人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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懐から月桂樹の葉をモチーフにしたブローチを取り出す。
つける勇気はなかったんだ。
だけど、お守り代わり生きる希望にはなっていたよ。
未来が、
それなりに
惜しくなるほどに。

「狡をしている気分だな……」

それだけではないとしても、破滅願望を理由にここにいる。
誰かを傷つけるように選択した人間が、
何かを掴むことなど、許されるとは思わない。

……だけど。

「…俺を甘やかす人間に文句を言って欲しいね」

冗談めかすように笑いながら、独り言ちる。
その言葉を聞く者はいないから、本当にただの独り言。

手の内でブローチを弄んで、考えるように手を止めた後、
テーブル上に置かれた小箱の中にそっと仕舞う。
お守り代わりではあったが、この先に持っていくには壊れそうだ。
家主の留守を任せるように、それは置いていくとしよう。

代わりに、彼女から最初に貰ったヘアピンで前髪を飾り、
さっさと床にでも
寝転がってしまいたい気分を抑えて立ち上がる。



「……エルにはなんて謝ろうか」

手伝うって言ったのにな。また嘘を吐いてしまった。
まぁ、彼は優秀だし上手くやるだろう。
そう思っておかないと許容範囲超えで頭がおかしくなりそうだ。

おかしくなるついでにぶっ倒れてそのまま、
最悪目を覚まさない可能性がある。
もうかなり約束からの気力だけで何とかしている。
これがアドレナリンってやつ?医者に怒鳴られそうだ。

考えるのはやめよう。頭の痛さが増してしまう。

懐から電源を落とした端末、
それから素敵な最低の先輩が渡してきたマフィアから押収した銃。
それらをもう一度確認してからスーツ内部に押し込んだ。
ポケットの中の袋も……ある。忘れ物はなさそうだ。

流石にこれを持って面会はまずいので、
午後の予定を片付けてから取りに戻るとしよう。

「………どの面下げて、という話だが」

己を慕ってくれている後輩を思い浮かべて、
深いため息が零れていく。
今更会いに行くのもそうだが、彼にも沢山嘘を吐いた。

【人】 路地の花 フィオレ

>>+12 テオ

「それもまた、今更でしょ」

言い続けてきたことだ。
花を丁寧に育てるあなたに惹かれたと。
変わらない。ずっと変わらないことだ。

「そうね」
「でも、あなたのその言い分はちょっと変だわ。
 だって静かに咲いていようとしていた花に近付いてきたのもあなたじゃない」

ちょっとだけの言いがかり。
けれど、あなたの方から歩み寄ってきたこともあったでしょう?

