137 【身内】No one knows【R18】
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| [貴方がお金が好きでたまらないのなら、 領主となり、借金は返すし、 余剰な収益は生涯捧げ続けると。 自分など売り物にはならないから、その方が良いと。 回答が得られなければ、それらを進言することも出来ず。] しつ、け……。 [自分は不出来だから、大人になってもされるんだ。 >>0 両親が手を尽くしてくれたのにダメな私だけれど、 彼がしてくれるなら今よりマシな私になれるのかしら。 次襲われる痛みによって意識を失う前に考えたのは そんなことだった。] (2) 2022/03/20(Sun) 19:23:10 |
| [────つめたい。いたい。 意識の浮上と共に知覚したのはそれらだった。]
……、……ぅ……っ
[手首と腕の痛みに呻きを漏らした。 足に力を入れて立つと 自重の一部を支える手首の痛みと 伸び切った腕の痛みが僅か和らいでいく。 手と足を動かす時、ジャラリの金属の音がした。 背中や肩や臀部に冷たくゴツゴツとしたものを感じる。 ────ここはどこ? ゆっくりと銀の睫毛を持ち上げた。*] (3) 2022/03/20(Sun) 19:24:54 |
[ 冷たい石畳、冷たい石の壁、そして冷たい空気。
日が差し込む窓の様なものはなく、壁な備え付けられたランタンの灯りが薄暗く部屋を照らす。
女が意識を取り戻したのは石の牢獄。
視界にあるのは石以外に鉄製の扉とあとは男だけ。
男は小さないすに座って女を見ていた。]
ようやくお目覚めですか。
[ 相変わらず薄笑みを浮かべたまま。]
[ 女はドレス姿のまま鎖に繋がれている。
まるで叙事詩に出てくる囚われの姫の様でもあるか。]
ジャンヌ・アンペール。
いや、もうただのジャンヌか。
[ 立ち上がり女の元へ近づいていく。]
状況は理解できていますか?
[ 女の顎に指をかけて前を向かせる。
その顔をに眼帯はない。ただ長く白い髪がその目を隠しているだけ。]
……商品としてはまだ使えませんね。
[ ジャンヌ・アンペールの婚約者というのは随分と趣味の悪い好色家のようだった。ゆえに婚前前に手を出されていてもおかしくはないが。
白いドレスの上から男は女の乳房を鷲掴みにする。]
男は、知っていますか?
[ 一部の者は初物を喜ぶが、闇市で仕入れる様な性奴にそんなことを求める者たちなどいない。
必要なのは男を悦ばせるための身体と技だ。]*
[視界に入ったのは大好きな人の微笑む姿で
聴こえたのはその人の声だった。]
……ジュダス様。……
[彼はただのジャンヌと自分を呼ぶ。
もう元の人生を歩むことは出来ないようだ。
反発する気持ちは……、なかった。]
……貴方がそう望むなら、それがいいわ……
[微笑み、受け入れた。
父様母様、御免なさい。
アンペールはここで絶えました。
恐らく墓参りももう出来ないのでしょう。
親不孝者で本当に────御免なさい。
私自身が選んだ道だから、どうか許してね。]
[顎を取られ真っ直ぐに彼と顔が向き合う。
こんな状況にも関わらず胸は高鳴ってしまった。]
……はい。ジュダス様が
不出来な私を立派な……商品、にして下さる……
[状況は理解していると答えた。
中途言い淀んだのは妻のくだりを思い出したから。
私が誰かの妻になっても……、貴方は気にしない。]
[まだ使えない自分だけれど、貴方が変えてくれる。
そこに不安はない。
ただ今ひとつ何をするのか不明であった。
それは行動によって示される。]
あ……っ?
[手のひらに余る大きさの胸が掴まれ
戸惑いと甘さの混じる声が漏れた。
まだ固さの残る乳房は鷲掴みにされてしまうと
痛みもあったけれど、それを超えて、
溶け出してしまいそうな気持ちよさがあった。
手の持ち主が、他ならぬ彼だからだろう。
その下の小さく未熟な薄桃色の尖りも
見えぬところで主張を始めている。]
し、知りません……っ
何も、知らないです……っ
[男は知らないと首を振る頬は赤い。
記憶のない期間も含めて事実だ。
だけど余り説得力を持たせられないかも知れない。
貴方の手が、気持ちいいのだもの。*]
[ 顎にかけいた指が離れ、次の瞬間に男の手は女の喉元を掴んだ。]
受け入れる、と?
