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【人】 黒崎柚樹[そんな思いは胸の中、形にならずに漠然ともやもやするばかり。 自分の心を落ち着けたいというのもあって、私はココアを支度したのかもしれなかった。 ココアを美味しそうに飲んでる武藤の顔は、私のよく知る顔で、私は何を否定したいのかも、よく解らなくなってしまうのだけど。] …………?宅飲み? [……そっか、私が"話したかったこと"は話してしまったわけなので。 私の側に宅飲みの約束を保つ理由は無くなってしまったんだな……と、武藤に言われて思い至った。] うん。武藤と宅飲み、したいよ? [だってまだ、"貴方"のお話は、聞いてないし。 勿論ノーカンで、と微笑んだ。] (429) 2023/03/04(Sat) 11:08:00 |
【人】 黒崎柚樹また"警戒心"って言う。 …………"いや、来てほしくないとかではなく"。 [まるで同じことを言われたなと思い出し、武藤っぽい口調で諳んじてみれば、まんま同じタイミングで同じことを告げられて。] ふっ…………、ははっ。 ほんと……変わらないよね。武藤は。 [泣きはしなかったけれど、複雑な表情で笑いつつ、不思議な事を告げる私に、武藤はどんな顔をしたんだろう。 ああもう、ほんと、武藤は武藤。悲しいほどに。 でもね、私の武藤は、あの事故の苦くて辛い記憶を抱えて半年の時を重ねてきた武藤なんだよ。 ────あの武藤に、逢いたいよ。*] (430) 2023/03/04(Sat) 11:09:18 |
【人】 一匹狼 “楓”[眠りに落ちかけていた彼女をベッドへ運んだ後、中央のひとつを開けて端のベッドに潜り込んでから、彼はずっと微睡みの内にあった。 夢を見続けていたのだ。ごく浅い眠りの中で。 あの日在り方を変えてからずっと続く悪夢を。>>2 もっとも、正しくは“悪夢”ではないのだろう。 いつかは必ず現実になると確信の持てることだから。 必死に先送りにしているに過ぎない。 そういう意味では予知夢にも近いものだ。 そんな状態だったから、彼女が目を覚まし部屋から抜け出る気配とほんの僅かな物音で、彼の意識は自然と現実に戻った。>>426 眠りに落ちていたなら絶対に気付かないような小さな音だったけれど。 まだ朝と呼ぶには少し早い時間。 だからといって呼び止めるようなことはない。 背を向けたまま彼女の気配が遠退いていくのを感じ続け、どこにいるか見当がつかなくなってから、やっと小さく息を吐いた。 室内に人の気配が無くなった今、ようやく落ち着いて眠れるだろう。ごく僅かな時間であったとしても]* (431) 2023/03/04(Sat) 11:18:59 |
【人】 武藤景虎[くっきーは割と異性関係に潔癖そうだし、ガード的なものも固いのではと思ったのだけど。 いや、違うわこれ。 話せば話すほど警戒心のなさが露呈してくることに心配が増して来る。 今も、此方がいくら言おうと釈然としない顔してるし。>>427 男だと思われてようが否定してこないくらいなんだから、そもそもの認識として、いろんなことに自覚がないんだろうな、とは。 なまじ腕力やら脚力も高そうでタッパもあるわけで、いざとなったら撃退できるとか思ってそうだし。 そこに熱弁を奮ったところで、男だと思ってたお前が言うなと思われそうだ。 そうなんだけど、そうじゃない……、とは説明することは憚られた。 それになんだか、この場所で合流してからのくっきーはずっと心ここに在らずというか、話していてもオレを通り越してどこか遠くを見ている気がする。 あの時泣いた理由は結局なんだったのかはわからないけれど、オレには関係ないという風だったから、聞かされることはないのかもしれない。 それは少し寂しい気がしたが、つい先日までくっきーにとってオレは馴れ馴れしい研究室の知り合いにすぎなかったわけで、仲良くなれた(とオレは思っている)のはここ一日にも満たない時間なのだから、仕方のないことだとは思う。] (433) 2023/03/04(Sat) 12:25:50 |
