人狼物語 三日月国


62 【ペアRP】ラブリーナイト【R18】

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到着:御曹司 サクライ

【人】 御曹司 サクライ

  ー 数ヶ月前・実家にて ー

[ずしりと重みのある水袋。
 それが、触った乳房の感触だった。
 ただの水ではなくて、妙に温い。
 しかも薄い皮膚の奥でどくどくと脈打っている。

 俺は導かれた手を振り払って
 きつく枕の端を握りしめ、目を瞑った。

 父が俺に宛がった商売女は、
 俺の様子に気を悪くした様子も無く
 「悪くないでしょ?」と嗤う。


 …………悪くないわけあるもんか。


 父はきっと一生かかっても分からない。
 息子が『変態』なのは女の経験が無いせいだと
 固く信じて疑いやしない。]
(22) 2021/03/14(Sun) 23:49:17

【人】 御曹司 サクライ

[女の口や手が俺の幹を育て、
 やがて、まだ柔らかさの勝るそれを
 ぐっと蜜壷の中へと埋めていく。

 寝具の上で身を捩ろうにも、
 滲む冷や汗を吸い、青く震える体を包む寝具は
 まるで雲のように柔らかで、逃げ場なんかない。
 拒んでも、逃げても、どんどん俺の陰茎は
 きつく蠢く肉の中へと埋もれていって─────



 こつん、と茎の先端が、女の膣の最奥に当たる。
 そこが子を成す部屋の入口だと
 認識した途端俺は限界を迎え、真っ白なシーツの上に
 盛大に吐瀉物を吐き散らかした。]
(23) 2021/03/14(Sun) 23:50:51

【人】 DOM サクライ

  ー 現在・The Lapis ロビーにて ー

[黒いライダースとジーンズ。
 差し色には、スマイリーの描かれた
 明るいイエローのスニーカー。
 一流ホテルには相応しくないだろう出で立ちで
 俺はロビーに腰かけたまま
 何度もメールを読み返している。

 「あなたの願望を叶えられるでしょう>>n2

 本当にそんなこと、あるだろうか?
 期待と不安がせめぎあって、
 今にも気が狂いそうなほど。]
(24) 2021/03/14(Sun) 23:52:04

【人】 DOM サクライ

[俺はゲイだ。
 けれど欲しいのはただの男の身体ではなくて
 自分に服従して、何処までも
 快楽の道を拓いてくれるような相手だった。

 ……前はいたさ。
 この世にまたとない存在が。


 ただ身体を繋げるだけじゃ足りなくて、
 もっと深いところで安心したいのかもしれない。
 ……そう自己分析してみて、改めて笑えた。
 信じていれば運命の相手が訪れる、なんて
 いい歳こいて願っている野郎なんてゾッとする。
 それが自分なら、尚更。]
(25) 2021/03/14(Sun) 23:57:17

【人】 DOM サクライ

[─────でも、もしいたとしたら。

 きっとこの心の乾きは満たされる。
 体を交えた熱が頭を浮かしている、
 ほんの僅かの間だけでも。]*
(26) 2021/03/14(Sun) 23:59:33
DOM サクライは、メモを貼った。
(a0) 2021/03/15(Mon) 0:04:40

【人】 DOM サクライ

  ー 過去・メールに望みを託す ー

[まるでおとぎ話のお姫様みたいだ、と自分で思う。
 「いつか運命の人が、自分の前に現れる」なんて。

 別に、これはセックスや恋愛だけの話じゃない。
  「話せばわかる」
  「きっといつかは理解し合える」
 現実は、そんな甘くて脆い砂糖菓子みたいな理想を
 易々と打ち砕きながら横たわっている。

 ─────それが分かっていながらも
 友達に紹介されたサイトを開きながら
 俺は甘々な理想を追っていた。

 巷によくある出会い系とかマッチングアプリじゃなく
 サイトの管理者手ずから希望の合う同士を
 引き合わせてくれるらしい。]
(45) 2021/03/15(Mon) 14:52:13

