人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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「…………」

溢れんばかりに流れてきた情報に大した反応を見せない女は、
旗から見ただけでもわかる落ち込みようだった。
警察と違い理由の推測は貴方にとっては簡単かもしれないが。


「マフィア、警察からも逮捕者続出。
 相変わらず新聞もニュースサイトもその話題で持ち切りだ」

「ヴィットーレちゃんも。
 ハァ、こんなに早く隠蔽を急ぐ事になるとはな」

名前を挙げたのは、先日手助けを承諾したばかりの知人。
そして、逮捕者はそれだけに留まらなかったのだろう。
あなたも、そしてこちらも。


「ごめんね、ペネロペにも無理をお願いしちゃったのに。
 それ程、誰かがヴィットーレを強く狙っていたのか、な……
 ……あんなに、優しかったのに。だからなのかな。

 私にとっては、大切な"家族"だったの。
 ……夢の中なら、言っても許されるよね」

尋ねてもいないのに、唐突に紡がれた呟き。
勿論血の繋がりはなく、孤児院と教会は全く同じではない。
けれど、確かに自分達は家族であると信じていた。

表向きはそれを伏せねばならないのだろう。
それがここの夢に来て、思わず零れ落ちてしまった。


「別に。頼んだんなら謝るなよ、堂々としてろ」

それほど簡単に割り切れる話でもないから、
そうなっているのだろうが。
少なくとも、礼を言われた方がこの男にとっては快いというだけ。

「『誰が』までは夢は教えちゃくれないみたいだな。」

頬杖ついて、移り変わる場面を横目に。
そこにあるのは、重要そうな情報から、日常の一幕まで。

「優しいから見せしめにされる、ってのは無くもない話だ。
 ま、俺ぁ別に警察じゃねえし、手柄にも興味は無いからな。」

「"家族"が連行されて落ち込まねえ方が無理だろ、普通」


「……うん。ごめ……ううん。ありがとう、ペネロペ」

「ふふ、落ち込んじゃ本当は駄目なんだけれど、ね。
 私まで逮捕されれば、私達が守りたかったものに
 危害が及ぶかもしれない。関係性を探られちゃだめなの。
 ……本当に、結構これ、辛いなぁ……」

そうして、流れてくる場面の数々を見て、んん…と戸惑う。

「ここ、名前出ているわね。ロメオ……それにこれはニーノ?
 随分日常的な会話をしているのは、ここかしら」

「あと、この特徴的な喋り方……ダニエラ?
 なんだか、随分取引みたいなこと……どういうことかしら」

Inutile piangere sul latte versatoこぼれたミルクを嘆いてもしょうがないという諺がある。
その通りだと思う。
最初にそれを思ったのは、母が死んだ時だった。
…今は、きっと、あの時と変わらない。

