124 【身内P村】二十四節気の灯守り【R15RP村】
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[ ある日の『エアリス』からの手紙。
そこに綴られた言葉に、私は動きを止めた。
今の私の在り方の本質を突くような言葉。
返事に何を書くべきかは迷い、暫く白い紙の前で一文字も書けなかった。 ]
『 私は、世界が嫌いです 』
[
ユラ
を
弾き出した
世界、なんて。
私はもう、世界というものを
愛
せない。 ]
[ 素直に質問の答えを書いたのは、別段隠す事でもない、と思っていたからというのもあるけれど、
人に伝えるという事が欠けている私がきちんと答えを返せたのは、これが手紙という媒体であったから、というのもあるだろう。
私は、文字でなら、僅かに雄弁であるから。
但、深い理由は書かずに、質問の答えとしてシンプルなそれだけの文。
どうして彼女は私にそれを尋ねたのか。
此方の事を見透かしているのだろうか、とも思ったけれど、もうひとつ思うところがある。 ]
『 貴方も、世界が嫌いなのですか? 』
[ 自分を傍観者に置いてしまいがちの私が、こうして誰かに質問をするのは、とても珍しい事だった。
大寒の領域、それから統治域は雪の世界。
それを知ってはいるけれど、彼女の内面まで、“見る”事は出来ないから、彼女がどう思っているのか、ということは、私は知らなかった。
さて、返事らしい返事はあったかどうか。 ]
| ……あ ………………こんにちは、大寒さん [ 手元には、食べかけの椿餅と菓子切り。 和菓子を放置して、また手帳へと向かっていた私は、不意の声掛けに顔を上げた。 >>3:118 雪のような白いドレスに、それから中央の人間に渡されていたブーツ。大寒の灯守りである彼女の珍しい姿。 何の用だろうか、と、じっと見つめたけれど、沈黙の落ちる時間はそう長くはなかったか。 ] ……? ……………ええ、構いませんよ [ 大寒の彼女の言葉に、私は目を瞬かせる。 どうして彼女が誰かの手紙を預かり、それを処暑域の誰かに届けようとしているのか。様々な疑問が浮かんでいく。 面倒、だと思う訳ではない。むしろ、興味を引かれる。 しかしそれが会合の資料の裏に書かれたものである事に気付けば、私はぴたりと固まった。 ] (11) 2022/01/27(Thu) 2:37:12 |
| ――――――…… [ “ 私”宛の手紙。 内容はまだ読んでいないけれど、それに気付いた。 預かった、と言っているけれど、今書いたということが分かったから。 ……確かに処暑域の話であることは考えれば分かるかもしれないし、領域に送っているのだから、灯守り相手だということは、彼女にも分かっていたのかもしれない。 彼女が続ける話には応えられず黙ったまま。 >>3:119 彼女は行ってしまったか。 ] ………………… [ どうして私が元気そうならば、安心するのか分からない。 『 大寒の灯守り』と『 処暑の灯守り』はそんなに親しかっただろうか。 ……それとも『エアリス』は、何か 私に思う事があったのだろうか。 私はそれを知らない。聞く事はなかったから。 ] (12) 2022/01/27(Thu) 2:37:45 |
| [ 大寒の彼女が立ち去れば、私は手紙に目を落とす。 常と変わらない柔らかい語り口で、綴られるのは今この時の事。 >>3:*109 “観察”するだけの灯守りの、内面に触れられたのは嬉しかった、と、 “観測者”の目線で思ったのもつかの間。 ] ……………… [ 「友達」――と。 私がそれを見た時に、最初に思ったのは戸惑いだった。 「友達」というもの。それはどういったものであるのか分からない。 今は人を遠ざけているのだから当然として、普通の人間であった頃も、そう呼べる人が居たかどうか……怪しい。 ただ、「友達」というものに興味がない訳ではない。 そして「友達になりたい」と、そう言ってくれた『 エアリス』とならば、その関係へと、一歩踏み出してみても良いのかもしれない、とは。 ] (13) 2022/01/27(Thu) 2:39:00 |
| [ “彼”が私の側に居てくれたように、 彼女がこの詰まらない“私”を望んでくれるなら。
『エアリス』が、手紙の上だけでなく、一人の灯守りとしての貌としても、私と話したいと願うなら。 ] (14) 2022/01/27(Thu) 2:39:38 |
