人狼物語 三日月国


98 【身内】狂花監獄BarreNwort【R18G】

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【人】 新人看守 ダビー

>>9 模擬戦アマノ

 体に鞭を入れ体勢を整える。難なく着地した。
 ぐ、とそのまま両脚に力を込める。攻撃の着弾を確認した。痛みで隙が生まれているうちに間合いを詰めて近接戦へ持ち込んで──

「──……ぁ?」

 幕切れは想定していたよりも遥かに早く、唐突に。
 さながらそれは糸が切れた人形の如く。かくんと膝が折れてそのまま地面と接触する。触れた床の硬さに、計算し切れていなかった肉体の不具合に、思わず目が見開かれる。

 電撃傷は思ったよりも深かった。問題なく動くと見込んでいた両脚が痺れて言うことを聞かないのだ。

「……。まだ一度しか攻撃を受けていないのに」

 自身の敗北を意味する言葉は、どこか他人事めいた声色で、けれど確かに残念がるように口をついて出た。
(41) 2021/10/02(Sat) 10:21:20
「……」

罪人に『それ』を見せる影響についてを暫し考えた。
しかし、……変わりはしない、だろう。見たことがあるのなら。この無礼講の場では、調べることもできるのだから……

「むしろ。見て、自分の苦しみを待たせるのも、一興」

頷いた。

「死体を前にした私独りの舞台であるが、観客が居ないというのも世界の損失だ。良かろう。席に着くことを、許す」

「月光のように遍くトム様の厚意に感謝致します」

恭しく頭を垂れる。

「オリオンはしかと拝見させていただきます」

「観劇の許可をお与えくださる慈悲深さに感謝を。
 トムが行い、オリオンも行くのであれば、サファーも当然席につく」

今回この狼が手を下さないとしても今後もそうであるとは限らないため。この監獄に長く滞在するのであればいつかまた巡り回ってくることもあるだろうと思っているから、そのいつかに備えようという心積もり。

/*自分のコードネームで誤字する人間がいるらしいですわ。セファーですわ。

【人】 新人看守 ダビー

>>46 アマノ

 暴力的な通り雨が過ぎ去った今、男が放った血は針の形を失った。但し貴方の血と混ざり合って衣服や周囲を汚すことはなく、風に攫われる砂埃のように音もなく消失するだろう。能力に使われた血はどうやら一度使うと消えてしまうらしい。

 瞠目した貴方に気付くことはなかった。笑みの形に表情が歪んだあの刹那、看守本人も己は愚かだと思っていたものの、男が見ていたのは目の前の貴方ではなく……想像上の貴方だったのだから。

「貴様の能力について聞いていた筈なのに、対抗できる手段があまりにも少なすぎた。
 U-681、謝らなくていい。これも確かな経験だ。実際これだけでも今後の課題がいくつも見えたし、看守長からいただいた強化の恩恵もある程度把握できた。協力感謝する」

 一瞬見えた笑みはもうどこにも無い。普段と変わらず無愛想なまま、けれど手を差し出されるとほんの少し困ったように眉を動かしてからおずおずと差し出された手を取るだろう。

「……そうだな。まだ両脚に力が上手く入らない。治療の申請をしてくる。
 だが貴様の分も行うぞ、U-681。少なからず損傷しているのだから大人しく治療を受けるように。貴様に何かあった場合チャンドラ様に申し訳が立たないからな」

 貴方がご主人様と呼ぶ彼をちらりと見ながらそう呟いた。>>a2
(49) 2021/10/02(Sat) 14:34:20

【人】 新人看守 ダビー

>>50 >>53 アマノ チャンドラ

「……貴様の戦いも目を見張るものがあった。反抗的な囚人でなくて良かったと心底思うくらいには。また機会があれば協力を要請する」

 言葉こそそっけないものであったが、普段から歯に衣着せない物言いを考えれば偽りなく貴方を評価していることが分かるだろうか。

 負傷こそしているが意地でも立つ気満々でいた為、貴方の中で立たせる選択肢がない事に気付かなかった。手を握られたまま何も起きないことに不思議そうに目を瞬かせた後、それから「ああ握手か……」とようやく思い至ったので軽く手を揺らして握手をした。

「チャンドラ様。このような形での挨拶となり申し訳ございません。
 労いの言葉、治療の手配共に感謝致します。ですが傷を負わせたとはいえ敗北したのは此方です。遅れを取らないようより一層修練して参ります」

