(a0) 2021/04/06(Tue) 0:16:02
ただいま! エン、調子はどう?もう起きれる? [ちょうどよさげな広さの部屋を見つけたおれは元の部屋に帰ってきただけだけど、正直部屋は狭いほうが、エンとの距離が近いから部屋替えはしなくてもいいんじゃないかなって思ってるんだ。 扉を開けて、エンがいるだろうベッドの上に視線を向ければ──…] エン? [布団の塊がそこにいるんだけど……あれ?デジャヴかな?]
[つい最近見た光景が目の前にあっても、前回おれが選んだ行動をおれはとらないんだ。 エンがなんで布団にくるまっているかはわからないけど、彼が落ち着くまで、おれはベッドサイドに腰かけて布団の上からぽふぽふとたたくとしよう*]
[ハチヤの声が聞こえる。 続いてベッドの端がぎしりと沈み、布団の上から宥めるみたいにぽんぽんとリズムよく叩いてくる] ハチヤぁ [だから安心できる布団を押しのけ、安心できるやつにぎゅっと抱き着く。 あれはやっぱりハチヤだ。そっくりなだけじゃなくて、鱗のできる人間なんてそういる筈もない。それは分かったけれど] なぁ。俺のこと、好き? [こいつの顔は分かりやすいから。これは質問だけど、確認でしかないもの*]
……うわっ! ……
[布団の中から飛び出して、おれにしがみついてくるエンにびっくりしはしたけれど、その体は少し震えてて、よっぽど不安だったんだなってことだけは伝わってきたから。
エンの背中に手を当てて、体を支えたんだ。
抱きついて不安が薄れるなら、好きなだけ抱き着けばいいって思うからね。
好きなのかって聞かれれば答えはもちろん決まってる]
うん、おれはエンが好き。
元のハチヤ
[おれにも渡したくないくらい*]
うん。じゃあ、俺が一番好き? [その質問はいつかの夜と同じもの。それを、違う気持ちで問いかける……*]
[その答えがどちらだとしても、答えを半ば奪うかたちで唇を奪う。だって違うというのなら、その答えは聞きたくないから。 技巧なんて元からない、ぎゅうっと押し付けるだけの唇と無理やりねじ込んだ舌は受け入れられるのか。力任せに二人分の体をシーツに沈める] 一番だったら。条件は、満たすよ。だから
んむぅっ! [そんなの一番好きに決まってる。 でも、おれがそう答える前に、エンの唇と舌がおれの口を塞いだから、言葉は喉の奥に押し込められてしまったんだ。 力任せの拙い口付けにされるがままになりながら、おれはベッドに押し倒されて、エンの口から知りたかった条件を聞かされたけど] エン──… [焦ってる?なにに? ともかくエンの様子がおかしいってことはわかるから]
[二人で勢いよく倒れたシーツの上、宥めるみたいにぽふぽふ叩かれる。煮え切っていた頭がちょっとだけ冷静にはなったのだけど]
大人、ねぇ。……中身はまだまだ子供ですよ。
好きな人とられるとかまじ無理だし、
仕事も出来るだけサボりたいし。
[
くすくす笑って、彼女の同意を聞きながら、
光り射す部屋の中へ入ってみた。
そこは以上部屋のようで、
時代も性別もごちゃ混ぜのような感じになっていた。
彼女の興味は、何かに向いただろうか。
]
……人の悪口は、気にする。
めちゃくちゃ気にしてクソって思うし、
ふざけんなって心の中でいろいろ言ってる。
心の中で言って、行動で黙らせる。
ってことばっかり会社ではやってるかなぁ…
[
廊下でそんな質問をされていたなら、
部屋の中に入って返事をしたはず。
寧ろ、嫌と思うことほど頭に残る。
だからムカついて、行動でどうにかしてやる。
そんなつもりで、いつも会社にはいた。
お陰様で、成績が良いのだけれど。
]*
[
くすくすと笑われてきょとんとしてしまう。
好きな人を取られる…取られたことあるのかな
なんて考えて……つい口に出た。
]
え、取られたことが…?
[
……心のうちにとどめておけないあたり
私は子供だと思う。
さっきだってだいぶ失礼なこと、
忽那さんに言ってたしね……
今の言葉も失礼?ま、まあ返事を強要はしてないから…。
部屋に入れば、雑多なものが置いてある場所?