| [ 但、人との接し方を忘れた私には、その一歩が恐ろしい。 大寒の彼女へと視線を遣るが、彼女はどうしていたか。 暫く交互に、彼女と手紙を見つめていた。* ] (15) 2022/01/27(Thu) 2:40:03 |
| [ 空が夕焼け空になる頃、彼女を訪ねる私が、居るかもしれない。 ]
…………………大寒さん
[ 長い沈黙の後で、差し出すのは手紙。 手帳を千切った、飾り気のない便箋。 ] (16) 2022/01/27(Thu) 2:41:14 |
『 私は、友人というものが何であるのか分かりません
だから、どうしたら良いのか、分からないのです
私は、人と話すのも苦手です
ですので、貴方の望むようにはお話し出来ないと思います
ただ、貴方が貴方の事を話してくれるなら、私はそれを聞きたいと思います
貴方が私の事を聞きたいと思うならば、何れ話せる日が来るのかもしれません
それは友達と言えるのでしょうか
また、貴方と顔を合わせて話したいと、私は思っています 』
| [ 相変わらず署名のない手紙を読んで、彼女はどう思うのか。 その光景は、今回の会合に存在したか、どうか。* ] (17) 2022/01/27(Thu) 2:42:07 |
| (a0) 2022/01/27(Thu) 2:49:46 |
── 天乃との昔の話 ──
こんな話、殿方にすべきではないのでしょうけれど……
[ 胡散臭く恥じらってみせたのは
そんな前置きをした後の話題のためだ。
生憎恥じらいなんてものは生娘であった頃から
一切持ち合わせてはいなかったけれど。
はじめての時だってご苦労なことだなと思うだけだった。
可愛げの欠片もない小娘相手に無理に興奮して見せ
媚まで売らなければならないことに。
『芒種』という名の台座でいるだけのわたしよりも
きっと苦労も多いことだろうと気の毒に思っている間に
なにもかも終わっていた。 ]
無理に結婚を推し進められない立ち位置になったせいか
毎晩ね、寝室に……
代わる代わるおとこのひとがいるのよね。
うちはほら、先代までは『女に灯守りは継がせられない』
なんてちょっと偏った風習だったくらいで……
女は子供を産むもの、っていう考え方がね、
少し強くいひとが、まだおおくて。
『後継にならない子を産ませたい』のか
『子供を産ませることで引退させたい』のか
それとも単純に『気に入りを見つけさせたい』のか……
目的はよくわからないのだけれど、
なんであれお断りする理由がなくて困っているの。
わたしが理由もなく追い返せばきっと
役目を全うできなかったお叱りを受けてしまうでしょう?
誰か一人を気に入るのは無理でも
せめて任された仕事はさせてあげたいのだけれど
いい加減、少し疲れてしまって……
[ 殿方に、以前にほぼ初対面の相手に
ぺらぺら暴露する話でもない。
毎夜代わる代わる違う男に黙って抱かれていますなんて話。
いくら世間知らずとて、ちょっと異常なことはわかる。
けれど、中央勤めのこの男なら家の事情を
多少理解してくれそうな気がしたから。 ]
[ ……なんて評価を興味もない彼に下したわけではない。
回りくどく偽るよりは本当の話をした方が早い、と
単純に思っただけの話だった。
惚れたふりをして努力して両思いになるのも
適度に距離を取ってその関係を維持することもなにもかも
心底、とにかく、面倒だったので。
この場合恥ずべきはそんなことを
強要しているまわりであって
自分自身に恥じらいもないので、まぁいいか、と。
一方的な会話は言葉を挟む隙を与えずに続く。
きっと断ろうと開きかけた口を
ぱんと手を打って封じ、黙って訊けとばかりの
穏やかなのに、圧のある、にっこりとした微笑みと共に ]
それでね。思ったの。
想い人ができたからもう出来ないと言ってしまえば
角が立たずにお断りできるかしら、って。
わたしが一方的に想いをよせたところで
お相手の方にその気がないことが知られてしまっては
諦めさせられて終わるでしょうけれど……
……つまり、ないのなら、
あることにしてしまえばいいでしょう?
[ 男を誑し込むやりかたで視線を奪って、妖艶に微笑んだ。
そんな『教育』だけは、当時熱心にされていたから
多分そんなに悪くはない出来だったと思うのだけれど
どうにも怯えられたような気はする。
なにがいけなかったのかは未だにわからない。]
あなたにいいひとが出来るまでで構わないの。
口実になってくださらない?