[ 男の薄笑みは消えていた。
女を見る視線は探るようでいて、冷たく、昏く。
乳房を掴んでいた手も離れていた。]
随分と聞き分けがいいですね。
[ この先に待ち受けていることがわかっていないのだろうか。]
お前はこれからオークションにかけられ、
人を人とも思わぬ者に買われ、
その先はただの玩具として弄ばれ続ける。
[ それともどんな未来であっても受け入れるというのだろうか。]
[ 男の手がドレスの上から女の股間を乱暴に掴み上げる。]
お前のことなど省みない、
お前が誰なのかも知らない、
ただの変態によってお前のここが壊れるまで。
[ 掴み上げた手に力が籠る。]
いや、ここだけではない。
お前の穴という穴を犯し続ける。
[ 女の、人間としての尊厳だって微塵も省みられることはない。]
わかっているのですか?
[ 男の顔が女の顔に近づき、喉を掴み手にも力が籠った。]*
[顎にあった彼の体温が喉に移る。
彼は何かに憤っているようだった。
彼の中の変化がわからず
オロオロと視線を揺らして。]
きゃ……ッ!
[下から来る痛みに悲鳴を上げた。
これは、ただ痛いだけ。
彼がしてくれるなら何でも
気持ちよくなってしまいそうだけれど
いまはそんな場合ではないと
官能のスイッチがオフに切り替わった。]
(い、痛い……っ) っ、
[下唇を強く噛んで、
恥骨に加えられる痛みに耐える。
目尻に涙が溜まるほどの苦痛だが、
それよりも……、彼のことが気掛かりだった。]
ん、ぐ……っ
[吐息がかかるほど顔が近づく。
笑みの消えた彼の顔。
絞まる喉の苦痛に呻きつつも、
真っ直ぐに見つめ返した。
少しも怖くはない。
少し、哀しくはある。
貴方は、貴方のままで良いのに。]
[喉を掴まれていては話し難く苦しい。
痞えながら言葉を発した。]
わかって、います……
どうすれば殿方が、うれしいかは、
不勉強のため、わからないけれど……
それはちゃんと、わかって、います
[女の一人旅に危険がなかった訳じゃない。
連れ込まれようと自分で自分の身は守れたから
処女の証に触れられたことはなく
彼の掴む場所を用いることは理解しているが
具体的なことだけがわからないまま。]
お話をしたこともない
顔や裸だけを見た人に買われて
その先どうなるかわからないことも
理解しています……
[見せてくれたばかりだから知っている。
後のことも彼が教えてくれた。
その上で女は受け入れると言っていた。]
でも、それで、良いんです
貴方が望むなら、それが良い
そうしたい
[いま聞かされた内容を加味しても
意思は変わらなかった。
知らぬ男に尊厳も何もかも踏み躙られようと
彼の大事な商品としての役割を受け入れる。]
[売ることが彼の望みなら
大人しく躾けられる方が都合が良い筈だ。
なのにどうして、そんな顔をするんだろう。]
ジュダス様がなれと言ったものになりたい
私、貴方のことが何より大切よ
[だから微笑ってと、
十字の印のある頬を包んであげたい。
だけど枷に阻まれて出来ないから、
慈愛の笑みを浮かべるのみ。]
[眼帯がない。
前髪が隠す顔は見られたのだろうか。]
右目の傷ね、治ったわ
まるで人間じゃないみたい……
だけどこれで少しは高値になるかしら
[貴方と私だけの秘密もなくなっちゃった。
それは少し哀しいけれど、嬉しいことなの。
貴方の役に立てる、筈だから。*]
[ 理解し難い。
この女がなぜそこまで言えるのか。
騙されていたことはもう十分に理解できた筈だ。優しくされたのも全て女を嵌めるためだと。]
…………
[ 理解のできぬ女の思考に男は言葉を失くす。
絶望の中にあれば壊すのは簡単だと思っていた。
抵抗するならその心を悉く砕けばいい。
だが、女はそのどれでもない。
自らそれを望むと言う。]
そうですか。
[ 女から手を離した。]
[ 女の治癒能呂は随分な価値となる。
いくら痛めつけようと、いくら傷つけようとも勝手に治るのだからどんな無茶だってできる。]
それなら……試してみましょう。
[ 本当に心からそう思っているのか。
踏み躙られて尚そう思い続けられるのか。]
リガートゥルを呼べ!