膝をついたままではあるが、先輩看守へと深く頭を下げて大人しく治療を受けるだろう。
(59) 2021/10/02(Sat) 15:46:52

【人】 新人看守 ダビー

こちらを見るナフの視線に気付く。>>52

「…… M-219か」

 そういや彼は『無礼講』前から元気に走り回っていたことを思い出す。此処に来るのもおかしくはないな……と考えながらぼんやりナフとアマノのやりとりを眺めていたのだった。
(60) 2021/10/02(Sat) 15:49:49

【人】 新人看守 ダビー

 輸血治療の支度を始めたチャンドラに気付くと、表情こそ変えないもののやや慌てたように口を開いた。

「……ああ、チャンドラ様。俺への輸血は不要です。実際に血を流したのはU-681ですので、輸血するのであれば彼の方に」

上着から何かを取り出す。戦闘中に使用したものと同じ血液のカートリッジだ。

「実際に体内に流れる血を消費していては長時間戦えませんから、私的な時間に予め血を抜いて保管しているんです。
 本来は刀や拳銃と合わせて使うものですし、武器を介さず力を使うのは不得手ですのでそのままの使用はほぼ無いのですが……」

 ですので大丈夫です、お気遣いありがとうございますと先輩に頭を下げるだろう。

「……輸血パック、いただけるのであれば欲しいところですけど」

 ちょっと欲は出ちゃった。
(62) 2021/10/02(Sat) 15:59:04

【人】 新人看守 ダビー

>>61 ナフ

 ほぼ露出の無い装いに覆われた肉体は電撃によってあちこち火傷を負っていた。神経の幾つかも損傷しているが、囚人が気付くことはあるのだろうか。

 全身をくまなく確認する視線を受けてか、発する声に疑問の色が滲む。

「M-219。俺に何か?」

 獣が品定めしているようだなと密かに感想を抱いた。
(65) 2021/10/02(Sat) 16:10:38
ダビーは、輸血用ユニットをまじまじと見ている。セラピー用の動物やサポートユニットとはあまり縁がなかったので。
(a11) 2021/10/02(Sat) 16:11:30

ダビーは、そわそわしている輸血用ユニットをちょっとつついた。固い。
(a12) 2021/10/02(Sat) 16:12:02

【人】 新人看守 ダビー

>>64 チャンドラ

「助かります。寛容なお心遣いに感謝を。
 ……後ほどカートリッジ作成の為に数時間ほど看守控え室に居座る為その間エリア巡回などは出来なくなりますが、どうかご容赦を」

 輸血パックと専用ユニットを受け取って丁寧に礼を述べた。
 数分のうちに治療が終わると、拳を握ってみたり足を軽く動かすなりして確認を行い、問題無いことを把握してから普段通りきっちり背筋を伸ばし待機姿勢へと移るのだった。
(69) 2021/10/02(Sat) 16:34:16

【人】 新人看守 ダビー

>>66 ナフ

 貴方が気付けるとするならば、力が込められず微かに震える両脚くらいだろうか。電撃を喰らった際は流石に耐え切れず呻き声をこぼしたものの、戦闘を終え体が悲鳴をあげていても男はその声を無視していた。

「そうか。分かった、受けてたつ。いつ頃開始するかは其方に委ねよう。俺は治療が済んだからいつでも行ける。
 他に何か希望はあるか?先程は武器を使えない状況を想定した戦闘を行なったが、それも今終了した。何か要望があるなら検討する」
(71) 2021/10/02(Sat) 16:41:59

【人】 新人看守 ダビー

>>81 ナフ

 紅のピアスがささやかな彩りを添える耳に、周囲の音が飛び込んでくる。
 いつのまにか人が増えている。けれど、男は変わらず無表情。

 色の見えない顔の代わりに、ブーツの踵を鳴らして問題なく足が機能することを貴方に伝えた。

「問題無い。始めよう」

 それだけを伝え、踵を返していくらか距離を取る。

「ああ、それと。今回は銃も使うかもしれない。
それでいいならこのまま進める。嫌なら言うように」
(95) 2021/10/02(Sat) 20:20:41
「見えてる奴あいつじゃなかろうな」

