人狼物語 三日月国


175 【ペアソロRP】爽秋の候 【R18G】

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視点:


[ わたしと辰沙の競争の行方はまぁさておき。
 駅前行きのバスにはどうにか滑り込みで乗り込むことに成功した。
 ついでにこれまた運が良いことに座席に座ることもできたので
 二人で座って、これから見る予定の映画について簡単に話す。

 それから、お昼ご飯に何を食べようかとか、
 その後駅前の大きな書店に行ってみようかとか、
 書店併設のカフェの人気メニューがどうだとか、
 それとも駅からちょっと歩くけれど、
 最近リニューアルしたという水族館にいこうかとか。

 そんなことを話していれば、あっという間に
 バスは駅前のロータリーに。 ]



 こっちだよ、辰沙。


[ 彼の手を引いて駅前のシアターへ。
 わたしより頭一つかそれ以上に背の高い彼が
 おとなしく手を引かれる様子はなんだか微笑ましい。
 

 うん、わかる。
 この街に来て半年だけれど、わたしだって
 実質学校と寮を往復するだけの毎日で、
 なんなら夏休みだって返上しないといけなかったのだから。
 いやまぁそれはそれで楽しかったけれど。
 生まれて初めての海とか。]


[ 閑話休題。
 何が言いたいって、わたしも辰沙も 
 この街の見るもの全てが初めて尽くしで。
 とても、楽しい。
 その証拠に、わたしに手を引かれながら、
 きょろきょろと落ち着きなく視線を彷徨わせている。
 そんな辰沙がなんだか新鮮で、
 ああ、学校を抜け出して正解だったなと思う。 


 そうして辿り着いたシアターで、チケット二枚と
 ポップコーンとドリンクをそれぞれ二つずつ購入する。

 パンフレットやグッズも気になったけれど、
 まずは映画を観てからにしようと意見が一致した。 ]

[ そうして、鑑賞後。 ]


 ……ぐすっ。


[ さっき辰沙と話した駅前の書店の併設カフェ。
 地図アプリで確認したら意外と近かったので
 映画が終わったらそこで遅めのランチにしようと、
 バス移動の時点で二人で決めていたのだけど。

 正直、映画が終わってからも
 涙が止まらないというのは予想外だった。
 いや、正確にはシアターを出る前に一度止まったけれど
 そのあとふとしたタイミングで思い出し涙が出てしまう。 ]

 
 
 …そんなに泣かないでよ。

[ どんな顔をすればいいのかわからなくて。
 ひとまず案内された席に彼女を座らせれば、
 ハンカチと水の入ったコップを差し出す。

 他の人たちにこの状態を見られたらなんて思われるか。
 此方を気遣ってボックス席に案内してくれた店員さんには
 素直に感謝しかない。 ]



 ……うん。ごめんね。


[ 彼が差し出してくれた水を飲んで
 それから深呼吸してどうにか気持ちを落ち着かせる。
 そんなに悲しい映画だったのかと言われれば
 それは少し違っていて。

 この国が誇る有名な監督が製作した、
 半世紀もの歴史を持つ大人気特撮ヒーロー映画。

 結末自体は、ハッピーエンド…なのかしら?
 少なくとも、彼は自分が守りたいものを命を賭して守って
 そして、彼の仲間たちの許へ帰ってこれたのだから。

 それでも、涙が止まらないのは。 ]



 あのひとが……映画のなかの主人公が、
 辰沙に重なってみえたんだ。


[ 感情表現が下手で、少しどころじゃなく人間離れしていて
 でも、とても優しくて純粋な、人ではない主人公。

 そんな主人公が、物語の終盤。
 地球を救うためにその身を賭してラスボスを倒しにいって
 そして発生したブラックホールに吸い込まれて――… ]


 ……僕に?


[ 正直彼女の言葉がピンと来なくて戸惑ってしまう。
 どう考えても、僕が彼と似ているとは思わない。
 強いて言えば色合いがほんの少し似ているかもしれないけど。


 でも、似ているというのなら。 ]


 僕は寧ろ、君のほうが彼に似ていると思うよ。


[変なところで人間離れした献身を発揮するところとか、特に。]


 …。

[ 正直、はじめての事態に
 どう声をかけたらいいのかわからなかったから、
 よしよしと、先程先生がしていたように彼女の頭を撫でる] 


 ……僕は、きっとヒーローにはなれない。


[ どちらかといえば、
 僕はラスボス側の存在ではないだろうか?

 何より、僕は命を賭してまで誰かを守ろうと思ったり
 あの映画の主人公のように誰かを『好き』になったり、
 大切になんてできないと思うから。

 ―――…たった一人、目の前のを除いて。

 もしも明日、世界が滅ぶとして。
 自分の命と引き換えに、その世界が救われるとして。

 僕はそのとき自分の命を差し出せるとは
 どうしても思えない。

 ずっと、人間たちから『  』と呼ばれてきた。
 彼等のことを思い出すたび、胸の奥を深く抉られるような
 この身を焼かれるような、どうしようもない、
 やり場のない感情が心を苛む。 ]

 
 
 ……理音。


[ いつもことあるごとに彼女が僕にそうするように、
 
いつか幼い彼女にそうしたように

 彼女の頬に自分の手を添える。 

 僕は、きっとあんな献身的な行動はとれない。
 ヒーローなんてものにはきっとなれない。
 なりたいとも、思わない。

 ―――それでも。

 もしも君が望むことがあったなら。
 或いは彼女が危機に陥って、僕の命一つで
 それらを贖うことができたなら。

 ―――…そのときは、きっと。
 僕は命を投げ出すことを選んでしまうだろう。 ]