わたし、とっても困っているの。
このままだと追い詰められて……
なにか、あなたたちが困るようなことも
してしまうかもしれないわ。
[ 手を伸ばして、口付けでも強請るみたいに
ひやりと冷え切ったゆびさきが、
引き攣ったそっと頬に触れた。
心底嫌そうなその顔が新鮮で、無意識に口角が緩んだ。* ]
| ーー現在:冬至の君とーー う…… [“言わない理由を作る方が、言うよりとても易い” その言葉が、心に刺さる。刺さり過ぎて耳も痛い。 正論すぎて反論できずにいると、一肌脱ぐと言い出して >>105。] え……え? えっ!? 冬至の君!? [流石に慌てた。 ぽてぽてと歩く後ろ姿を、引き留めようと着いていく。] いや、そこまで貴方のお手を煩わせるわけには! [そうは言ってみるものの、すぐ後ろをついていくわけでもなく。 本気で足止めするには少し遅いのは。*] (18) 2022/01/27(Thu) 6:40:19 |
| 『能力は、人に使ってはいけませんよ』 [そうカリーユに教えたのは、先代の立秋である。 立秋を引き継ぐ時に共に受け継いだ能力。 その使い方について、] 『迫風は、それほど強い能力ではありません。 人に使ったって、よほど運が悪くなければ、怪我をすることもないでしょう。 でもね、どんなに弱い力でも、能力を持っていない一般の人からすると、力を向けられる行為自体が怖ろしいのですよ。 能力を使わずに解決するのなら、それで済ますべきなのです。 なるべく人に向けないようにしてくださいね』 [実際、能力を持った灯守りたちはその扱いを気にしすぎるほど気にしている。悩みを抱いている者もいる。それ故に、立秋は躾として力を行使した夏至に対してかなり怒っていたのだ。 頭を冷やした方がいいんじゃない?と言われて引き下がったのも、本気で揉めそうになったからだ。 >>4:104] (19) 2022/01/27(Thu) 9:52:28 |
| ……もっとしっかり怒った方が伝わったかな? “兄ちゃん”なら、もっと穏やかに、上手に宥めるんだろうなあ。 [ふう、と息を吐き出せば、距離をとった後に立夏が必死に宥めている様子が見て取れて。 >>6] 若造相手に熱くなりすぎだ、もう。 [冷えてきた頭をかいた。**] (20) 2022/01/27(Thu) 9:52:48 |
| ――少し前・霜降と―― あはは。 そりゃあ、私は好きにしてるだけだから自分が怒ることはないけど。 要領がいいやつってのはね、怒られたりすることもないものなのさ。 うちの蛍たちをご覧よ。 蚕なんてずぅっと私に怒りっぱなしだ。 [ >>4:107小雪が本気で怒ったらどうなるだろう。 いつぞやの物盗り >>4:*48みたいに一日すべての世界から遮断されて、額擦り付け命乞いするような羽目になるかもしれない。 かわいいかわいい妹は、"にーに"にそんなことしないと信じてるけど。 ……なーんて口に出すのが、一番逆鱗に触れそうだな。] (21) 2022/01/27(Thu) 14:30:15 |
| [いつぞや紫明が連れてきた、小さな子供 >>4:108。 それがまあ、立派になったもの。 小雪を『眞澄ちゃん』と呼ばい、私にも気軽に話し。 緊張で周りどころか目の前も見えてないんじゃなかろうかと思った日からは想像もつかない。 けれど、今のほうがずっといい。 がちがちの様子があんまりにかわいくて、笑いながら甘い茶と菓子を出した、そんなあからさまな子供扱いを、優しく立派などと思われていたとは知らないが。 その結果が今の彼女であるならば、私もいい仕事をしたと言えるんじゃなかろうか。 なあ、紫明。 ] (22) 2022/01/27(Thu) 14:31:28 |
| ん。そうだね。 言われなくても遊びに行くさ。そのつもり。 私が神出鬼没なの、知ってるだろう? [ >>4:109なんて。 また仕事をサボる口実を見つけたと、 懐こく笑った*] (23) 2022/01/27(Thu) 14:32:05 |
[立秋が、一度号を退いたにも関わらず、
再び灯守りになった理由。
それは、後継者に選んだ蛍が自殺未遂を起こしたからである。]
[現在の処暑が灯守りに就いてから2,3年経った頃か。
魂の負荷を感じ始めていた立秋は引退を宣言した。
後任に選ばれたのは、当時の蛍であった涼風至(すずかぜいたる)。当時は普通に人間の蛍が三人居たが、涼風至は一番年若く、蛍になってからの期間も最も短い娘だった。
灯守りの指名は揉めるものだということを結構見聞きしていたから
(特に処暑で起きた事件は記憶に新しい)
、蛍たちとよく話し合って、納得した上で決めた。
