【人】 舞台役者 ヴィクトル[ 出し入れの手間も省ける、目に付く場所にある。 それは丁度良い位置、高さに机があるからだ。 リーが細かいのは今に始まったことじゃない、と 同じく耳は傾けるが細かすぎるだろう。 いや……お前は間違ったことないか? 一度や二度くらいあるだろう? 大体、あんな似た色と形をしているのが悪いんだ。 デザインの敗北という言葉が相応しい。 絵描きの俺が言うのだから間違いない。 わかりやすさは万物共通で最重要。] 本当の俺の姿を知ったところで離れていくなら、 その程度だってことだろうな。 偶 像 自分に都合の良い、飾り物の「アイドル」を欲するなら、 俺である必要は無い。 俺別に女にモテたくて役者やってる訳じゃないんだがな。 とはいえ、助言は聞いておこう。 (20) 2019/04/13(Sat) 2:06:49 |
【人】 舞台役者 ヴィクトル[ 言い訳必死だな、と我ながらつくづく思う。 いかに愛する我が友といえど、小言ラッシュは 父親どころか小姑にランクアップしてきた感があるな。 なんで掃除しないかって?>>0:819 ルンバが家出したからだよ 懸賞で当たって俺の運絶好調だな! と調子に乗っていたら いつの間にか無くなってた。 運とルンバなんて無かった。俺はショックで掃除を止めた。 家出しなかったら、もう少し俺の家は綺麗に保たれていた かもしれないし、三日で飽きて動かさなくなったかもしれない。] [ とはいえ、学生時代のリーを知っている身としては これでも随分丸くなったと思うものだが>>0:820。 引き篭もる前に一緒に行った居酒屋で、酔っ払いに絡まれ、 頭に血の上った俺が突っかかろうと一触即発だった際、 冷静に仲裁してくれたりもした。 今では寧ろ、俺の方が気性が荒くなってしまった。 ──この感覚。 世話を焼いていた子供が立派に育ち、手が掛らなくなり、 親離れしていった感覚に近いのかもしれない。] (21) 2019/04/13(Sat) 2:07:00 |
【人】 舞台役者 ヴィクトル[ 学生時代から演劇に興味を持ち、 在学中に劇団の手伝いを続ける傍ら 卒業後正式に劇団に入ることが叶った。 学業の出来は決して悪くは無かった。 故に「劇団に入るのは勿体無い」との声も聞いたが 現実よりも夢を追いたかった。 入団後裏方を務める一方、役者としての練習も重ね 数ヶ月で端役での出番が来た。 評判も初めてにしては上々。 次もどうだと声が掛かり、出番も徐々に増え続け 数年も経てば、念願の主役の座を射止めることも叶った。 ── あまりにも、順風満帆過ぎた。] (22) 2019/04/13(Sat) 2:07:07 |
【人】 舞台役者 ヴィクトル[ 天照らし芳情の祝福を与えし太陽も いつかは雲隠れ、夜の帳に飲み込まれるように 光は光のみのまま、存在を保ち続けることは出来ない。 ──光が存在する場所には、必ず影が存在するのだから。] (24) 2019/04/13(Sat) 2:07:22 |
【人】 舞台役者 ヴィクトル─ 回想 ─ [ 例の一件以降都会から離れ、今の家に住むようになった。 後先何も考えず、ただ、逃げる為だけに。 それにより、生産されることは何も無いのに。 だが、それ以上に人と会うのが怖かった。 ──暫くすると、奴が家に来た>>0:822。 連絡先は教えなかったはずなのに。 寧ろ、一番会いたくなかった奴でもあった。 団長か劇団員に聞いたのだろうか。 既に何度も芝居を見に来ていた常連な上、 友人だと紹介していたから、あっさりと教えたのだろうか。] [ 扉越しに聞こえた声は懐かしく、そして温かく。 ( 思えば、数日も会わなかったことも、珍しかったな。 ) 会いたくなかったはずなのに、訪ねてくれて ‶嬉しい と思ったなんて。 ( こんな俺に、構ってくれるなんて。俺はまだ、一人じゃ……。 )] (25) 2019/04/13(Sat) 2:16:19 |
【人】 舞台役者 ヴィクトル[ なのに、俺は馬鹿だったから。 下手なプライドが邪魔をして、顔を合わせる勇気が無く 追い払ってしまった。 分かっていた。 心の裡では、家に招き入れ、全てを吐き出したかった。 リーなら全てを受け入れてくれるだろう、そう信じていた。 ( ──こんな俺に手を差し伸べてくれる奴なんて……。 大事にしないと罰が当たるというのに……。 ) ただ、慰めてもらいたい。優しい声を掛けてもらいたい。 寂しかった。辛かった。 もっと幸せになりたいから、と奴の温もりが欲しかった。 たったそれだけのことだったのに。 ──── 何故俺は 正反対の拒絶する行動≠取ったのだろう?] (26) 2019/04/13(Sat) 2:16:24 |
【人】 舞台役者 ヴィクトル[ やがて声は聞こえなくなり、足音が遠のくと 帰ってしまったと実感し、心までひとりになってしまう。 何の生産性もない無限ループ。 否──俺の絶望度合いを深める生産性なら、存在するか。 扉を開け、置き土産の荷物を手に取る。] ……買いすぎたとか、そんなミスする筈無いだろうに……。 [ この品揃え、明らかについでで買ったものでは無いだろう。 それでも、捨てる気にはならないので家の中へと持ち帰った。 まさか、見られていたとは気付きもしなかったが>>0:822] (27) 2019/04/13(Sat) 2:16:29 |
