人狼物語 三日月国


147 【ペアソロRP】万緑のみぎり【R18G】

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貴様がその名を呼ぶな、女。
その名を呼ぶのを許されるのは、この娘だけだ。



[娘とマティルダのあいだに立ち塞がるように位置取ると
娘に背を向けたまま、マティルダを強く睨みつける。

…そうでなければ、立ち続けることも難しかった。

今は、娘に直接触れている訳ではない。
それでも、先程、娘を抱き寄せた腕から痛みが消えることはない。

それだけではなく、娘を守るため周囲に張り巡らせた触手が
ちりちりと縮れ、灰になって砕けていく。
内心、焦りと共に砕けた影の上から新たな触手を生やそうにも、
再生の速さを崩壊が僅かに上回っている状態だ。]



……ぐ。


[直に触れるどころか、近くに在るだけで
娘の光に自身が灼かれているのがわかる。

彼女を守るため招き寄せた、この闇の……我が身の内側から
彼女自身の放つ強い光に中てられている。

そして女の手の内がわからない以上、娘から迂闊に離れることも難しい。
そして恐らく女もそれを見越しているのだろう。

自身のほうからは全く動きをみせることなく、
ただにこやかに我らの様子を伺っている]



『義姉上!!』
『此処に居たか!無事でよかった!!』


……鼠共か。


[更に厄介なことに先程図書館で遭遇した者たちも
我らの騒ぎを聞きつけてやってきたようだった]



『すまないな。
 最初に闇の精霊がいると言われたときは疑ったが
 まさか真実だったとは……』
『人払いは既に済ませてあります』
『よしよし、それじゃあ手っ取り早く
 世界を救っちゃいますかね』
『さっき逃げられた奴が何を言っているんだ』


[いっそ、呑気ともいえる奴らの応酬に内心腹を立てる。
が、それを口に出せる余裕が今はない。

理由はわからないが、
娘の特性を利用して此方に不利な状況を作り出したことといい、
彼方は我と、娘のことを知り尽くしているようにみえる。

そう呻いている間に、マティルダを中心に
男たちによって戦いの火蓋が切って落とされた]



『すまないな。
 最初に闇の精霊がいると言われたときは疑ったが
 まさか真実だったとは……』
『人払いは既に済ませてあります』
『よしよし、それじゃあ手っ取り早く
 世界を救っちゃいますかね』
『さっき逃げられた奴が何を言っているんだ』


[いっそ、呑気ともいえる奴らの応酬に内心腹を立てる。
が、それを口に出せる余裕が今はない。

理由はわからないが、
娘の特性を利用して此方に不利な状況を作り出したことといい、
彼方は我と、娘のことを知り尽くしているようにみえる。

そう呻いている間に、マティルダを中心に
男たちによって戦いの火蓋が切って落とされた]



 ―――…。


[前衛の騎士と思われる者たちから繰り出される剣戟には触手によって応戦し、
大地から生み出される土人形や風による斬撃、打ちだされる水や氷、炎の矢には、それぞれ魔獣を召喚して戦わせる。


純粋な戦況は、今のところ互角に持ちこめている。


現状、己の身に一番ダメージを入れられているのが、
我が身に抱えた娘自身というのが、気に入らないが]**



(ジリ貧とはこのことですね、アルカード)


[ 祈りを捧げるように両手を重ねて。
 わたくしにとって大切な彼らを支援しつつ、
 闇の精霊へと思念を通じて語りかける。 ]


(どうしても、彼女を手離すつもりはありませんか)
(ずいぶんと、彼女にはご執心のようですが)



 ……貴様になど、わかるものか。


[直接脳内へ語りかけてくる女にそう返す。

理解される気もしないし、
それ以前に理解してほしいとも思わないが。]



 はじめての、ニンゲンだったのだ。

 我に、世界の破滅を望まなかった。
 我を、友と呼んだ。

 我にこの世界は美しいものだと知ってほしいと。
 我に、これからも傍にいてほしいと言ってくれた。
 ……そう、望まれた。

[永い永い時を生きた。
そのあいだに、数多の人の子と関わりを持った。

あの暗闇の中、我を喚んだ誰もが、この世界の破滅を――滅亡を願った。

いつだって、我に届く声は世界を、他者を呪うもの。
悲しみと憎悪と寂しさと苦しみに満ちた声だけが
我を此の地へ喚び寄せる道標。

―――…そのなかで、たったひとり。

風変わりで、弱々しくちっぽけで、今にも消えてしまいそうで。
だが、我が手の中で決して消えることなく、あたたかな輝きを放ち続けた、たったひとつの星。

この命を手離さないことに、
離れがたいと願いを持つことに、理由が必要だというのなら。
……それで、十分だろう?]



(願い、ですか)
(此れは随分異なことをおっしゃるのですね)


[ふふ、と知らず微笑が浮かんでしまう。

「願いを叶える」ために存在する舞台装置システム
随分、人間じみたことを考えるものだと。]


(それも、彼女の影響ですか?)


