を震わせた

ちゃんと生きていてくれたことに、感謝と苦しさを覚える。
そこに「娘だ」と小さい子を紹介されるのは
とことん心臓に悪かった。
寝直そうかと思った。


まるい二つの目がこちらを見ていて、
情けないことは避けた。
この子の前ではキチンとした大人でいたいと、
優雅にドレスの裾を持ち上げて一礼をする。
子供受けはいい仕草だけど、
くりくりした目にはどう映ったのだろう]

[庭の住人とその(義)娘さんと
自慢のレモネードを頂きながら積もる話をした
積もる分だけ生きてきたお嬢さんには、庭の花壇を案内した。]

 ずいぶん遠くまで……。
 そうですか、この度教会にお勤めに。

 私、教会の孤児院にはよく行くんです。
 ……跡継ぎを探していて。

 あら、ルミさま気をつけて。
 バラには刺がありますよ。

[蔓バラに触れないように小さな手を包んだ。
小さな淑女には秋桜などいかがだろう。
一輪摘み取って彼女の胸元に飾って、
お綺麗ですよって微笑んだ。]

 ルミさまも一緒に。
 それなら宿が近い方がいいかしら。
 お決まりでないなら屋敷の部屋を用意しますけど。

[教会で宿を手配していたかもしれないが、
一晩はお屋敷にと願った。

教会から戻り夜の客室に、
騎士さまと(義)娘さんを招いた]


 おみやげ?
 ふふ、いいですよ。
 帰ってくるなんて言わなかったじゃないですか。
 帰ってくると思ってなかった、ですから。

[甘い甘いアイスワインのグラスを傾けて、匂いを楽しむ。
リフルには望んだお酒を用意したが、
お嬢さんにはブドウジュースをサーブした。
季節のフレッシュジュースは
去年のワインより贅沢かもしれない]

 しばらくはこの街で牧師さんをするの?
 ……どうしてリフルは私が行くところに現れるんだろう。


 そんなだから好きになっちゃうんですよ。

[くす、といい気分で笑った頃には
ルミさまは眠っていただろうか。
聞かれたって構わないほどに公然の秘密になっていたけど、
お父様のこんな話を聞かせるのは良くないだろうか。
つき合ってるわけでもないのだから。]

[盗賊団の顛末とご両親の話には真摯に頷きを返した。
右目を怪我した話にはモノクルの奥を覗こうとした。
ハガキを送ってくれたこと、王国の音楽家に会いに行ってくれたことには目を細めて懐かしさに浸った。
手紙も届かない地で被害者に寄り添って、
ルミさまと会った話には、]

 騎士さまみたい

[勲章を贈った本人とは思えないセリフで笑った]


 騎士の名に恥じない働きに感謝します。
 よく働いてくれました。
 他国に変わり、礼を申し上げます。

 ……見ない間に素敵な顔になったね。

[このまま手を伸ばしたら
触れたところを撫でてしまいそうで一度握り拳にした。
沢山の人を助け自慢の騎士になった彼の手に
触れないように手を重ねる。
指一本離れたところでも体温は伝わるはず]


 左手は直ったみたいね
 右手は動かせるの……?

[これが気がかりだとばれないように
目をそらしていたから、直接訊く羽目になる。
小さな子と旅をしてきたんだから、支障はないのだろうけど]

 私、責任取れなかったから。
 なにかあったら遠慮なくいってね。
 リフルも私の守る民なんだから。

[ワインを二口飲んでのどの奥に残った言葉を飲み下した]

 あの頃は若かった、ね。
 迷惑かけてごめんね

[『よければお屋敷に住みませんか』
未練がましく顔を出す私に冷や酒を浴びせて
笑顔を彼に向けた**]

 
[基本、無愛想。
 虫のことを語らせれば
 楽しそうとか、活き活きしているとか
 思われることがあっても、

 ”可愛い”なんて
 言われた記憶は
 どこを探しても見つからない。

 妙にくすぐったくて
 そわそわして
 けど、決して居心地が悪い訳じゃない言葉。


   (でも…、貴方の方が
       ずっと似合っている)


 声を立て、
 肩を揺らして笑う姿に思う。]
 

 
[堪らず見惚れていると

 胸の真ん中あたりが
 ぎゅっと少し苦しくなって
 あったかくもなって

 そこから、ベニスカシジャノメが
 次々と翅を広げて
 貴方に向けて
 飛び立って行くような心地が、した。]*
 

──淡色の球体5───

[2度の大きな自己損傷。
幾度かの軽微な廃棄。

幸いにして、現在の記憶に齟齬は出なかったが、
過去の自分については脆く崩れている。

あの人が幸せになった世界で、
あの人を忘却した顔で再度接触するのは嫌だと漠然と考えていた。
余計な事を言って幸せを壊す事は望まない。
無様な姿を晒すくらいなら去るべきだ。

苦しんでいれば、手を伸ばしてしまうほどに、
長い付き合いになった仲間も嫌いではなかった。
だが、自分を消し去る事も心の奥底で恐れた。
国の情勢的に、続けていれば自分の存在を消すのが目に見えて。

独りでいるなら、平和な場所がいいだろうと故郷を選んだ。
万が一の為にも、完全に繋がりを切るつもりはなく、
戻る理由として適当な物が付けやすい。


そうして平和な国に渡り、
1年もせずに海の向こうへ思いを僅かに馳せながら、
意味もなく無為に生きていた。]*

【人】 二年生 早乙女 菜月

[小林君の視線が、私の手元に注がれる。>>22
 いつのまにかボロボロになってしまった本。
 驚いたような顔をする小林君に、私の感情が呼び起こされる。
 いくつもの「もしかして」と「まさか」が、
 水泡のように浮かんでは消える。]


 ゆう、くん……?


