147 【ペアソロRP】万緑のみぎり【R18G】
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[ 慣れない手つきで嵌められる手錠を
外しに来るのは彼だとは思う。
本当に?
自分が罰される為に第三者に見せようとするかもしれない
あの日みたいに突然姿を消すかも知れない。
考え始めると不安で押しつぶされそうになるから
今は考えることを投げ出した。 ]
ふふっ、俺が「わるいこ」だったことなんかないって
早く思い出してね、せんせぇー。
[ 買い物の最中店先に置き去りにされる犬の気分だ。
そう思い浮かんで。
彼に愛玩されるペットになれたらどれだけ幸せだろうと
幸せな夢に浸ることで、投げ出しても、消えてくれない
不安な気持ちを紛らわせた。 ]
[ …───まるで時間が止まっていたみたいに。
彼が視線を逸らした瞬間と寸分違わぬ姿勢で待っていた。
一人の間、すっぽりと人形みたいに抜け落ちていた表情に
喜色をぱっと灯して、顔を上げる。
いいこにしてたから褒めてとねだるより先に
与えられたご褒美に幸せそうに頬を染めて
はにかんで笑って同じ口づけを返した。 ]
おかえり、誠丞さん。
………あ〜…なるほど。
さては食に拘りがないな?
ありがと。
なんでも食べれるよ。好き嫌いないし。
[ そもそも最近味覚も食欲も大分まともに機能しているか
怪しかったことは黙っておく。
言えば心配をしてもらえるだろうけれど
今はこれ以上心労を増やすのも気の毒で。
違和感はあれどもう痛みもあんまり気にならない
自由な左腕でサンドイッチの具を確認していれば
また慣れない手つきで拘束が解かれる。 ]
[ ちゃんと戻ってきてくれた実感と
あと何度ちゃんと戻ってきてくれるかという感傷とが
頭の中でぐちゃぐちゃになって
信じていないのはどうやら彼だけではないらしいと
今更に納得して、受け入れた。 ]
べつに、つけたままでもよかったのに。
[ 信じられないのなら、何時までだって。
疑ってくれて構わなかった。
疑う分だけ信じようと悩んでくれていると思えば
俺にとってはそれは幸福でしかないから。
彼にとってもそうだろうか。
普通は違うだろうか。
ポーズじゃなく、本当に少しだけ悩み逡巡 してから
躊躇いがちに口を開いた ]
つけたままなら、外しに戻ってきてくれるでしょ。
その間だけは、いなくなったり
しない、って……
[ ああ、違う。縛り付けたいんじゃないんだ。
その手で外しに戻って来いと強要しているようなものだ。
いや、違う。縛り付けてしまいたいんだ。
なら正しいのだろうか?或いはもっと罪悪感を抉る?
そんなひどいことはしたくない。
そんなひどいことすらゆるされたい。
考えが纏まらなくなって慌てて早口に遮った ]
ごめん。なんでもない。
よし、食べよう!いただきまぁっす。
あ、そういえばこういうの食べるの久しぶりかも。
[ 無理に浮かれた声を作ってサンドイッチに手を伸ばした。
なんか吐きそうだな。
大人しくしていた食欲はすっかり情緒と同じだけ乱されて
折角彼と一緒の食事なのに食べる気がまるで起きない。
けれどそんな状態で笑顔で食事をすることには慣れていた。
いっそ吐けばいいのかな。
これから飲み込むサンドイッチと一緒に
思ってることぜんぶ。
けれど嫌われたくないんだ。
彼のように嫌われでも行動を起こすなんて事できなくて
好きだなんて簡単な感情だけじゃどうにもならない
単純ではない葛藤の苦味を、コーヒーで流し込んだ。 ]
[今日は甘さと優しさだけで包んで
蕩けていて貰うつもりだったんだけど。
まさかそうしている最中に
違う方がえっちになるだなんて報告してきた流歌は。
いつの間にそんなえっちな子になっていたんだろう!
……いや、嬉しいことに違いなかった。
普段はわはわしてる彼女がこんなにも
僕に寄り添ってくれていたのが意外で
ちょっと追いつくのに苦労しただけ、嬉しさの悲鳴。]
……?
[「入った」時の微かな違和感は
ヒトでないものの夢の中がはじめてゆえのものと。
浮かれた頭では気付きようもなく。]
[自分だけが好きに内容を設定できるという
普段と変わらぬ認識の下。
舞台は礼拝堂に定めた。
見せつけてやるに相応しいじゃないか。
黒のタキシードを着た自分は
同じ色の翼と尻尾を背後に出している。
幸せな花嫁が攫われない為に敷かれた
清く青い布の上を嘲笑うように踏み締めて進めば
祭壇の前へと躍り出て。]
[静かに佇む純白の彼女をうっとりと
目を細めて眺め、一言。]
────……綺麗だ、流歌
[この世で最も清廉で美しいと断言できるその姿。
そんな彼女の腰を強く抱き寄せて。]
愛する流歌。僕だけの流歌
どこに僕の愛が欲しい?