みたいで。
なーんか見覚えのある乙女ゲームが
棚にある気がしますが…
あれはスルーしようそうしよう……
目線が一瞬そっちにいったかもしれないけど
とりあえずスルー。
]
[
部屋に入ってから質問に答えてくれた。
……言い方が面白くて少し笑ってしまう。
でも、すぐ表情を戻して俯いた。
やっぱり、考え方が大人。
私はそんな風に考えられないし。
嫌だなって思って、でもきっと私が悪いんだろうって。
仕事に関することなら、自分が悪いか悪くないかは
判別できるけど…そうじゃないことは……。
行動で黙らせる、か……。
私もそんなことが出来たら……。
]
……凄いですね、黙らせることができるなんて。
私は……
負けてしまうので。
[
嫌って言えないわけじゃない。
此方に分がある口喧嘩なら勝てないわけでもない。
でも、言われた言葉は嫌って言葉じゃ消せないわけで
私の中に残り続けて。
……それこそ学生時代の言葉がまだ、
消せてなくって、どうしようもない。
]**
気になったんだけど……ハチヤには、旦那さんとお嫁さんって違うのか? [お嫁さんと旦那さんとで与える感情が違うように聞こえる]
[エンにしちろの話をしている間、たくさんそれはもうたくさん口を塞がれた。 嬉しいけど、嬉しかったけど!エンはおれが我慢してるってわかってないよね!! おれの話が終えたエンは、恋愛より親愛なのか?って聞いてきたんたけど] ごめん。親愛ってどんなのなのかよくわかってないんた。 [学園で親兄弟がーって話を聞いたことはあるけど、おれにはそんなのいなかったし、しちろの話をするとかわいそうって目で見られるからしちろの話をすることもなかったんだ。 たから、これが親愛なのかどうか、おれにはよくわからない。 もうひとつエンから質問が飛んできて。 こっちは大丈夫!ちゃんとわかる!] うん、違うよ。 お嫁さんを大事にして守って、どんなときでも助けに来るのか旦那さん。 居ると旦那さんが幸せになるのがお嫁さんだよ! 居ないと幸せじゃないんだって! [しちろがそう言ってたからね!]
[キスは好きだ。特にハチヤとするキスは胸があったかくなるから。 恨めし気な顔をするから、ちょっと笑ってしまった。だからひとつ教えてやろう、ほんとはキスはするよりされる方が好きだよ、ってね] ……っ!な……に、それ。 それ、お前、それを俺にしたいのか? 俺に、守られたい?それとも、俺と幸せになりたい? [あの時。薬に苦しんでたのに、あいつ俺にお嫁さんになってって言ったんだよ。そう思うと……なんか、とても、恥ずかしい*]
[するよりされる方が好きなんて、聞いたらしないなんてできないよ! 大丈夫、キスだけにするから!おれがおれで選ばれなきゃしないって決めたからそこから先は我慢する! 噛みつくようにキスをして、それからエンに答えるんだ] うん、おれはエンがいると幸せだなって思うから、エンと幸せにになりたいよ。 [だからおれはエンを守るんだ。 あっちのハチヤもそうなんじゃないかなっておもうけど、代弁してやるきなんてないんだ。*]
[エンにキスした瞬間に、しちろの泣き顔が写った。 もう一度、エンに唇を重ねたら、今度は一瞬じゃなく、おれの鱗食べながら戦うしちろの姿が見えた。 これは過去の映像なんだなってことはわかってしまって、エンはこれを見せられてたんだなっていうのもわかってしまった。 だから、きっと、これのことも、エンは見ているんだろう。 おれはエンが不安にならないように、その手をぎゅっと握ることにしたんだ]
ん……ふ、ぁ… [荒々しく落とされるキスを受け入れる。やっぱりこいつとするキスは好きだなぁ] ふ。ふふ、それじゃお嫁さんじゃなくて、やっぱり旦那さんになるしかないんじゃないか? それに、一緒にいてお互いに幸せになるなら、どっちがお嫁さんだか分からないな? [そう、笑って意地悪を言ってやろう。それからもう一度の口づけをねだるように顎を持ち上げ唇を開いて──流れる映像に、目を見開いた*]
[また見えた] ──。 [微かに不安がよぎるけれどここにはハチヤがいるから。ちゅ、ちゅと音を立てて落とされるキスの合間、見せられる過去の愛情の残滓に一瞬泣きそうな顔をするけれど、強く手を握られて目線をハチヤに向け直す。励ますつもり、なのだろうか。ならば] ……もっと。キス…守って、くれるんだろう? [諦められないようにしてほしい*]
[ねだられるままにキスをする。 おれの視界は過去のおれと重なって、まるであのときの戸棚の中でキスをしているような感覚に陥った。 しちろが命懸けで戦ってくれているのに、 戸棚の中でこんなことを続けるのは、過去の映像とわかりつつ後ろめたくはあるんだ。 けれど、エンに守ってとすがられた今、おれが選ぶのはエンだから。 飛び出していきたい衝動を抑えるようにエンの体を抱き締めて 肉が裂けたのだろう音を聞きながら、 おれの鱗を噛み砕いているのだろう音を聞きながら、 吐瀉音に混じるしちろの詠唱を聞きながら、 おれはそれらを振り切るようにエンの唇を貪ったんだ]
