人狼物語 三日月国


98 【身内】狂花監獄BarreNwort【R18G】

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【人】 不覊奔放 ナフ

>>52 ルヴァ
「あ」

なんと忘れていた。手の感触とよろける姿を見て、一旦止まった。
肉弾じゃ、失血死を遂げさせるのは……難しいな。胸に手が突き立てられるほどの力はない。

「そっちも反撃してくれた方が嬉しいしィ、」

覚えたての嬉しいを告げながら、処刑道具を眺める。ここが処刑室で本当に助かった。血が出る武器、で思いつくのが刃物しかない。小ぶりのナイフを一つ手に取り。

「殺せそうなら俺を殺してくれてもかまわンぜ」

そんなことを言いながら再度あなたへ向かう。仕切り直しの気持ち。軽やかに頭上を跳ね飛んで、あなたの背後へ回ろうと。
(53) 2021/10/17(Sun) 22:02:17

【人】 不覊奔放 ナフ

>>55 ルヴァ
「あッ、はァ!」

笑い声一つ。銃口がこちらを向くのが見えて、発射される音が聞こえて、その身に、左肩に銃弾が突き刺さったころのこと。
あなたになら、銃口を見ていたのがきっと分かるだろう。分かるならば、避けなかったのだということも分かるはずだ。

その後の着地。身体を捻り、あなたの方を向いての着地。だから恐らく、銃弾は男の正面から当たったはず。血が溢れ出る傷口を顧みもしない。
着地から床を踏みしめるまではノーモーション。すぐにあなたに向けて飛びかかる。タックルでも仕掛けるように。
銃を持った相手だから、一応は両腕を頭の前に掲げて盾とし、あなたに接敵。叶えば、懐に飛び込んで首から胸元へとナイフを振り抜こうと。
(56) 2021/10/17(Sun) 22:36:33

【人】 不覊奔放 ナフ

>>57 ルヴァ
目の前で離された銃を、見はするが隙ができるほどではない。
戦う際、男はもはや考えてなどいない。一瞬一瞬を繋ぎ合わせて動作としている。あなたとは違い、むしろ考えたらそれが隙である、ような。

しかして。思考するあなたと試行する男の行動が偶然似通った・・・・・・のを知ったとき。
男は今までになく、歓喜するように声なき声を上げて笑った
。身体の損傷を度外視して動くのは男もよくやることだ!

「はッ………、ァ、」

たのしい。あなたはきっと男からそれだけを感じ取れるはずだ。
振り回される腕にせめてとナイフを大きく振るう。刺さったとしても、突き飛ばされてそれはすぐさま抜けるだろう。もし仮に刺さっていたとしたら、抜ける際に傷を大きくするかもしれないが。

蹈鞴を踏んで後ろへ数歩。全力の腕に当たってしまったからには、男も無事とはいかない。頭は避けたものの、胸に、肩に、酷い痛みを感じる。肩なんかは、さっきの傷が更に悪化したような。

「あは、」


男は笑っている。
(58) 2021/10/17(Sun) 23:24:53

【人】 不覊奔放 ナフ

>>59 ルヴァ
知らない話だが、知ったらきっと酷く笑っただろう。機嫌良さげに。目的に対して容赦ない様子は好きだ。

男は、あなたが楽しいわけがない、と知っている。ひとに興味がないのだ、自分の楽しみに付き合うのが楽しいはずがない。ひとに興味がないから、痛みも血肉も好きなはずがない。
あなたは頭がいいから、約束を破るより守った方が面倒が少ないと思っている、と思っている。

男がぼんやり抱くのは、律儀だな、という感想のみ。
それも愉悦に押し流されて。

笑みの圧に負けるくらいならば、こんな勝負を仕掛けていない。構え直すまでは数秒くらいあるだろうか?ならば、男にとっては十分な隙だ。
そうでなかったとしても、男は蹈鞴を踏んだ3歩目で跳ね飛ぶ。高く、と思わせて、低く。次には高めに。狙いを付けづらいように。ぱたぱたと血の雨が降る。これには何の効力もないが、ただ重力に従って降っていく。