小指のエナメルを緩く撫でる。
トップコートのお陰で、つるりと陶器のような手触りだ。

まだ。
まだ、大丈夫。

まだ独りじゃないから。頑張れる。


「おう」

ありがとう、には、それだけを返して。
気を損ねているわけではなく、元来そういうたちなのだろう。

「ダニエラ……ってえと、そっちの巡査殿か。
 こっちで部下を可愛がってそうなのはルーカスくらいだな」

「肝心の逮捕・摘発をやってる方は全然声がねえな。
 見えるモンから推測するにも限度がある。
 だが……イレネオの野郎が身内にやられたとは驚いた」

「それ以外は『わからねえ』が答えだな。それにしても」

ハア、と大きな溜息。


「次にウチから引っ張られるのはそこか。
 まあ、妥当なところだろうが…仕事が増えるな」

「俺が上手いこと無能のフリできてるって証拠でもあるが」

でももしも、ひとりになったら。
浮かんだ思考を、大きな吐息と一緒に吐き出した。

この手には約束がある。
だから、大丈夫。
大丈夫。


「おっと、そうだったか。……あー」

「俺も早くに両親に死なれてなあ、
 代わりに面倒を見てくれた奴らがいる。
 苦労も親孝行をしてる……つもりって言うのも。
 少しは同じもんを感じるねえ」

できてるかわからないのも。
こちらはそんな素振りもなければ不真面目ではあるが。

「あんたにとってのそいつが無事であるならいいんだがな」

「お粗末様。
 お礼は、そうだなー……」

突然会いに行ったのに材料を用意してくれて。
ピンクのエプロンを付けさせてきて、いつもの笑顔で迎え入れた男の顔が思い浮かぶ。


「……次のデートの約束をしたんでね。
 その時にでも伝えておこう」

また次の日。
自分達は改めてホテルに集まり、手に入れた情報を伝え次の作戦を考え解散するはずであった。

この後にやってくる一通の電話音が鳴り響くまでは。

「……あのくそ旦那」

片手で頭を抱えながら手渡すのはあまり分厚くはないが文字の多い書類。
対処に困っていた男と元上司まで牢に捕まったことで正直混乱は隠せない。

それはそうと、あの時聞いた名前も共に無事に報道されていたのも目についてしまう。
……貴方はうまくやったのだろう、だからこそその表情を伺っていた。

「……」

女はいつものデスク。
手のひらの上でバスボムを弄んでいる。
イチゴfragolaのジェラートの色のような、薄紅色のバスボムだ。

書類を受け取り目を通す。
ことり、と静かにバスボムを置いた。

「……何か、ありましたあ?」

くそ旦那
はさておきだ。
やけに落ち着いているという印象を抱いたならそれはきっと間違いではない。
元来あまり感情を表に出す方ではないのだ。
作り笑いだけは、昔から得意だったけど。

よく笑う人は、愛されるから。
署内ではよく笑い、愛されるよう振る舞ってきた。
だけどここ暫くは、それが板に着いてしまったんだろうか。
“楽しい”という感情が付随してくるようになっていた。

そんなの、今まで、数える程の相手との会話でしか感じたことなんてなかったのに。
そのことを思うと、少しだけ、書類を握る手が震えた。

――そして。

(…いいなあ)


ああやって、表立って文句が言えるのだ。
そのことだけ少し、薄ら、羨んでいる。

「捕まってほしくなかった奴が捕まるとなあ」
「殺意が真っ先に沸いた」

「あと昨日言ったデート相手は件のヴィットーレだ。
 奴の店は燃えた」

俺が立ち去った、後に。成程ね、ぶっ飛ばしてやろうか。
どいつもこいつも勝手をする上司ばかりが周りに居る。

俺は疫病神か何かか……?
 あいつらのせいで裏口をたたかれるんだぞ、たまったもんじゃねえ


「そういうお嬢さんは今日もポーカーフェイスかい。
 ……例のガキ、あー……ニーノはどうだったんだ」

「…そおですかあ。」
「それは、…残念です」

「……」

直接お礼をいうなんてことは端からできる立場でもなかったけど。
あれは、おいしかったなあ。そんなことを、ぼんやり。

「ニーノくんは。あー。」
「…まあ、素直ないい子ですからあ。」
「疑いもしないで、
嵌められて
くれましたあ。」

「これで、懸念はひとつ晴れたんですけどね。」


小声で呟かれたのは、以前言っていた“個人的な理由”だ。
今となっては、かなり意味も薄れてしまったと女は感じていたが。

材料以外は全部自分が手作りをしたということは言わないでおこうと心に決めた。
店をやっていて飯が上手い人間に頼ったのは確かだったので。

「……あと俺たちの会話を盗聴している可能性があるやつらが知り合いだった。
 悪い事には使わんだろうが、そういう奴らだ。
 一人凄いやつが居てな……大分年下なのに発明……?
 作るもんがすごくてな。調べるのも得意のもんで、あれは大した奴だったよ。おっと、大した方でしたね、か」