【人】 DOM サクライ

[「マゾヒストのネコ」─────……なんて
 きっと俺が思っている以上に沢山いる。
 唾吐かれて罵られたい奴、鞭打たれたい奴、
 縛られたい奴に、ほっとかれたい奴。
 出会った中にもいろんなやつがいたけれど。

 けれど、ふた晩以上を共にしたのは極わずかだし
 もっと回数を重ねたのなんか、
 五本の指にも収まる程度。

 多分彼らが期待するようなものを
 俺が提供できなかっただけかもしれない。
 ……でも俺だって、サンドバッグが
 欲しかった訳じゃないんだ。]
(46) 2021/03/15(Mon) 14:57:25

【人】 DOM サクライ

[簡素なメールの文面とは裏腹に
 俺の気持ちは、気持ち悪いほどに、重い。

 だって、返信なんか来るわけが無い。
 
二人目の運命の人なんか。


 結局、メールを出してしまっても
 即時返事が来る訳でもなし。
 本当の本当に、サイトの管理者から連絡が来るまで
 俺はメールを出したことすら
 すっかり忘れてしまっていた。]
(47) 2021/03/15(Mon) 15:05:25

【人】 DOM サクライ

  ー 現在・ロビーにて ー

[結局何度確認してもメールの文面は変わらない。
 俺は重くため息をつくと、また足を組みなおす。

 こういう場所に相応しい服を
 もう少し考えてくればよかった……なんて
 周りを行き交う人間や、調度品を見て思う。
 
オシャレポイントがスマイリーって子どもか俺は。


 ほら、あんなふうに─────……
 目の前を過ぎる男性>>40を視線で追う。
 品の良いスーツを、嫌味もなく着こなす彼は
 多分俺より一回りほどは年下だろうか。

 まあ、絶対俺と同業ではないだろう。
 俺と同じようにらサイトで
 マッチングした相手を探しているなら
 そのお上品なスーツの下に、
 一体どんな欲望を秘めているのやら。]
(48) 2021/03/15(Mon) 15:38:22

【人】 DOM サクライ

[不躾に詮索するような視線を向けて
 俺はひとり、この歳若いリーマンの欲望のたけを
 心の中に思い描いてみる。

 ……ついでに、形の良い腰周りに目を止めれば
 その下の素肌を思い浮かべてしまう。
 そんなに貧弱な体じゃない。
 身体に肉がついていた方がいい。
 骨味の強いのは、責め立てている時に
 ぽっきり折れてしまいそうで好きじゃない。

 視線が交われば、そんな下卑た妄想をしてるのは
 おくびにも出さず、にっこり会釈でも返そうか。]*
(49) 2021/03/15(Mon) 15:45:31

【人】 DOM サクライ

[まるで糸を手繰り寄せたらそこに繋がってたみたいに
 俺と彼の視線は宙で交わりあう>>65
 値踏みや詮索の意図の見えない、
 ふんわりした笑い方が、可愛らしいと思った。]


  …! ふふ、可愛いでしょう?
  こう見えて仕事に文句も言わず着いてきてくれる
  心強い相棒なんですよ。


[彼に倣ってスニーカーに視線を落として
 俺は表情を明るくさせた。
 お世辞か嫌味かもしれない、と躊躇う気持ちよりも
 気になる人間に話しかけられた喜びの方へ
 天秤の皿が傾いていたのだ。]
(115) 2021/03/16(Tue) 2:52:03

【人】 DOM サクライ




  カメラマンは足が命なもので……
  靴といえば、貴方のも素敵な靴だ。


[隣のソファーへ促しながら
 彼の足元に目をやる。
 艶やかなブラウンの革靴、なんて
 俺の下駄箱の中には一足もない。
 仕立ての良いスーツを着て
 足元までパーフェクトにキメている彼に
 より興味を持って、俺は半歩
 腰を彼の方にずらした。]


  俺は、─────あー、
  こういう場では名乗らない方がいいのかな?