緊張してきたな……
観客席の方向がわからない舞台、めっちゃやりにくいとは思っているんだけど……

「私、名乗りもなしにファントムとか呼ばれるほど地顔は醜くないしメンタルが陰キャ童貞野郎のつもりないんだけど……声が天使なのかな……」

照れるな……流石に天使は照れる……
トラヴィスは自らの頬を押さえて呟いた。照れてなさそう……

「オリオンも思いました」

思いました。

「……ですが、美醜や内側はともかく立ち振る舞いが挙げられた人物のように例えられるのもまた事実なのだと思います。
ひとまず様子を見てみましょう。

天使かどうかはわかりませんが、トム様の声はよく聞こえて良いとオリオンは思います」

「正直な話。
セファーもぶっちゃけ一瞬そう思った


ぶっちゃけちゃった。めずらしいね。

「(声が天使かどうかも含めて)なんとも言えないが、オリオンの言う通り様子を見てもいい。その上で気になるようなら指示を求めてもいいとセファーは思う」

【人】 新人看守 ダビー

>>104 ナフ

 吐息が肌を擽るほどにまで近づいていた相手が、いつの間にやら軽やかに遠ざかる。
 準備体操を行ったところを見届けると、看守もまた呼吸を整えて気を締め直す。

 柘榴色の双眸から逃げることなく、真っ直ぐ見つめる。

「了解した。

 ──それでは、始めよう」

(108) 2021/10/02(Sat) 22:16:07

【人】 新人看守 ダビー

>>104 ナフ

「──ッ」

 始まりの号砲は高らかに。

 挨拶代わりのクイックドロウ。使用すると宣言したばかりの拳銃を抜きざまに数発。
 男の所持する銃は彼の能力に合わせて作られた特注品だ。実際の銃と異なる点はいくつもあるが……周囲の者たちが真っ先に気付くのは銃声だろうか。

 ガラスの砕ける音にも似た銃声が木霊する。

 小手調べとばかりに放たれた弾は真っ直ぐ貴方へ。実戦においてヘッドショットは好まれない。最初に潰そうと狙ったのは足だ。

 枷から解き放たれて自由を得た両脚に、再び苦痛の花枷を嵌めようと鮮血のホローポイント弾が駆けていく。
(109) 2021/10/02(Sat) 22:16:47
「……仮面一つで辿り着くモチーフの一つといえばそうなんだけどもね……」

私仮面めっちゃ持ってるし……聞かなくても辿り着けると言えばまあわりとそうではあるんだけども……とか呟いている。

「偽名変えようかな……エリックとかに……」

よけいバレると思うし、変えると複雑になりそうなので今のままで行きます。

新人看守 ダビーは、メモを貼った。
(a18) 2021/10/02(Sat) 22:25:27

「我々がこうしてのんびりと拷問器具説明会をしている間にも、どこかで何かが起きている……というのは面白いものだね」

拷問器具説明会を行っている。
実践はもうすぐ、脱走犯の肉体をもって行われる。

説明、実践、解説。

この順序は非常に効率の良い学びをもたらすのだ。
教師としても優雅に。トラヴィスはどちらかといえば完璧主義に同意をするタイプだ。即興曲の織りなす美しさを知るものとして、完璧主義そのものになることはできないが。

「質問や、使ってみたいものの希望はあるかい?なに、流石にこれで貴様らの罪を加算したりはしない。役割に忠実であることは変わりがないのだからね」

「セファーは拷問器具の多くを知らない。
 が、拷問と言うくらいだからすぐに楽にさせる手法はないのだろうことは分かる」

この狼もあえてどちらかを選ぶのであれば完璧主義を掲げる側の人間だ。だからこそこうして学びの場に訪れ、トムに師事しようという心積もりらしい。

「トム、質問がある。セファーのような拷問初心者でも行いやすい拷問には何がある? 最終的に殺害に至らしめるのならばやはり出血を伴うものがいいのか?」

【人】 新人看守 ダビー

>>110 ナフ

 彼がエリア内で跳ねて回るように動いていたことは確認していた。その為体をめいっぱい駆使した肉弾戦を持ちかけることだって想像に難くない。

 当たるとは思っていなかったが、こうも容易く避けられるとは。

「(これでは拳銃はあまり役に立たないな)」

 体勢が大きく変わる相手を捉える。そう認識したかと思いきや、瞬きする間もなく白い影が滑り込んでくるのを見る。
 低い位置からの急襲。考えられる攻撃の手は──

「……っ!」

 咄嗟に空いた片腕で喉元と顎を覆い、後ろへ飛び退る。意識を刈り取られたら終わりだ。
 もう片方、拳銃を握ったままの手はそのまま下へ。銃口を潜り込んできた貴方へ向けて発砲。

