人狼物語 三日月国


52 【ペアソロRP】<UN>SELFISH【R18G】

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視点:


【人】 燎原の獅子 ヴィルヘルム

 


[ ────迸る焔は怒りそのもの。

  向けられた切先に宿る其れは留まる事を知らず、
  溢れ出る程に術者の命を削る。
  業火に照らされる王の面持ちは対照的に冷たく、
  這い蹲る黒衣の男を無感動に見据えていた。>>0:64 ]


    [ 二百年の記憶を得てしても、
      彼等が背いた理由を悟ることは出来ない。
      それ程までに欲は歴史を左右し、
      同時に歴史書を複雑に変えていく。

       戦争の歴史こそが人間の歴史ならば、
       その火種である『欲』とはインキだ。


時と共により深く染み渡り、誰にも消すことは叶わない。 ]


 
(71) 2020/12/03(Thu) 12:58:18

【人】 燎原の獅子 ヴィルヘルム




 貴様らは眠っている幼子も、
 きょうだいも、その妻も殺した。

 唯一落ち延びた我が祖先を錻力の玉座に追いやっては
 囃し立て……嘸かし可笑しかっただろうな。

 俺は貴様と同じ轍は踏まん。
 だがその旗を燃やし、史書から抹消するのは変わらない。


       [ 対峙する王は瞳こそ焔の色であれど、
         声色は何より冷たく悍ましかった。 ]


 
(73) 2020/12/03(Thu) 12:59:22

【人】 燎原の獅子 ヴィルヘルム



 では誰が対価を支払う。天が恵み給うとでも?
 貴様の血肉と首に代えねば、
 我々に残るのは家名だけだ。

 ────貴様らが身勝手に踏み躙り、貶めた家名がな。


       [ 受け継いだ記憶がそうさせるのか、
         微かに声色に怒りが混じる。
         在り方で言えばとうの昔に人間ではなく、
         其れは四年に及ぶ戦で表面化していた。 ]


 
(75) 2020/12/03(Thu) 13:00:14

【人】 燎原の獅子 ヴィルヘルム




 死者は蘇らない。これは生者への報酬だ。
 再びの栄光を示し、その忠誠が報われたと証明する為の。

         ・・・
       [ 誰もがお前の死を望むと言わんばかりに
         鋭い言葉を用いて言い切る。
         国の為、一族の為、家名の為。 ]



 [ 此処まで殺めて来た。これ程迄に死なせた。
   墓標が生者にとっての罪や喪失になるからこそ、
  
           “後戻りなど出来はしない”。 ]


 
(77) 2020/12/03(Thu) 13:01:18

【人】 燎原の獅子 ヴィルヘルム




 奥方の命は保証してやる。
 精々西の大陸で慎ましく暮らすが良い。
 全てを失った時、命に価値など無いと分かる。

        [ 見え透いた問いには答えない。が、
          僅かに覗かせたのは生き様への価値観。
          まるで自分が“そう”在るかの様に。 ]


 
(79) 2020/12/03(Thu) 13:02:16
 


[ 四年と七ヶ月。
  古き地図の姿を取り戻す為に費やした年月。
  それだけ長く戦っていれば、
  心がゆっくりと拉げていくのが嫌でも分かる。

  人は人を殺める為に自らの心を殺し、
  其れを定めと割り切るほどに擦り切れていく。
  自分は戦う為に生まれたのだと背追い込めば尚更に。

  自分を忘れて仕舞いそうな時こそ
  あの
小瓶
の存在を思い出しては
 
約束
の在処を想う。 ]


       ( 今なら解る。苦しみとは痛みでなく、
         傍に立つ者が盤上から降り
         二度と戻らないという喪失感だと。 )


 

【人】 燎原の獅子 ヴィルヘルム



 [ ────だが、最期の仇を前にして火は揺らがない。
       降り頻る雨に掻き消されることもない。 ]



[ むしろ落ち着き払った様子で言葉を受け止め、
  やがて静かに唇を開いた。
  配下達が掲げる篝火の明かりが近付く。 ]


     ……“我 Wilhelm von Arenberg、
        テリウスの指導者にしてブラバントの王。
        家名の誇りに懸け、獅子の御旗の許に”



   “汝、Judas von Bestlaに死刑を言い渡す”。


( 吐き出せば、重荷は自然と消えた。
  而してArrynに然うした様に、首を落とすだけ。 )



 
(81) 2020/12/03(Thu) 13:03:54

【人】 征伐者 ヴィルヘルム



 [ 使い鳥に終戦の報せと行き先を託し、
   たった一羽、籠から高く送り出す。

   もう暗号を用いる必要も、
   撃墜される心配をする必要もない。
   筆は軽く、迷うことなく進み────


              “待っている”