「お疲れ様だな……。大きなトラブルが無いならよかった。
 気にしすぎるなよ、永遠に牢屋に入ってるわけじゃないんだ。
 こんなふざけた法案……いつかマシになるに決まってる」

そう思っていないとまた苛立って仕方なくなる。
自分のせいだ、とずっと頭の中で声がする。
直接的じゃなくても、俺が奪ってしまう、誰かのその場所を。
そう考えただけでまた足が動けなくなりそうだった。

盗聴の話を聞いた時、ほんの少しだけ女の顔色が変わった。
大した
。うん、そっか。
無意識に、左手を胸に抱く。まだ、大丈夫。

「…気には、しませんよお。」
「あたしも大義があって、これをしていますからあ」

最初から。
女のしようとしていることは、全部、道理を外れている。
地獄に堕ちても仕方ないかなあと思いながら、それでも。

「……お兄さんは」
「お金のため、ですかあ?」

金を支払い情報を買っている当人が訊ねることじゃないかもしれない。
だけど返答次第ではもう少し色をつけなければとも思っていた。
女の懐には、活動費だけはやけにたんまりあるわけだし。

「……?」

はて、何かそこまで引っかかることを言ったか。
違いは分かるのだが、やはり口を開かないので特に聞いてやることはなかった。

そんなものだ、深くつつくものでもない。

「大義か、そうだなあ。
 ……はっきり何のためとは誰にも言ったことはなかったが。
 俺がこの道楽をやってるのは金の為じゃない。
 この道楽をするために金が必要なんだ」

道具も、人も、技術も、手に入れる為に必要になるのは金。
自分が為せないことは金を使って他人の手を借りればいい。
この手を汚す必要なく、その手のエキスパートを雇えば確実だ。
だからこそ、できるだけ手にする金はまっとうなものでなければいけない。
裏金や盗みなどはもっての外、その辺りは単なるリスクケアだが。

「俺は情報真実を知るために金を集めている」

「知りたいことを知れるのは、安心するだろ」

彼は情報屋とは自分で言わない、これは道楽であると。
図書館で物を調べるのと同じ、ただ豪勢に広大な規模で金を湯水のように使って困難な情報まで調べているだけ。
全ては知識欲と、自分が
安心する為
に。

「まあ、いくら調べても結局人は信じられんけどな」

「俺はどうやったら傍にいる人間をまともに信じられるか悩んでるよ」

今日まで味方だった者が明日には裏切り者になっているかもしれない。
そんなことを言っているからいつまでたっても堂々巡りなのだ。



本当に知りたいものはどれほど金を積んでも調べられていない。
だからこの道楽は続いている。全くどうして、いつになればおわるのだろうか。

そうですか、と小さく。
少しの間、何ていえばいいのかなと浮かべて。

「……信じられないって、いうのは」
「裏切られたくないってことだと、思うんですよお」

「あたしは…見てのとおり、ですからあ」
「あたしのことを信じてみてくださいとか、そおいうかっこいいこと言えないんですけどお…」

小指のエナメル。マリーゴールドの色をした。
さてその色は黄色とは、この国に広く伝わる宗教の上で、どんな意味を持っているだろう。
…女は自分がそっち側の人間であると、忘れないよう刻んでいる。
そうしなければ忘れてしまいそうな危うさだって、とっくの昔に自覚済みだった。

「裏切られても、いいかなって」
「そう思える人だけ、あたしは信じてますよお。」
「…たくさん、良くしてもらったから」
「騙されてるなら、それでもいいかなってえ。」

