47 【半再演RP】Give my regards to Jack-o'-Lantern【R18】
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─空白の時間─
[最初は二人きりじゃなかった。
別部署の俺の友人と彼の知り合いとが顔見知りらしく
軽く一杯ひっかけた二人にそれぞれ別々に誘われて
居酒屋で鉢合わせて四人で飲み始めたのが、最初。
早々に俺がトイレに籠城することになったのは
酔払いが俺の薄いウーロンハイに何かの原液を混入したせいだ。
ウォッカをかぱかぱ水のように空けてた俺の友人か
ずっと泡盛を舐めてたあいつの友人か
犯人は二人のどちらかだと思う。たぶん。
不在の間に同じように酔わされたのか
いい具合にふらふらしてるあいつが用を足しに来て
小便の音をぼけっと聞いてるあいだにまたえずいて。
声で気付いたのか誰であろうと心配したのかは知らないが
あいつが個室を覗きに来た辺りから
たぶん、何かが、可笑しくなった。
如何にも上手く吐けなくて吐き気を持て余して呻いてる俺が
あいつの目に何か可笑しな具合にうつったのか
はたまたいつも通りにねちっこむ触れてくる掌に
俺の頭が誤作動をおこしたのか。
涎でべとべとの唇が気付けばあいつのと重なってた。
手を伸ばしたのがどっちだったか
唇を奪ったのがどっちだったか、
その辺は実に曖昧だった気がする。]
[胃の中身をかき混ぜられてるみたいな不快感が
触れ合う粘膜の心地よさとごちゃ混ぜになって
変にぞくぞくと腰が痺れた。
上手く立ってられなくて、狭いトイレの個室の壁に
あいつの体を押し付けるようにして凭れ掛かった。
気持ち悪いとキモチイイが混ざって
ちょっと訳が分からないくらい興奮していて
抑えつけて、もっとと強請ったのは多分俺の方だったと思う。
次第に深く絡まる口付けに舌の根元を舌で擽られたことで、
漸く胃液が競り上がってきて今迄懐いてた体を押しのけた。
今しがた詰めたばかりでちっとも消化されてない諸々を吐き戻したら
漸くすっきりしたのとなんだか可笑しくなったので
笑い出した俺はもう完全に出来上がっていて。]
なぁ、みてくれ。
ふふ、いまので勃った。
…っ、はは、なんだこれ。
[バグった自分の股間が面白くて。
ちょっと面白いものを共有したくて告白すれば
膨らんだ股間を見下ろすあいつの眼差しが
やけに熱っぽくみえて……
事実どうだったかなんて知らないが
酔払いの俺にはそうとしか見えなくて……]
[かちりと、音を立てて。
完全に、可笑しなスイッチが入った。
貰いゲロしかけてただけかもしれない生唾を飲む所作に
求められてるみたいな錯覚を感じて、
気分がよくなってしまったのは多分酒の所為だけではない。]
おまえのせいで、こうなったんだ。
…せきにんを、とってくれるだろう?
[背中をさする為に近かった距離を
首輪に繋いだ手綱みたいにネクタイを捕まえて引っ張って。
げろ臭い吐息に熱を込めて耳元を擽り、ねとりと舐りながら
安物めいた粘ついた甘ったるさで、誘う。
行き場に迷っていそうな手を股間に導いて
堅くなってるのを擦り付けてやった。
物理的な快感に震えた吐息で、濡らしたあいつの耳朶を擽った。
ホテル行こうか、って疑問のない殆ど宣言みたいな
否と言わせない強い口調で伝えて
そのままネクタイを引っ張った。
あいつが頷いたかどうかは関係なかったので見ていない。]
[まだ平然と飲んでる互いの知人二人に、呂律の回らない声で
かえる、とか、おくってもらうからへいきだ、とか
幼い子供みたいなやり取りをして、見送られて店を出た。
家が近いことを知っているのと、足取りがしっかりしているのと
人目があればわりと平然としていることを知っている友人に
とくに止められることも無かった。
犬の散歩みたいにネクタイを引っ張ってた手は
気付いたら何処からかネクタイでなく
あいつの手を掴んでて。
恋人みたいな繋ぎ方をした手が可笑しくってげらげら笑う。
自分が気持ちいいからって指の股を擽ってやったりもした。
ホテルに行こうと誘ったくせに
ずんずん迷わず歩く足取りは何時もの帰路を辿ってることに
帰り道最後のコンビニ前で気付いて立ち寄ったのは
帰りに特に用がなくても立ち寄ってしまう
普段からの癖が出たのかもしれない。]
[立ち寄った口実が飲み足りないだったか
泊ってくなら歯ブラシがないだったか、
或いは何も伝えなかったかもしれない。
店に入ってすぐ手に取った籠を持つと云うから任せて
真っ直ぐ向かった先の棚からコンドームをひと箱
見慣れた数字が掛かれたパッケージを迷わず手に取って
持たせてる籠に放り込んだ。]
うちにないんだ、必要だろう?
