人狼物語 三日月国


84 【R18G】神狼に捧ぐ祀【身内】

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化けの皮を脱いだシラサワに珍しく目を丸くするのだが。
「さもなければ、よりによってこの年に【皇狼】を仰せつかったりしねえよ。」
返す言葉自体は変わらず油断ない。

「忘れおおせたならずっと良かったな。」
放つ恨み言に含まれる震えは恐れているというよりむしろ、悔いているような響き。
事実に向き合うことから逃げた、或いは既に向き合うことを終えて今の境地に至るのか。

それでも余裕がなくなり始めた言葉の縁々には、この人間が元来有する怠惰な本質が滲みだす。
「俺でいい、俺がよかった筈だ、俺でなければいけなかったのだろう。」
この人格の檻の中、結論は既に腹で決めてしまっている。
あらたな"同類"の目覚めを止めようともしない。

沙華の張りつめた言動に海眼を細める。
まあ、その驚愕が見れただけしてやったり、
といったところかもしれない。

「確かにそうか、
 二匹の"子狼"のお守りはちょっとな。」

道化を言いつけられた自分には
荷の重い話だ。

神狼は呼び起こす。
人間の根底に澱む衝動を、
飽くなき飢えと渇きを、引き摺り出す。

戸隠の歩みは止まらないだろう。
まるで祠に導かれるように、呼ばれるように。

見えるだろう?
灯をもった、飢えた同胞達が。

匂うだろう?
印に焼き付けられた、熟れた果実の匂いが。

「…可哀想に。忘れられたらいいのにな。」

戸隠を見て零した。
歩みを彼に合わせるように再開する。

  ずりずり、ずりずり。
 足を引きずっているのか、
 体が引きずられているのか、
 だんだんと分からなくなってくる。

 灯りがあかるいのか、
 灯りがくらいのかもわからない。

 甘い匂いが漂っているのか、
 甘い匂いに引き寄せられているのかもわからない。

 ただ、ずりずり、と歩いた。
 気が付けば、いつの間にか目をつむっていて。

 漂う匂いのするほうに、ただ歩いていた。

「……なんだ、……これ、さ」

 うわごとのように、呟く。
 おまじないが解けてしまうことも構わずに。

「……狼、の……遠吠え……?」

 
 なんにも聞こえない、はずだけれど。

「そっかぁ。
否定でも肯定でもない、かぁ〜。

まーそーだよね、長く続いた伝統をさー、どうにかすんのフツーじゃ無理だよね。
でも僕は神狼の心臓食べてやりたいな。
そうすればこの島もさ、平和になるはずじゃん?」

「ひとつ"喰えば"、まずは治まるさ。」

道化の男は謳う。

それは五十鈴が求める林檎のよう。

禁断の果実。楽園の知恵の実。
一度齧れば、追放者の出来上がり。
最早楽園には、二度と戻れない。

 祠とやらについたのか、ついていないのかももうわからなかった。

 ざわざわと喧騒。
 視界がぼやけて、
 唸るような耳鳴。
 
 ばくばく、ばくばくと心臓が脈打つ。
 体の内側全てが、太い太い血管になってしまったかのように。
 酒に酔った時とも、
 熱中症になった時ともまた違う、
 脳味噌の芯の芯からかぁと熱くなるような感覚。

「……っ、、あ、……ぅ、」

 もう、意味のある音は口から出てこない。
 つぅと、口の端から涎が伝う。
 幽鬼のような顔で、ただ灯りと香りが示す奥へ、奥へと歩いて行った。

「平和を成す為に、五十鈴さまは
 神を喰らおうとされるのですか?
 ………それは、何故でしょう。
 神狼様を祀るのみでは、平和は遂げられないと?
 五十鈴さまのお考えを、私は知りたく思います」

「だってさ、神狼がいなければ……

じゃねーや、”神狼より強い奴がいれば”さ。
そもそもこんな祭りもいらねえじゃん?」

「神を越える為に、神を喰らうという事ですか?
 ………確かに祭礼は意味を成さなくなるでしょう。
 しかし其の心は、如何に。
 何故祭りを無きものにせんと願われるのですか」

「僕はもう飽きちゃったんだ。
神狼様のゴキゲンを伺うよりさ、自分らで島守ればそれでいいじゃん。

神狼様より強い奴がさ、島にいてさ、そうすればわざわざ生贄なんて出す必要ないじゃん。
……僕が一番手に選ばれて、神狼様を降ろして、そうして……殺して食ってやろうと思ってたんだ。
だからずっと舞わずに待ってた。
それなのにさ……一番手がサクヤだなんて。