[嘘だ、って、とっさに思う。
 だけどそれ以上は声が出てこなくて、
 会えてうれしい、とか、
 ちょっとひねりを加えるなら、私はアキナだよ、とか
 うそっこ教えるのお揃いだね、とか、
 色々。もっといい言葉があったはずなのに、]


 ……なんでぇ?
 なんで、ともくんがここにいるの……?


[私が言えたのはそれだけで。
 友君の目の縁に溜まる雫に>>23
 私の涙も導かれた。]
(27) 2020/10/10(Sat) 7:14:50

【人】 二年生 早乙女 菜月

[そうして、友君の言葉を受けても>>-76>>26
 うん、うん、とうなずくことしかできなくて。

 私たちを見てちょっと焦った先生が、
「……死ぬにはまだ早いぞ?」
 自殺の誘いを目の当たりにしたと勘違いする。]
(28) 2020/10/10(Sat) 7:15:17

【人】 二年生 早乙女 菜月

[ぎゅっと抱きかかえた小川未明の童話集。
 友君の世界の名残と共鳴して、本が強く、脈打った。]
(29) 2020/10/10(Sat) 7:16:13

【人】 二年生 早乙女 菜月

「不意に、本が膨れ上がる。
 本は幾千幾万もの真っ青な
へと姿を変えて、
 私たちの視界を奪う。

 青い翼をはためかせて、銀の鱗粉が尾を引いて、
 私たちの周りを舞いながら、
 様々なものに姿を変えた。

 例えば、野ばらから尻を突き出したミツバチ。
 例えば、目を細めて針の穴をみつめるおばあさん。
 線香持ったおじさんや、太鼓を叩くラッコまで。

 それらは幾度も形を変えながら、
 窓の外へ、浮かぶ雲島へと飛んで行き、
 しまいには、魂は、みんな青い空へと
 飛んでいってしまったのだ。]
(30) 2020/10/10(Sat) 7:17:22

【人】 二年生 早乙女 菜月



 
雲を泳ぐラッコ、

を、

誰が見た、と言うのさ?


 
(31) 2020/10/10(Sat) 7:18:28

【人】 二年生 早乙女 菜月

「空にラッコ?」「ラッコが雲を泳いでる……?」
[空を見上げた人たちが、さわさわと騒ぎ出す。]
(32) 2020/10/10(Sat) 7:20:05

【人】 二年生 早乙女 菜月

[白昼夢だと思ったんだろう。
 「……俺、寝る。今日休講な]
 小埜先生はふらふらと去っていった。

 その後ろ姿を見送って、私は泣きながら、

 笑ってしまった。]**
(33) 2020/10/10(Sat) 7:21:05
[彼女がルミに動揺していたなんて微塵も気付かず、
優雅な振舞いに、ルミと一緒にほうっと目元を緩ませる。
不意に、最後に見た彼女の姿に重なる。
僅かに涙の気配を感じてしまったが、
彼女の真似を試みるルミに笑ってしまった事で取り繕えた。

お茶席迄の道のり、
ルミは彼女の後姿をきらきらした目でまたずっとじーっと
見ていたものだから、レディはそんな事しないんだぞと教えた。
一度はハッした顔になるが、
それでもシャーリエをちらちら見ていた]

[彼女はレモネードを振る舞ってくれるし、
ルミに花も見せてくれるし。
屋敷の住人に戻った様な、客人になった様な不思議な感覚だ。

花を一緒になって見ているお嬢様とルミの姿は、歳の離れた仲の良い姉妹……と思うには、彼女が大人っぽくなり過ぎて見えた。六年前なら姉妹だ、と思って終わりだったろうに。
少女が女性に花を飾ってもらうその光景。
何だか胸が温められる様な、またも不思議な感覚にとらわれて、「跡継ぎ」の話が逸れたままになった。
ルミが頬を赤らめて「ありがとう」と笑みを返すのを追って、彼女に礼を言う]


  あー宿は教会が用意して……


 「泊まっていっていいの?」


[宿の事は問題ないと遠慮しようと思ったが、
ルミが目を輝かせて割り込む。「ここでねよう!」とまた輝いているルミの目に映るのは、見た事もない美しく整えられた庭だったり、品のあるカーペットだったり、可愛らしい調度品だった。
彼女もすすめてくれたから、じゃあ…と厚意に甘える事にした]

[客室に入るのは、懐かしさの方が勝ったか。
初めに保護された時とか、療養で長い期間貸し切ったものだし]


  あー、まぁ、その……うん……


[責められてる訳でも意地悪でもないとも思うが、帰ってくるなんて、と言われてもごもごして、グラスに口をつける。
わかってる、筋を通していない自分が情けないだけ。
つい彼女と同じものを、と頼んでいたが、
彼女と違って匂いを楽しむ余裕はなかった。
同じくブドウジュースを「おいしい!」としかまだわからないルミは、思ったより早く船を漕いだ。
彼女をベッドに運んでから、
大人だけでグラスを鳴らしたか]


  そう言えば、跡継ぎがどうとか……


[勤め先の話になれば先程の教会に通っているという話を思い出したが、深く聞いていいものか逡巡するより前に彼女が笑って、ごほ、とむせかける。
別に娘が眠っているかは振り返らなかったが、
何とも言えないまま、けれど彼女をじっと見つめ返した。
こっちからするとオレの行く先にあなたが居る、なんですけど。

それすら言ってやれないまま目を逸らした]