[思い切りガン見していた気がしたから
そう説明してトイレに引っ込む。
精算をおしつけたまままた籠っていたら回収に来た。
ちょっと寝そうでぼんやりしていただけで
吐いていたわけではないからそのまま回収される。
人目がないトイレではぐにゃぐにゃしていたくせに
店員の目につく店内に戻るときには
酔ってすらいないんじゃないかというくらいしゃっきりしてる
その辺の仕組みは自分でもよくわかっていない。*]
| 食べれます食べれます。 ちょっと感動したって言うか、感心してただけなんで。
[残すなんて勿体ないと慌てて否定する。 味自体は特別凝った事をしていたわけじゃないし、 感動するほど美味しいってほどじゃない。 それは分かっているんだけど、 何だか彼の手で作られたってだけで特別な気がして――
考えがどうにも乙女ちっくになってるなあ なんて少し我に返って別の理由を探してみる。]
俺なんて朝も昼も雑ですよ。 腹に入ればいいやくらいな感じで。
自炊しても適当過ぎて、毎回味変わったりするし。
[そうそう。 俺が彼ぐらいの手際で料理なんてしたら、 野菜の大きさはバラバラで何なら切れてない事あるし 味なんてからかったり薄かったりするんだ。 普通に美味しいってすごいことじゃないか。
また憧れる好きなポイントが増えていく。] (57) 2020/10/21(Wed) 23:58:06 |
| [食事中、ちょっと異質な視線を感じたりもしたけど どうにも今日は俺は冷静じゃないって 自分に都合良いように受け取りそうなのを自制する。
二日酔いどころか酒が残ってるのかも。 じゃなきゃ俺が食べてるのを眺めてる視線が まるで唇に向けられてるような気がするなんて そんな妙な事思うわけがない。
やばいやばい。 そんな風に見られた意識するじゃないですか。 昨日、俺の記憶がない時間に この唇がどんな風に貴方に触れたんだろうか、とか。
残りの食べ物を急いでかき込んで 逃げるように片付けに向かったとしても 決して俺はヘタレではない。決して。
相手がこの人なのが悪い。しょうがないだろ。 嫌われたくないって思える人なんて滅多にいないんだから。] (58) 2020/10/21(Wed) 23:58:34 |
| [自分が同性にしか欲情しないって気付いたのは 高校入ってすぐくらいだったか。
元々恋愛自体、興味が薄かった事もあって 同級生が騒ぐ漫画のグラビアよりも スポーツ選手の鍛えられた身体の方に興味が向いて もしかしてそうなのかもって思った程度だ。
確定的だったのは高校途中で入った塾で 講師から目が離せなくなったあたりだっただろうか。 当然多感な十代なので自慰はするんだけど、 いつのまにか頭に浮かぶのが彼の顔になって それが全然嫌どころかめっちゃ良かったものだから 俺は本格的に自分の事を理解した。
けどそれから情緒が育ったかと言われれば そうでもなくて恋愛感情は希薄なままだった。 最初に関係を持った相手が恋人とかじゃなく 割り切った相手だったのが良くなかったのかも知れない。
好きだなとか親しくなりたいな、よりも この人上手いのかなって気持ちが先行してしまう。 自発的に誰かを抱きたいと思った事もない。 だから別にこだわってるわけでもないんだけど、 仲間内では俺はウケ専って事になってる。] (59) 2020/10/21(Wed) 23:58:58 |
| [けど今年の異動で葛西さんに再会した時、 唐突に随分昔の事を思い出したんだ。
誰から目が離せない感情とか 笑顔が見たいなって小さな希望とか
抱きたいなって欲望とか。] (60) 2020/10/21(Wed) 23:59:23 |
| [酔っぱらって泊めてもらっただけで 何だか分からないけど朝食もご馳走になって、 片付けが終わってしまえばここにいる理由なんてない。