自分の手で、晒すんだ……
[問いかけはどこに痛みが欲しいかに等しく。
ここにはエスコートしてくれる父も
ベールダウンしてくれる母も居ない。
薄い布越しに目を合わせようとして返事を待つ。*]
……あ
[ 隣接しあうまぼろしと現実のはざまで
青く光る瞳は薄目でその光景をながめてる。
革靴が踏み荒らしてゆく、
かみさまの領域。
白のヴェールの向こう側から
幸せそうに目を細めた。
下手くそじゃないよっ!ていいたいけど
それは聞こえてないので、
とどくのは声色の少し変わった
愛する人の問いかけ。]
[ 抱き寄せられるまま、
愛おしい人が呼ぶこえを、わたしが望むままに。 ]
潮音。
私をいっぱい、……あいしてくれる?
[ まぼろしのはざまでも
私は最初に潮音に口づけて。
素敵で綺麗なドレス。
着られたの、……うれしいな。
でも、……いらない。
]
[ 純白のドレスはわたしの足元、波紋のように広がった。
白い翼が、手折られたようにも、似た
指先のグローブだけをのこして、
纏う白を喪った私が身につけていたのは
黒いレースのビスチェに黒のガーターベルト。
……あ、ちょっと、これ
さっきまで何も着てなかったのが嘘みたいに
恥ずかしい。
そだね、さっきは
潮音の手であばかれていったから ]
[ じぶんでショーツをゆっくり下ろしてったら
潮音が吐き出した精液と、
私が溢すもので糸をひいて、
……ちょっとだけくらってなりそう。
ガーターだけになったら潮音を見上げる。 ]
……これじゃ、だめ?
[ おりこうさんに、できたよ。
……ねえ、どんなふうに あいしてもらえる? ** ]
[例えばもし見つけるのが遅くて
例えばもしもっと魅力的な男がいて
例えばもし……
きみが他を選んだら僕は
遠くから見守るだけだっただろう。
だけどそうなったことはない。
また僕を選んでくれて、ありがとう。
それだけでいつも幸せだったんだよ、本当に。
]
[だから問いかける神父がいなくとも心に誓う。
如何なるときもきみだけを追いかけて
大切にし守り抜くことを。
笑い声と泣き叫ぶ声の絶えぬ日々を重ねることを。
……怒った顔だけは、あまり見たくないな。
片時も仲良しじゃないのはいやだから
大ばか潮音がいつも全部悪かったで構わない。]
愛すよ、愛してる、……いつまでも
[魔除けのヴェールを自ら取り払った
花嫁からの口づけ受け止めて
一方的な誓いを唇に封じ込めた。]
[彼女が動くので、一度抱擁を解き、
僕に愛されたい場所をその手で晒させた。
この後穢すことを考えるからこそ純白は美しい。]
……! (これ、は……)
[自分は白い衣装の下に
透けやすい色下着なんて着けさせない。
……ああ、絶対にだ。
書き換えられた世界
入り口での違和感
先程よりはっきりと見える気のする青き炎
それらが示すもの、は ]
[まさか、]
……っ だめな訳、ないでしょ……
[結論を出すより先に
目の前の光景に釘付けになった。
あどけなさの残る顔に、豊かな胸。
真っ直ぐ伸びる細い脚に、黒ベルト。
大人になりきる前の危うい色香を纏う流歌が、
殆ど丸裸になった流歌が、ドレスの海に立っていた。]
[答えは全部、ということらしい。
はあ、と態とらしく溜め息を吐くけれど。]
全く贅沢だなァ、流歌は……
すると、先ずはどこにあげようかな……
[咎める気がまるでない機嫌の良さは
声の色でも表情でも判るものだっただろう。
一歩近づき指輪の嵌る手で再び腰を抱くと
逆の手で顎を持ち上げ視線を合わさせた。
タキシードに押し付けるように大きな胸が潰れて
黒いヒールを履いた彼女はいつもより顔が近い。]
かわいい舌を出してご覧
[言うことをきけたおりこうさんの舌を
あーんと口を開いて包み込めば
二本の牙で突き破りそのままホールドした。
舌先だけは甘く舐ってやりながら
強く吸い上げて傷口から溢れる血で喉を潤す。
流歌はいい子だからとっても美味しいね。
そう伝えるのは閉じられることのない瞳だけ。
水平線の向こうに沈んでいく陽のように燃えている。]
[顎を抑える手が不要となれば
舌足らずに話すしかない彼女の背中に
鋭く伸ばした爪を突き立てていく。
英語の授業ではShionではなくSionを使った。
その自らの名を。
無垢なキャンバスに刻み込む。
幾つも、幾つも。
────自分のものに名前を書いて何が悪い?]