最終的に着地するのはあなたの眼前。もしそこまでの接近を許してしまえば、近過ぎて腕を振り回すのも困難なのではなかろうか。
男はといえば、横から水平に差し込むように、ナイフをあなたの首へと突き立てようとするだろう。
(60) 2021/10/18(Mon) 1:07:21
―――

【はい】
【キンウは犯罪者囚人だから、ここにいるのです】

首を傾ぎ、黒檀の髪がさらりと落ちた。

【傷を作るのですか】
【……いいえ。キンウはわかりません。けれど、わかりたいと思っております】

とん、とん。
まだ覚束無い動作で端末を操作する。

【故に】
【教えてくださいますか、トラヴィス様】
【許されずとも、キンウは知りたいと思うのです】

刑期は元より長かったと記憶している。
あれからどれほど経ったのだったか。
今回の件で幾ら加算されるだろうか。

……それでも、いつかの未来。
こうなれたらいいと、掴みたいと。
思える未来がひとつ、できたのだ。

これは紛れもなく『私』のものだ。

【セファー様……いえ】
【アマノ様】

口を閉ざした狼の名を、呼ぶ。

【あの後、チャンドラ様とお話はしましたか?】

あの後、どちらも慌ただしそうにしたり蘇生されたりしていたから。……少しばかり気になったのだ。

「……私はね。傷であることを知られたくなかった。私はそれを気にしていると言いたくなかった。過去に何があるのかも、それが自分にどう影響していたのかも……言いたくなかった。『役割を果たせない』ということを指さされれば、きっと魂ごと死んでしまうと思っていた。傷を自ら切り開くような痛みがあった。傷は弱点だ。辛いことは傷だ」

端末を叩いていた指で、自分のこめかみを叩いた。
少し前のこと。今は少しだけ置いてきた景色。未だ痛みは鮮やかで、振り返るたびに膿んで崩れていくようだった。

「包帯に血が滲む他者の傷を、君は手を出して握ったりはしないだろう。心も、同じだ。傷つけたいのでなければ、不意に突いてはいけない。『その傷を知りたい』と思った時、真っ先に傷を持つ当人に問うことは、それに近い」

ゆるやかにね、と、トラヴィスは囁いた。
ゆるやかに、隣人の治癒を願うことだ。

「……待つことだよ。そして進むことだ。学び、歩み、お前たちの傷が癒えたら。傷を振り撒くような生き方のほかを、選べるようになる。我々はその日を待っている。チャンドラも、私も」

【人】 不覊奔放 ナフ

>>61 ルヴァ
もしあなたの考えを知ることがあるなら、もう終わったならよかったのに、なんて言ったかもしれない。持ちかけられた話に待ても出来ず突っ込んだ獣が何を、という話ではあるのだが。

男は約束に頓着しない。他人がつく嘘もどうでもいい。
だから、あなたの命は、キャッシュバックされたら『ラッキー』で、されたので『ラッキーになった』というだけだ。

男は男で。
暴力は頭脳に劣るな、と考えているので。
やっぱりどう足掻いても交わることはなさそうだ。

噴き出す血を浴びて、悪魔が笑う。これほど人並みはずれていても、血の匂いは特に周りと変わらないなと感じた。

あなたの向ける銃口が見える。見えた。あなたの目が濁ってきたのを知っているし、照準は少しばかりずれている気がした。

「……俺なァ、今回、脳味噌でしか死んでねェン、」

呟いた言葉が聞こえるなんて思っちゃいない。
男は少し身を捩り、
あなたの照準に心臓を合わせた。


銃声が聞こえる。有り余る血が噴き出す。常人より多く、さながら作り物のスプラッター映画のように。強すぎる心臓が、止まれと言われてめちゃくちゃに暴れているかのように。

びくん、と一度跳ねて。
その場に倒れ込んだ。 血の海を作りながら。
(64) 2021/10/18(Mon) 2:11:26
ナフは、血の海に沈んでいる。
(a28) 2021/10/18(Mon) 2:12:37