[映像が終わりを迎えると、おれは再び元いた部屋の中にいて。 エンがここにいることを、あの場所に置いてきていないことを、 再度抱き寄せることで確認したんだ] ………エン [エンはちゃんとここにいたから、おれはエンに抱き付いたまま息を吐く。 吐いた息と一緒に涙もこぼれたけれど、この涙がエンに対してのものか、しちろに対してのものなのか、ちょっとおれにはわからなかった]
ん。ん…… [ハチヤの唇が俺の唇に落ちる。 時折背中に回した指先がぴくりと動くのは、戸棚の外に飛び出したいのだろうか。 けれど唇は一度も離れず、角度を変えながら何度も食まれる。咀嚼音に合わせるように唇を動かすのは、偶然? 縋りつくみたいな腕は、俺が縋っているのかこいつが俺にしがみついているのか分からない。 ハチヤ、ハチヤ。ハチヤの名前を呼びたいけど、唇をぴたりと塞がれているから呼べないんだ]
[映像が終わると、唇がゆっくりと離れた。 覗き込んだこいつの顔は泣きそうな、いや泣いてるな。ハチヤの肩に顔を埋めてぎゅっと抱きしめてやる。今だけは、その涙が俺のためのものじゃなくても怒らないよ] ハチヤ……俺も、好きだよ。 [俺の人生にハチヤは不可欠なんだって、分かる*]
ん?……あー、あるといえばある?
実際にって感じでもないんだけど。
[
彼女に推しがいることはまだいいけれど
推しに傾倒してるのが嫌だ。
だから、子どもっぽいのである彼は。
何かないかな、と探してみると
奥のほうにワンピースがあった。
]
美鶴さんのワンピース……
なんや、ちょっと前に着てもらったのに
懐かしい思い出みたいになってまう。
[
記憶のない彼女に当ててみるけれど、
やっはり可愛くて。
彼女がもし、どういうものなのかと
聞くのなら、夏の思い出話でも。
]
だって、負けたくないやん?
好きなんやから、なんでも。
[
好きなものは本気で取り返す。
取り返すっていうか、なんというか。
好きなものを好きといえずして
生きる意味を成すものか、と。
]*
[たっぷり休んだおかげか、もう立って歩けるようになっていた] ハチヤ……ハチヤ。俺……鍵、探しに行きたい。 まだ選べないけど……考える為にも、見つけておきたい。使うかどうかは後で考えるとしてさ。ハチヤを選ぶにしても、ちゃんと考えてから決めたいんだ。 [ハチヤは命がけで守ってくれた旦那さんではなく、俺をずっと守ろうとしてくれた。その気持ちに応えたい気持ちはあるんだ。でも ハチヤは…今のハチヤではなくずっと一緒にいたハチヤ。あいつは俺を好きではないと思ってた。けど、あいつは、あいつも、ひょっとすると俺を好きだった?あいつは俺に旦那さんになれ、じゃなくて嫁になってと言ったんだ。嫁と旦那の定義が俺とは違うのだとしたら。 あれを、薬で苦しい中、どんな気持ちで言ったのか。それを聞いてみたい気がするんだ──*]
[ あるといえばある、という言葉は よく分からなかった。 まさか二次元に嫉妬してるなんて わかるわけもない。 当てられるまま、ワンピースを当てられて。 小さい時の記憶がよぎって、苦い顔になった。 ……着てたなんて、ちょっと信じ難かったから 聞いてみることにした。 ] どんな、思い出ですか…?
[ ……。よっぽど好かれてたみたいだけど “私”は何をしてそんなに好かれたのか。 今の私にはその理由が全然わからなかった。 恋人だったって言うのは信じることにしたけど 一目惚れって言うのは… まだ信じ切れてないというか。 でも、わかったこともあって。 “私”が隠し事してた理由、 それはきっと…… ] 忽那さんは…素敵な人ですね。 私と違って。 [ そう、素敵な人過ぎて、 素敵じゃない自分を隠したんだろうって。 少し話してるだけでも、 好かれやすそうな人だなあって感じるから、 きっとそうなんじゃないかと思う。 もしかしたら他にも理由があるかもしれないけど でもきっとこれも理由の一つのはず。 ]*
付き合って初めての夏、
これを着てくれたんです。
元々は、買わない予定だったけど
同じアパートの人に会って
一期一会なんだから、って
言われたとかで購入を決意したらしい。
2人にとって思い出の詰まった海に、
これを着て出掛けたんですけど、
白い砂浜が反射して心の中で何度シャッターを
押したことか……
[
彼にとっては、とても大切なもの。
でも、彼女にとってどうだったか。
それは多分、彼女が手に取ったときに
分かることなのかもしれない。
話しながら彼女に手渡して、
受け取ってくれたらいいのだが。
]
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