柔らかなパンとしっとりした肉が噛み千切られるのを見て、嬉しそうにくすくすと笑って。
この女はやっぱり、あなたがそうやって拗ねていたって楽しそうにしているのだ。

「あら、それって」
「私のこと、特別に見てくれるってこと?」

嬉しい、と都合よく受け取るのもいつも通り。
甘い甘い毒を押し付けて、絡めとってしまって。
いつか、その毒が回り切ってしまえばいいと思う。

面倒を見ることを放り投げないのは優しさなのか、使命感なのか。
どちらにせよ、こちらには得しかないことだ。
だからこちらは笑って。

「本当に、難儀な人!」
(10) 2023/09/24(Sun) 4:51:05

【人】 無敵の リヴィオ

>>9 ダニエラ

「はは、そう言われるんじゃないかとは思ったよ。
 だけどね、今日
だったから
必然なんだ」

仏頂面にも怯まず笑顔のまま席へと座る。
そうして腕を組み、首を僅かに傾けながら口を開いて。

「……で、だ。こういうのは単刀直入に話そうと思う」

ジェラートは食べながらで構わないよ。
溶けてしまってはジェラート屋の店主が可哀想だ。
話しかけた側が何を言っているのかという話だが。

いつもと同じスーツのポケットの内側、
そこから小さな袋を取り出して、
君にも見やすいようテーブル上へと置いて見せる。
万が一のため、その袋に左手は添えたままだ。

きっと君には──いや、君なら、見覚えがあるはずだ。

#specchio

(11) 2023/09/24(Sun) 8:05:45

【人】 無敵の リヴィオ

>>9 >>11 ダニエラ

その透明な袋の中には『銀のヘアピン』が入れられている。
勿論、知らないとただ首を振るのも簡単だろうが。

「……俺は、嘘つきでどうしようもない人間だが。
 君が言葉を渋り、いつもとは違う様子を見せたのなら、
 近付かれても間抜けに笑っているほど無能じゃない」

「最も、無能な人間は上に沢山居そうだけどね」

目が飾りの代理様とかね。
口にはせずとも態度に出していく。

「まぁ、それに……君と俺は案外似ているらしい。
 本当の意味で仲良くやって行けそうな程にね。
 俺としては、あー……犬カフェに行きたいのは本音だ」

単刀直入と言いながらいつもの声色で、
いつもの……とは異なる柔く弱々しい笑顔を浮かべて、
まるで会話を早々に終わらせるのは惜しいというように
語り続け、その翠眼は揺れることなく君を見ていた。

#specchio
(12) 2023/09/24(Sun) 8:08:49


「………考えても無駄だな」

会いに行かなくてはならない。
彼が今どうしているか、この目で見て、知りたかった。

出来ることなら、傷付いていて欲しくはないが。
そう思うならもっと、ちゃんと、会いに行くべきだった。
リヴィオ・アリオストは嘘つきだが、
けれど君を想う心は嘘じゃなかったんだ。

「………あー、ニコやルチに会いに行くのはやめておこう。
 今顔を見たらみっともなく崩れ落ちそうだ」

こちらは流石に嘘だが、全くの嘘とも言いきれない。
先に入ったニコの様子は気になるが……止めよう。
気にならない。変に怪我をしていたら逃げ出したくなる。
何なら想像だけで嫌になってきた。止めておこう。

「……言っている場合じゃないな。そろそろ行こうか」

時間もそう多くはない。
彼女のお迎えダニエラ君の検挙を思うとゆっくりしてはいられないんだ。

玄関付近にスーツの上着を置いて、
男はその日の午後、
足を運ぶことが出来なかった収容所へと向かう。

そうして夕方、彼女が仕事を終える頃────。

【人】 傷入りのネイル ダニエラ

>>11 >>12 リヴィオ

「……。」

匙ですくったジェラートを口に運ぶ。
そのまま流すような視線であなたの取り出したものを見た。

…最後の最後に、賭けに負けたのだ。女は。
但し賭けに負けたという事実はこの一晩のうちに確定しており、こうなることを女も薄々勘づいていたわけであるが。

「…そおですねえ。」

日頃の暢気な空気をまとわりつかせたまま女は頷く。
今日この日も会話の内容さえ加味しなければ、平和で平穏な日常の1ページであるようだった。

「本当に無能な人って、存在するんですねえ。」

よく顔も覚えていない代理様とか。
こちらはそれは態度には示さなかった。
多少の棘だとかいうレベルで済ませられる気がしなかったのだ。

#specchio
(13) 2023/09/24(Sun) 8:48:37

【人】 傷入りのネイル ダニエラ

>>11 >>12 >>13 リヴィオ

「…あたしも、行きたかったんですけどねえ。犬カフェ。」

『銀のヘアピン』について、女は言い訳のひとつもしなかった。
それには女なりの理由があるが、少なくとも今口にする気はない。

「でも、やっぱり似てるそうなんですかあ。」
「……残念ですう。」
「やっとリヴィオさんのこと、少しは分かってきたような気がしてましたのにい。」

女が惜しむらくはそこだ。
いつもと違う笑みを浮かべるあなたに、少しだけ困ったように笑いかける。
…そっちの方がいいですよなんて、果たしてどの口でいえばいいのやら。

「――それで」

場違いにジェラートを食べ進めながら。
もう少しだけ、踏み込んでみる。

リヴィオさんは

あたしにどうして欲しいんですかあ?