ナフは、呼吸をしていない。
(a29) 2021/10/18(Mon) 2:12:51

「……私は結局、まだ。まだ、あれ以降チャンドラと話せてはいないよ。避けているわけではなく、先に話に行くべき相手がいたからというのもあるし……
ジャック以降に死に過ぎている


一日一死ペースで死んでいるのだ、恐らく蘇生室で眠っている時間のほうが長い。会議でほんの少し言葉を交わした程度で、本当にそれだけで。……故に少しばかり目を伏せて。

「君がチャンドラの味方でいてくれたことを嬉しく思っている。これは本当だ。私も……少し合流は遅れるかもしれないが、まだ『ペットちゃん』の任を解かれたわけではない。彼の都合のいい時にでも、話に行きたいと思っているよ」

【人】 不覊奔放 ナフ

三度目の蘇生は、軽やかな高揚に塗れて。
目を開いた瞬間は酷くスッキリとした朝の目覚めに似ていたのだが、ポッドを開けようと手を動かし、それが酷く重たいことに気付いた。

「………?」

精神は
元々育っていないせいで
カウンセリングルームに行くほど酷くもならないのだが、身体はそうもいかないらしい。短期間で培養と複製と増殖を繰り返した細胞は、あるべきところにあるくせに、まだうまく統率が取れていない。
寝起きの身体のだるさにも似た不調を抱えながら、気を取り直してポッドを開けた。

ずるり、とどこか這い出るようにして、ポッドの外へ。
(68) 2021/10/18(Mon) 17:57:23
ナフは、ロビーの隅に座り込む。ここで待とう、色々を。
(a48) 2021/10/18(Mon) 21:22:13

静かに、咀嚼する。
他人の傷を、今までどうしただろう?
―――考えるまでもない。
全部に触れた。全部を包んだ。そうしてそっと前を向かせ続けて。

結果が、今だ。


ゆるやかに、見守る事。願う事。祈る事。
それだけなら、ずっとキンウがし続けてきた事だ。
……癒える事なく腐れ落ちてしまったらどうするのだろう?
キンウはまだわからない。
もしかすれば、確実な事は未だ傷の残る男にも。
学び続ければ、見えないものも見えてくるのだろうか。

【きっと、長くお待たせしてしまうでしょう】

償いの時間はまだ多く残ったまま。

【けれど、期待は裏切らないよう尽力いたします】

待っていてくれるほどには期待してもらっているのだと、解釈した。
並べるようになる頃には……今の言葉をもっと理解できるようになっているはずだ。

【何故そんなに死んでいらっしゃるのですか?】


毒殺の経緯は聞いたけれど、なんで?
短期間で死にすぎではないかと流石に不安になる。
あとで羽セラピーにでも行った方がいいでしょうか。

【傍にいると、キンウは約束をしましたから】
【……ちゃんとお話をされてくださいね】
【きっと、アマノ様とお話できないままであればチャンドラ様も寂しいと、キンウは思います】

アマノ様自身も。
呟きが空気を震わせることはなく、ただ唇だけが動いた。
……どんな思惑があったのだとしても、キンウは互いに悔いが残らなければいいと、思うのだ。

【人】 不覊奔放 ナフ

>>80 アマノ
男は、退屈が何より嫌いだ。
ではここで、動きもせずに何をしていたのかというと。人の流れを見、遠くの人のざわめきを聴き、この場の静けさを感じ……つまりは、そう、ぼんやりしていた。珍しく。
跳ね飛び回るにはちょっと身体が重い。枷もないのに。


「……、ン」

そんな風だから、隣にあなたが来た時も、ややいつもよりは反応が遅れた。隣に座るのを見、気持ちあなたの方へ寄った。

「退屈してたぜェ。……えー、ッとォ…おはよ?おかえり?おつかれ?……うーン?」

どの言葉を送るべきか、が曖昧だ。

「えェと、……会いたかったァ」
(82) 2021/10/19(Tue) 3:01:01
「……ちょっとナフとトレーニングルームでやりあって負けて殺されたり……メサの襲撃に行ったら15tが飛んできて衝撃で吹き飛んだり……」

