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【人】 AI研究 波照間 ハテマ■秘密抜き ハテマ→マツリカ 科学者にとって「やる気」って重要な才能だ。 僕にはそれがない。 マツリカちゃんには、ある。 彼女はいつも、周囲にエネルギーを振りまく存在だ。 押しつけがましくはなく、愛されるかたちで、いつの間にか懐に飛び込んでくるようなやり方で。 正直、僕の助手におさまってるなんてもったいないと思う。 科学者っていうのは社交性に欠けている生き物だから、マツリカちゃんがその愛嬌で科学界の波をいなせば、どこにだって行ける。 それなのに、なんで、よりによって僕なのかな。 僕は人を育てることにかけては壊滅的に不得意だから、マツリカちゃんが僕の下についたときに、あーあと思ったんだよ。 もったいない。ご愁傷様。どんな凶縁かは知らないけど、僕のお世話役なんてツイてないね。 (12) TSO 2019/08/30(Fri) 21:01:37 |
【人】 AI研究 波照間 ハテマ……それでも。 それでもマツリカちゃんは、毎日元気だった。 「可愛いさで許して!」とふざけてみせる彼女は決して道化ではなく、僕の研究室に必要な換気をもたらした。はきはきしてよく通る声とか、愛らしいオーバーリアクションとか、真摯な情熱とか、etc、etc。 僕の気ままな態度にも辛抱強く付き合ってくれる。 僕がやる気をなくして寝てしまい、ぼんやり起きたらマツリカちゃんが手配した研究道具と環境……僕に必要なものが一切揃っていた、なんてことも、1度や2度じゃない。 ……んー。 うれしいんだけどね。 (13) TSO 2019/08/30(Fri) 21:02:24 |
【人】 AI研究 波照間 ハテマ「マツリカちゃん、あの黄色い生き物の話は聞いた?」 アカツキの細胞修復の実験のために、3つの試験官に入れた溶液とアカツキの欠片。 それをぼーっと見つめながら、僕は、我が助手に話しかけた。 「知ってるよ……何か、頼んだんだね……」 目の前で分裂を繰り返して増殖していく細胞。 じっと、見つめる。 この、生き物にとってはあまりに原始的で当たり前の自己修復作用を、アンドロイドに搭載するのは難しかった。 ……ああ、3本の試験管の中で有機体が溶けていく。 失敗だ。 儚いな。 自然が作ったものを人間の手で再現することは、こんなにも難しい。 「僕は、マツリカちゃんに幸せになってほしい……だからさ……」 無になった試験管を見つめながら言う。 「キミの願い、が、僕にとって、その……好いものだといいな…… だってそうじゃなきゃ……」 「僕は、きっと、邪魔をすると、思うから」 ああ、そうなりませんように。* (14) TSO 2019/08/30(Fri) 21:03:20 |
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