人狼物語 三日月国


147 【ペアソロRP】万緑のみぎり【R18G】

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 アウローラさん…。


[今度ばかりは、演技ではなく本気で祈らずにはいられなかった。

彼女はきっと知らない。
虚無の海と呼ばれるあの場所が、どれほど悍ましい世界かを。

『夜明け告げるは星の唄』は発売当時としては珍しい、
王道ともいえるストーリーのゲーム作品だ。
いや、正確には『だった』というのが正しい。

『夜明け告げるは星の唄』の発売から五年後、
新たに発売された続編――俗に『第二部』と呼ばれる作品には、前作では明かされなかった物語ストーリー上の様々な情報が明かされた。

続編が発売された当初は、それまでと違う雰囲気に賛否両論あったけれど。
徐々にゲーム本編をプレイする人たちが増えるうちに、次第に否定的な意見は聞かれなくなっていった。

――…そして、その明かされた情報の中には、
前作のラスボスである『闇の精霊』についても含まれていた]*

[―――…落ちていく。



人の子が齎した光に砕け、その身は灰になって。
そうして、懐かしく悍ましい、あの虚無の海へと我は還る。
夢うつつに、遠い過去を垣間見ながら]

[……昔の話だ。
それこそ御伽噺の中で語られるような、遠い過去の話。


一番古い記憶に在るのは、白い天井。
白い服を着た、自分よりも大きなニンゲン。

自分を取り囲む黒い鉄格子。拘束具。
小さく音を立てる、大小さまざまな機械。
手足や首や胴体に、繋がれたチューブを流れる、
赤や、黒や、透き通った液体。

身動きなどできなかった。
いつからそうだったか、なんて知らない。
少なくとも、物心ついたときには既にそれが当たり前だった。]

[―――…自分が何者かなんて、知らなかった。

白い服を着たニンゲンたちは、此方のことを数字で呼んでいた。
その番号を、自分は覚えていない。

己を示す数字を呼ばれこそすれ、
ニンゲンたちは此方と目を合わすことさえしなかった。
いつも、決まった時間に現れては、
此方の身に異常がないかを確認して去っていく。

ただ、それだけの存在だった。]

[ある日、白い壁の向こう側から声が聞こえた。

『たすけて』『ここからだして』と。

あのときの我にはその声がなんなのか、
誰が発しているものか、そのときの自分にはわからなかったが。

――…彼らの声に、応えなければと思った。
故に、繋がれて身動きできない身体をどうにか起こしながら
彼らを助けようと、声のする方角の白い壁を叩き壊した。

……厳密には、自分は何もしてはいない。
壁に触れることなく、ただ、強く念じただけだった。

だが、それを見たニンゲンたちは明らかに顔色を悪くしていた。
あの、化け物を見るような眼差しは、今も朧気に覚えている。
そうして、数日後。 ]

[…ニンゲンたちのあいだで、何があったのか。
どのような議論があったのかはわからない。


覚えているのは、ただ。

それまで自分がいた場所から連れ出され、
真っ暗な、何も存在しない空間へと放り出されたこと。

そして、そのまま元居た場所へ戻ることはなかった。
それだけだった。 ]*

[―――…嘗て、一人の子どもがいました。
その子どもには、お父さんもお母さんもいません。
家族と呼べる者は、誰も居ませんでした。

そして、その子供はとても小さく身体が弱くて
周りの助けがあってはじめて生かされるような
そんな存在でした。

本来なら、その子どもは何も知らないまま、
流れ星が尽きるように、或いは根無し草のように。
その短い命を終えていたでしょう。

そうならなかったのは、その子どもが
生まれながらに特別な力を持っていたから。
夜空を駆ける流れ星のように、他の人間の願いを叶える。
そんな力を持っていたから。


そうして、子どもは大人たちに
その力を利用されることになったのです。]

[子どもが突き落とされたのは、
どこからも光の差し込むことのない、
どこまでもどこまでも続く、真っ暗な空間。
月も星も、それどころか物と呼べるものが何一つ存在しない、真空の世界。

そこに存在するものは生き物もそうでないものも、
皆、その実体を溶かされて無へと近づいていく
そういう空間でした。

そうして、そこに落ちた子どもは
虚無に、その身体を、記憶を、魂を溶かされて。

やがて、その空間には
子どもが持っていた「力」だけが遺されました。]