ちょっとどころじゃない死に方をしている。毒殺から爆散までなんて本当に蘇生の時間と蘇生後の移動時間とあとちょっとくらいしかなかったんじゃないか。死のRTAである。
ただでさえ大丈夫じゃない男の精神がそりゃあもう大変なことになっているので、羽セラピーは素直に嬉しいだろう。実際に手はもう今虚空をもふ……になっている。
癒しがほしい。


「……ああ、そうだな。ありがとうキンウ。……全く、いつの間に寂しがり屋になったのやら」

彼も私も。唇の動きだけで呟いて笑った。

【人】 不覊奔放 ナフ

>>84 アマノ
「……ンンン…」

よもやまた死んでいたとは。聞いて、唸り声を上げる。

「……………
俺も死ンでたのでェ、責めン


死んでなかったら、多分責めた。ちょっぴり。
肩が触れているにも関わらず、遠いなと思った。もう少しそばに寄りたいと思ったらあなたの頭が寄りかかっていた。避けるはずもない。

「あった。……ンー……いや、いいことだと思う。楽しー暇潰しのつもりで来たけどォ、暇潰しどころじゃなかった。生まれての71年間全部ひっくるめた分よりィ、頭使ったと思う」

得たもの、というには少し違う。これらを使ってこれから得るものが更にあるのだろう。
あなたの頭に頬を擦り寄せる。多分避けないだろうなと思いながら。

「……手に入ったモン、てェ言うならァ、お前」
(85) 2021/10/19(Tue) 3:28:25

【人】 不覊奔放 ナフ

>>88 アマノ
「ルヴァとやり合った」

端的に伝えた。けろりとしているところと、あっさり告げるところから、揉めたのではないということと蟠りはこの男にはないということくらいは伝わるだろうか。

「うン。……変な話だがァ、アマノ、俺ァよ、なンかァ……この期間で、ようやく考えることを許された気がするンだ。いや、考えはしてたンだけど、考えたからこの監獄にいるンだけどォ、」

相変わらず脳内の思考というやつはうまく言葉に纏まってくれない。それでも、一番初めにあなたの部屋に訪れて話した時よりは少しはマシになったんだろうか。なってたらいいなと思う。

そして、あなたの言葉を聞くと。
より一層強くぐりぐりと頬をあなたの頭に押し当てて。

忘れるかボケェ!
いーかァ?よく聞け?お前多分自分で思ってるよりずーッと俺のこと好きなンわかりやすいしィ、すぐ忘れられるようなモンじゃねーからなこンなん!
俺のもそーだよ、何のためにあンだけ言葉ァ探し回ったと思ってンだ!忘れられっかこンな、初めてで強烈なモン!」

「だから」

「すげーイイコにしてみせッから、待ってろ」

悪魔でいることを選んで、悪の糧となることを望みはするが。
あなたに会いに行くために、イイコを演じることは、辞さない。
(90) 2021/10/19(Tue) 4:10:54

【人】 不覊奔放 ナフ

>>93 アマノ
「ン」

それ以上返す言葉を持たないときの、短い返事は相変わらずだ。素っ気ないつもりはないと、きっと今なら伝わっているだろうけど。
つまりは楽しかったし燻るものは何もない。あなたの認識で間違いはない。

「……それが有り得ねーッてのも、初めて知った。から、それは収穫だな、デカい収穫。兄さンもセンセェもできた、知り合いも増えた、色ンな考え見たし、……ンー、」

それでも難しいこの言葉というやつは、あなたが言うようにもっと成長すれば追いついてくるんだろうか、この思考に。今はまだ分からないが、言葉を練るのが疲れたと言わんばかりに口を閉じた。休憩。

伏せたあなたの顔を覗き込むなんて野暮はしない。が、離れようともしないまま。

「俺はさておかンが、まァ、いい。
……ふ、ふふ。他のヤツになァ、蹂躙されンなよ、お前ェ。俺のなンだからなァ、イイコにしてェ、大事にしとけよ。アーーー……何?頑張る、からさァ」