          そんな一言で締め括られた。 ]


 
(83) 2020/12/03(Thu) 13:07:39

【人】 征伐者 ヴィルヘルム




 [ 誰かが訊いた。
   契約の果たされる時は来たか、と。 ]


        ( ────否、未だだ。
          報せを国に持ち帰る迄。
          得た物の処遇と治め方を決める迄。
          全て『王』の役割よ。 )

 [ 声は脳裏で囁いた。
   城に戻れば必ず命を貰う、と。 ]
 

 
(84) 2020/12/03(Thu) 13:07:56

【人】 征伐者 ヴィルヘルム




 [ 悪夢は完全に消え去り、
   一人の脳が抱えるには重すぎる二百年の記憶は
   眠る度に少しずつ薄れて往くのだった。

   三週間に及ぶ帰郷の中で誰かの名が消える。
   今では古き当主の名が思い出せない。 ]



[ 幼い頃から夢の中で継承し、植え付けられて来た記憶が
  抜け落ちれば、何も知らない子供に戻って行くかの様。

  充たされず、飢えと渇きに支配された獣の如く
  思考を占めていた
悪はその名残もなく。 ]


 ( 其の憎しみが誰の物であったのか、

      影も形もなければ確かめる術もない。
               ……そんなものだ。 )


 
(85) 2020/12/03(Thu) 13:08:17

【人】 征伐者 ヴィルヘルム

 

[ ────祝賀に飲み交わす兵達の宴から抜け出して、
      砦の暖かな寝室に戻る。
      従者に火を焚かせ、灯りを付け、机に向かう。 ]


 [ “もう下がって良い”と告げれば、
   目的のものを執筆する為に羽根ペンへと手を伸ばす。

     相続に関しての取り決め、領主の割り当て、
     功績を立てた者への褒賞、戦死者の弔い、
     やるべき事は山ほどある。そして……


 真実を知らぬ息子に宛て、最期の言葉をしたためようと。 ]



          ( 何も浮かばないのは
            疲労の仕業であって欲しい。 )


 
(86) 2020/12/03(Thu) 13:08:50

【人】 征伐者 ヴィルヘルム

 

 [ 考える内に時間は徒らに過ぎ、
   窓の外を見遣れば宴の気配も殆ど消えていた。

   秋の終わりの長い雨は月の見えぬ晩を一層冷たく、
   憂鬱なものに変える。 ]


[ 黄金のゴブレットに葡萄酒を注ぐ。
  遺書の為にも多少は“馬鹿”になった方が良いだろうと。

        薬は既に不要であるから、
        代わりにシナモンを加えて温める。
        甘く芳醇な味わいが喉を満たした。 ]



 [ 再び筆を手にしては溜息を吐いた。
   背凭れに頭を預け、時折寝室の天井を仰ぐ。
   揺れる髪には古びた紙紐。誰かが遺した依代。

    彼女の生存を知らせた最も古い手紙の代わり。 ]*

 
(87) 2020/12/03(Thu) 13:09:11
 

 [ 幸福な未来を棄てた事で、
   家族の存在が大切なものの中から消えた。

   熾烈な闘争によって
   唯一の幼馴染の命が失われていった。

   民も、美しき国土も、愛しい筈の息子も、
   死を前にすれば口惜しさばかりを覚える。 ]



( 一つ、また一つと燃え落ちる様にして消え。
   其れでも未だ“大切なもの”として此処に在るのは、 )


 




 [ 幕引きを控える者同士、獣達の運命は引かれ逢う。 ]
    [ 誰も通れぬ程────狭き路を征け。 ]


 



[鉤爪で傷つけぬように包み込んだ、案外弱々しい背中は
傷だらけの冷たい身体を抱き寄せた時と重なってしまう。

    トロイメライを振り返っただけ。
    ただの自分のエゴイズム。
    だけれど、彼はそれを拒みもしなかったから、
    ……血濡れた手を、縋るように伸ばしたのだ。]

(よく切れる刃物など、復讐では都合の良い獲物なのに。
 遂にそれを使わずにしまっておいたのは、
 ……
約束
を果たす最後まで
 絶対に他者の血で汚したくなかったからなのか。)


 



[元より安らかな死など約束されない身であった。
抗うことを辞めてしまえば己は真のひとでなしとなり、全てを破壊し尽くすのみの血に飢えた化け物と成り果てる。

   有象無象に興味がなければ
   己のことだってどうだって良かったのだ…今までは。


何もかも壊す前から自分自身で手放してしまえば苦痛なんて湧かない筈だと信じていた癖に、結局あるのは変わらない地獄だ。]


