人狼物語 三日月国


241 【身内】冬の物語

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視点:


[ その手紙は決別だった。
夜遅くに帰ってきて見つけたそれは、その半年ぶりのコンタクトは決定的な別れを告げるものだった。

半年経ってどんな大きな穴でも埋まっていくのだと。
そう確かに思えたのに。

こうしてまた心を揺さぶられる。

いつまでも。
まるで化膿した傷口のようにじゅくじゅくと。
膿んで熱と痛みを忘れさせない。]

 
 どうしろって言うんだよ。


[ 呟いた暗いひとりの部屋。
どこにも向けられない感情と、どこにも届かない言葉。
テーブルの上の手紙。
メッセージならすぐ返せるのに。
本当に返すかどうか自分でも不確かなままそんな不満を抱く。]*

【人】 松場 雪奈

[内覧した部屋は、今のアパートと会社までの距離は一緒だが、
会社を挟んで逆側。
そこに決めてしまえばいいが、もう少し他もと言うのは、やはり未練。
その未練を断ち切るように、手紙を入れたのに、いざ決めてしまおうとすると躊躇してしまう。

夕方…帰ってきた時、彼の部屋前で足を止めてしまう。
会いたい…そう思って、何度足が止まった事か。
でも何か出来るわけではなく、とぼとぼとした足取りの、自分の部屋に戻る。



引っ越しの準備とばかりに、片づけるが、これは…とか、何かについて浮かんでしまう。
本当にこの部屋には、柊との思い出が溢れていると、改めて実感させられる。

会わなくなって、半年も経っているのに、いまだふっと思い出しては、泣けそうになる。]
(11) 2024/01/12(Fri) 21:32:42
[夜も、随分ふけってきた。
だから余計、思い出すのかもしれない…この部屋にいるから。

と、息継ぎをするように、ベランダに出る。
空を見上げて、隣を見つめて、会いたいなと思えば…溢れそうになって。

夜の空気を吸い込んで、気持ちを落ち着けようとするのであった。*]

[ 暫くして、ベランダに人の気配。
というより、隣の部屋の雪奈の気配。
いつもなら避けるように決して外には出ない。

けど。

こんな手紙のせい。
隣に雪奈がいることがわかっているのにベランダに出た。]


 よっ


[ 初夏の生ぬるい夜の風。
手すりに体を預けて隣の部屋の方を見た。]*

[久しぶりに聞いた声。
会いたいと思っていた人が、すぐそこにいる。
会いたいなと思っていたところだから、よけい。
夜だからはっきり見えなくても、そこにいるという事実。

驚きと、嬉しさでいっぱいになる。]


  …………っ


[何か言いたいのに、こみ上げてくるものがあるから、言葉がでてこない。

こみ上げるものを抑えるように、空を見上げて息を吸う。
落ち着かせるように、俯いて、吐き出す。
それを数度繰り返した後]


 ょ…よっ……


[同じように返すが、声をはっすると、同時に我慢できなくて、涙が落ちてしまうのであった。*]

[ ビールの缶を片手に言葉を交わす。
防火壁のせいで雪奈の姿は見えない。]


 引っ越すのか。


[ 言葉にしたのはそれだけ。
ベランダから今度は遠くを見てビールを一口。
全然美味しくない。]*

[我慢しようとしても、溢れるものが止まらない。

読んでくれた。無視されてもおかしくないのに、読んでくれた。
それだけでまた…。

息を吸い込み]


 ……その…つもり………


[何とか一言吐き出した後、がんばって声のトーンを上げる。]


 隣に住んでいるって、気にさせるかな…って思って…さ……


[何でもない事のように言ったつもりである。]

 ………ごめん。それは、建前。
 本当は、私が気にするから……。
 ここは、思い出がいっぱいだから……
 どうしても在りし日を思ってしまうの。
 隣だから、偶然とかも考えてしまう。

 それに、声を聞いただけで……。


[想いが溢れてしまう。

この場で座り込みたいが、それでは声が遠くなってしまう気がしまい、壁に寄りかかりながら]


 ………未練がましくてごめんね。
 本当はさ…あの事なんて、無かったかのように、友達して、
 また飲みに行ったり、遊んだりしたいよ。
 けど…そうするには、私の気持ちが、大きすぎるから……。


[言葉にすれば、否応にあふれ出してしまう。

目元をぬぐうが、それ以上は、言葉が出てこない。

好きと言う事も、今度こそ、さよならと言う言葉も。*]

[ 雪奈の声が震えている。
あの夜、決定的に変わってしまった二人の関係。
だけどそれは不幸なへんかだったのか。

友人という形におしこめて。
それが変わってしまうこと、変わってしまったことを恐れたのは何だったのか。罪悪感と後ろめたさにただ変わることへ怯え、びびっただけではないのか。]


 無かったことに、しなきゃ駄目なのか?


[ 問い掛ける声は雪奈に向けたものだったのか、それとも。]*

 
 ………………えっ


[口に出したのか、思っただけか、定かではないほどの驚き。]


 な、無かった事にしたくない……ううん。
 出来ないよ。
 だっ、…だって……あんな方法でも…嬉しかったから。


[ああでもしないと、関係を持つなんて事はなかったと思うから。
それでも、嬉しいだけでは終わらない。
一つの時間を手に入れたために、それ以外の…
傍に居る事すら叶わなくなった事は、後悔するほど辛かったから。]

 
 それになかった事にしたいのは、貴方の方でしょ。
 後悔したから…だから………


[だから一人で残された…と言う言葉は飲み込む。
半年も前の事だとしても、今もまだ昨日のように痛んでしまうが、それは過ぎた事。
どうにもならない過去だから。]


 無かった事にするのが良いと思ったんただよ。
 ねぇ…それを聞くと言うのは……貴方は、どうなの?


