人狼物語 三日月国


57 在りし日の記憶、邂逅に微睡み

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【人】 三橋 夕凪   

──回想・廃校舎備品庫──

[話したいことが、止めどなく頭の中に
 溢れているのに何も言葉にはならなくて、
 俯いた先生をじっと見つめたまま、
 静かに告げられる謝罪の言葉>>7を聞いていた。


 気怠い午後の授業、誰かのお弁当の匂いが残る教室。
 風に舞う色褪せたカーテンをすり抜けて
 差し込む柔らかな光。

 ─── それに照らされてさらさらと輝く
 長めの前髪を見るのが好きだった。
 ]
 
(33) 2021/02/08(Mon) 13:31:09

【人】 三橋 夕凪   


[親指の背で、涙を拭って。
 無理矢理、えへへ、と笑う。]


    わたしたち、皆、先生のこと、
    信じてたから。


[もし、いつか逢えたなら。
 それだけは真っ先に伝えたかった。

 たしかに先生を疑って、面白おかしく
 吹聴するような生徒もいたけれど、でも。]


    ……先生が急に居なくなって。
    私たちが先生を軽蔑したと、先生がそう
    思っていたなら、
    今も、そう思っているなら

    それは違うよ、って、皆伝えたかったの。
 
(34) 2021/02/08(Mon) 13:33:53

【人】 三橋 夕凪   



   先生、

     あの時、


 
(35) 2021/02/08(Mon) 13:34:26

【人】 三橋 夕凪   


[伏せられたままの瞳に、そう告げて。
 また、後でな>>14という言葉に
 それ以上なにも言えずにただ頷いた。

 ぺこ、と小さく頭を下げれば、堰を越えた滴が
 体育館の床にぽたんと落ちる。

 今はその場から去ろうと、言うことを聞かない足を
 無理矢理動かして踵を返した。]*
 
(36) 2021/02/08(Mon) 13:36:27

【人】 三橋 夕凪   


   これ>>3:136、タロットカード……?


[一組の男女。天使、たわわに実をつけた木。]


   恋人の、カード……


[手にした本をそっと、膝の上に置いて。
 両手でそのカードを包み込むように握りしめた。

 あ、と思い先程の本に視線を戻せば、

 やっぱりこれ、先生に借りたまま
 返せなくなっていた本で、

 大切に、自室で保管していたはずなのに、


 ありがとう、と呟けばふと視界が滲む。
 くしゃ、と歪む顔は止められなくて。
 しばらくカードを胸に抱いて、声を殺して泣いた。]
 
(40) 2021/02/08(Mon) 15:13:03

【人】 三橋 夕凪   


[どれくらい時間が経ったのか、
 それとも現実にはほんの僅かな時間だったのか。

 ゆっくりと顔を上げる。
 息を深く吸って、全部吐き出せば、
 立ち上がることができた。 ]


   カードを見つけたことを、伝えなきゃ。


[リクちゃん、スタンレーさんを探すために
 足早に図書室を出た。]
 
(41) 2021/02/08(Mon) 15:14:44

【人】 三橋 夕凪   

 *

[スタンレーさんが走ってくれていた
 ことも>>3:164
 リクちゃんが私の知らない男性と行動を
 共にしていたことも知らないまま。
 まるで太陽と月のようにすれ違いながら、
 結局私はまた図書室に戻ってきていた。


 時間が迫っていて、リクちゃんにも
 スタンレーさんにも会えなかったから、
 拠点にしたはずの図書室に一縷の望みをかけて。

 あのまま待っていれば会えたのだと、
 悲しくも今は知り得ることも無くて。]
 
(42) 2021/02/08(Mon) 15:17:17

【人】 三橋 夕凪   


[図書室には、誰もいないように見えた。
 もしかしたら誰かいたのかもしれない
 けれど>>3:168、それよりも。


 テーブルに置かれたタロットカード>>3:165
 >>4に目が吸い寄せられてしまったから。


 リクちゃんか、スタンレーさんだ、ととっさに思った。
 
 きっと、あの2人は、タロットを見つけている。


 なんの根拠もないのに、確信に近いなにかがあった。

 偶然にもスタンレーさんが同じように
 思っている>>4とは知らないまま。

 どうか皆が元いた世界に帰れますように、と
 祈りながら、それでもほんのすこし。

 スタンレーさんにはお礼も言えなかったな、
 と思い返して眉根がぎゅっと寄った。]
 