サクヤは甘いから、きっと……だめだよ」

/*すまん、止まってる。一時くらいから続けるよ。
なんかあったら入れてくれてもいい。取り急ぎ。

「巫女さまであれば、お役目を全うされようとする筈。
 仰る通りとても神喰をするとは思えません。

 生贄を出さずに平穏が保たれるならば、
 それは良き事なのでしょう。
 ……五十鈴さまは聡明で強き御方ですね。
 私には、決して辿り着けぬ考えでありました」

「僕ならなれると思うんだ、神狼を超えるモノにさ。
そのために左方を選んだんだ。

ユヅ、人魚って知ってる?
心臓食べると不老不死になるんだって。
神狼もさ、きっと美味しいよ」


ぼう、とする意識の中。
あたりは、いくつもの口があった。

こちらをみて、何か話しかける口。
こちらとみて、何か笑いかける口。

何を言っているか、何を求めているか。
何もかも分からなくて、ただ、視界がゆらゆらと揺らめいていく。

そんな、揺らめく視界の中に、ひとり。
おんなの姿が、浮かび上がったように見えた。


甘い香り。
蜜の香り。

目の前に捧げられた、甘い果実が誘う香り。

ふらふらと、手を伸ばす。
ふらふらと、歩み寄る。

だれかわからないものたちが囲む、
ぼうとした灯りの輪の中に。


あの、巫女の、白い肌が浮かんでいて。


その肌が、手に吸い付いてくる。
違った。
俺の手が、腕が、彼女を抑え込んでいて。



ずぶずぶと、沈んでいく。
意識が。
──……果肉にうずもれていくように。

/* 意識失っとったわ、ごめんな。

「…俺も、あんなんだったんだろうか。」
戸隠を見て、男は沙華に聞こえるよう、そう呟いた。

「今年ばかりは全員島民だと思ってたよ。
 島長も神狼様も、惨いことをするね。」

ああ、無責任か。どうにか出来る責任を持てるなら、
こんな状況になっていないよ。
俺も、沙華も、…この子も。逃げられないんだ。


──島民には、島長を筆頭に神狼を崇める一派がいる。
祠の出入り口で三人を出迎えたのは、
そういった複数の島民だ。

中へ通される。リェンは言っていた、"何も無い"、と。

いいや、あるのだ。
神狼の遣いと呼ばれる"狼"には、
今の戸隠のように、頭へと刷り込まれる。

シラサワのようなモノには、一派から教え込まれる。


 さぁ、新たな"狼"の誕生を祝おう。


島民が囲む白い布に横たえられた柔肌に吸い寄せられるように、
戸隠が覆い被さるのを見ている。

どれだけ掟だ風習だ伝統だと言っても、
いざ当事者になれば、少女も少なからず抵抗するだろうか。
島民が腕と脚を押さえたのが見えた。

使いが舞でなく肉を要求するのなら、そうなるのだろう。

 抑え込まれた巫女に、口づけをする。
 ──いや、唇を押し付け、舌でそれを割り裂き、
 口内を穢すだけの行いをする。

 異様な熱気と、人の息遣いが響く中で、
 その水っぽい音はいやに大きく聞こえた気がした。

 抑え込まれ、開かれた身体中に、
 手が、口が、指が舌が這う回る。

 響くのは餓えて喘ぐ男の声か、
 嬌声にもならぬ女の呻き声か。

 どちらかもわからない。
 ただそれはほどなく、
 肉と肉がぶつかる鈍い音が入交り、
 なにもかもが溶けて消えていくかのようだった。


ここまで来ると沙華の口数も目減りするのだが、
ああ。と、若干の間があけばシラサワの言にも答えている。
「あんまり自分を特別だと思うな、童じゃねえんだから。」
「誰もかわりあるめえさ。」
誰を窘めているのか分からないような言葉で、
顔も合わさずに断言するだろう。