(自分の道を決めた、たったひとつの人間性が
 今度こそ手放しはせぬと握りしめた──唯一無二。)


 



[歯車を自ら狂わせた者同士、
 噛み合ってしまうのは必然の道理。]
   
[借りものの命なら、使い込んで返せ。]

     [幕引きくらいは───望んだ通りの結末を。]

 

【人】 征伐者 ヴィルヘルム




 ( 冷たい戦乱が心さえ凍らせていたかのように、
   凝り固まった情緒は言葉として表すことが出来ない。
   揺れる暖炉の炎にもう一つ薪を加えて、
   再び机に向かおうとした時だった。 )



[ ────使い鳥の嘴とするには大きい、
      硬質的な音色が部屋に反響した。>>99
      天候が雹に変わった様子でもない。

       敵襲など有り得ない立地と高さだ。
       加えて周囲は砦に収容し切れない人員が
       軍幕を張っているものだから。


  思い当たる前にナイトガウンの裾を翻し、
  窓辺へ駆け寄った。
  見れば薄闇の中に濡羽色の魚鱗めいたものが光っている。

  思わず框に手をかけて、一息に頂点まで押し上げた。 ]

 
(105) 2020/12/03(Thu) 22:07:18

【人】 征伐者 ヴィルヘルム

 

[ すると破れた布切れと不規則な黒鱗に覆われた脚が、
  それに続いてヒトの輪郭を保った顔が視界に現れる。

    血溜まりの如く濁った
であっても、
    一度目の当たりにした其の姿を忘れる筈もなく。


  吹き込む風に混じる死の匂いは、
  彼女が長い長い闘争に身を置いていた事を悟らせた。 ]


            リヴァイ、お前……
          今晩はまだ三日月の筈────

 
[ 言い切る前に其れは窓の下枠に脚を掛け、
  濡れそぼつ身のまま飛び込んで来た。

   寛いだ衣装では一人分の質量以外に抗うものはなく、
   衝突した威力に押されるままに後ろ向きに倒れ込んだ。
   古びた絨毯から鈍い音が鳴る。 ]

 
(106) 2020/12/03(Thu) 22:08:08

【人】 征伐者 ヴィルヘルム

 

[ 振動と共に全身へ打ち広がる様な鈍痛。
  痛みには慣れてきたが、頭の中が揺れたまま治まらない。

  深い瞬きを繰り返して定まらない視界を確かめるが、
  一向に効果は出ない。

  言うべき事も、迎える言葉も、募る話も、
  沢山あった筈なのに。
  瞼の裏に文字通り星が散る有り様では、
  “ああ”と短く肯定を返すのが精一杯だった。 ]


 [ その実、狭義的な“無事”とは言い難く。
   命を酷使したお陰で身体は重い上に、
   受けた矢傷は今も包帯の内側で疼いている。

         取引の『刻限』が迫る身体は、
         不可逆で緩やかな衰弱の途中に在る。 ]



 [ 分厚い生地に冷たい雫が染み渡る。
   背へ控えめに回る腕があれば体温は尚更混ざり合い、
   腕を広げて迎え入れようとした中途半端な格好のまま
   疲労困憊への追い打ちとなった眩暈と戦っていた。 ]*

 
(108) 2020/12/03(Thu) 22:09:53

【人】 征伐者 ヴィルヘルム



 『他の国家の如何なる法もこの地では無効。
  敵意を持たない対象への攻撃は許可しない』

 [ いつか戦争が始まる前に敷いた則。
   其れは実質的には彼女を保護する為の決まり事で。
   獅子の御旗は定めた獲物以外には靡かない。

   ────たとえ国際的な指名手配であったとしても。 ]



[ どれ程冷たく過酷な闘争であったとしても、
  生命の証明は、体温と鼓動は変わりなく其処にある。

  本来なら死に至る運命を幾度となく捻じ曲げ、
  “違和感の無い程度”に書き換えられた筋書きは
  何もかもが悪魔の筋書き通りであるが、
  同時に約束を確実に守る動因となった。


      床に落ちた黒髪を受けたばかりの雨粒が伝う。
      揺れる度に張り付いては触れたものを
      しっとりと濡らして行くのが擽ったい。>>109 ]

 
(114) 2020/12/04(Fri) 2:14:03

【人】 征伐者 ヴィルヘルム

 

[ 碌に身動きの取れないまま放り出されれば、
  自ずと暖炉の火に近づく事になる。>>110
  気付けば窓はいつの間に閉められていて、
  寝室は暖かな空気と橙色の光に満たされつつあった。 ]