 後退しながらの、そして咄嗟にとった行動だ。赤い弾道は大きく逸れる。その上、欲が出て反撃も行ってしまったものだから後ろに飛びきるよりも先にナフの右手が接触したことだろう。
(124) 2021/10/03(Sun) 3:27:12
「いい質問だ。血液は……直に死を思わせるという点で効果は高い。だが、それ故に『終わり』への時間を目で確認できるという点が問題となる。当然、拷問は、長く終わらないものである方が絶望的だね?出血を伴うならば、出血していることだけを見せ、その量を見せないのが望ましい」

机に並べたのは、先に説明した視界を妨げるための器具たちだ。

「故に、血を流す場合は共にこれらを使う。飴も鞭も、無限だと錯覚させてこそだ。そういった点さえ抑えておけば、コルク抜き一つでヒトは簡単に屈服し得るものだよ」

道具の質や種類ではなく、実行する過程に拷問の肝があるのだと語る男は、それを嫌悪するでも好むでもなく淡々と説明を続けた。

「セファーのような背景があるのなら理解は容易かろう。時計の一つですら、情報を奪われることは苦痛だろう?」

【人】 新人看守 ダビー

>>125 ナフ

 常に刺さり続ける柘榴色の視線。瞳は絶えず無感情のままだけれど、決して逸らされることはなく。
 翠の視界は貴方だけ。貴方だけを真っ直ぐに、見つめ続けている。

「くれてやる」

 端的に言い切る。

「だから」

 拳銃を握る手の親指が静かに弾倉を吐き出すボタンにかけられた。
 銃に装填されていた、殆ど減っていない血のカートリッジは滑らかに落ちていく。

 
貴方の足と己の胴の間へと。


「──お前を寄越せ」
(126) 2021/10/03(Sun) 4:37:52

【人】 新人看守 ダビー

>>125 ナフ

 血に満たされた容器諸共、鋭い一撃が体に突き刺さる。脚と胴に潰されて、呆気なくカートリッジは砕けて中身をぶち撒けた。

「……っぐ、ぅあ゛……ッ!」

 胴を揺らす衝撃に無表情を貫いていた顔がたまらず歪む。骨まで響き、軋み、体が痛みに絶叫をあげる。
 されど唇は決して止まることなどなく。

「《杭よ》」

 己が血に命ずる。
 瞬間、互いの体を汚す看守の血液が沸騰したかのように熱を持ち──そこから、貴方の体を貫こうとする幾つもの大きな鋭い杭が勢いよく飛び出した。大まかな方向性は指定できても細かに差したい部位までは操作できないから、貴方の体のどこを貫くかは男にさえも分からないけれど。

 刺さっても長くは保たない。前の戦いで見せた血の雨のように、暫くすれば音もなく消えていくだろうが、自分は串刺刑を実行したい訳じゃない。ただ相手を倒したいだけだ、何も問題はない。

 初めから待っていた。
 武器を増やしてもそれだけでは獣のような身のこなしの貴方にきっと勝てないだろうから。

 ──飛び込んでくれるのを、ずっと待っていた。
(127) 2021/10/03(Sun) 4:40:25
ダビーは、ヴィオラの音を聞いても、ただそれだけだ。今は認識するだけ。
(a24) 2021/10/03(Sun) 4:45:51

ダビーは、普段であれば、「それはきっと綺麗なのだろう」くらいは言えたはずだ。
(a25) 2021/10/03(Sun) 4:46:17

【人】 新人看守 ダビー

>>128 >>129 ナフ

 たたらを踏み、体は前に傾いた。骨は確実に何本か折れた気がする。けれどそれがなんだというのだ。体が動くなら問題ない。

 むせ返る血の臭い。もう昔からずっと嗅ぎ慣れている。何の感情も湧かない。

 戦いに敗れることは死を意味する。そんな世界に身を浸し続けた男の頭に、遊ぶという概念など無い。
 熱を帯び始める貴方とは反対に、男はどこまでも冷め切ったままひたすらに次の一手を打ち続けた。

「い゛っ……、ぇ゛……ッ」

 臓器が詰まった胴体。その真ん中に、足がめり込む。看守の体がさらにくの字に折れ曲がる。男の嘔吐く声がこぼれた。
 壮絶な痛みと引き換えに、空いた片手で突き刺さる足を抱え込むように掴もうとするだろう。こうでもしなければ、きっと貴方に攻撃を当てることなど出来ない。