別に何か期待してるわけでもないんだけど、 ただもう少しだけ一緒に過ごしていたいって欲が出て 何て声をかけようかって悩んでいたら トイレ掃除の合間に顔を出した彼が 映画を流し始めたからこれを理由にさせてもらう。
まだいんの?とか言われたら 職場での悪意のない顔で「見たかったんですよこれ」とか 適当に言って居座ってしまおう。
でも予想とは反対に何か俺なんかいないみたいに 相手はまるで俺を意識しないで過ごし始めた。 チャプターだって勝手に飛ばしちゃうし、 いや自分の家なんだから好きにしていいんだけど 俺って異物をまるで気にしてない感じで ここに俺がいるのが普通の事みたいな―― まだいても迷惑じゃないんじゃないかって思えてくる。] (61) 2020/10/21(Wed) 23:59:51 |
| [また掃除に戻ったらしい相手を待ちながら まだ見た事のない途中からの映画に目を向ける。 人気シリーズなのは知っている程度で、 飛ばし飛ばしに見ている程度の映画だから 途中からだと余計に内容が全く頭に入って来ない。
けど誰が主人公なのかは分かるし、 ハリウッドのお決まり的なやつで展開が読めるとこもある。 こう言う映画は何かよく分からんところで ラブシーンが挟まるって決まりがあるものだ。
ほらね。これ意味あるんだろうか。 そんな状況じゃないだろうよ。緊迫した状態なのに。
ぼーっと眺めていたら彼が帰ってきて 俺はそっちの方が妙に気が向いてしまう。
ほんとにまだいいんだろうか。 迷惑だなって思われてないだろか。
途中からの映画なんてどうでもいい。 ずっと見ていたら不審者だから映画見てるフリするけど それでも視線は相手に向かってしまって。] (63) 2020/10/22(Thu) 0:00:26 |
| [そして目が合ってしまった。 熱っぽくて絡むような彼の視線が刺さる。
俺だって子供じゃない。 一夜の相手を求めて夜の街に繰り出した事もある。 だからその目がどんな意味を持ってるか、 十分過ぎるくらい分かってる。 だっておんなじ目した奴、何人も見たし。
わざと、なのか。 わざとじゃないならそれはそれで心配だけど。
駄目だって言いましたよね、俺。 据え膳出すなって何度も忠告した。
それでも分かっててやってるなら そのつもりだって考えていいんですよね? 俺の妄想なんじゃなくて、それが貴方の意思だって。] (64) 2020/10/22(Thu) 0:00:42 |
| 葛西さん…?
[少しだけ腰を浮かせて今度はちら見じゃなく ちゃんと相手を見据えて声をかける。]
ひどいことはしないんで、
もうちょっと、そっち行ってもいいですか?
[引き返せるよう、逃げ道は一応用意しておく。 逃がしてあげるつもりだってある。
でも逃げないだろうなって自信はあった。 この色の目は見慣れてるから。
膝立ちで少しずつ距離を詰めて まるで猫がすり寄るみたいに近付いていく。 鼻先を僅かに擽らせて最後の確認を取ってから そっと唇に触れるだけのキスをした。]* (66) 2020/10/22(Thu) 0:01:14 |
| (a5) 2020/10/22(Thu) 0:03:11 |
大丈夫ですか〜。
[やばいなって自覚はあった。
けど久しぶりの深酔いがふわふわして
思いの外気持ち良かったから自制せずに飲んで、
用を足せばちょっとは酒が抜けるかとトイレに向かった。
そこでちょっと洒落にならない声が聞こえたので
誰だか判別出来ない後ろ姿に声をかける。
返事の代わりにまた嗚咽が聞こえたものだから
さすがに本気で心配になって背を擦ったら
振り返った顔がまさかの見知った顔だったわけだ。
相手がトイレに行っている事も覚えてないくらい
俺も大概に酔っぱらっていたわけで
やばいって思ったのは間違いじゃなかったらしい。]
ほんとに大丈夫ですか?