[ 鉄の扉その向こうに向けて男が声を上げる。]
[ しばし後、鉄の扉が開いて現れたのは2mを超える大男だった。大男はスキンヘッドに鼻から口にかけては鉄のマスクで口元は見えない。
その顔には大きく斜めに墨が入っており、犯罪者であったことを知らせる。]
この男がお前の相手をする,
[ そう言って男は出ていくでもなく、ただ椅子に腰をかけた。
男の冷たい表情と裏腹に、大男はニタニタと女へと近づいていく。]
リガートゥル。
その女は男を知らないそうですよ。
優しくしてあげなさい。
[ 冷たい声が石の部屋に静かに響いた。]*
| ── 過日 ──
「縁談が決まったよ」
[両親の言いなりの娘だが 相手の名を聞かされたとき 望みを絶たれた気分になった。] (9) 2022/03/21(Mon) 16:54:34 |
| [前妻は隣の領の一人娘だった。 面識もあり両親と共に葬儀に参加済みだ。 その日に、娘は信じられないものを見ていた。
────綺麗だ。眠っているようだ。 そう言って花を順に手向ける参列者達。
だけど娘の目には 酷く衰弱した干物のような何かが 拾い集められた臓物とともに 棺の中にごちごちゃと 押し込まれているようにしか見えなかった。
そして、もうひとつ。] (10) 2022/03/21(Mon) 16:54:56 |
| [大領主の、喪服から露出する 顔や首や手などの部位が 真っ黒く染まり、 ぐにゃりと揺らめくのを見た。
目を凝らすと、女の苦痛に歪んだ顔が 代わる代わる表面に表れては消える。 その中には、棺の中にいる娘の顔もあった。
人ではない。 怨嗟の集合体のようなものが 人の形を作っているに過ぎない。
男は魔術師であり 肉の体を捨て 若い女から生命を吸い上げ 生きながらえる怪物だった。] (11) 2022/03/21(Mon) 16:55:26 |
| [────そんな所に嫁ぎたくない。 当然の感情だ。
だが、父も母も、縁談を喜んだ。 良い相手だと褒めてもいた。
────葬儀で共に男の顔を見たのに? ────その前も奥さんは若く亡くなってるわ。 見ているものが自分だけ異なるのだと 親の目ばかり気にする娘には気付きようもない。
残酷で短命な結末を、両親が望んでいる。 ならば叶えるしかないと娘は覚悟を決めた。]
……成人するまでは、ここに住みたいわ
[我儘を一つ言うだけでも、勇気のいることであり、 願いは聞き入れられ、そして破られた。] (12) 2022/03/21(Mon) 16:55:48 |
| [────事件の日。 男は、いつでも自分の容姿を素晴らしいものに 見せていたが、そこにいた娘は 自分に見惚れるどころか震えていた。]
帰って下さい。 約束の日までは、穏やかに過ごさせて下さい。 さもないと……!
「成程、その瞳が特別なのか? よく確かめてやろう……」
いやぁ……っ!!
[女の得物を奪い、切り刻み、突き刺す。 怪物にとっては犯すのとも 吸い取るのとも異なる愉悦の時間だった。 だが、女にとっては……] (13) 2022/03/21(Mon) 16:56:13 |
| [その日も家にあった青い宝石のブローチは 娘が受けた苦痛の記憶を引っ張り、預かった。 それ以外のもの、感情の起伏なども 閉じ込めてしまったのは薬の副作用のようなもの。
元が一つであったのが惹かれ合うのは当然だが 知らない方が幸せな事実は世には沢山ある。
それは例えば、事件の因果。] (14) 2022/03/21(Mon) 16:56:38 |
| [物盗りによって家が荒らされ、家族を殺された。 ────女の認識。
婚約者に自分と家族が襲われその後物盗りに入られた。 ────事実。
ひとつの我儘も言わず婚約者の元へ行っていれば 家族も家も無事だった、可能性。 どの道自分は助からないし諦めていた。] (15) 2022/03/21(Mon) 16:57:13 |
| (16) 2022/03/21(Mon) 16:58:49 |
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