(43) 2021/02/08(Mon) 15:21:09

【人】 三橋 夕凪   


[……ふう、と息を吐いて。
 ぺたん、とまた座り込んで、

 恋人のカードを握って目を閉じた。


 先生は、きちんとカードを見つけたかな。


 泥のように重たくなった思考で
 ぼんやりとそう思った時。


 耳に飛び込んできた、声。>>3:179



   せん、せい……?

 
(44) 2021/02/08(Mon) 15:23:03

【人】 三橋 夕凪   


[視線の先に
 あの時、伏せたままで見えなかった顔。
 
 誰よりも優しくて、思いやりのある色を
 携えた双眸が輝く。

 走ってきたのか、長い前髪が揺れていて。
 それどころじゃないのに、あぁやっぱり
 好きだなぁなんてそんなことを思って
 ただ、見つめていた。]*
 
(45) 2021/02/08(Mon) 15:26:06

【人】 三橋 夕凪   


[人の記憶は、声から消えてしまう、と
 聞いたことがあった。
 けれど、今耳を撫でるこの音吐>>74は、
 たしかな懐かしさと愛しさで響く。]


   先生に、借りたままだった、
   この本に、挟まってて。

   ずっと、返したかったんです。


[迫るタイムリミットに気付きながらも、
 紡いだ言葉は反して緩やかに、柔く舞う。]
 
(76) 2021/02/09(Tue) 7:54:13

【人】 三橋 夕凪   


[スカートの裾を気にして、投げ出していた足を
 引き寄せ崩した正座のような形に揃えて、
 すっかり汚れてしまったお気に入りのスカートを
 手で畳むように足に沿わせる。
 同じ高さにまで下げ合わせてくれた先生の
 優しい瞳を覗いた。>>75


 一緒に、帰ろうか。
 聞こえたそんな台詞に、困ったように
 ゆっくりと瞬きを二度。]


   ……さわっても、いいですか。


[送られた提案には到底相応しくない、
 そんな一言をぽつりと落として。

 拒まなければ、そっと右手を伸ばして、
 遊ぶ前髪に触れる。]
 
(77) 2021/02/09(Tue) 7:55:48

【人】 三橋 夕凪   


[そのまま指を滑らせて、頬に。
 ぺと、と開いた掌を軽く押し付けた。
 そこには確かな熱があって。]


   良かった、本物でした。


[へにゃりと笑って、腕を下ろす。
 触れていた右手を握って、胸元に抱えた。]


   ……他の皆さんは、戻れたでしょうか、
   友達の姿も、見当たらなくて。


[はぁ、と肩を落とした。
 視線も同じように落とせば、ずっと気にしていた
 小さな一言が口から溢れる。]


   ─── 帰ったら、また、
   先生は居なくなりますか……?
 
(78) 2021/02/09(Tue) 7:58:48

【人】 三橋 夕凪   


[先生が同じように座っていてくれたなら、
 手を伸ばして今度はその上着の、
 袖のあたりをぎゅうと握った。]


   先生、あのね。


[小学生の、作文の書き出しのような。
 俯いたままの顔を上げた。]
 
(79) 2021/02/09(Tue) 8:01:46

【人】 三橋 夕凪   


   ……やっと、言えました。
   夢でもなんでも、逢えて、
   ほんとによかった。


[もっと、綺麗な格好で、会いたかったですけど。
 そう付け足して、またえへへと表情を崩す。

 体を少し動かして、腕を伸ばす。
 タロットカードを先生の手に握らせようと、
 顔を上げて、ふわりと笑った。]*
 
(80) 2021/02/09(Tue) 8:04:08

【人】 三橋 夕凪   


[聞こえた言葉に>>-140息を呑む。
 目と目の間がじん、と熱くなって、
 喉の奥が痛い。

 思ったよりずっと近くにある先生の顔が
 またあの時のように滲んでしまうから
 必死で何度も何度も瞬きを繰り返して笑う。

 再会した時は伏せられていた瞳が今は、
 たしかな笑み>>88と光を携えて
 ここに見えることが嬉しかった。 ]
 