【人】 武藤景虎[だから、オレだけ秘密を聞いて話していないのはフェアではないというのもあったし、何より話しておきたいのもあって、宅飲みの約束のことは改めて確認をしたのだけれど。] そっか、それならよかった。 [話したいことがあるだけじゃなくて、単純に楽しみなのもあるけどね、と“ノーカンで“と微笑むのに笑って返した。>>429] えっ……? 何、エスパー?? [次いで告げた警戒心云々の台詞に被せて同じことを言われて心底驚く。>>430 単にオレがそんなわかりやすい思考なんだろうか。 それにしたって同じタイミングで同じこと言ってこられたら誰だって驚くだろう。] 変わらないって何が……?? ……っ、ふ……まあ、いいや、うん…… [くっきーが笑い出した理由も全くわからずに、ひたすら不思議そうな顔をすることにはなったけれど。 見たいと思ってた笑顔とは少し違って複雑そうな表情に、眉根を下げた。] (434) 2023/03/04(Sat) 12:26:55 |
【人】 武藤景虎 ……なんか、ごめんな。 [どこか悲しそうな様子がオレのせいではないのかもしれないけど、それはそれで、わかってやれないことが歯痒い気がして小さく呟く。 聞き返されても、説明できそうにはなかったから、何でもないとは首を振って。] くっきーは、笑ってるとかわいいと思うよ。 [もっとちゃんと笑わせられたらいいんだけど、とは内心で。 封印してた言葉を告げると、漸く言いたいことが言えた気がした。 言ってから顔が熱くなる気がしたから、そろそろ寝るかとココアを飲み干した。] (435) 2023/03/04(Sat) 12:27:51 |
【人】 武藤景虎あー、オレ普段は朝強くないので。 あんまり起きないようなら叩き起こしてくれていいから。 [“普段は“というのは、美術館に向かう前に今日は早起きしたと話した覚えがあるが、あれはイベントごとなどの時は早く起きてしまうのだと説明する。 それ以外の時は午前の講義はあまり取らないようにしている程度には寝起きが良いわけではない。 今もイベントごとのようなものだとは思うし、くっきーと過ごすことを楽しみに思っているのは変わらないから早起きしてしまう可能性はある。 ただ、今日はあまり寝付ける気がしないから、とは口には出さないけど。 それにおそらくだが、異性のいる部屋だろうが爆睡できるらしい早寝のくっきーの方が早起きなする気がする。] (436) 2023/03/04(Sat) 12:29:10 |
【人】 武藤景虎そうだ、朝走りに行ったり温泉行くならおかまいなく。 多少物音立てられたとこで起きない自信があるし。 [オレは多分朝から外には出ないから鍵は持ってっていいよと話しつつ、不自然に離した左側のベッドに潜り込んで。 おやすみ、と背中を向けると、壁が近え……と思ってしまったけど仕方がない。 瞼を閉じると余計なことが浮かんできそうで首を振ると、電気を消した暗闇に慣れてきそうな視界だけでも暗くしておこうと掛け布団を引き上げた。]* (437) 2023/03/04(Sat) 12:29:30 |
【人】 黒崎柚樹[この武藤も、あの武藤も、全部武藤だよ。 繋がってるよ。 自分でもそれは解ってるのに、"この武藤は違うから"と必死に否定して、否定の否定を目の前に突きつけられて、その度、泣きそうになってる。 だって。 だって、否定せず、受け入れてしまったら、私はもう二度と、"あの武藤"には会えなくなってしまう気がするんだもの。 ハロウィン当日に初めてのテーマパークに行ってゾンビに追いかけられたり、クリスマスイブに一緒に港町に遊びに行ったり。年越し、実家帰らないならうち来る?と誘って、二年参りを一緒にしておせち食べたり。 買って貰った指輪。開けて貰ったピアス。 たくさんの写真、たくさんの思い出。 そういうのが全部消えてしまう気がして、だからきっと、私は今の武藤を否定したかった。否定しなきゃいけなかった。 なのに……武藤は、やっぱり武藤なんだよ。 言ってることも考えてることも、全部、愛しい人、そのままで。] (438) 2023/03/04(Sat) 13:12:32 |
【人】 黒崎柚樹[微かに聞こえた。"ごめん"って。 囁くような真剣な声音に背がひくりと震えてしまって、視線で何をと問うても、いつもは雄弁な口も瞳も、何も答えてはくれなくて。 ────そして、今度こそ、心臓が止まってしまうかと思った。 "くっきーは、笑ってるとかわいいと思うよ。" 今の武藤は、それを自覚してるのかな。してないのかもしれない。 それは美術館で言われた言葉。 私は文字通りにしか受け取らなくて、受け取れなくて、「おそれいります……?」みたいな微妙な返事しかできなかった。 両思いになってからの武藤は、呆れるほどに"かわいい"を量産し続け、私も呆れながら否定するのに疲れてしまって。 そしてある日、唐突に気がついた。 武藤は美術館で言葉を交わしたあの日から、私以外の女の子には、絶対に"かわいい"を言わなくなっていたということに。 武藤の言う"かわいい"は、そのまま"好き"に直結してるということに。 自分の思いを口にすることは苦手な武藤が、一日に何遍も言ってくる"かわいい"は、全部、"好き"と同義だった。] (439) 2023/03/04(Sat) 13:12:54 |
