グレイ達が集まるその場にて順番が回ってきた機体は、気怠げな仕草で頭を掻いて装飾である眼鏡をあげニィと笑みを浮かべる。

「若者が続いたねえ、当機は飼育用チャコ。
　これは前の主人が付けた名でな、
　次に会うときには変えられる、記録するだけ無駄さ」

「好きな物は動物、世話をしてきた彼らには愛着があるねえ。
　嫌いな物は大きな音、シンプル驚く。悪戯でもやめてくれよ？
　ちなみにこの動物の中に人間は含まない」

「家事はそれなりにだが食事にだけは期待をしないようにい。
　人型に出す料理は専門にしてない、猫飯は幾らでも出そう」

「ほい以上」

数人に倣った紹介をすれば、表情を変えぬまま次の者へとバトンを受け渡した。

・用途と名前：飼育用　チャコ
・型の性別/身長：両性型/172cm

・武器の形状：ドローン
・USBの形状：チョコミント。肉球マーク。キャップに三角の耳がついている。

・ひとこと
「ご用がおありなら何なりと。
　グレイの世話はしたことないけどねえ」

うるさくならない程度にペンをトントンと机で鳴らしている。
手元にあるメモには監察官から聞いた説明がびっしり書かれていた。

「黒字になって戻ってくればいいんだな？」

効率よく懐を豊かにするにはどうすればいいか。
早めにいくらか稼いで脱出アイテムを駆使すれば効率がいいかと算段を立てた。
最低限の労力でことを済ませたい、であれば。

「不意なトラップ、注意書きに準ずるなら日常生活に準じたトラップなのかあ？」

「暴徒が改造したカートが四方から襲ってくるとか、
　マネキンがふと目を離すと距離を縮めてくるとか」

日常生活の治安を悪くして考えている。

甘そうな話を聞きながらクレーンゲームをガン見している。
くまさんのぬいぐるみがあった。

「くまさんのぬいぐるみがある……。
　流石に飼ってる主人はいなかったなあ」

じぃ〜〜っと動かないクレーンを見ている。
無駄遣いを今はしないと決めているからだ。