人狼物語 三日月国


65 【ペアRP】記憶の鍵はどこ?【R18】

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[目が覚めた。


 あいつが何か言いそうに覚悟を決めた顔をして、けれど結局なにも言わずに符を両手に持って──そこまでだ。


 目を覚ましたのはいつもの寮の部屋で、いつもはもっと寝起きが悪いのにすぐに目が覚めたのは、目の横をくすぐったい感触が流れたからだ。
 夢の中では何とか泣かずに済んだのに、こっちでは耐えられなかったらしい。もそもそと布団をめくって顔を出したら、起き出したらしいハチヤの姿が見えた]


 ハチ…っ、けっほ!


[飛び起きようとしたけど、腰に力が入らなくてすぐに逆戻りになった。おまけに声はうまくでないし。さっきはちゃんと立てるようになったと思ったのに]


 ゆ、め?


[そうなのだろうか。俺が起き上がってすぐ倒れたからだろう、ハチヤが慌てて駆け寄ってくる。あ、これ犬だ。その顔をじっくり見ようと覗き込んだら──目の下にうっすらと鱗を剥がした痕がある。相変わらずちょっと乱暴に剥がしたのだろう、ちょっと血が滲んでる]


 おまぇ……けほ…かってに、剥がすな、って……


[俺のあまりの状態にだろう、準備されていた水を手渡された。準備がいいな。数口飲んでやっと人心地ついて、それから奴の手の中に不思議なかたちの鱗を見つけた]


 何、それ……涙?


[そんなかたち。片手を伸ばしてその鱗をもらおうとする。嫌がられてもそれだけは絶対俺が受け取らなきゃいけない気がする。
 状況でいうと。今までのことは、きっと夢なのだ。けれど夢だと思うにはあまりにも。あまりにも──あのハチヤの最後の顔が頭を離れなくて。違ったらいい、なんて思うんだ]


 なぁ。お前、なんか夢みてた?
 あと、しちろって知ってる?


[あのしちろが本当なら、きっとこいつはわざと俺に言わなかったのだ。だからこそ本当か夢かの判断になる、と俺はお構いなしで突っ込むことにした*]


    ……そ、子供なの。
    美鶴さんにはいい顔してたい。
    怒られたくない。
    後、わがままでいたい。




  子供、と言われればうん、と
  小さく首を縦に振ってみる。
  わがままにお互いなれなかったから、
  今回のこの夢の出来事は
  悪すぎることはなかったけれど2度とごめん。

  彼女に囁かれれば、
  ちゅっと頬に口づけを落として。
  記憶が戻らなければ、
  今こんな風にはしていなかったから、
  改めて戻ってくれてよかったと実感している。

                        ]*



 

 ううん、鱗だよ。


[涙みたいだっておれ自身が思っていたはずなのに、エン君に涙?って言われて咄嗟に否定してしまったし。
エン君が手を伸ばしてきたけど、おれは鱗を握りこんだんだ。


 ──見せたくないなあって思うんだ。
 ──見られたくないだろうなあって思うんだ。
 ……なんでだろ? 誰がだろ?


それでもエン君が握りこんだおれの手に手を置いて、じぃっとおれを見上げてきたら、
おれはゆっくりと手のひらを開かざるを得ないんだ]

[夢を見たかって聞かれたんだ。
夢?もちろん見たよ!]


 見たよ。確か……
 錬金術上級クラスで鍋パーティーしてたんだけど、ウォル先輩がランドランタートルの胆石突っ込んで怒られてたのは覚えてる。


[そのあと軌道修正ができなくて闇鍋パーティーになってたのも覚えてる。あ、エン君もなんでか参加させられてたよ。

おれが覚えてる夢はそれだけ。

夢ってたくさん見るらしいから、見てたけど思い出せない夢はいっぱいある気がするけれど、
それはさておき、なんで夢の話をしてるんだろう?って気にはなるから]


 ……エン君、こわい夢でも見た?

 
[って、おれはエン君に聞いたんだ]


    …怒られたくないって、
    私そんなに怒ったことあったっけ…?

[
 くすくすと笑いつつ、口づけには照れてしまう。
 …さらっとそういうことできるのは
 やっぱ大人だと思うし…
ずるい。

 潤さんは思った以上に子供だったみたい。
 そんなの気づけないよ、って思ったけど
 ……気づく要素はいくらでもあったわけで。

 見てるようで見てなかったってことなのか
 私があまり踏み込まずにいたってことなのか。
 
 どっちにしろ今日でそれはおしまいにしよう。
 
……私、潤さんと結婚したいし。

 結婚したいって思ってもらえないの、嫌だから。
                       ]


  
    潤さん、私が記憶なくしたままだったら。
    ……今頃どうしてた?

