人狼物語 三日月国


137 【身内】No one knows【R18】

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視点:


 
[シーツに包まる身体を寄せる。
 知らなければよかったと言うのは
 彼がその事実に傷付けられたということ。]


  ……。
  私は聴きたいわ、貴方のこと
  でも、苦しい思いはして欲しくない……
  聴かせてくれるなら、お願いするけど
  ……辛くなったら途中で辞めてもいいわ


[その顔が哀しげに見えたから、手を重ねようとする。
 彼が自分のことを少しも好きでないのは知っているから
 そうされるのが嫌なようならやめておくけれど。
 何を聴いても貴方から離れられる気はしないの。*]
 

 
 私は落とし子です。


[ 父なき子、私生児。
言い方は幾つもあるが、つまりは父が愛人に産ませた子。]


 母は愛人では無く、娼婦でしたが。

 母は私を産み落とすと、この両目を潰しました。
 呪われた目。
 力を宿すと知っていたのでしょう。
 父はそういう血筋の人間だった。


[ だが、自分の父が何者なのかを知ったのはずっとあとのこと。]

 
 特に珍しいと話ではありません。
 父は私の存在も知らないでしょう。
 もう、死にましたし。


[ 過去は変えられない。
ただ過ぎ去った時間にある事実でしかない。
そんなものを辛く思うような感性は持ち合わせていない。]


 生きることは苦痛でしたよ。
 その日、そして次の日を生きられるかわからない毎日。
 私はそれを生き延びた。


[ 己れの才覚と、そして運によって生かされた。]

 
 目が見えないのは不便でしたが、
 最初からなので不便とも思いませんでした。

 何年か前にこれ≠ノ出会いました。


[ 常に付けている黒い眼鏡。
遠視≠フ魔術がかけられていて、効果範囲内なら自由に視界を飛ばすことができる。]


 今、私は貴方を上から見下ろしています。
 
 そして今は正面から。


[ 便利でしょう?と男は笑う。]

 
 これによって視覚を得た私は、
 本来の力を取り戻しました。
 母に潰されたはずの呪われた目を。

 
[ それは幻惑の類を寄せ付けない邪眼。
その気になれば、幻惑の魔術に囚われないどころか、魔術そのものを打ち破ることもできる。]

 
 似ているでしょう?
 貴方の目と。


[ 男はナイフを手に取ると、おもむろに自分の手のひらを切り裂いた。
滴り落ちる血がシーツを赤く染める。]


 ほら、わかりますか?


[ 男が一度強く手を握り、そして開いた時、そこにはあるはずの傷がなかった。]

 
 まだわかりませんか?


 私の父の家名は……


 
アンペール



 お前は愚かな娘だ。


 我が、────
よ。*

 

 
[聞かされる過酷な境遇に胸を痛め
 突然手をナイフで切った時には小さく悲鳴を上げた。
 そうして聞かされた事実。]


  …………………………。


[私は暫く、言葉を失って。]
 

 

  …………御免なさい


[何度目になるかわからない、謝罪をした。]
 

 
[生きることは苦痛だったと。
 そんな人生を歩まなければならなかった原因は
 父の不貞、無責任な行動にある。
 そしてアンペールの罪は自らの罪、だから謝罪した。]


  御免なさい。


[これは私のこと。]
 

 
[許されぬ想いと知っても
 私は私を変えられなかった。その謝罪。]


  
……愛してるわ、兄さん



[そう言って押し倒した。
 気怠げだったのに悪いとは思うけど、
 幾らか寝て体力のある私には敵わないだろう。]
 

 
[シーツを落とし、全裸で跨がる。]


  
私、貴方との子、産むわ……



[変わらぬ意思を伝えたのだ。*]
 

 
[好きになった人が半分血の繋がった兄だったなんて。
 兄はどういう気持ちで妹の想いを聞き
 どういう気持ちで妹を抱いたのだろう。

 私の彼への想いは損なわれるどころか
 より強固なものとなった。
 存在すると思っていなかった兄。
 誰より強くて誰より格好いい兄さん。
 私だけの特別なひと。

 彼が苦労してる間のうのうと生きてきた私は
 私が貰ってきたぶんの愛情を上乗せして
 より彼に尽くすと決めた。

 アンペールのすべても取り返して捧げると決めた。

 貴方が持つべきものだわ。
 無能な私と違い、実力と運を掴み生き抜いた兄さん。]