【人】 黒崎柚樹 ………………っ、な、んで……。 ["かわいい"の返しが"なんで"なんて、"おそれいります"よりも酷いものだったろうとは思う。 でも、掠れ気味の声で呟いた私は、落ちそうになる涙を堪えるので必死だった。 なんで、そんなこと、言うの。 なんで、私の好きな武藤と、まんま同じこと言うの。 囁くような「なんで」は、武藤に届かなかったのかもしれない。 そろそろ寝るかと立ち上がった武藤とは視線を合わせないようにしながら、私も共に寝室へと移動した。] ……ん、あんまり起きないようなら蹴り飛ばす。 [私は早起きに慣れてるし勝手に目が覚めるから……と、ぎりぎり、普通の声音で言えたと思う。 おやすみなさい、と私も武藤に背を向けて。] (440) 2023/03/04(Sat) 13:13:25 |
【人】 黒崎柚樹[ばか武藤。 ベッド、壁にぴーったりつける必要も無いのに。 なんだか、すごく変な感じだよ。 ……ばか。 必死に脳内、他愛のない悪態で埋め尽くそうとしても、涙の方がよっぽどに正直だった。 堪えきれなかった滴がぽろぽろと落ち始めてしまったら、もう、止めようがなくて。] …………っ……ッ。 [喉が変に軋みそうになるのを、寝間着の袖を口元に当て、吸い込ませる。 どうか気付かないで欲しい。 どうした?なんて、聞いてこないでほしい。 そうされてしまったら、今度こそ私は、武藤に抱きついて泣きじゃくってしまいそうだから。*] (441) 2023/03/04(Sat) 13:14:05 |
【人】 片連理 “椿”[冷蔵庫にベーコンを発見して、小さくカットしたベーコンを菠薐草と共に炒める。卵はたっぷりのオリーブオイルでサニー・サイド・アップに。ヨーグルトは少し迷って、混ぜずにざっくりと器に移し、その上に苺のジャムを乗せた。] やればできるのだわ。 [満足げに頷いて、リビングのローテーブルに皿を運ぶ。 食事をするには少々高さが足りない気もしたが、せっかく一面が広いガラス戸になっているのだから、外の見える明るい場所での食事も悪くはない。 ついでに茉莉花茶も淹れて、トレイにポットとマグカップをのせてそれもリビングへ運んだ。カップに茶を注ぐと。花の香りがふわりと漂う。 まだ赤い縞模様の部屋着を着たままの椿はソファに腰掛けて、楓が降りてくるまではマグカップを抱えてぼんやりと外を眺めている。]** (442) 2023/03/04(Sat) 13:49:38 |
【人】 一匹狼 “楓”[階下に降りてまず顔を洗い、ふと、鏡を眺めた。 鏡の中にいる自分は、昨日と変わりなく見える。 変わったとするなら、それは── 指を伸ばして静かにその輪郭をなぞり、すぐに掌で痕跡を拭い消した。] (444) 2023/03/04(Sat) 14:48:43 |
【人】 鈴木 深江なんだ違ったか。 はは、お前は俺を食うのになぁ。 [巻いても食えんという言葉に声を立てて笑う>410。人の気を食らう化生に不死の身は無尽蔵の食糧庫だ。食らわれるのが気で良かった分はある。肉であっても無尽蔵だったけれど。 食われて死んで甦り再生し。 けれどそれを何度体験したとしても、自分は人間だと言える心の在り方はこの狐のおかげで手に入ったものだ。] (446) 2023/03/04(Sat) 15:25:26 |
【人】 鈴木 深江[こいつは別に良いやつではない。 悪いやつではないと否定もできない。 人間の味方だとか、それになりたいと思っている訳でもないし、俺と出会う前のやらかしだとかもあるだろう。知らない事もきっとたくさん。俺に対しても最初から優しかった訳でもない。 今はと問われると悩むところだが。 運命共同体という事実が根底にあるために、優しさも甘さも鈍っている気はする。 俺以外からは食わんという約束もしているから、他者への実害も余りない。あるとすれば化かした事での金銭的損害くらいか。 罪悪感もあるため極力やらないが、世間の移り変わりがはやいため、溶け込むためにどうしようもない時もあるため許してもらいたい。] (447) 2023/03/04(Sat) 15:25:59 |