「ただそうだな、島も何もまとめて壊すか、全員死なぬだけ儲けと思うか」
「己は後ろを選ぶだけまだ救いようがあるかも知れねえな。」


「一度は居たよ
本気で手前を選ぼうとするどうしようの無い奴もな。」
そういう口元はすこしうっとりとした物を浮かべていた。

「左方舞には斯様な理由が………。
 人魚を食らい不老不死を手に入れたという伝説ですね。
 存じております。

 味は私にも判りかねますが………。
 ………しかし、神から心臓を奪い取るなどと、
 本当に可能なのでしょうか」

薄暗い祠に響く、鈍くも熱い、粘つく水の音。
そのうち島民が捕まえていた手脚は離され、
少女は熱に呑まれるまま、眼前の狼に縋るより他無い。

もしかすれば、地の白布を染めるのは、
白でなく、初めて牙を突き立てられた傷口からの赤色か。


ああ、人も結局して獣なのだ。



「…"ありがとう"。沙華」

異様な雰囲気の中に混じって告げられる、
澄んだ海の煌めきたるや。

「記録をしている沙華がそう言うなら、
 俺も同じだと、信じられるよ。」

言葉を向けられた沙華以外、
誰も道化の言葉など聞いてはいないだろう。

最初は眼耳を疑ったモノだ。
毎年犬猿の仲のようなやりとりをする沙華と、
こうして仕事をすることに。
己は狼ではなく、ただの人間として二人の隣に在る事に。


「救いがあると?
 俺はもう、諦めているだけだよ。
 沙華の言うような"御伽噺の主人公"を、

 ……でも、沙華がそう言うだけで、救われてるさ。
 沙華ぐらいだからね。
 俺にぶつかって来てくれるのは。」 


「ふ…しょうがねえ奴だ、日がなせこせこ口八丁で煙に巻いているのは
何よりもまず己自身の言葉ときてんだから。」
「わざわざ腹を探ってやらなきゃならねえ此方の身にもなりやがれ。」

しかしなあ。

「真面目に残した記録が役に立つこともあるもんだな。」

背は向けたまま、長髪だけがおだやかに揺れていた。

「わっかんないけどさ。
要はさ、僕達みんな神の養分わけでしょ?
そんなクソつまんねーの、もう終わりにしてもよくない?

ユヅはさ、真面目だからそんなこと考えないかもしれないけど、僕はユヅみたいに真面目じゃないからね」

澄んだ海を湛える瞳を濁すような、灰色の髪。
肌の露出を控える服装と見た目は、
己が真意を隠したい表れでもあるのか。

「そりゃあね、知り合いが誰も居ない島に、
 訳あって単身商売しに来てるんだ。

 不安を表に出してちゃ商売にならないだろ?
 堂々と構えてないと、商品にまでケチをつけられる。

 俺自身も商品なんだよ。」

まぁ、中身の分からないパンドラの箱か。
逢った時から真っ向と開けようとしたのは。

「……仲間が沙華じゃなかったら、
 此処まで言わなかっただろうな…。」

やはり今年は何かが違う、と。

「祭礼は私にとって、常に其処に在るものです。
 呼吸を娯楽とせぬ様に、"つまらぬ"、と。
 儀式にその様な思考を割り入れた事もありませんでした。

 私は真面目だけが取り柄で御座います。
 五十鈴さまは、つくづく私の考え至らぬ事をなさいます。
 ………その型破りこそが、
 今の島に必要なものであるのでしょう」

「ユヅ……やっぱ真面目だなあ。

ねえ、僕そろそろさ、本当に”生贄”が出る祭りになると思ってる。
神に守られて、それで島のみんなが納得してんならさ、別にこのままを続ければいいけどさ。

僕は納得してない。
ユヅ……僕は、僕にはね……神狼の血が流れてる。
だからきっと神狼を殺せる。
踊って、神狼を降ろして、殺す。
殺して……僕が新しい島の守り神になる。
生贄のいらない島を作るんだ。

……だから一番手を狙ってた。でもサクヤに取られた。
僕と、約束してくれない?

もし、僕が失敗したら……代わりに、ユヅじゃなくていいんだ、誰か……神狼を殺して欲しい」


「呆れたな。この小さな島でそれをやるか、だから今日まで経って外者扱いも晴れねんだよ。」
ひとりひとりたらし込めとは言わねえけれどさ‥‥

「ま・・・礼はタダなら受け取ってやるよ。」

「忘れていく以外に使い道は無いと思ってたんだけどな。
残されている俺の記録も、俺の記憶も。」

「己からふんだくった言質は覚えに留めおかねえと行けなくなっちまった。」
そういってふらふらと隅に歩いていく。


「まったくなんなんだよ…己のような奴がいなけりゃ俺はもうとっととさ。」

「先例に倣って全部壊せるほうを選べていた筈なんだがな、おかしいね・・・。」
祠の岩肌に背をあずけたら、両目もつぶってこっきり開こうとしなくなってしまった。

 




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