[心配はもちろんしている。
けど苦しさから薄っすら滲んだ涙で潤む目が
妙に艶っぽくて目が離せなくなっていて、
吐くの手伝いましょうか、なんて口実を口にして
しゃがみ込む相手に覆い被さるように身体を寄せた。]
[唾液でわずかに濡れた唇は滑りが良くて
触れたらぬるりと容易に形を指先に伝えてくれた。
その柔らかい感触にぞくりとして
いけない事をしている気になってくる。
けどそれが逆に好くて濡れた跡を辿るように
唇を何度も撫でて、指は次第に口内へ侵入した。
しんどくて抵抗する気力もないのか
それとも酒で完全に頭がやられてしまっているのか、
彼の唇は俺の指を受け入れるみたいに開いた。
歯列や頬の内側を柔く撫で弄って
その度につらいのとは違う息が漏れるのが楽しくて
吐くのを手伝うって言ったくせに
まるで目的を果たそうともせずにしばらく弄ぶ。
その度に唾液が溢れて余計に酷い有り様になった。
そのうち指じゃ物足りなくなって、
気付いたら口を塞ぐように口付けていた。]
[徐々にしんどいのとは違う顔が見えてくる。
可愛いな、なんて調子乗って舌を奥に進めたら
突然強い力で身体を押し退けられてしまった。
やり過ぎたかと一瞬冷静になる。
その上、相手が笑い出したものだから
完全にその気になっていた俺は置いてけぼりを食らう。
けど聞こえたのは想像とは全然違う言葉で。]
はは。うそでしょ。
俺、
男ですよ?
[彼の言の通り、確かにそこは布を持ち上げていて。
素面だったらあり得ない状況に驚いたりするんだろうけど
すでにまともな思考なんてしてないから
自分を棚上げしてからかうみたいな言い方して
主張するそこをやんわり撫で上げてやった。
もっとヤバい事になればいいのに。
そんな悪意が顔を出す。]
[どうやらその悪意は役目を果たせたようで
イエスとしか答えられない問いかけを投げかけられ、
答えを声に出す前に俺はネクタイを掴まれた。
自分からも股間押し付けちゃってめっちゃエロいなあって
可笑しくなってにこにこしてついて行った俺の姿は、
一緒に飲んでいた知人達からしたら特別な事じゃなくて
『憧れの先輩に構われて嬉しそうないつもの俺』程度にしか映ってなかっただろう。
手を恋人みたいに繋いで歩くのなんて
いつもの俺だったら飛び上がるくらい嬉しいのに、
もう頭の中がその先の事ばっかりで
ずんずん先に歩いていく相手がホテルとは別へ向かっても
全然気にしないまま素直に付いて行った。
コンビニのトイレから出て来た時、
彼が割とすっきりとした顔をしていたものだから
もしかして抜けたのかなって少し距離を取る。
正気に戻ってる可能性もある。
けど店を出た途端、やっぱり手は繋がれたから
ああ、まだ酔ってるのかなって安堵した。]
[そのうち相手の部屋らしき場所に連れ込まれて、
もう人目もないんだからって壁に押し付けた。]
…責任取ってほしいのは、俺の方ですよ。
[正気に戻られる前にって気が急いて
貪るみたいに唇を少し乱暴に押し付ける。
今まで自慰だけで済ませてたのに。
貴方はノンケだから想うだけにしとこうって思ってたのに。
エサぶら下げて飛び込んできたのはそっちだぞ。
俺の頑張りを無にした責任取ってくれよ。
…酔ってる間だけでいいから。
持っていたコンビニの袋が足元に落ちて、
中に入っていた避妊具の箱が零れ落ちたけど
今すぐ必要じゃないやってそのまま捨ておいた。]*
[ちっとも喉の奥を擽らない突っ込まれた指の動きは
如何にも、口付けを連想させて。
ぼやけた頭で反射みたいに舌に見立てた指に
熱い舌を柔らかく絡めて返す。