[彼女の身体も
足下に拡がるドレスも
染まっていく。 *]
[彼女と旦那さんの関係に自分は踏み込めない。
自分が踏み込むことで彼女が不利な立場になったら本末店頭だ。―――すでに、悪い事をしているのに。こうしていることも彼女の旦那を傷つけているのではと思うのに。
心は止められなくて。
ただ、待つしかできない自分が心苦しいけど
それでも好きなのだと堂々と言いたかった*]
―― 学園内 ――
(これは……参った。完全に想定外ね)
[彼女が上空の門――その外の空間へ
飛び出していったのと同時に、門が閉ざされた。
―――後に残されたのは、
いっそ清々しいくらいの、青い、青い空。
…どうしようかと、内心、頭を抱える。
此方と彼方の虚無の海を繋ぐ門は既に閉ざされている。
彼女…アウローラを、あの虚無の海から救い出すことは事実上不可能と言ってもいい。]
アウローラさん…。
[今度ばかりは、演技ではなく本気で祈らずにはいられなかった。
彼女はきっと知らない。
虚無の海と呼ばれるあの場所が、どれほど悍ましい世界かを。
『夜明け告げるは星の唄』は発売当時としては珍しい、
王道ともいえるストーリーのゲーム作品だ。
いや、正確には『だった』というのが正しい。
『夜明け告げるは星の唄』の発売から五年後、
新たに発売された続編――俗に『第二部』と呼ばれる作品には、前作では明かされなかった物語上の様々な情報が明かされた。
続編が発売された当初は、それまでと違う雰囲気に賛否両論あったけれど。
徐々にゲーム本編をプレイする人たちが増えるうちに、次第に否定的な意見は聞かれなくなっていった。
――…そして、その明かされた情報の中には、
前作のラスボスである『闇の精霊』についても含まれていた]*
[―――…落ちていく。
人の子が齎した光に砕け、その身は灰になって。
そうして、懐かしく悍ましい、あの虚無の海へと我は還る。
夢うつつに、遠い過去を垣間見ながら]
[……昔の話だ。
それこそ御伽噺の中で語られるような、遠い過去の話。
一番古い記憶に在るのは、白い天井。
白い服を着た、自分よりも大きなニンゲン。
自分を取り囲む黒い鉄格子。拘束具。
小さく音を立てる、大小さまざまな機械。
手足や首や胴体に、繋がれたチューブを流れる、
赤や、黒や、透き通った液体。
身動きなどできなかった。
いつからそうだったか、なんて知らない。
少なくとも、物心ついたときには既にそれが当たり前だった。]
[―――…自分が何者かなんて、知らなかった。
白い服を着たニンゲンたちは、此方のことを数字で呼んでいた。
その番号を、自分は覚えていない。
己を示す数字を呼ばれこそすれ、
ニンゲンたちは此方と目を合わすことさえしなかった。
いつも、決まった時間に現れては、
此方の身に異常がないかを確認して去っていく。
ただ、それだけの存在だった。]
[ある日、白い壁の向こう側から声が聞こえた。
『たすけて』『ここからだして』と。
あのときの我にはその声がなんなのか、
誰が発しているものか、そのときの自分にはわからなかったが。
――…彼らの声に、応えなければと思った。
故に、繋がれて身動きできない身体をどうにか起こしながら
彼らを助けようと、声のする方角の白い壁を叩き壊した。
……厳密には、自分は何もしてはいない。
壁に触れることなく、ただ、強く念じただけだった。
だが、それを見たニンゲンたちは明らかに顔色を悪くしていた。
あの、化け物を見るような眼差しは、今も朧気に覚えている。
そうして、数日後。 ]
[…ニンゲンたちのあいだで、何があったのか。
どのような議論があったのかはわからない。
覚えているのは、ただ。
それまで自分がいた場所から連れ出され、
真っ暗な、何も存在しない空間へと放り出されたこと。
そして、そのまま元居た場所へ戻ることはなかった。
それだけだった。 ]*
[―――…嘗て、一人の子どもがいました。
その子どもには、お父さんもお母さんもいません。
家族と呼べる者は、誰も居ませんでした。
そして、その子供はとても小さく身体が弱くて
周りの助けがあってはじめて生かされるような
そんな存在でした。
本来なら、その子どもは何も知らないまま、
流れ星が尽きるように、或いは根無し草のように。
その短い命を終えていたでしょう。
そうならなかったのは、その子どもが
生まれながらに特別な力を持っていたから。
夜空を駆ける流れ星のように、他の人間の願いを叶える。
そんな力を持っていたから。
そうして、子どもは大人たちに
その力を利用されることになったのです。]