[名乗ろうとしてから此処が何処だか思い返し
 俺は苦笑した。
 参った、こういう場での立ち振る舞いに
 俺は全然慣れてない。]
(116) 2021/03/16(Tue) 2:52:33

【人】 DOM サクライ

[もし彼が気にならなければ
 「サクライと言います」と名乗ったろうし
 この欲望に満ちた集まりの中、
 彼が互いの正体を秘めたいのならそれを尊重し
 その時は「カメラマン」で通すつもり。

 話しながらも、俺はこの人の内側に
 興味を持つのを止められない。
 でも、ヘテロかもしれないから
 靴よりその形のいいケツを褒めたい気持ちは
 ぐっと抑えておこうか。]


  えっと、今日は……あなたも、呼ばれたんですかね?


[「願望を叶えに?」と聞きそうになって
 俺は慌てて言葉を選んだ。
 余計な詮索と、この場に適切な世間話との
 区別を付けるのはなかなか容易ではない。

 そうして結局遠回りな言葉を選んでしまった
 俺自身が可笑しくて、訪ねておいてひとり
 息を漏らすようにして笑った。]*
(117) 2021/03/16(Tue) 3:05:09
DOM サクライは、メモを貼った。
(a9) 2021/03/16(Tue) 3:11:54

【人】 DOM サクライ



  被写体は、風景とかが多いですかね。
  たまに頼まれて結婚式とか成人式の
  前撮りなんかに駆り出されたりもしますけど。

  移りゆくものの、最高に綺麗な瞬間を
  こう、フレームの中に切り取る、というか。
  なかなか楽しい仕事ですよ。


[懐っこく隣にかけてきた彼に>>140
 俺はまたつい相好を崩した。
 ついつい、先日撮ったネモフィラの丘の話や
 盛りを迎えた菜の花畑の写真のこと、
 そこを通る鉄道を背景に撮影しようとしたら
 野良の仔猫に懐かれて、頭に猫が載ったまま
 撮影する羽目になった話をしただろう。

 俺の汚い本性はまだ包み隠したまま。
 けれどここに来た時よりも、
 随分と心が安らいでいるのを感じていた。]
(176) 2021/03/16(Tue) 19:47:57

【人】 DOM サクライ



  俺の靴を一日磨いたって、
  そんなに綺麗になりはしませんよ。
  普段から大事になさってるんですね。


[何となく、たなごころに収めたものを
 とても大事に握り締めている人に見えて
 俺はそんなことを言った。

 それと同時に「この人は何を求めているのかな」と
 その疑念は消せそうになくて。]
(177) 2021/03/16(Tue) 19:48:19

【人】 DOM サクライ



  本当?よかった、俺も初めてなんです。


[榊、と名乗った彼の状況は
 びっくりするほど俺と同じ>>142>>144
 そうなると、途端に心の緊張がふっと途切れて
 俺はソファーに身を凭せた。

 教えてもらった名前がまさかの本名と知れば
 一転、俺は驚いてしまうだろう。
 知らない人間相手に首元を晒すような無防備。
 悪いやつに騙されてしまいやしないかと。



  ええ。理想の相手が見つかった、って。
  正直、未だに半信半疑なんですよね。

  あー、なんていうか、その……
  随分方々手を尽くしても
  ぴったり会う人なんて
  見つからなかったもので……。


[煙草の無い唇に無意識に手をやりながら
 俺は困ったような笑みを浮かべて
 榊さんの顎の当たりを見る。
 微笑みを向けられても、答えに窮してしまって
 俺はまた誤魔化すように笑う。]
(178) 2021/03/16(Tue) 19:50:12

【人】 DOM サクライ

[「俺の相手が榊さんみたいな人ならいいんですが」
 ……いやいや。
 「俺なんかそんなんじゃないんですよ」
 さて、俺は返答するべき言葉を探して
 人差し指で唇の形をなぞる。

 そうしてコンマふたつの沈黙の後、]