[子どもを真っ暗な空間……虚無の海へ
突き落とした女は子どもの消失を確認するのと同時に
その暗闇に叫びました。
『光あれ』と。

その声が響いた瞬間、真っ暗だったその空間は
瞬く間に眩い光に満たされました。

女は、子どもの身体と力が溶けたこの空間に
さまざまな願い事を口にしました。
そのたび、かつて真っ暗で何もなかったこの空間は、
新たな命が生まれ、新たなエレメントが生まれ。
やがて、それは一つの世界のカタチを成していきました。

―――…それが、この世界の成り立ちでした。]*

[――…あれから、どれくらいの年月が流れたのか。
今となっては最早、嘗ての自分を思い出すことも難しい。


永い永い時間、己の存在を糧に生まれてきた世界の外で
己は存在し続けた。
そのあいだ、幾度となく声が我が許へ届いた。

それは世界を呪う声。
悲しみや怒り、絶望。
世界の内にいるものには届くことも響くこともない、
そんな微かな声が我が許に届くたび。
我は此の地へと姿を現した。]

[特段、我自身が世界を滅ぼしたいわけではない。
否、我自身はこの世界のことなどどうでもよかったのだ。


それでも、我が許へ聞こえてくる声を
…暗闇の中、聞こえてきた小さな囁きを、
誰にも顧みられることのない嘆きを
捨ておくこと等、できなくて。
我はその度、その声の主に寄り添おうとして、
そしてそのたび、光に阻まれ続けてきた。


この世界を継続させようという、光の女神と、
より強い人の子の意志に、我は何度も退くこととなった。]

[数多の人間が、我にさまざまな破滅を望んだ。

我に知性を求めず、
ただただ純粋に破壊のみを求める者も居れば
恋人や失くした己の子の変わり、
都合の良い存在として己を求めてくる者もいた。

我に知性や意志など求められることはあまりなかった。
そもそも人の子は災厄に自我を求めたりなどしない。
だから、自分は他者に求められるまま、
己の在り方を変え続けた。
声も口調も人格も、己を呼ぶものの望むままに。

だから―――…あの娘は、
我にとっては何もかもが初めての存在だった]

[娘は破滅を望まなかったが、
代わりに、我には望まれた役割があった。

娘の『友達』になれという願い。
知識として知ってはいても、具体的なところは我自身、
理解の及ばぬ概念であった。

だから、学ぼうとした。
書物から、娘自身の言葉から。
破滅を望まない、この世界にとっては
より多くの命が何を考え、求めるものか
我は、それが知りたかった。

そして娘にも此方から言葉をかけた。
己の物語を、己自身の選択を大切にしろと。

たとえ、この世界の誰に省みられることがなくても、
我にとっては、我を喚び寄せたその声のほうが
その想いこそが重要だったのだから。]

[そして、娘と共に在るようになって、
人の子の在り方を学ぶうちに。
我の心には次第に迷いが生まれてきた。

我は愛など知らない。

もし、娘が求めるものが他のなにかであったなら
我は何と引き換えてでも、娘の願いを叶えようとしただろう。

だが、我は愛など知らない。
愛した記憶も、愛された記憶もない。
そも、己自身が他に愛されるような、そんな存在ではないだろう。
娘の願いは叶えたいが、己にそれを果たすことができるとは思い難い。

この世界を破滅させることには何の感情も湧かないのに
ただひとりの娘に幸せを与える方法には散々思い悩む。
こんなことは、初めてだった。]

[―――結局、我はまた、
何もできなかったということだろう。
嘗て我をあの世界に喚び寄せた者たちに、
何もしてやれなかったのと、同じように。

……。

暗闇のなか、こうして思い出すのは。
初めて娘と出逢ったときの涙と、
我があの世界から消失する直前の、
あの泣き顔ばかりであるのだから]*

―― ――

 ……ここ、は。

[ 彼を追いかけて空へと落ちた、
 その先にあったのは何もない真っ暗な場所。

 上下左右の感覚もない。
 眼を閉じても開けても、見える景色は何も変わらない。]


(……ああ)


[此処が、彼の居た世界なんだ。]

[まだ小さな頃、貴方を想って泣いたことを思い出す

あのとき思い描いた暗闇よりもずっと、
此処は暗くて、広くて、寒い。
わたし自身の存在すら、曖昧に消えてしまいそうだけど。 ]


 ……。


 アルカード。
 聞こえているのでしょう?