#specchio
(14) 2023/09/24(Sun) 8:50:02


「……さて、最後の仕事だ」

お互いに標的とするなら
肩を組んで仲良く自首出来たらいいんだけどね。
残念ながらそう簡単には行かないのが人生ってやつだ。

「……頑張ろう、あと少し」

檻の中ならようやくまともに休めるだろうか。
出来ればゆっくりと寝かせて欲しいものだね。

俺も──……彼女も。


その行い法の施行を受けたものからすれば
到底許されるものではないかもしれないが、
等しく人間である以上、眠りというものは平等だ。
安らかすぎる眠りは御免だが、
少しくらい休めるといいなとは考えずにはいられなかった。

 

2023/09/24(Sun) 8:56:35

【人】 無敵の リヴィオ

>>13 >>14 ダニエラ

銀のヘアピンこれ』を壊さずにいた理由は
単に壊したところで怪しまれるだろうという点と、
君に疑われるのならそれもいいかと考えてしまったから。

流石にルチアーノとのやり取りの際には上着を脱ぎ、
ベンチへと放り投げて会話の一部を隠していたが、
それ以外は敢えてずっとポケットの中に仕舞いこんでいた。

君がこれを贈り物とせずにいてくれたことが、
男にとって何よりの救いなんだろうと思う。
男は今まで何かを受け取る側にはなれなかったからこそ。


言い訳がないことに安堵したのか。あるいは胸を痛めたのか。
どちらとも言えるし、どちらとも言えない表情を浮かべて、
少し伏せた視線は、また君へと戻されていく。

「……はは、残念がってくれるのかい?
 それは嬉しいものだね、惜しまれるとは思わなかった」

こんな男だが、何故か慕ってくれる後輩は居た。
嘘ばかりで、嘘の自分を慕われることが苦しかったが、
彼らとの日常は、とても楽しい日々だった。

それは確かに、嘘じゃない。心からの本音だ。

#specchio

(15) 2023/09/24(Sun) 9:48:24
リヴィオは、リヴィオ・アリオストは嘘吐きだ。
(a12) 2023/09/24(Sun) 9:49:24

リヴィオは、別に、無敵なんかじゃあない。
(a13) 2023/09/24(Sun) 9:49:46

【人】 リヴィオ

>>13 >>14 >>15 ダニエラ

「どうして欲しい、か……そうだね」

考えるような素振りを見せるが、答えは既に決めている。
任されたから為すのではなく、それは男が決めた答えだ。
わざとらしい笑顔に切り替え、一呼吸置いてから。

一緒に自首俺とデートをしよう、ダニエラ君」

「その一度きりのデートでは満足とは言えないだろうから、
 全てが終わったその先で犬カフェにいこうもう一度デートしよう

未来はいらない。ここで破滅してしまいたい。
そう考えていた過去を思えば、
未来の話をする男はきっと、少しは前を向いている。
お節介で、お人好しで、物好きなやつらのおかげせいで。

それにきっと、終わることを許してくれないんだ。
仲間の一人を思い浮かべて、思わずため息が出そうになった。

「……そういうのは、駄目かな?」

わざとらしい笑顔は外して、何処か伺うように、
やっぱり弱々しさのある表情で君を見る。
傍から見れば君に振られた失恋男って感じだ。

まだ振られてはいない。色気のない口説き文句ではあるが。

#specchio
(16) 2023/09/24(Sun) 9:50:56
リヴィオは、ただのひとりの人間だ。
(a14) 2023/09/24(Sun) 9:52:02

【人】 傷入りのネイル ダニエラ

>>15 >>16 リヴィオ

きっと女が昔のままの女だったなら。
あなたに贈られたものは『銀のヘアピン』であり、愛らしいヘアクリップは今も女の手元に残されていた。
そもそも、いつも通りに何の脈絡もなく突然ヘアピンを贈りつけるだけで全ては事足り、今こうして共にパラソルの落とす影の下語り合うことだってなかったはずだ。

そうしなかったことそうできなかったことが、女の敗因であり。
そして、あなたの救いであるらしかった。


女の手が止まる。
しゃくり、と匙をジェラートとコーンの隙間に刺した。
ミントブルーの瞳がそんなあなたを映す。
だけど女にはどうしても口にしなければならないことがあった。

「…リヴィオさん。」

#specchio
(17) 2023/09/24(Sun) 11:07:50
2023/09/24(Sun) 11:09:21

【人】 傷入りのネイル ダニエラ

>>15 >>16 >>17 リヴィオ

「あたし、捕まる訳にはいかないんですよねえ。」

女は、中途半端な蝙蝠だった。
獣の仲間にも鳥の仲間にもなれないままの、そんな本物の半端者だった。
それでも、女の心だけはいつだってひとつであったつもりだ。
だから女の言葉はその通りで。
ただやっぱり少し困ったような顔で、あなたのことを見つめている。