ずるりと擽るようにして引き抜かれてゆく指を
追いかけて唇から少し突き出した舌先に
今度こそ正しく舌の感触を感じたから
もっと寄越せと掴みやすかったネクタイを引いて
不快口付けを強請った。
個室の壁に反響して響く吐息の音は気分の悪さもあって
最中のそれみたいにやたら湿った音をしていたから
耳で聞くその音に頭がさらにばかになる。
きもちいいな、って思った瞬間に
一気に気持ち悪くなって嘔吐したが
きもちいいに完全に反応し出してた体は
嘔吐く息苦しささえ快感みたいに勘違いして
なんだかもうよくわからない。]
[すっかり馬鹿になってる頭が体を誤作動させたのか
それともそれが正しい反応なのか、それはさておき。
床に座り込んでいた足を開いて晒す
面白報告に相手も笑ってくれるから機嫌をよくして
口の中に残る残骸を唾と一緒に吐き捨てて
ペーパーで口元を拭いながら一緒に笑ったのも束の間。
確めるみたいな手が触れてくるから
嘘じゃないって押し付けてやったら、純粋に気持ちよくて。
笑いだしながらできるだけいやらしく腰を揺すってやった。
単純なもので、他人に其処を触れられただけで
頭の中はすっかりセックスの事を考えていた。
なにやってんだろうって考える理性なんて
もうすっかり酩酊しきってる頭には残っていない。
溜まってた、なんて言い訳もできなくはない。
前に女を抱いてから随分間が空いていたから
ふれてきたその他人の温度が、欲しくて堪らなかった。]
[ネクタイを引っ張る手を解いて手を繋がせたのは
かえる、と報告に行った先の友人だった。
そこはやめなさいと言われて素直に
ネクタイを放して促されるまま手を繋いだ。
想定と違う指の絡め方をしただろうけれど
細かいところを指摘されることはなくそのままになった。
コンビニに立ち寄った時も、出る時も。
繋いだままだった。体温が恋しくて。
男二人でおてて繋いでコンドームを買いに立ち寄ったなんて
思い出したらもうあのコンビニには二度と立ち寄れないだろう。]
[相手が男だとか、職場の後輩だとかは
大分前からあんまり認識してなくて
壁に押し付けられて打った背中の痛みも何処かとおい。
ただ、性急に求められるのが嬉しくて
くふふ、と口付けの合間に機嫌のよい笑い声が零れる。
濯いですらいないげろ臭い口の中を嘗め回されて
相手の唾液の味にすり替わって薄まって行く。
そっちの方が良いやってただそれだけの思考で
こっちからも緩慢に舌を絡めて返した。
人目があるところではわりとしゃっきりしてたくせに
未だ、ひとりぶん、人目がある筈の二人きりの部屋で
すっかりぐにゃぐにゃに戻ってしまって
支えきれない体重に引っ張られるように
ずるずると背中が壁を滑って行く。]
───は ……
なぁ、もっと。
[ずり落ちた所為で口付けを解いたのは自分の癖に
何処か不機嫌にぐずる子供みたいに唸って。
首裏に腕を絡めて、甘ったれた声で強請る。
強請った癖に待てなくて、噛みついたけれど
いってることとやってることのちぐはぐさに気付くことはない。]
[ただでさえ酔って高い体温がさらに上がって
犬みたいに舌を出してはふはふ言いながら
玄関に座り込んだまま、出した舌を絡め合う。
ジャケットを脱いで剥いで、ネクタイを解いて解いて
二人分がその辺の床に雑にぽいぽい捨てられていった。
玄関の段差を這うようにして辛うじてよじ登ったけれど
靴が片方脱げなくて諦めたようだ。
もう片方は靴下ごとずるりと抜けた。
ベッドまでたどり着くのがもう面倒くさくて
ひんやりしてるフローリングの床に吸い寄せられて寝転がる
つめたい、きもちいい、ぬるくなった、移動。