  ……俺とマッチングした相手も
  そう思ってくれるのを願うばかりです。


[くしゃり、と目元を歪めた。]
(179) 2021/03/16(Tue) 19:50:56

【人】 DOM サクライ

[─────ところで、サディストというと
 平生から傍若無人に振舞ったり
 自分の暴力性にだらしが無かったりする人間を
 思い浮かべるやつも多いらしい。

 初対面の開口一番「何でぶってくれないの?!」と
 半ギレしてきた奴もいた……あれは笑った。


 あくまで同意の上、二人きりの空間で
 互いに欲望を満たしたいのであって
 公共の空間でそれをやらかしたらただの犯罪者。
 露出狂と変わらない。

 相手にとって本気で嫌なことはしたくない。
 それは他の人間と何ら変わりはない。]
(180) 2021/03/16(Tue) 19:58:01

【人】 DOM サクライ



  ……失礼、時間までに、一本吸ってきても?


[一言そう断るくらいには、
 理性的な生き物でいるつもりで。

 もしチェックアウトの時や、
 長い夜の合間に見掛けたなら
 気安く声がかけられそうな相手ができた。
 ……俺の認識はまだそこで止まっていて、
 彼と俺とが、同じ部屋に案内されていると知れば
 この時もっと気の利いた言葉がかけられていた、はず。]*
(181) 2021/03/16(Tue) 20:07:19

【人】 DOM サクライ

[靴をまた褒められれば>>207
 俺は追うように視線を一瞬足元に移す。

 スマイリーは何も言わずに、ただ微笑んでいる。
 黄色の素地のアッパートゥに
 縦横無尽に刻まれた傷は
 相棒が長旅を耐え抜いた証。

 自慢の相棒だ。
 どんなに悪路であっても、
 どんな天気であっても、
 決して文句も言わずに付き従っていてくれる。

 ─────結局、俺が欲しいのは
 そういう存在かもしれない。]
(257) 2021/03/17(Wed) 3:01:50

【人】 DOM サクライ


[自分の矜持も、羞恥も、何もかも投げ出して
 どんな状況でも傍を離れないで居てくれるような。

 夢見る少女みたいな、
 自己中心的な願いだと、わかっている。
 わかっているのに、捨てきれない。]

 
(258) 2021/03/17(Wed) 3:02:23

【人】 DOM サクライ



  ……ふは、それ、高いのか低いのか
  あんまり分からないですね。


[理想の恋人と会える確率を聞いて>>208
 俺は眉を下げて噴き出した。
 この高そうなスーツと靴とに身を包んだ榊さんが
 恋占いを真面目に信じる少女みたいで
 なんだかとても可愛らしかった。

 喫煙のために席を立つと、
 近くに感じていた温もりが>>207
 すう、と肌の上で冷めていく感覚。
 温かい空間は名残惜しいが、
 身体はどうにも毒を欲していた。]


  いえ、此方こそ、ありがとうございます。
  お陰で穏やかな心持ちでいられそうで。


[彼が立ち上がろうとするのを固辞しつつ
 俺も背を丸めて頭を下げる。
 榊さんの立ち姿は、社会慣れといえばいいのか、
 凛と立つ百合のようだと思った>>211
 こんな場でもなかったら
 話す機会すらなかったかもしれない。
 運命とは、つくづく面白いものだ。]
(259) 2021/03/17(Wed) 3:03:43

【人】 DOM サクライ




  榊さんも、願いが叶いますように。


[そう言って、俺は喫煙所を探しに旅に出た。
 一服する頃には、ちょうど時間になるだろうから
 指定の客室にでも足を運ぼうか。

 そんな算段を組む頭の片隅で
 俺は榊さんの願いについて考えてみる。
 別に、ここは必ずしもセックスをする
 場じゃ無いかもしれない。
 でも、あの人は何らか他じゃ叶えられない
 願いを持ってここに来たのだろう。

 煙草を灰に取り込む間も多分
 その考えは頭から離れない。
 あのスーツの似合う、可愛らしい好青年は
 一体どんな顔をして女を抱くのだろうか、と。]*
(260) 2021/03/17(Wed) 3:04:37