「…見逃してあきらめてくれませんかあ?」

そんな甘言。
法を悪用した罪人の、それは最後の足掻きであるはずだった。
そして女は足掻かなければならないはずだった。
空浮かぶ雲の色濃く深い曇り空。パラソルの影と同じだけ、周囲の景色も暗くなる。

#specchio
(18) 2023/09/24(Sun) 11:10:00
ダニエラは、「…でも。」 #specchio
(a15) 2023/09/24(Sun) 11:11:11

【人】 傷入りのネイル ダニエラ

>>15 >>16 >>17 >>18 リヴィオ

匙をとり、ジェラートをそっと口に運ぶ。

「そおいうわけには行きませんよねえ。」
「そおしたら、また別の人が逮捕されちゃうかもしれませんしい」

それはあたしも困ります、と。
女はここにきてようやく、いつものようにけらけらと控えめに笑った。

「ただひとつだけえ、聞かせてくださあい。」
「あたしはずうっと、
あなたたち
を探していたんですけどお。」

「…リヴィオさんは、最後のひとり…ですかあ?」

それだけは、聞けないと安心だってできないもので。
でも、もし違っていたら、どうしようか。
もう少し足掻かないといけないな、そのときは。

#specchio
(19) 2023/09/24(Sun) 11:12:42
自分が捕まった時、波及する人間を考える。

直属の上司。昔馴染み。
1番守りたいのはその2つなのに、それではなんの意味もない。
であれば2つとも、そしてマフィアとも何も関係のない愉快犯として捕まるのが妥当であろう。

…この法案がそれを許してくれるなら、だ。
そしてその秘密を、自分はその後絶対に守り抜き続けなければならなくなる。

【人】 リヴィオ

>>17 >>18 >>19 ダニエラ

こんな口説き文句だけじゃ、
君はきっと落ちてくれないだろうとは考えた。

自分の裏は隠し、『証拠』を突きつけ笑って、
君だけを責めてしまうことは簡単だったが……。
だけどそれが出来なかったからこそ、
まずは真っ直ぐな言葉で伝えるしかなかったんだ。

その後にどうするかなんて、その時考えるしかない。
お姫様抱っこでもして警察署お城に向かうのも悪くはないけどね。
そうじゃないと、彼の呆れ顔を見ることになってしまう。
まぁ、辿り着く前にお巡りさんへ通報されかねないが。

「……俺個人ではなく、
頼み
でもなければ、
 俺は多分君を見逃してしまっていたんだろう」

誰でも良かった。でも、誰でもいい訳じゃなかった。
知っている人間も、知らない人間も。
誰も彼も、無実の人間はあの狭い場所に行くべきじゃない。

本当はずっと分かっているし、
選ばないってのは責任逃れに過ぎない。
狡い人間なんだ、本当は。

#specchio

(20) 2023/09/24(Sun) 12:34:12

【人】 リヴィオ

>>17 >>18 >>19 >>20 ダニエラ

まぁだから、君が見逃して欲しいと口にするなら、
それもいいかと代わりに俺も見逃してくれと笑って、
きっとその後は自己嫌悪に陥っていたんだろう。

そんな過去も未来も、なかった訳だが。

「…だから、すまないね。見逃される諦められることを諦めてくれ。
 君を休ませて座らせてやりたいと言った
のためにもね」

誰が言ったかまで教える必要はないだろうが、
ヒントくらいはいいだろう。
あとはその当人が後で問い質されればいい。

座る場所はどうにも心地がいいとはいえなさそうだが、
仕事を休むって意味でも悪くはない。
しかしもしも彼女に何かをする輩がいるなら、
俺が殴っても噛み付いても許されるだろう。