[どうやらわたくしの知らないあいだに
既に、シナリオは大きく書き換わっていたのかもしれない。

…いいえ、それは今更ね。
既に彼に自我が発生していること自体が、
ゲームのシナリオから逸脱しているのだから。

――でも、ええ、そうね。
悪役令嬢わたくしではない、
『光の魔力』を持つ本物の"主人公"なら、できるかもしれないわ。

尤も、その不確定さに、頼るつもりはないけど。
彼女には、光の魔力の本質を知らないままでいてもらったほうがいい。
そのために、幾度となく無力感を味合わせてきたのだから。
]



―――…今度こそ終わりにしましょう。


[ 仲間たちに声をかける。
 最初の頃こそ互角に持ちこめていた戦いも、
 少しずつ変化し、今ではほぼ此方が有利になってきている。

 ここぞと畳みかけるために、仲間たちに目配せをする。
 彼等がひとつ頷くのを確認すると、
 闇を封じるため、光の女神への祝歌を紡ぐ。 ]

[ 空に、光に満ちていく。
 そうしてその光が霧散した後、空に浮かぶのは
 さながら天に開けられた真円の穴。
 闇たる彼を封じるため、女神の理の外――世界の果てへと
 続く"門"が開かれていく。

 門の向こう側にある其処は、世界の外側。
 闇に満ちた虚無の海。
 闇の精霊たる彼が、本来棲まう場所。 ]


 ―――…闇の精霊よ、在るべき処へ還れ!!


[わたくしの声と共に、皆が手にした武器を一斉に掲げた。
そうして轟音と共に大気が震え、周囲に満ちた闇が霧散し、
空の穴に吸い込まれるように消えていく。]*



 ―――…。


[ああ、此れで終いか。
天に開いた"門"を見て思ったことは、そんなことで。]


 ……、すまないな。娘。


[また、召喚者の願いを叶えてやれなかった。
今回ばかりは……たとえ、我自身迷いこそあれど、叶えてやりたかったのだが。

いつだって、人の子の、より多くが願う想いには叶わない。]

[闇が、消えていく。
我の、人の姿を形作ることも、ままならなくなっていく。

今、我の身体は、あとどのくらい残っている?
どれほど人からかけ離れた姿になっているか、
今の我には、わからないが]


 ……。


[どうにかカタチを保っている左手で娘の頬に触れる。
灼けるような痛みと、白い手袋を濡らす、果敢無い雫。]


 泣くな、……アウローラ。

 泣かないでくれ。頼む。


[名前を呼んだのは、これが初めて、だったか。
今まで散々、名前を呼べという
娘の願いを叶えてやれなかったのに。

随分と勝手なことを言っていると。
わかってはいるが。    …それでも。]

 

  ―――…お前は、笑っているほうがいい。
 
 



 ……幸せになれ。
 お前は、こんなにもあたたかな生き物なのだから。

 お前が求める愛を与えてくれる者は
 ……きっと、この世界にも存在している。 


[我には叶えられない温もりを、
与えられるニンゲンは、きっといる。

この世界は、娘にとって、美しい世界なのだから。
そう娘が信じられる限り、いつか、娘の願いは叶う]

[ほろり、ほろり、と。
身体が崩れていくのがわかる。

懐かしく、そして慣れない感覚に、
自然、苦笑いが浮かんで。

頬に触れていた手を、そっと額に移す。
炭化し、崩れてつつあるその手の形をどうにか保つと。

その額に、掌越しに口づけを落とした。]


 ―――…さらばだ。
 短いあいだだったが、心地良くあたたかい旅路だった。


[唇を離すのと同時、いつかのように
安心させようと微笑んだところで。


…その身体は灰になって、やがて、空の向こうへと消えた]*




 ―――…アルカード!!


[ 彼の掌がわたしの額に触れて
 ひやりと痺れるような、身体の熱が奪われるような
 そんな感覚に襲われる。

 けど、それ以上に。
 彼の身体が灰になって、空に開かれた穴のような門へと
 それが吸い込まれていく光景に、背筋が凍りつく想いがした ]



 いや!!
 いやだ、いやですアルカード……!!
 ああ……!!


[ 消えていく。
 彼の、何もかもが。

 さっきまで笑っていたはずの顔は何処にもいない。
 さっきまでわたしに触れていた左手は、あの冷たい手は
 いったい、何処に行ってしまったの? ]


 ……っ。
 

[ 空の門へ、舞い上がっていく彼の灰へ
 必死に縋ろうと手を伸ばす。
 けど、その手は届かない。
 震える脚は、わたしに立っていることすら
 許しては、くれなくて。
 そのまま、地面に膝をつく。 ]


 どう、して……?