[自分は告げた…柊はどうなのか。
目元をぬぐい、ベランダの柵から身体を乗り出して、隣の…柊の部屋の方を見る。
声だけでなく、しっかりと見たいから。
でも…うっすらでも見るとこみ上げるから、唇を噛んで、答えの行方を待ってしまう。*]

 
 俺は……


[ 無かったことになんかしたくない。
後悔はあった。罪悪感もあった。
雪奈を利用した。そんな自分が嫌だった。でも。]


 雪奈にそばにいて欲しい。


[ それは恋ではないのかもしれない。
それもまた、後ろ向きになった原因だった。
でも。
恋ではないとしても、雪奈が好きな気持ちに嘘はない。それは友情の延長かもしれない。執着かもしれない。失いたくないだけなのかもしれない。
だけど、それの何が悪い?]

[ 本当に自分が嫌になる。
身勝手で、雪奈を利用して、雪奈を傷つけて、でも。]


 俺は……お前を失いたくない。


[ それは何一つ偽らざる本心だから。]*

 
 ………。


[ゆっくり、自分の気持ちを確認しているよう。
何を言われるのか…とても怖い。
怖くて逃げだしたい。

あんな言い方をするんだから、期待してしまう。
でも同時に、期待してもと、後ろ向きになっていたが…]


 ………っ


[目を丸くして、息を飲んでしまう。
そんな事を言われるとは思わなかったから。

嬉しいと同時に、どういう意味なのと浮かんでしまう。
でも……そんな事を言われたら、どんな意味だろうが、どうでもよくなる。

嬉しいから…どんな意味だとしても、そう思ってくれる事が嬉しいから。
嬉しくて、別の意味で目の前が霞む。
やはりすぐに言葉を口に出せない。それほど胸がいっぱいだから。

乗り出していた身を、引っ込めて]

 
 いるよ……傍に居る。
 私から、離れるなんて…出来ないよ。
 しないとと思って…でもずるずるできなくて、今度こそするぞって意気込んで、
 手紙を出したのも、決意と言うかけじめというか、振り払う為とか…。
 
 でも、結局最後の踏ん切りはつかなかったから…。


[大きく息を吸う。
別に今までだって、何度か口にした事であるが、初めて口にするような緊張が走るから]


 ねぇ……そっち行って…いい?
 柊に……会いたい。


[声だけのやり取りではなく、顔を、しっかりと会いたいから。*]

 
 いいよ。
 俺も……雪奈に会いたい。


[ 半年の間、避けていた。
会えない理由も、合わない理由も曖昧で定まらないまま。
だけど半年経ってみて残ったのは雪奈に会いたいということだけ。

ベランダから部屋に戻る。
それから、玄関に行って鍵を開けた。

いつでも彼女を迎えられるようにそのままそこで待っている。]*

 
 すぐに行く。


[会える…それだけで胸が躍る。
ずっと笑い方なんて、忘れていた…けど、会えると思うと自然と笑っているだろう。

ベランダから部屋に戻って、気づく。
今、Tシャツと短パンの部屋着である。
久しぶりに会えるのに、こんな格好なのは…が、着替えるとなると、選ぶだけで時間がかかる。
許してと、鍵を持ち外へ。

部屋の鍵をかけて、すぐ隣に。
柊の部屋の前で足を止める。夕方…ここで足を止めた時とは違う気持ち。

行くと言ったから、勝手に開けてもいいだろうが、久しぶりなのもあって、インターホンを押してしまう。
扉が開けば]


 会いたかった。


[はにかんだ笑顔を向けるだろう。*]

[ きっとそれは熱に浮かされるような激しい想いではない。
雪奈が向けてくれるそれとは違う。これは恋ではない。]


 よ、久しぶり。


[ 扉を開けて雪奈を迎えいれて。
それから強く抱きしめた。
半年の空白を埋めるように彼女を強く腕に抱く。]


 俺も会いたかった。
 お前がいないのは寂しくて苦しかった。


[ そのはにかんだ顔を見て思う。
自分は確かに雪奈を必要としている。
そして確かに彼女を想い、愛していると。]*

[変わらない事が嬉しい。
半年も離れていたけど、それが嘘のように思えるくらい。]


 うん。久しぶり…っ


[でも変わったのは、その腕の中にいる事。
行動一つで、すぐに胸がいっぱいになる。
その力強さに、実感させられ、負けじと手を回して、力を込めて抱きしめる。]


 それは…私も……
 ずっと、寂しくて苦しくて…辛かったよ。
 声が聴きたくて…………会いたかった。


[もう一度、会いたかったと呟く。
ずっと、ずっと願っていた事だから。]

 
 ねぇ、柊……覚悟してね。
 がんばって、貴方を口説き落とすから。


[必要とはしてくれる。
でも、そこに恋があるかは解らない。
もしかして今更の宣言かもしれないが、それは解らないから。

見上げてにやりと笑う。*]

[ そんな必要もうないのにって思いながら。
雪奈に負けないぐらい不敵に笑って答える。]


 楽しみにしてる。
 ……これからずっとな。


[ 先輩に失恋した
はとうに癒えた。
そこに残ったのは埋められなかった喪失感という穴だけだった。

恋をした。
それは実らなかった。

恋はしなかったかもしれない。
でも、そこに愛情はあった、今もたしかにここに。]*