彼女に何かを思う人間だった場合は?
…どうしようか、特に何も考えていない。
出来ることならそうならなければいいと願うだけ。

代わりに俺を殴る案でどうにかならないだろうか。
別にマゾヒストじゃないが。

#specchio

(21) 2023/09/24(Sun) 12:35:48

【人】 リヴィオ

>>17 >>18 >>19 >>20 >>21 ダニエラ

問いに誤魔化すことなく頷いて。

「あぁ、そうだよ。
俺達
は俺が最後のひとりだ。
 だからね、君がこれ以上に頑張る必要はないんだ。
 安心していいよ、俺は嘘吐きだが──そういう嘘は吐かない」

自分さえ食い殺したかった凶狼【A.C.A】一匹ひとりは笑う。

こんなにも綺麗にひとりになるとは思わなかったな。
最後が俺ってのもどうなんだって話だけどね。

「という訳でだ、ダニエラ君。
 『この街の執行役が全員いなくなれば平和だと思わないか』」

だってさ、これも君を座らせたいやつの言葉。

表舞台は残る人間に任せよう。幸い、そこに宛はある。
というか、黙って隠していたからでもあるが、
【A.C.A】のひとりに協力を頼む有能なやつがいるんだ。

それだけじゃなくて、流石にやり過ぎなこの状態じゃ
あの目がない代理様も残り僅かの天下になるだろう。

そうなって欲しいからそう願っておく。

#specchio
(22) 2023/09/24(Sun) 12:36:56

【人】 傷入りのネイル ダニエラ

>>20 >>21 >>22 リヴィオ

「頼み…彼?……あー。」

わかるような、わからないような。
でもわかる寄り。理由なんかがそれらしい。
女が抱いた
協力者
への印象は、ひとつめのアジトを放棄したときからあまり変わりはないらしい。

だからそのことに腹を立てることはなかった。
彼に伝えた言葉に嘘なんてなかったから。
女は裏切られてもいいと思える相手だけを、信じていた。

それにしても、その
はさておきだ。
ではどうしてあの人は、あなたのことを知っていたのだろう。
…こっちには少し腹が立つ。
顔を合わせぬ間に、伝えたい文句ばかりが増えていく。
それはそれで、女の信頼の証ではあったけど。


#specchio
(23) 2023/09/24(Sun) 14:36:42

【人】 傷入りのネイル ダニエラ

>>20 >>21 >>22 >>23 リヴィオ

コーンを崩して、口の中。
歯触りに微かな香ばしさとイチゴfragolaの味が少しして。
ふう、と一息。口元にはいつもと同じ笑み。

「…でも、そおですかあ。」
「リヴィオさんで、ほんとおに、最後…。」

そんな中、沁みるような声に滲んだのは、安堵だっただろうか。
少しだけ、違うような気もしている。
でも肩の荷がひとつ降りたのだけは、紛れもない事実であったらしい。

あなたの胸中こそ知らないが、女はずっと、早く地獄に堕ちればいいと思っていた。
静かに座る権利なんてどこにも残っていないと思っていた。
だからこれから往く先が、冷たく狭い地獄だとしても構わない。
そういう場所に、女はあの優しい人たちを送り込んできたのだから。
手錠をかけたとき、誰一人として、女を責めた人はいなかった。
女は本当にそのことが、ずっとずっと、哀しかった。


左手小指のエナメルを撫でる。
いつもはつるりと陶器みたいな感触なのに、その表面は傷だらけで少しざらついて感じる。

「…わかりましたあ。」
「デートのお誘い、お受けしますう」

そうして女は、歌うような声で、朗らかに告げた。

#specchio
(24) 2023/09/24(Sun) 14:37:33

【人】 傷入りのネイル ダニエラ

>>20 >>21 >>22 >>23 >>24 リヴィオ

女の虚実は意図しない限り曖昧だ。
今こうして晴れた心地でいることが、本当なのか嘘なのか、女にだってもうよくわかりはしなかった。

でも、ひとつだけ。

「――ところでリヴィオさん。」
「そんなお身体で、まさかエスコートなんて言いませんよねえ。」

半日休むって、言ったくせに。
それについて抱いた感情は本物だろう。
まだあと少しコーンが残っていたけれど席を立つ。
座るあなたを、見下ろして。

「病院でも、風邪薬でも、何でもいいですけどお。」
「雨が降る前に、少し寄り道しませんとお。」

「…デート相手が素直だった分」
「時間に余裕は、まだありますよねえ。」

…聞くところによると、今日は通り雨が降るらしい。
そんなものに、今のあなたを晒すわけにもいかないだろう。
…これが、女が『銀のヘアピン』について、言い訳ひとつしなかった理由だ。