[
 記憶が戻ってなかったら
 今頃どうなってたんだろう。
 そんなこと考えるの、不謹慎かな?
 なんて少し思うけど
 でも潤さんがどうしてたのかは正直気になる。

 だから、そんなことを聞いてみた。
 …聞いたっていいよ、ね?
                       ]*

 おれ、エン君に話したことあったっけ?


[確かないはず。

エン君が知らないはずの名前がエン君の口から出てきたんだけど、どこでしちろの名前を知ったんだろう?
しちろを知ってるヤツ──…
おれ以外にも生き残りがいたのかな? 独自に事件を調べてるヤツとかいるのかな?
なんの目的でエン君に教えたんだろう? 

……しちろの家族って事もあるのかな? 遠い島国から浚われたって言ってたし。
あ、しちろの家族はしちろが死んだって知ってるのかなあ


おれは、おれじゃないおれが教えたなんて真相を予想できるはずもないから
]


 エン君、それ誰に聞いたの?
 どんな人に聞いたの?
 

[きな臭いやつだったら排除しなきゃいけないし、そうじゃないなら話してみたいなって思うから、質問はちょっと喰い気味だったかもしれない。
仕方ないよね、気になるし!**] 

[涙みたいだ、と思ったそれはすぐさまハチヤの手のひらに隠されて、伸ばされた手はそれに触れられない]


 ……ハチヤ……


[でもそれが欲しいんだ。じっと見上げたら、諦めたみたいに手のひらをひらく。改めてみたそれは、やっぱり涙みたいだ。


 そろりと手に取り、じっくりと眺める。不思議だ、今までこんなかたちになったことなかったのに。俺はおそるおそるそれを口に入れようとしたけれど……どうしよう。これがなくなってしまったらなんだかあいつとの思い出まで消えてしまいそうで。やっぱり今はそっと握りこむだけにしておこう]

[そうして聞いたハチヤの夢には]



 ……………。へー。



[ほかにどんな返事があるっていうんだ。とりあえず、こいつと夢を共有してたりだとか。夢の中で、俺を忘れたこいつと会ってたとかではないらしい。となると本格的にただの夢なのだろうか]


 いや、お前から聞いたことはないな。


[うん、ハチヤからしちろの話を聞いたことはない。とはいえ夢で見た、というのはどこまで理解してもらえるのだろうか。というかハチヤから聞いたことのないはずのしちろは実在していた。なら……本当に、どこまでが夢でどこからが現実?分からない。分からない、けれど]


 ………。


[しちろの話を熱心に聞いてくるのは、ちょっとおもしろくない。内緒にしてやろうかとも思ったけれど、俺もまだ知りたいことがあるから]



 ………。夢でみた。夢にお前が出てきて、俺のこと知らないって言ってた。
 それで、しちろは旦那だってさ。



[めいっぱい不機嫌になるのは仕方ない。あっちのハチヤ?夢のハチヤは俺を一番にしてくれたけど、この、現実のハチヤにとってはしちろが一番なんだろう。顔が歪むのも仕方ない、だって堪えないと泣きそうだ]



[ここを聞いておかないと、俺はきっと進めない*]
 
 

[やっぱりおれが話したことはないらしい。
じゃあ誰がって聞いてたら、どんどん空気が冷えてってるんだけど……エン君大丈夫?風邪引かない?毛布被る?]


 …………


[冷え冷えのエン君いわく、夢におれが出てきてしちろについて教えてくれたらしいんだけど……]


 うん、しちろは旦那さんだよ


[ごめん、エン君。
エン君が怒ってるのはわかるんだけど、おれ]

[顔が熱を持つのを止められないや]
 

 ──おれが教えてないのに、おれくらいしか知らないことを教えられるって……

 エン君と夢で繋がってたんだろうな!


 すごい
伴侶
って感じがするんだけど!
 どうせならそっちの夢を覚えてたかった!


[でも、エン君を覚えてないおれって想像つかないなぁ…なんて!
そっちの方が嬉しくて顔が緩んじゃったし、色々口から零れちゃった。

エン君が怒ってるのにごめんね!
エン君が、しちろの話してるのにしちろそっちのけになっちゃってごめんね!]