【人】 鈴木 深江なんにするか。 米炊くんなら、おむすびにしよか。 さすがに天美は巻けんけどもな。 海苔あるか? あるな。 餅もある。 餅は弁当にゃ不向きだな。 焼き魚、は…まだ魚釣っとらんな。 きんぴらでも作るか。 [たくさんある食材を何も考えずに消費していいのも少しわくわくする。貝類等はあるが魚自体はいなかった。その代わりに玄関に釣り竿やクーラーボックスなどが用意されている。つまりはそういう事だろう。 魚は明日の楽しみにしよう。 結局準備に時間がかかり出る頃にはちらちらと星も輝いている。リュックの中身を詰め替えて、念のためにタオルや軍手も入れておく。折り畳みのロッドも入れたくなる。明日と言いつつ入れておくか… ならビニールも……。よし。] (450) 2023/03/04(Sat) 15:26:58 |
【人】 鈴木 深江[土地勘はないが、山の空気は読める。] くらいな。 [コテージの明かりが届かなくなったところくらいでそう笑って空を見上げる。葉の隙間から見える星は人里と比べ物にならなくて目を瞠った。 けれど、きっとあれは昔に足りない。 楽しさと眩しさと、物珍しさになってしまった懐かしさと、物足りなさ。傍にあるぬくもりがあるからこその郷愁は、決して嫌なものではない。] (452) 2023/03/04(Sat) 15:27:34 |
【人】 片連理 “椿”[足音に続いて、声がした。 溶けていた輪郭が形を取り戻し、沈んでいた意識が浮上する。 ふわりと微笑み、応えた。] おはようございます。 ええ、ええ。どうぞ、召し上がってくださいな。 [楓が食べ始めると、自分も皿に手をつける。 菠薐草とベーコンを卵の黄身に絡める。味付けは最低限の塩だけ。シンプルだが、滋味があって良い。] (454) 2023/03/04(Sat) 15:38:54 |
【人】 片連理 “椿”[食べながら、楓の方をちらりと見やる。] ——楓様? [呼んでみたものの、何か言いたいことがあるわけでもなかった。 ただ、何かが違う、ような気がした。 琥珀色の瞳を、じっと見つめる。 その中にほんのわずかな影を見出したような、かすかな違和感がある。] いいえ……なんでもないの。 昨夜は、よくお休みになれましたか? [寝室まで運んでもらったことは覚えていない。 意識のない間に何かしていることはそう珍しくもなかったせいで、特に気にかけてもいない椿だった。]** (455) 2023/03/04(Sat) 15:39:55 |
【人】 武藤景虎[気まずい、とはまた違った空気だったように思う。 くっきーの心の内も知らないままに、自分の伝えたいことを衝動的に告げて困らせるようなことは、これが初めてではないような気がするのに、それがいつのことで何を言ったかも朧気だ。 せめて何を思っているのか伝えてくれたら、何か言ってやれることはあると思っても、オレには関係のないことだと言われてしまったらと考えると、尋ねるようなことは出来そうもなかった。 ただ、何を思っているかはわからなくても、ひどくつらそうな様子だけが伝わってくることに胸が痛んだ。 秘密を知ってしまっても約束はなくなってはいないのだし、少なくとも、今此処にオレが一緒にいることを良かったとは言ってくれたのだから、必要として欲しいだなんて望むのはバチがあたる。] (457) 2023/03/04(Sat) 18:43:20 |
【人】 武藤景虎[なんで、そんな顔すんの? 気になる女の子以外には言ってはいけないらしい言葉に対して、今度は否定が返ってくる様子はなかったけれど。 ただ、極々小さな声で返された“なんで“>>440の声が胸の内の声と重なった。 すっかり覚めているはずの酔いのせいにも出来そうにない頬の赤みに気づかれないように僅かに視線を上げた先、捉えた表情に問いかけることは出来なくて。 空になったカップの底に視線を落とすと、甘さの度合まで馴染みのある気がするココアの舌に残った味が何故か苦く感じた。] はは、蹴り飛ばされるのは痛そうだから頑張って起きるわ。 [ほとんど同じ位置にある目線が合わないことに不自然さを感じながら、気にしてない風に冗談混じりに返すと寝室に向かって。 部屋の左右両端に離したベッドの上、お互い背を向けて寝るのは、それこそ不自然な光景に思えたけど、何より違和感が大きかった。] (458) 2023/03/04(Sat) 18:43:28 |
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