【人】 舞台役者 ヴィクトル[ 越してきたばかりのあばら家も、現在ほどは荒れ果てておらず まだ自室のベッドが寝具としての機能を果たしていた頃。 背もたれの外れた貰い物の椅子に腰を掛け、 未だ温もりの残っていた、差し入れのコロッケを口にする。 衣は多少濡れていたが、衣はまださくさく感は残っていた。] ( ──俺が学生時代によく買ってた店のじゃないか。 しかも、俺の好きな南瓜味を選んでるとか……。 ……あいつ……。) ……っ、 ……うっ、ああぁぁっー……! [ ──間もなく、つ、と 頬を冷たいものが頬を伝った。 次の瞬間には嗚咽が響き渡る。 もし誰かが近くを通りかかれば、鮮明でないが聞こえただろう。 リーは流石に立ち去ってくれた後、だと信じたいが。] (28) 2019/04/13(Sat) 2:16:34 |
【人】 舞台役者 ヴィクトル[ この時、リーが俺を見捨てないでくれたこと。 俺の意識の向き方が、感情が、徐々に変化し始めたのは 思えばこの時からだったのかもしれない。 あの後も来てくれて、嬉しいはずなのに 結局また追い払ってしまって。 ──本当、よく愛想を尽かされなかったものだ。 何度目の来訪時だっただろうか。 ドアの外から声が聞こえた時。] ……入れよ。 [ 覇気も生気も無い声でぼそっと呟き、屋内に入ってくるのを待つ。 いざ対面すれば、声以上にしなびた姿をした 落ちぶれた役者の姿があっただろう。] (29) 2019/04/13(Sat) 2:17:52 |
【人】 舞台役者 ヴィクトルああ、そっちのことか。 確かに歳食えば食うほど体型維持は厳しくなるというが。 俺は健康管理の意味合いで捉えていたな。 適度に睡眠を取らなければ、肌も荒れ万病の元となる。 舞台の上に立ち、最高の演技を見せる為には、 体を万全の状態に整えるのも大事な仕事だ。 客も皆万全の状態のショーを見たいだろう? いや、謝らなくてもいいって。 だがこれは役者だけでなく、社会人全員にも共通することだぞ。 勿論、働きづめのリーにもな。 [ 全ては自分のミスだというのに、何故リーが謝るのか。 理由も大体察せているから、大丈夫だ、と 今度はこちらから頭を軽く撫でよう。 いや、黙ってやってるがバカンス中にも仕事持ち込む方が 余程ブラックだと思うぞ?>>0:825 とはいえブラックの押し付け合いは畑が全然別なので、 勝敗がつきそうには無いが。 だから、リーの家に住むようになってからは、 飯くらいは用意してやろうと思っていた。 これも立派な支えになるだろう、と。 仕事を追えて迎えてくれる人がいる。飯が用意されている。 これらは全て、当たり前に存在するものでは無いのだから。] (30) 2019/04/13(Sat) 2:23:26 |
【人】 舞台役者 ヴィクトルよし、なら旅行終わったら、マンションのプールに行こうぜ。 人の居ない時間帯に行けばいいんじゃないか? 深夜の3時とかなら居なさそうじゃないか? おもちゃも浮き輪も持ち込めるかもしれないぞ。 [ 折角の施設使わないとは勿体無い。 子供が使用可能ならば、浮き輪や遊具も持ち込み可だろう。 29歳児の為に宿泊先のホテルで、 こっそり遊具でも買っておこうと心に刻む。 約束を取り付けると同時に、帰りにリーの家に寄る口実も出来た。 長い旅行になりそうだ。] 言っておくが肉も好きだが魚も好きだぞ? 名産品でないにしろ肉料理くらいはあるだろと思ってな。 肉は腹が膨れるからな。 体力勝負の仕事だから、スタミナは大事だ。 [ もっともな理由をつけてステーキを支持する。 とはいえ、綺麗な景観を見るのは好きな方だ。 それに一番大事なのは──リーと旅行に行くことだから。 ので、抱いた後悔は全く持って無駄になるのだが。 肉を焼くくらいなら、それこそ帰りに家に寄った時にでも焼くぞ?] (31) 2019/04/13(Sat) 2:23:32 |
【人】 舞台役者 ヴィクトル勿体無いお言葉、この身を賭してご主人様の為に尽くしましょう。 [ 格好良く執事風のおもてなしのフリをしてみたが。 主人のように振る舞い、返事を返してくれたので>>0:829 更にサービス。 今度また気が向いた時にやってみるか、と思ったが。 大体カッコつけてもこの車の持ち主はリーなんだよな。] (32) 2019/04/13(Sat) 2:23:35 |
【人】 舞台役者 ヴィクトル……言った傍からこれだ。 無防備なまま寝やがって。 こんなに人畜無害な見た目してるのに、な……。 [ 眠っているからと悪態を吐きつつ、やはり日々の疲れが 溜まっているのだろうと想像する。 停車時には愛らしい寝顔を隣でじっと眺めて。 こいつが未来、とうか現在でも名実共に閻魔様だとか まず信じられないだろう、と笑みが漏れる。 ──今では知っている人が少ない、俺が深く知っている顔── ]( 出会った頃は、こんな風に 一緒に旅行に行くようになるなんて。 きっと、俺もお前も想像してなかっただろうな。) [ 出会った頃の荒れ果てた姿を思い出す。 第一印象は ‶ 仕事じゃなきゃ、仕事でも絶対に関わりたくない奴 =@だったというのに。何がどうなるか分からないものだ。]** (36) 2019/04/13(Sat) 2:32:56 |
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