きっと、してやったりと、女はにこりと笑っていた。
#specchio
(25) 2023/09/24(Sun) 14:38:28

【人】 門を潜り ダヴィード

街中を歩きながら端末を引っぱり出し、アジトにいるであろう幾人かに向けて連絡をする。
道中に屋台に寄ってアランチーニを買い、はふはふと食べながら。
近況を上に報告するなんていつも通りの日常だ。なにもおかしくない。

『昨日から付けられてるみたいです
 今日はアジトに顔を出せなさそうです』

「ううん。
 この際温泉でも行こうかなあ……
 見つかったらサボってるって思われないかなあ……」

観光客に紛れられると思って、とか。
街がこのザマじゃあ言い訳っぽいなあ。
次はどこへ行こう。
油の染みた包み紙をゴミ箱に放り投げて、またため息をついた。

#街中
(26) 2023/09/24(Sun) 17:28:31

【人】 コピーキャット ペネロペ

入っていた連絡に舌打ち一つ。
やっぱり車で刑務所にでも突っ込んでやろうか。
今はできない最終手段、
もとい単なる憂さ晴らしをふと思い返しながら。

夕暮れの街を行く。
ペネロペ・ベリーニは知っている。
今この街にいつも通りなんて無い事を。
そして、それはいつかは終わるという事を。

今はいつも通りを装うのが、きっと大嘘吐きの役目だろう。

#街中
(27) 2023/09/24(Sun) 18:55:46
ペネロペは、いつも通りだ。
(a16) 2023/09/24(Sun) 19:21:42


薄闇の街を行く。

本当は不安で仕方ない。
自称博愛主義は誰が逮捕されるか気が気じゃない。
逮捕された後どうしているかだって心配で、
仮に自分が逮捕された後の事だって気が気じゃない。

自分の素顔もわからないけれど、この不安は確かに自分のもので。
そんな事でわからなくたっていいのに、なんて思う。

きっと立場と肩書がなくなってしまえば、
あの連絡ひとつにだって取り乱してしまえたのだろう。
立場と肩書とうわべの顔、それだけで支えられている。

ペネロペ・ベリーニは知っている。

自分がそれほど強い人間ではない事を。

ペネロペは、知っている。
(a17) 2023/09/24(Sun) 19:38:46

【人】 リヴィオ

>>23 >>24 >>25 ダニエラ

君はやっぱりどこか、自分によく似ていると思った。

どんな理由であれ【A.C.A】に所属していたんだ。
地獄にひとりで落ちてしまえばいい、落ちてしまいたい。
そう思う心はまだ、ずっと、胸の内にあるまま。
だと言うのに、お迎えがなかなか来ないから
こんなに留守番して、ここまで残ってしまった。

まぁ最後そうじゃなきゃ、未来の話はきっとなかった。
誰かとの未来に笑う自分が、許せなかったから。

別に、今も許せているわけじゃあないが──。
あの物好き達の顔を思い浮かべてまたため息が零れかけた。
多分、惜しいと口にしたのが自分の敗因だった。

案外、責められるよりも責められない方が苦しむらしい。
暫くはそこに身を下ろして、生きていこうと思う。

勿論、石や罵詈雑言も歓迎しているよ。
マゾヒストじゃないけどね。

#specchio

(28) 2023/09/24(Sun) 20:18:57

【人】 リヴィオ

>>23 >>24 >>25 >>28 ダニエラ

「…あぁ、最後だよ。本当の、本当にね」

繰り返すのは、嘘じゃないよともう一度伝えたくて。
君の本当の心までは理解出来ないが、
そのひとつの事実に、男はひとつ安堵する。

もしもまだ心配なら二人の名を伝えようかとも考えたが、
問題なさそうなので浮かべた顔に頭を振ってかき消した。

「………ありがとう」

こんな色気のない口説き文句で、
落とせるとは考えていないし思いもしない。
それでも、真っ直ぐに伝えることが今出来る全てだったから、
君が誘いに乗ってくれたその事実にまた安堵して、
強ばっていた肩の力を抜いた。