(95) 2021/02/09(Tue) 22:48:54

【人】 三橋 夕凪   


[タロットを持ったままの手を、
 包み込むように握ってくれる左手があって>>89

 暖かくて、優しくて、けれどやっぱり力強くて。
 とくん、と心臓が跳ねる。

 いつかの日、国語の教科書を器用に支えて持ち
 開いていたその指の、形の良い爪に
 愛しい記憶を重ね合わせて
 視線をそっと添わせた。 ]
 

   よかったです、私、
   ここに来て。
 
(96) 2021/02/09(Tue) 22:52:19

【人】 三橋 夕凪   


[ふふ、と笑えば、ふいに肩に触れる右手、
 引き寄せられる体。>>89

 わ、と色気のない声をあげてしまいながら
 それでも一瞬でぽすん、と先生の腕の中に
 倒れこむように包まれていた。]


   ……せん、せい。


[柔く、甘く、微かに震えを孕んだ声。>>-154
 
 この世のどんな音より、耳に心地良いトーン。

 跳ね回る心臓はどう頑張っても
 落ち着いてくれそうになくて、
 ぎりぎりまで水を湛えた瞳が、その鼓動で
 揺れて零れ落ちてしまいそう。

 だからもう、そのまま先生の首元に
 自分の顔を埋めた。 ]
 
(97) 2021/02/09(Tue) 22:54:31

【人】 三橋 夕凪   


[微かに埃と汗の混じった髪が
 私の涙を絡めて、瞼を、鼻を、頬を
 擽って揺れる。

 どうしようもなく愛しい気持ちが込み上げて
 そのまま首元で先生の皮膚を撫でるように
 すぅ、と息を吸えば、忙しく打つ鼓動が少し、
 なぜか落ち着いていくのがわかった。]
 
(98) 2021/02/09(Tue) 22:57:17

【人】 三橋 夕凪   


[地面がぐんにゃりと歪むような感覚に襲われる。

 まだ、こうしていたいのに、
 せっかちなタロットだなぁ、なんて
 嫌味のひとつでも言ってやりたいと思いながら、

 それでもゆっくり先生の頸から顔を離して
 見れば、タロットが光を放つように
 輝き初めていた。>>90


   ( あぁ、帰るんだ。)


[ぐわん、と揺れ鳴り出す頭の中で。

 どうか、ほかの皆も無事、
 望むところに戻れていますように。

 強くそう願ってぎゅっと目を瞑った。]
 
(99) 2021/02/09(Tue) 22:58:46

【人】 三橋 夕凪   


[そうして目を開けて。
 目の前の愛しい人の姿を捉える。

 視界に闇色のカーテンが
 引かれようとしているようで、
 意思に反して瞼が重く閉じようとする。
 意識が途切れる、そう思った瞬間。


 繰り返し、送られる、言の葉。>>-154


 薄く見開いた瞳に先生が周りを見渡すのが
 ぼんやり映っていて>>90


   先生、


[必死に動かした口で、そう呟いて。
 こちらに視線を向けてくれたなら。] 
 
(100) 2021/02/09(Tue) 23:00:38

【人】 三橋 夕凪   



[そっと、唇を重ねた。


 そこには、たしかなぬくもりがあって─── ]**

 
(101) 2021/02/09(Tue) 23:01:41

【人】 三橋 夕凪   

───もしもの未来


[ここまでたどり着くのはなかなか大変だった。

 ─── なんて一言で言えば、
 それだけの単語なんだけれど、まぁそれなりに
 険しい道のりだったとは我ながら思っていて、
 そしてそれを乗り越えられたのは
 やっぱり隣に愛しい人がずっと寄り添っていて
 くれたから、それに尽きるとも思う。


 最初は猛反対だった両親が打ち解けるのには
 さして時間はかからなかった。
 彼の誠実な姿勢、実直に、逃げも逸らしもせず
 正面から向かい合う姿故だっただろう。

 なんのことはない、今では父も母も、
 すっかり彼を気に入ってしまって
 私抜きで連絡を取ったり、私が知らない間に
 うちでご飯を食べていたりするのだから、
 笑ってしまう。 ]
 