【人】 DOM サクライ



 [得てして、運命の出会い、なんていうのは
  出会った瞬間にはそうだと気が付かないものだろう。

  何気なく結ばれた縁が、
  自分の中で大事なものの形を作って……
  そこで初めて、相手を愛おしいと思うのだ。]

 
(261) 2021/03/17(Wed) 3:07:42

【人】 DOM サクライ

  ー むかしむかしのおとぎ話 ー

[俺の家には、金があって、コネがあっても
 自由なんかひとつもなかった。


 厳しい、束縛体質の父親に嫌気がさしたのか
 物心ついた時には母親の姿はどこにもなかった。
 二つ上の優秀な兄と、厳格な父親との暮らし。

 父親の会社を継ぐことが決まっていた兄がいても
 俺が完全に自由になることはなくて。
 櫻井の家に相応しいように
 小学校を出てまもなく、全寮制の学校へ行き
 それが終われば国立の大学へ、
 その後は良き兄の補佐となるように
 みっちりと敷かれたレールの上にいた。


 生まれてから、本当にずっと。]
(262) 2021/03/17(Wed) 3:09:37

【人】 DOM サクライ

[そんな人生を変えてくれたのは
 無理やりに入れられた学校で
 たまたま同じ寮の部屋を宛てがわれた、
 榛原、という男だった。]


  「なんかさぁ、ずっと部屋帰ってきても
  ずっと勉強してね?えいちゃん」


[寮に帰っても机に向かっている俺に向かって
 ルームメイトはベッドの上でカメラを弄りながら
 何気なく問い掛けてきた。]


  ……うるさいな、関係ないだろ。


[教科書から顔もあげずに突き放した俺に
 榛原は「だよねぇ」と間延びした返事を返して
 ごろりと壁に顔を向けたまま屁をひった。

 俺よりも一回り小柄な榛原は、
 自由奔放な性格で、いつもカメラを首にぶら下げ
 彼の何かの琴線に触れたものの一瞬を
 一心に、一枚の写真に収めていたのだ。]
(263) 2021/03/17(Wed) 3:10:18

【人】 DOM サクライ

[ある時は勉強している俺の横顔に
 おもむろにシャッターを切ったり、
 ある時は授業中にカメラを取りだし
 外の鳥を撮影しては先生に絞られたり。

 榛原は、本当に自由なやつだった。
 人の迷惑も、傍からの視線も
 まるで何にもないみたいに。
 くりくりと自由な方を向く髪を揺らして
 気が付けばどこかへ駆けていってしまう。

 そんな同室の男が、俺は疎ましくて
 けれど反面、どうしようもないくらい、羨ましかった。]
(264) 2021/03/17(Wed) 3:10:48

【人】 DOM サクライ

[ある日、学校から寮へ帰ってみたら
 二人で使っている部屋が、
 まるで誕生日パーティーみたいに
 壁や天井から下がった写真でデコレートされていた。]


  「あっ、えいちゃん。それ触んないで。
   今発表会に向けて作品作り中」


[胡乱な目を向けた俺に対して
 榛原はあっけらかんと言い放つ。
 どうやら風景写真を使って
 巨大なモビールを作るつもりらしい。

 仕方無しに、俺はモビールを壊さないよう
 吊られた写真を潜りながら
 自分の机に向かおうとする。

 そして、ふとそのモビールに使われた写真に
 目をとめたのだった。]
(265) 2021/03/17(Wed) 3:11:26

【人】 DOM サクライ

[それは、本当に何気ない風景だった。

 学校の昇降口を、内から撮ったもの。
 仄暗いトーンの下駄箱の列を、
 磨りガラスの向こうから差し込む光が
 柔らかく照らし出している。

 いつも何気なく見ている光景なのに
 何故かその写真に切り取られた風景は
 神聖な宗教画のようにも見えて。



  ……なあ。なんで、これを被写体にしたの。


[俺が尋ねると、榛原は一瞬手元から
 栗色の瞳を上げて、ふにゃりと笑った。]
(266) 2021/03/17(Wed) 3:12:15
 




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