──瞬間、意識が一瞬点滅する。

まだ全てが終わった訳ではないというのに、
どうやら力を抜きすぎたらしい。
再び君の様子を確認すれば、既に君は立ち上がって。

#specchio

(29) 2023/09/24(Sun) 20:19:55

【人】 リヴィオ

>>23 >>24 >>25 >>28 >>29 ダニエラ

…まずい。意識が飛んでも何を言いたいかは大体分かる。

「…………はは」

分かるのだが、まずは笑って誤魔化そうとする。
誤魔化す必要はないが、感じた圧から逃げたくなったせいで。
体を逸らして少しだけ距離を取り、悪足掻きをする。

「……いや、えっと。あー………はい、そうだね。
 それについては、うん……俺も諦めるとするよ………」

そのまま少しだけ悪足掻きを続けようとするが、
流石に君が諦めたのに、諦めないのはどうかと思った。
病院に行ったら長めに拘束されそうだが──。

「…病院へのデートも付き合ってくれるかい?」

仕方がない。医者に怒られるよりも君の方が恐いんだ。
デートの前にデートに誘って、
君の時間を長めに頂戴するとしよう。

熱の本当の理由を向かう途中で明かそうか。
出来れば、怒らないでいてくれると助かるよ。

…あぁ、そうだ。語るついでに言いたいことがもうひとつあった。
多分、辿り着くまでに時間はまだあるだろうから。


#specchio
(30) 2023/09/24(Sun) 20:20:49
リヴィオは、「ねぇ、ダニエラ君。俺と友人になって欲しいんだ」 #specchio
(a18) 2023/09/24(Sun) 20:21:15

リヴィオは、少し照れるようにそう言って、言葉を続ける。 #specchio
(a19) 2023/09/24(Sun) 20:21:22

リヴィオは、「きっと仲良くなれると思うんだ。…これから、もっとお互いに知っていこう」 #specchio
(a20) 2023/09/24(Sun) 20:21:33

リヴィオは、君と友人として、犬カフェに行くのがこの先の夢だ。 #specchio
(a21) 2023/09/24(Sun) 20:21:42

リヴィオは、そうして「通り雨の後、虹が見れたらいいね」と笑って。 #specchio
(a22) 2023/09/24(Sun) 20:22:30

リヴィオは、曇り空の下君とふたり、同じ足並みで歩んでいくのだった。 #specchio
(a23) 2023/09/24(Sun) 20:22:53

そういえば。
女はこの日、勤務中、このアジトに1人だけ人間を招いた。
部屋の隅に置かれたボストンバッグを預け、
自分のことを何一つ告げぬまま
、2人は別れ、今に至る。

結果として、その後のリヴィオ・アリオストとの対面を思えば、正しい判断だったのだろう。
女が不在の今も、この一室の明かりはついたまま。
デスクの上には、女がもらった大切な贈り物たちが並んでいた。

【置】 傷入りのネイル ダニエラ


マフィアを幇助する目的で、
【A.C.A】のメンバーを探り盗聴器を仕掛けた


出頭し、そのように己の罪を告白した女が逮捕された。
女もまた波魔【A.C.A】であったために、余罪は多いとされ尋問の手配がとられることとなる。
それを待つまでの暫しの時間、檻の中での待機を命じられた女は落ち着いた様子だった。

ただ痛いだけならいくらでも我慢してやれる自信はあったけれど、
爪を剥がれるのは少し嫌だなと小指の爪を撫でていた。
(L4) 2023/09/24(Sun) 22:23:53
公開: 2023/09/24(Sun) 22:30:00

【置】 リヴィオ


ダニエラとの病院での診察一度目のデートの後、
男もまた出頭し己の罪を告白する。

様子の可笑しい人間で、職務態度も良いとは言えないが、
渡された仕事をきっちり熟す点においては知る人ぞ知る。
勿論、仕事を遣り遂げるのは当たり前のことではあるが、
その速度は人並み以上のものであった。

さて、そんな男の罪は何かと言うと、

マフィアからの押収品である銃の所持だ


どうやら押収品として保管される前のものを
持ち出したらしいが……直接的に行ったのは、
同部署に所属する警部補の一人だと語っている。

実際、やり取りの証拠となる音声が録音された
ボイスレコーダーを所持していたことや、
リヴィオ・アリオストによる証言から
その警部補へも詳しい事情を確認する運びとなったらしい。

そうして肝心のリヴィオ・アリオストもまた、
詳しい事情の確認が必要となるため、
ダニエラ・エーコと共に檻の中での待機を命じられていた。
 
(L5) 2023/09/25(Mon) 2:36:15
公開: 2023/09/25(Mon) 2:40:00
 


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