[ 目の前の暗闇に、声を響かせる。

 わたしたちの生きる世界が生まれる前、
 その前に存在した闇こそが彼であるならば
 今、わたしの目の前にある闇の世界はきっと彼そのもの。

 だから、きっと、わたしの声も聞こえているはず。
 わたしの存在も、わかるはず。 ]

[ ぎゅ、と胸の前で祈るように両手を重ねる。
 目の前のあまりにも巨大な暗闇に、
 怖い気持ちがない訳じゃない。

 でも、それよりも、
 ……貴方がわたしの前からいなくなるほうが
 もっとずっと、恐ろしくて、悲しい。
 世界の外、この闇の中に貴方を一人でいさせるほうが
 わたしは、嫌だ。 ]


 わたし、貴方に謝らなければならないことがあるの。

 ゆうべのわたしの話に
 貴方からのお返事を、わたし、まだ聞いていません。


[ あのときは、気恥ずかしさが半分。
 残りの半分は、拒絶されたらどうしようと
 そんな不安から、貴方の返事を聞かないままでいた。

 そのくせ、きっと大丈夫だろうなんて
 心のどこかで貴方の優しさに甘えていた。 ]



 ねぇ、アルカード。
 初めて出逢った頃、貴方はわたしに言いましたよね。

 大切なことは、わたしが選ぶか選ばないかだと、
 わたし自身の物語に、貴方が必要か否かと。


[ 何も見えない暗闇に、そっと両手を伸ばす。
 わたしは此処にいると、そう示すように。]


 わたしの物語には、貴方が必要です。


 此処に来る前、
 「幸せになれ」と貴方に言われました
 でもね、貴方がいない世界で、
 わたしが幸せになれるなんて思えない。


[ たとえ、誰に人並みの幸福を説かれたとしても
 きっとこの気持ちは変わらないし、譲れない。
 たとえそれが、貴方であっても。 ]
 
 
 どうか、わたしの幸福を決めつけないで。

[ それから、すぅ、と深呼吸をひとつ。 ]


 わたしは、貴方に傍にいてほしい。
 貴方と一緒に、生きていきたい。

 わたしが幸せでいるためには、
 貴方が必要なんです。
 そして、何より。

 ……わたしが、貴方を幸せにしたいんです。
 貴方を、愛しているから。

[ だから、]
 
 
 貴方にもう一度会いたいです、アルカード。

 貴方に触れて、貴方と共に生きていたい。
 貴方と、命も愛も全てを分かち合いたい。


[ どうか、この願いを叶えてほしいと、
 差し伸べた手を強く、握りしめた。 ]**



[ ふたりしかいない、
 ふたりきりの場所で
 ふたりだけの誓いを交わす ]


 私も愛してる。
 何があっても ――潮音の側にいる。


[ もう1人きりでかなしい思いはさせない。
 幸せな花嫁は微笑む。
 
 しあわせだよ ]



[ 青い炎は揺らめいた。
 気づいてくれた? ……なんて
 本人が変化に気づくのは ――もう少し先の話?
 今はきっと目の前の 潮音に自ら魅了されている。 


 白い無垢なドレスは足元で
 あなたの色に
めてと 誘う ]

 



[ おそれと、きたいと
  贅沢だなって褒めてもらって
  今から何があるのかな、……こわい。
  うれしい、しあわせ、

 

  
  わたしだけ。 ―流歌だけの
  潮音でいて、と願いながら 

  
  ちろ、と赤い舌を出したら



  ゆらめく陽の灼きつくすような 光。
  きれい     きれい       ああ ]


 

 


  ……ひ!あっ!ひおん、ひお……



[ 痛くてしかたない、でも
  その瞳にとらえてもらえるなら 私
  何度だって 名前を呼ぶ。

  そのせいで血がさらに溢れることも厭わない。
  涙を流しながら、    ただひとりだけを。 



  その瞳に潮音自ら刻む文字が映るようなことがあれば
  私は幸せ過ぎて、また死んじゃったかもしれない。

  ……絶え絶えになりながら、痛みに泣き叫びながら、
  ドレスをあなたに作り変えられた色で染めながら


  ゆびさき、私から流れる血の色をすくって
  潮音の頬をなぞる ]

 




 
Luca








 貴方を捕らえ離さない罪の名を。 **


**

 
[ひおん、と呼んでくれるたびに
 かわいい舌が裂けて
 僕の口腔内、美酒が溢れる。

 ああ、もう────、
 そんな事をしたら
 痛みが増すだろうに、……愛おしい子。

 止めるどころかそのいじらしさに感けて
 舐って、啜って、尖りのある喉を動かし続けた。

 美味しいね。かわいい。良い子だよ。

 青を映す瞳に込めて伝えながら。]
 

 

  ……ン、……ふふっ……あはは!


[頬の上を滑る指の動きで
 記された文字を察した。

 それは罪であり唯一の赦しだった。
 差し込むことを望む一条きりの光。

 悪魔を受け入れてくれる告解室など
 この世の何処にもありはしないのだから。]