[分かってるつもりだけど。納得したつもりだけど、やっぱりこいつの口からしちろの話を聞くのは面白くないんだ。ちょっと視線を逸らすのは仕方ない、だから犬の表情の変化なんて気がつかなかった、けれど]


  う、え?



[知らなかったことがたくさん返ってきた。というかこいつらにとってしちろの立場って一体。

言葉だけでは信じられない。って思ってたのに、次々暴露されるこいつの本音は疑いようもなくて。というかそうだ、こいつ犬だからそもそも嘘ってつけないし、今の状態で俺が一番だって言うなら、そう]


 ……そ…んな前とか……しらない、し…
 も……言え、よそんなの…


[顔がどんどん赤くなっていくのが分かる。けど喋り出したこいつは止まらない。こいつ、本当に俺が好きだったんだ。ならば]

[そういえばエン君、おれからしちろの話聞いたみたいだけど、7日7晩の話も聞いたのかな?


エン君いわく"そんな前"からおれはおあずけされてたから、おれは今さら待てなんてできないんだ。


だから、聞いてなかったとしてもするつもりなんどけど……
大丈夫!手加減は、たぶん、きっと、予想では、できるはず!……だといいなぁ**]


  はちやぁ……


[自分でも驚くくらい甘えた声が出たけど、もっととねだるみたいに唇を寄せたら嬉しそうに再びキスされたからどうでもよくなった。


 七日七晩は……忘れてたけど、今それを言われたなら。多分、俺は嬉しくなって、うんって答えてしまうのだと思う**]


[そういえば、あっちのハチヤとはキスはしたけど舌を触れ合わせたことはなかったなんて思い出して、キスの合間にそっと教えてやろう]


 ん。ふふ。
 俺。旦那はお前だけど、他に嫁ができたんだよ。
 嫁はあいつひとりって、約束しちゃった。


[そういったら、どんな顔をするだろう。そっと布団を持ち上げてハチヤを引っ張り込みつつ顔を覗き込もう*]

[いつの間に。

他に嫁ができたっていつの話なんだろう?
エン君がお嫁さんになったのは昨日だからそれより前?
おれより先に番になったヤツがいるなら、エン君おれのとこいていいのかな?

エン君の衝撃の告白に、おれは目をぱちぱちさせたんだ。
お嫁さんとこ行かなくていいの?って聞きたくなったけど、
言いたくなかったから、かわりに引っ張り混まれついでにエン君をぎゅって抱き締めたんだ。

どっちが好き?なんて聞けなかった。
なんでだろ、エン君がお嫁さんを選んでも嫌だし、おれを選ぶのも嫌だなって……おれはおれを選んで欲しいはずなのに思っちゃった]


 エン君


[それでも]

 

 エン君、ごめんね。
 エン君のことお嫁さんとこに渡したくない。
 おれはエン君と離れたくないのに、エン君を離してあげられなくて、ごめん。


[渡したくない、これだけは言えるんだ。

お嫁さんは傍にいるだけで幸せな存在だから、
おれだったら、エン君と引き離されたら嫌だから、
それでも、おれがエン君から離れるのも嫌だから、おれはエン君が逃げらんないよう、ぎゅうって抱き締めて目を瞑ったんだ**]


[驚いたみたいに俺を見つめてくるハチヤに、未だぼんやりするまま満たされる──声に出して言われるよりも雄弁に、目が俺を離したくないって言ってくれるから]


 うん。渡さなくていいよ。
 俺にはお前だけだよ。


[ぎゅっと瞑った瞼に順番に唇を落として、額にも。こめかみにもちゅ、と音をたてて口づける]


 夢でな。お前に嫁にしてって言われたんだ。
 だからお前以外には嫁にしない、って答えたから。

 あいつ以外に嫁は貰わないし、旦那はお前ひとりだからな。お前に離されたら、俺ひとりになっちまうよ。


[だから、耳元で囁こう。そうして安心させるように口づけるんだ]


 俺の嫁も旦那もハチヤだから。他が入る場所なんてもうないよ。


[めいっぱい、ハチヤの全力で俺だけを愛してくれたらいい。少なくとももう俺はしちろに譲る理由もなくなった。
 逃げるつもりもない腕の中、嬉しそうに笑い。誘うように全身で、大好きなこいつを抱きしめよう**]