 同時にトリガーガードに入れた指を支点にしてくるりと拳銃を回転させる。
 銃身を握り、ハンマーの如くグリップ部分を相手の膝へと叩きつけようと腕を持ち上げ──躊躇いなく振り下ろした。
己の声がする。
あれは悪だ。遊びで人を殺める悪だ。
殺せ。屠れ。始末しろ。悪は全て敵なのだ。
己の声がする。
だから、眩しそうに相手を決して見てはならないのだ。
(130) 2021/10/03(Sun) 5:59:02

【人】 新人看守 ダビー

>>131 ナフ
 腹部の痛みに耐えかねて折れた体に降り注ぐ貴方の声。
 無表情を貫いていた男が、痛み以外の理由で顔をしかめた。或いは、ただ目を細めたようにも見えるかもしれない。

 理解に苦しむ。
理解してはいけない。覗き込んではいけない。


 どれだけ体が叫んでいても、悦びと共に踊り続けられる貴方であれば。前傾姿勢を取らざるを得なくなった男の肩を掴むのは容易いだろう。

「ーーーッッッ!!!」

 ──しまった、思う頃にはもう遅い。

 柘榴色に飲み込まれる。

 衝撃と共に初めに感じたのは視界の暗さだ。一瞬でぐにゃりと歪んで明滅する。続いて鋭い痛みを追いかけてくるように燃えるような鈍い痛みが頭を覆う。同じようなタイミングで血が額を伝い落ちているのも感じた。
 初めからずっと握っていた拳銃さえもからんと手から滑り落ち、二人の男の血で汚れ切った草原に音もなく落ちていく。

 もう体がどうなっているのか把握するにも一苦労だ。
それでも男は倒れてはならないと精神力だけで体を支えて行動に移す。

 真似をするように胸ぐらを掴もうと手を伸ばし、その上逃げられないようにブーツで相手の素足を踏もうと足を振り下ろした。
 そのまま、もう暫く呻き声しか出ていない唇は、久しぶりに言葉を紡いだ。

「……ッ、は、ぁ……《雨よ》……!」

 力の行使。前の戦いでアマノの体を貫いた血の針の生成。
 けれど能力操作の補助を担う拳銃を取り落とした今、額を濡らす血だけで生成できる数などきっと片手で足りる程度だ。

 それでもいい。相手を倒せる手段があるのならなんだって使ってやる。
 体の血が燃えるように沸騰する錯覚に襲われながら、生命を削って生み出した針を貴方に向けるだろう。
(133) 2021/10/03(Sun) 7:02:53

【人】 新人看守 ダビー

>>134 ナフ
 どうしてそんな顔をする。
 どうしてそんな声を出す。
 理解ができない。意味が分からない。
 お前は悪で、罪人で、疎まれる者で。
 善と呼ぶべき人間達に償い消費されるべき存在で。
 どうしてどうしてどうしてどうして。

 心がぐちゃぐちゃに荒らされる。
 やめろ、やめろ、そんなものを見せるな。
 覗き込みたくなるようなものを見せるな。

 ──やめろ!
(135) 2021/10/03(Sun) 7:40:59

【人】 新人看守 ダビー

>>134 ナフ

 もう呼吸をするだけでも痛みが走るというのに、弾かれるように手を振り払い、腹部めがけて蹴りを入れて貴方から否が応でも距離を取ろうとするだろう。

「……M-219。満足したか」

 もし叶うのならば、取り落とした拳銃をよろめきながらも拾い上げ、上着の内側に保管しているカートリッジを装填する。
 途中で何もしない限り、そのまま銃口は貴方へ向けられる。
(136) 2021/10/03(Sun) 7:42:41

【人】 新人看守 ダビー

>>137 ナフ

 ぶち、と。小さな音がしたと思えば口の中に血の味が広がった。歯を立てた自身の唇が切れたのだ。

 少し前まで何の感情も抱かずに見る事ができていた柘榴色。それが今は、一切目を向ける事ができずにいた。
 翠色は揺らぎ、泳いで、呑気な青色の草原に逃げたまま。

「そうか」

 それだけを呟いて引き鉄に指をかける。

 終わりの号砲は控えめに。
 ただ一度だけ、硝子が砕ける音が響いた。

 貴方の中に赤色の弾丸が埋められる。
 貴方の中で紅色の花が静かに咲くだろう。

「……これにて、戦闘を終了する」

 相手の生死を確認しないまま、柘榴色から逃げるように男は限界を迎えた体をどうにか叱咤しその場から離れようとするのだった。
(138) 2021/10/03(Sun) 8:08:10
 




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