    四年闘って無傷で済む戦士が居ると思うのか……?
    だとしたら其奴の度胸を疑った方が良かろうに。


[ 結局、再会して初めてのまともな返答は
  いつかの日にも似た憎まれ口になってしまう。
      回り始めた思考は傷の手当だとか、祝杯だとか、
      先程浴びた湯を従者に沸かし直させる事だとか、

  ────考えたその全ては再び何処かへ葬られた。 ]



 [ 漸く平常に戻りつつある視野が最初に捉えたのは
   揺れる火に照らされ浮かび上がる女の肢体。
   末梢や頬、背と尾を除いてヒトの形を既に取り戻し、
   この身を覆い隠す形で寝台に膝を乗り上げていた。 ]

 
(115) 2020/12/04(Fri) 2:14:44

【人】 征伐者 ヴィルヘルム

 
[ 艷めく鱗と同じ色合いをした髪が首筋に描く線が、
  宗教画じみた非現実的さを孕んでいたものだから。 ]



  ────おい、 …………

       
     ( 今、“月に頼らず”と言ったか? )



[ その行動に異を唱えようとしていた唇を閉ざした。
  壊れ物を扱うかの様に触れた掌は恐ろしいほど冷たく、
  同時に零された言葉は最早意味を成してはいない。>>111

    安堵の意味を思考し、
    手繰り寄せた結論は酷く苦しいものだった。 ]


( 温かな家庭で得られる幸福の選択肢を蹴り、
  同胞も、名誉も、故国も、居場所でさえも投げ捨てた。

     お前が自ら望んで獣に身を窶す程に、
     この
約束
は重かったのか。 )



 [ 中和されるかのように肌は冷えて行くと言うのに、
   長き戦に凍り付いていた情緒は溶け出し始める。 ]

 
(116) 2020/12/04(Fri) 2:16:09

【人】 征伐者 ヴィルヘルム




( 立場が異なるからこそ、
  同情は叶っても共感は出来ぬ。

  だが、憐れみに混じる喜びに似たこの感情は何だ?
  ……奴は血に染まるのが喜ばしい、
  これまでの復讐相手とはまるで違う筈なのに。 )


       [ ────不理解。空白感。
         掴み所のない感情の出処を知らないのは
         彼が精神的充足と共にある『恋』を
         経た過去がまるでないからだった。 ]


 
(117) 2020/12/04(Fri) 2:20:56

【人】 征伐者 ヴィルヘルム

 



         ( ────嗚呼、だとしても。 )

(118) 2020/12/04(Fri) 2:21:45

【人】 征伐者 ヴィルヘルム



 
守るべき平民

[ 唯の田舎娘にそこまでさせる程の呪いを投げ掛けた。
  互いに律し、戒め合ったこの運命は
  漸く終局に差し掛かろうとしている。 

   戦を終えれば、心を奮い立たせる理由も
   慈悲や情けを殺して埋める必要もなく。
   奇運に振り回され続けた少女のこれまでを思えば、 ]

       
■かな■り

 ( せめて安らぎを、と思わずには居られまい。 )



 [ いつかの様に凭れ掛かる身体を受け止めて、
   “今度は”紛れも無く自らの意志で華奢な背に腕を回した。
   体長の半分はあろうかという尾が
   応えるように巻き付けば、体温は更に奪われる。>>112 ]

 
(119) 2020/12/04(Fri) 2:21:55

【人】 征伐者 ヴィルヘルム



[ 微かな震えが起こるのも厭わずに、
  唯々凍え切った身を温めようときつく抱き締めた。

  濡れて張り付いた衣服の残骸など投げ捨てて、
  人と獣の合間に在り、倒錯的ですらある肉体の
  薄い肩をさすっては、髪を梳いて退かしてやる。 ]



   ……幾ら祝賀とは言え、女など頼んでおらんわ。
       
( お前はもう“物”から脱却したのだから )



 [ ずっと前に教わった抱き締め合う事の喜びを実践し、
   やはりと言うべきか、突っ慳貪に吐き捨てたのは
   彼なりの“逢いたかった”の感情表現だった。 ]


 
(120) 2020/12/04(Fri) 2:22:19

【人】 征伐者 ヴィルヘルム




[ 縛り付けられて来た心が、愛されなかった子供が、
  本当は心の中で何を求めていたのか。

  其れを表現する術を持たない儘触れ合って、
  名前も知らない“与え与えられる喜び”に溺れていく。

  枷の外れた心は二十余年未知だった領域に踏み入っても
  もう、どんな恐怖を覚えることもなかった。

  ……総ては雨の降り頻る、長い夜の秘め事の中に。 ]*


 
(121) 2020/12/04(Fri) 2:23:48