 
     ──────別れた。

     もし、美鶴さんが記憶なくしたままなら
     しばらくの家賃置いて、
     行方くらましたと思うし連絡先も消した。
     もう、あなたに会わないようにするために。




   それだけ、嫌だった。
   流石に4年かけてその結果になるのなら
   彼女の記憶の鍵が察せるほどの人間でもなく
   彼が贈ったものは響いていなかったということ。

   だから、もしあれで記憶が戻らなかったなら
   ごめんなさい、と告げて
   愛しいはずの彼女に別れを告げる。
   あと4年頑張れば、と言われては
   元も子もないけれど、彼にとっては
   記憶が戻らなかったという事実がある。

                        ]

    ……ま、そんなもん。

   *



    ……そっ、か。
    そうならなくて本当によかった。

    私の“鍵”よくわかったね…?
    自分で買ったものじゃなくて、
    貴方に貰ったもので……
 
    「私達を繋ぐもの」だから凄く特別なものだった。
   
    …大事にしすぎてあまりつけてなくて
    申し訳ないな、って思ってたけど。

[
 ぎゅっと抱きつく腕に力がこもる。
 ……記憶を捨てなくて本当によかった。
 大切なものを失わずにすんで
 本当に……よかった。

 四年頑張らないの?なんて言うつもりはあるはずもない。
 心が折れる瞬間って必ずあるし、そう聞くのは
 記憶をなくした私にそこまでする価値があるって
 言ってるのと同じな気がするから、私には言えない。
 
 …………私ならどうしたか?
 それは、聞かれたら答えるけれど。
 少なくとも潤さんと同じ選択はしない。

                           ]


    変なこと聞いてごめんなさい。
    …潤さんは?
    聞きたいこと、あったりしない…?

[
 夢で聞かれたことは応えたけど
 他にも聞きたいことがあるなら、
 そう思って促した。
                ]**

 

 うーん……


[エン君の旦那さんになって一年経ったある日、いつもの寮の部屋のなか、おれは紙束と何通かの手紙を前にして、頭を抱えた。

紙束の中身はざっくり言えば家と土地、手紙の中身は街や区からうちに来ないかって話だった。
優秀な人間は吸血……クリムゾンになることができるから、成果を上げたけど、人間のままの錬金術師は希少みたい。
未だにクリムゾンを怖がってるとこからの誘いが多かったけど、それは断ることしたんだ。不都合しかないもん。


一回クリムゾンにならないか、推薦はできるって話は来たけれど、体質的に無理だったんだ。
あとからエン君がクリムゾンの中で短命だって話を聞いたとき、おれはおれの体質に感謝したね。
エン君とずっと一緒にいるためにクリムゾンになろうと思ったのに、エン君なしでずっと生きなきゃいけなくなるとこだったなんでゾッとする!]

[悩んでるのは物件じゃないし土地でもない、もちろん職場って話でもない]


 お断りの手紙って難しい。
 全部文面同じじゃ駄目なのかなぁ、手書きじゃなくて複写したいよ……


[お祈りのお手紙で腱鞘炎になりそう。

どこで働くかなんてエン君の職場の近くに決まってる。
錬金術は工房作れば家でもできるんだ、エン君に毎日おかえりを言うためにも、どこかに勤める気はないんだ。

それに、エン君の職場は"ちょうど"専属の錬金術師がいなかったって話だ。
エン君に連れられて話をしたらすんなりと、そこに卸すことも決まったんだ。

………………本当に"たまたま"なのかなぁ、エン君わざとそういうとこ探して内定もぎ取って来てない?って、
さすがにおれもちょっと感付いちゃったんけだけど、結果的にはみんな幸せになってるから素直に喜んでおこうと思うんだ!]

 

 ……………やめた!
 今日はもうやめる!


[って、投げ出したけど、ちゃんと何通かは出来上がってるよ。
ちょうど今はエン君成分が不足してるから、エン君を迎えに行くついでに手紙も出してこようと思うんだ。


あの一件から、おれはあれほど固執していた魔法陣クラスの時間を減らして、錬金術クラスの時間を増やしたんだ。

あの日の薬の一件は、おれにとってはそれくらい重くって、あとから聞いた話だと本当にお弁当を食べてたおれが食べたからあれで済んだけど、
それ以外が、エン君が食べちゃってたら命に関わってたらしいって話だったから、おれはもっと知らなきゃって思ったんだ]

 




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