多分、努力とか、こういうことを言うんだろう。途中で間違うかもしれないが、間違いを教えてくれる人は、今までよりは身近にいるはずだ。
待っていてくれるなら、それを信じる。口付けを避けるわけもないのだが、……周囲を見渡して。
(94) 2021/10/19(Tue) 5:03:34
【殺されるところまでいくのはちょっとどころでは、ありませんよ】
【もっとお身体を大事にしてください】

端末の向こうでふえーん。羽もしょんもり。
この後、羽セラピーしに行った(確定ロール)

【ずっと前からですよ】
【ただ隠してしまえていた、だけで】

自分にも他人にも。
……気付いてしまった人達が、寂しくないようにと。
キンウはそっと、祈った。

【人】 不覊奔放 ナフ

>>97 アマノ
距離感が楽だ。言葉をやめても問い詰めもしない。そのくせ何か言いたいことがまとまらずにいるとそれとなくヒントをくれる。
色んな人は無礼講でなくともいるのに、考えに触れる場はそういえば多くはなかった。ぼんやりあなたの言葉を頭の中で噛み砕く。

「そりゃよかッた。俺ェ?俺はァ……、気ィつける。独房に鍵はかからンが、お前のモンだからなァ、守るわ出来るだけ」

未来は分からない、から絶対とは言い切れないが。男の思い的には絶対に近い。
自分の物陰で行われる愛の応酬に、小さく、これがあの悪魔かとは思えないほど穏やかに笑って。

「またな」

来る瞬間への挨拶を、
本当は言いたくないが、
述べた。
離れたく、ないなぁ。
(100) 2021/10/19(Tue) 16:06:11

【人】 不覊奔放 ナフ

>>103 アマノ
「……『あの トラヴィスの生徒』でもあるぜ」

打算は幾らでもある。そのために繋いだ縁ではないが。
何かと目立つ看守二人の名前、使い方を間違えないように。そして、その後ろ盾を無くさぬように。
そのためには『イイコの仕方』を学ぶ必要があるのだが……これはきっと、このエリアを出た後でも学べることだ。

とん、と叩かれる軽い衝撃が、それだけでこの心臓を揺らす。あなたを名残惜しむ柘榴色は、ずーっとあなたを見つめ続ける。

無礼講が終わりを告げ、あなたと空間さえも分つまで。いや、離れてからも。
ずっと、
あなた
を。
(109) 2021/10/19(Tue) 17:46:52
ナフは、メサに、緩やかに手を振った。おかえり。
(a50) 2021/10/19(Tue) 17:47:28

【人】 不覊奔放 ナフ

終わりを告げるのは天使のラッパじゃない。多分、アラームか放送か何か。酷く現実的な何かが、男を暗い日常へ連れ戻しに行くんだろう、きっと。

まぁいい。あの場所ーーこの監獄が、唯一俺が生きられる場所だ。

幸福の形を知った今ではちょっと退屈さが増してしまうのは否めないが。退屈を楽しむ感性でも身につけてみようか。やろうと思ってできるかは分からないが。
男としては随分前向き……というか。足元だけを見る思考ではなくなったことは確かだ。

迎えに来た顔馴染みの看守を見る。始まる前に蹴られたことを根に持っている様子もなく……いや、覚えているけど諦めている顔だなこれは、と思い至った。そんな感情まで理解できるのがなんだか少し面白かった。
ついでに言えば、男の起こした事態について非常に呆れているようでもあった。そりゃそうだ。

枷は重くなるぞと言われた。それはそうだろうなと思った。
飯は不味くなるぞと言われた。……菓子以外の物ももっと食っとくんだった。
その他のことについてはまた後日、と言われて、はァいと返事をしたら、珍しいものを見る目で見られた。

そうして、腕に枷がつけられる。
脚にもつけようとしゃがんだ看守が、靴はどうしたと聞く。

「ンー、ッとォ、」

「重たくなっちまッてさァ」

その一言は笑って、軽やかにーーー、
(113) 2021/10/19(Tue) 20:33:20
 




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