口付けで気持ちは満足して寝床を探す様にもぞもぞしだす。
移動の最中すっかり落ち着いてしまった下肢は
口付けでまた反応し始めていたが
今はそっちの欲求よりも眠い方が勝っていた
開けた胸元を落ち着き切らない呼吸で上下させ
上気した頬を淡く染めて
とろんと蕩けた眼をして、こいこい掌で誘う。
一緒に寝ようと誘っているようだ。
寝るの意味は、無論、『眠る』の意味合いしかないが。*]
| [少しぐらいは戸惑ったりすんだろうと 男に免疫がないはずの相手の反応を予想してたけど、 案外自ら手を伸ばしてくるほどに積極的で 嬉しいのが隠せてない顔で僅かに頭を横に振る。
けど今までなら絶対に入れなかったはずの領域に 緊張しているのは間違いなくて、 唇に触れる手を掬い取った俺の手は 少しだけ、ほんとちょっとだけ震えてたかも知れない。]
もっと、近付きたい、です。
[普段なら無遠慮に近付けるのに たったこれだけ、足りないを伝える言葉が、重い。]* (106) 2020/10/22(Thu) 16:38:11 |
[噛み付かれるまま唇を合わせて
応えるうちに僅かに残ってた理性も溶けていった。
全然ロマンチックじゃない、獣みたいなキスで
口の周りが唾液で酷い有り様になっていっても構わず
半ば襲われるみたいに服を脱がされた。
始めてくる場所、室内は真っ暗、酔い潰れた頭。
トリプルパンチで全く足元はおぼつかない。
頼みは家主である相手だけなのに
その当人は這いつくばって歩く気すらないらしい。]
ははは、葛西さんが溶けてる。ウケる。
[普段涼しい顔してる相手がだらしない恰好で伸びてる。
その光景が酔っ払いのツボに入ったらしく
一人しばらく笑いが止まらなくなってしまった。
呼ぶ掌の動きに誘われてのそのそ近付いては
そこが床だってだけでまた笑いが込み上げてきた。]
ほら〜、風邪引くから〜。
[笑いが治まる頃には情欲もわりと治まっていて
相変わらず床に転がる相手を心配する余裕も出てきた。
さすがに男を抱きかかえるような筋力はないので
脇を抱えて引きずるようにベッドへと持ち上げる。
叩きながら声をかけたら相手も少し協力してくれただろうか。]
[玄関にコンビニ袋を放り出していたのを思い出した。
さすがに少し目が慣れてきたから、
脱ぎ捨てられた衣類に躓く事なく玄関に到着。
飲料を冷蔵庫に入れて、
勢いで買ってしまった避妊具を手にベッドへと戻った。]
誘ったのそっちだぞ。
この無責任男め。
[こっちもその気はもう萎えたし、
酔っ払いを同意なしでどうにかするつもりはない。
何より正気に戻った時の反応が怖いし。
でも散々その気にさせといて、当の本人は
もう寝る体勢に入ってるってのは妙に腹立たしい。
少しくらい仕返しの悪戯をしてしまっても、
後でネタになるくらいの冗談だったら許されるだろう。
箱を開けてびろんと繋がった避妊具を取り出す。
それを今にも寝そうな相手の目の前に垂らしてやる。]
6個入りだから、一人ノルマ3個ですよ。
中身出しといた方が、それっぽいかな。
[一つ切り離して開封。
抵当に伸ばして使用済み感を演出しておこう。
眠たくなるまでそんな工作で時間を潰すつもりだが、
俺より泥酔している家主は眠ってしまっただろうか。]*
[ 神託の実は、伝説通りに赤色をしていた。
────粘液に塗れた拳大の、脈打つ塊。
恐ろしい程に美しく鮮やかに、赤く、
赤く
。
管を通して流し込まれる魔族の血液に
丁度よく似た色彩の。** ]
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