(113) 2021/02/11(Thu) 0:24:56

【人】 三橋 夕凪   


[鏡の中の私は、プロの手によって
 ずいぶん綺麗に飾られていて、
 なんだか知らない人みたい。

 もっとゴージャスなふわふわのやつか、
 人魚みたいなやつ(マーメイドラインって形のこと)
 のほうが、と熱く語る彼をなんとか説き伏せて
 私が選んだのはシンプルなAラインのドレス。

 けれど裾と胸元には、彼がどうしても、と
 譲らなかった細かな装飾のレースがひらり、
 風を纏って揺らぐ。

 散りばめられた小さな宝石が
 太陽の光を受けてきらきらと輝いた。]
 
(114) 2021/02/11(Thu) 0:26:08

【人】 三橋 夕凪   

─── もしもの未来

[友人が集まってくれたパーティ会場。

 来てくれた皆に渡すプレゼントの中に、
 『痴人の愛』あの例の本を入れようと
 提案したんだけどさすがに止められたのは笑い話。

 だからとあるタロットのカードのイラストに、
 一人一人に気持ちを込めてメッセージを書いた。]
 
(120) 2021/02/11(Thu) 6:42:04

【人】 三橋 夕凪   


[そう言えば結婚すると伝えた時は
 そりゃあ皆驚いて。

 おまけに相手が誰だか知って、
 全員一様に目が落ちちゃうんじゃないかって位に
 まんまるになったのがおかしくて吹き出した。

 青嵐くんなんかは、その報告を
 とっても嬉しそうに聞いてくれた。
 きっと、あの時のことを青嵐くんも
 ずっと気にかけていたんだ。

 だって、私の隣の彼を見る、青嵐くんの
 その目元はほんの少しだけ、潤んで見えたから。]
 
(121) 2021/02/11(Thu) 6:44:52

【人】 三橋 夕凪   


[数奇な運命を共にした、大好きな彼女は、
 会場に居てくれただろうか。
 
 そうそうサキちゃんは、件の
 ウサギのぬいぐるみを大切そうに
 抱っこして座っていた。

 薄いピンクの可愛いドレス姿のウサギさんに
 なにか囁いていて、まぁ、なんというか、
 幸せそうに、見えた、うん。]
 
(122) 2021/02/11(Thu) 7:03:35

【人】 三橋 夕凪   


[それにしても彼女、リクちゃんが、同じように
 こちらに戻って来られたと知った時は
 本当に嬉しくて安心して、どちらが年下なのか
 わからないほどわんわん泣いて、
 たいして信じてもいない神様に感謝した。

 けれど追い討ちをかけるように
 大変な不幸が彼女を襲ったと知った時は
 あんなに感謝した神様を心の底から恨んで、
 舌打ちをして罵声を浴びせたうえ
 往復ビンタしてやりたいと、また泣いた。

 彼女の助けになりたかった。
 リクちゃんが許すなら、私は時間の許す限り
 彼女のもとを訪れただろう。

 そうしてあの日と同じように、
 彼女を支えてくれる人が他にも
 居てくれることを願ってやまなかった。]
 
(123) 2021/02/11(Thu) 7:08:05

【人】 三橋 夕凪   


[身支度がだいたい終わり、アクセサリーケースに
 手を伸ばして微かな違和感に気づく。]


   あれ?ピアス……


[耳元を飾るための、小さな箱を開けて
 あれ?と首を傾げた。

 朝確認した時はたしかに、選んだままの
 小さなダイヤのピアスだったはず。

 それが。 ]


   赤……?
 
(124) 2021/02/11(Thu) 7:10:07

【人】 三橋 夕凪   


   ガーネット、かな……?


[何故かすっかり姿を変えた、
 深く静かに輝く石の飾りが、そこにあって。

 不思議と胸を打つ煌き。
 何一つ、脈絡もないまま、脳裏を駆けるあの日の。

 濃紺の闇の中を照らすように、
 きらきらと輝いて座る赤。

 ふ、と笑んでそっとつまみ上げて、
 耳朶を飾った。]**
 
(125) 2021/02/11(Thu) 7:13:26
 




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