彼女は控えめで真面目な性格で、他人の喜び悲しみに寄り添える娘だった。玉に瑕なのは、有能であるのに自分に自信がなかったことか。その為、当初は辞退しようともしていた。
能力はあるのだし、灯守りになることで自信をつけてもらいたかったのもあり、他の蛍たちも支えてくれるから大丈夫だよ、と立秋は涼風至を励まし、承諾してもらったのだ。]
[こうして立秋は引き継がれ、先任立秋ことカリーユは「すずちゃんをよろしくね!」と言い残して引退していった。
しかし、致命的な見落としが一つあったことには気づいていなかった。それが、涼風至の母親の存在だった。]
[彼女が自分に自信が持てない理由が、幼少期から続く母親からの否定にあった。
顔立ちの整っていた己に似ず、別れた夫によく似た娘を、母親は可愛いと思えなかったらしい。最低限の衣食住は与えたものの、容姿をなじり、苛立ちがあれば容赦なくぶつけた。
彼女は、何をしても褒められた記憶がなかったらしい。
たまたま見回りをしていた立秋に『何でも良いのでそばで働かせてください!』と押しかけたのも、そんな生活から逃げだしたかったかららしかった。
恥だと思っていたのか、彼女は家庭の事情を周囲に打ち明けておらず、これらのことを立秋が知ったのはずっと後のことだ。]
[新しく立秋となった涼風至。前任の立秋とは違い、領域から出ることはあまりなかった。時々出かける時は、正体がばれぬように姿を変えてこっそりと。
交代が起こった際というものは、それなりにやっていた前任者はある程度美化されて、現任者は非難されるものだ。しかも本人のいないところでは尚更。]
『前の立秋様はよく様子を見に来てくれて、話を聞いてくれたんだけどねえ』
『立秋様の母親って知ってる?親だってことで偉そうにしたり物を要求したりしてくるんだよ。あんな人に育てられたなんて、不安しかないよ』
『前の立秋様にはそんな話は全くなかったらしいのに。そうそう、他にもね……』
[前任と比較してはあれがなってない、これがなってない。当事者でないから好き放題に言えるのだ。しかし、耳に届くそれらの非難を無視出来るほど、新しい立秋は図太くもなかった。
やっぱり、立秋様のようには出来ない。
そう感じながらも、彼女は役目を果たそうと努力を続けた。母親については他の人に迷惑をかけぬよう、一人でも生活出来るように仕送りをした。]
[やがて数年が経ち、徐々に評価もされるようになった頃。
彼女の母親が危篤だという報せが来た。
不摂生が祟って病気になっていたらしい。
立秋に就いてからは意識して会わないようにしていたが、これで最期かもしれない。やはり母親ではあるので、最後くらいは……と、彼女は会いに行ったのだ。]
『親不孝者!』
[出会い頭の第一声がそれだった。]
[母親は続けて、灯守りなのだから病気を治せ、それくらい出来るだろう、出来ない?この役立たず、私がこんなに苦しい目にあっているのに!寿命を延ばせ、何とかしろ、灯りを復活させろと無茶苦茶な要求と罵声を浴びせた。
彼女が何年もかけて必死で積み上げていた物を否定し、ほんの数分であっさりと崩して踏みにじる。結局、興奮しすぎて気絶するように眠った母親を置いて、彼女はふらふらと家を出た。
……育てて貰った感謝は伝えよう。
もしかしたら、最期くらいは親子らしい会話が出来るかもしれない。
そんな甘い期待は打ち砕かれた。]
[領域に戻った彼女は、蛍たちの心配を横目に、自室に閉じこもっていた。ぼんやりしながら窓の外を眺めていれば、死者の魂が集まっているのが見えた。
その中に、母親の魂があった。]
……ああ、母がそこにいる。
結局どうすることも出来なかった役立たず。
生き返らせなきゃ、また役立たずと言われてしまう。
(やめて、睨まないで、お母さん)
でも、灯守りにそんなことは出来ない。
導きの灯に送ってあげなきゃ、でも送ったら役立たずになってしまう?
灯りをお母さんに戻さなきゃ、どうやるんだっけ、
違う送るんだ、……どうやって送ってたっけ。
私は灯守りで、灯守りは新しい灯りを送らなきゃ、
でもどうやればいいの?
だめだ、私じゃだめだ。私みたいな出来損ないじゃだめだ、皆本当は立秋様に戻ってほしいって思っているの。戻さなきゃ、返さなきゃ。
(助けて、助けてください、立秋さま、)
立秋様に、お返ししなきゃ、証をお返ししなきゃ、
私じゃだめ、お母さんを早く送らなきゃ、だから早く返さなきゃ
早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く
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