ゆるやかにその口元を緩める。どことなく郷愁のかおりのする笑顔だ。
重ねてきた時と想いを全部、その胸中に忍ばせたような。

「……あたしの大義は」
「その人たちが守りたいものを、守ることですう」

「だから」

どんなに胸が痛くても。苦しくても。


「気には…しませんよお。」

“その人たち”が、
欠けて
しまっても。
笑うのだけは、得意だから。

――へらり、と女は笑いかけた。

フィオレは、教会で祈りを捧げた。これ以上、自分の大切な人達が奪われてしまわないように。
(a4) 2023/09/18(Mon) 10:28:45

【人】 うたかたの ダニエラ

朝のルーチン。2日に1度のサンドイッチ。
いつもと同じメニューを頼む。

「ありがとおございまあす。」

レシートを受けとり、馴染みの店主に手を振って。
齧りながら通勤の道を歩いた。

街は今日も、取締法のせいかどこか縮こまったような様子。
それを横目に眺めながら、小さく、溜め息を落とした。
(6) 2023/09/18(Mon) 11:56:40
もうこのレシートに、メッセージが載ることはないのだけれど。
ダニエラ・エーコのルーチンは、そう易々と変える訳にもいかなかった。

だから、こうして無意味な行為を、きっとこれからも繰り返す。
レシートをついちらりと見つめてしまう癖も、きっと、そうそう直らない。

【人】 路地の花 フィオレ

教会を後にして、未だアジトへ向かう気になれない女はショッピング街をあてもなく歩いている。
自分に出来ることはないと分かっているから、気分はすぐ沈みそうになる。どうにか気を紛らわしたかったのだ。

「……あ」

小さな花を模ったシルバーネックレスを目に留めて。
アクセサリーにはそれほどこだわりがあるわけではないけれど、目を引いたそれをいくつか見て。

「そうだ、」

何かを思いついたような声を上げて、暫く吟味を重ねていたかと思えば。
2つのネックレスを手に取って、会計に向かうのだった。

#街中
(7) 2023/09/18(Mon) 14:46:17
『開けました』

『どうぞお気をつけて』
『今のうちに罠でも仕掛けておきましょうか』

冗句を交えて、もういちど連絡を一つ。
あとはなるようになればいい。

【人】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ

>>1:153 テオドロ 0日目
いくらか、答えに対して返る視線があった。幼いものを見るような、柔らかな目だ。
小言もこれまでとしたからには、今は言葉で伝えるものはない。
そして、それは自分だけの役割であるわけではない、今説かねばならないことではない。
ただ、今は曖昧な納得だけを返すように、長い睫をそっと伏せて笑った。
男がいくら言葉を弄そうが、今の貴方は"そう"なのだ。

「取り調べの時も、完璧な服装では出向くなと教える人もいた。
 目標や被害者に話をしにいくのに、わざとネクタイを緩めたりカフェオレをこぼしたり、
 隙のある人間であるように見せることで、相手の話したくないことを聞き出す術らしい。

 抵抗の有る言い方かもしれないけれど、人を頼るというのも同じことだ。
 もしも曖昧な感情や関係性に信を置けないのなら、そういう作用を見るといい。
 ……別にこれも、計算ばかりの話ではないんだ。
 安心して心を開いてほしい、無理強いしたくないというのは捜査官として不自然無い動機だ。
 罪を犯していたとしたって、相手が市民であることはいつだって変わらない」

0と1ばかりの世界の話ではない。傾いた夕日が映す街のシルエットを見据えて男は言う。
ひととして生きるにあたって地続きの公と私を交えながらに、声の調子が変わったのを見て振り向く。
連れ立って商店街のついてきた足は、まだ方向を変える様子はない。

「うん? ……ふふ、そうだな。
 私の買い物に一つ付き合わせる代わりに、私も君の買い物の様子を見せてもらおうかな。
 ちょっと古い友人に会いに行こうと思ってね、手土産を探していたところなんだ」

言葉で差し出された順番は、実際の買い物の順番とは逆行するだろう。
自然と言い換えてしまって、己の責が先行しているかのように足を進める。

#街中
(8) 2023/09/18(Mon) 17:07:21
『ありがとう』
『ちょっと出掛けてたから、今から行く』

『今日は、家にいる?』