[ゲーム本編と違って彼は何もしていない。
悪い事なんて何もしていない。

ただ、わたしの傍にいてくれただけ。
ひとりぼっちが寂しくて、
涙を零さずにいられなかった
ちっぽけなわたしの願いを、叶えてくれただけ、なのに。 ]



『アウローラさん』

 ……!


[聞こえてきた声と、
遠巻きに自分を見つめてくる視線に振り向く。]


『さ、帰りましょう』
『みんな、貴女の帰りを待っています』

『貴女は、ひとりじゃないわ』


 ……。


[確かに、そうかもしれない。

皆に愛され、大切にされるマティルダ。
彼女と一緒にいれば、彼女が仲介になってくれれば。

わたしは、今までみたいに
一人ぼっちではなくなるのかもしれない。
……愛してくれる人も、見つけられるかもしれない。
消える直前、彼がわたしにそう言ったように]

[ だけど。 ]


 ……アルカードは、どうなるの?


[ 小さな頃、御伽噺に書いてあった話。

 この世界でたったひとり、
 他のどの精霊とも異なる生まれ方をした
 ひとりぼっちの、強くて、優しくて、
 少しだけ狡いところのある、不器用な精霊。

 あのひとだけを、物語の犠牲イケニエにして。
 それで皆、ハッピーエンドだと笑いあう。
 
……そんなものに、わたしはなりたいの?
]

 
 
 ……。


[ 嫌だ、と思った。

 今まで誰からも見向きもされなかったのに、
 急に輪の中に入って、仲間だとか、友達だとか言われて。

 それまで一緒にいてくれたひとの犠牲に目を瞑って
 ハッピーエンドだと、笑いあうなんて。

 そんなことになるくらいなら、いっそ。 ]



 ―――…。


[ 立ち上がって、空を見上げた。
 その先にあるのは、未だ開かれたままの門。 ]


『アウローラさん?』
『行きましょう。もう、悪い夢は終わったの』


 ―――終わってなんかいない!!


[ マティルダの言葉を遮って、吠えるように叫ぶ。
 目の奥が熱い。雫が頬を伝うたび、
 そこから灼けるように熱いものがほたり、ほたりと
 地面を濡らしていく。 ]



 …終わってなんか、いないんです……。


 わたしには。
 わたしの、物語には……あのひとが、必要なの。


[ だから。 ]



 ……聞こえていますか、アルカード。


[ わたしの声が聞こえるならば。
 わたしの願いが、叶うならば。

 ―――わたしは、わたしの物語を選択する。 ]



 ―――…わたしを貴方アルカードの許へ!!


[ ふわりと、身体が浮く感覚は。
 いつか、彼と街へ行くときに経験した
 空中散歩のそれに似ていて。

 あのときと、違うのは。
 飛びあがった後、そのまま上下が反転するように
 ―――空に浮かぶ、あの門へ。

 真っ直ぐに、落ちていく―――。 ]**

[ 質問には質問が返って、けれど勝手に完結した。
 如何やら聞かれても困るらしい。彼も困っているのだろうか?

 問題を出された時と同じだけ少しだけ悩む素振りを見せる。
 即答したっていいけれど少しくらい頭を使う振りをして。
 困るほど難しい事もないのに。
 簡単なことだ。必要なのはただひとつ…… ]


 『おれのことがすきだから』?


[ 俺のことが好きだから嫌われるかもしれないことを意識し
 俺のことが好きだからそれでもなお行動したんでしょう?

 必要なのはただひとつ。
 そこさえ揺らがなければ俺はなんだって受け入れるのに。
 『どうして』だと思う?
 そう尋ねようとして、困られても困るのでやめた。
 簡単なことなんだけどね。
 けれど彼にはそう単純でもないのだろう。 ]

[ 危険なものとそうでないものの判別が付いた上で
 危険なものでさっくり派手に肉を切り裂いた前科が
 生々しく左腕の上に刻まれているからこそ
 彼が幼子相手のような不安を抱くのも尤もだろう。
 むしろ幼子よりも厄介だ。

 目を離した隙にまた何かしでかすと思われている。
 彼から与えられる過干渉とも取れるその心配が
 嬉しくて、楽しくて、堪らない。
 悪さをして気を引きたい幼子のような幼稚さだと
 自覚は多少はる。自覚だけは。 ]


 はぁい。


[ 呼びかける声にいい子のお返事を返して
 素直に大人しく彼のもとへともどる。
 けれど彼が他に意識を逸らせばまたふらりと離れた。
 気にかけてくれさえすればいいこにしているのだと
 彼に教え込むために繰り返す。

 きっといずれ疲れさせてしまうんだろうな。
 普通はそうだ。
 ずっと気が休まらないなんて精神が疲弊してしまう。
 そう思うのにやめようと思えないのを
 今は浮かれているからだと自分に言い訳をする。

 たしかに彼の意識が自分に向いていることを確かめる作業が
 楽しくて、嬉しくて、たまらなくて。 ]