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【置】 巡査部長 鬼走【数年前 某――年 鬼走家】 「だからもう大丈夫だ。 そいつに渡すなら、新しい物を選ぶべきだろうから。」 いつか将来、『親ではない意味の家族』ができたなら。その時、欲しがったり渡したい奴がいたら渡すといいと。勿論自分で使ってくれても構わないし、飾りでもなんでも。あげた以上は好きに使ってくれていいと、箱に仕舞いながらその時計を手渡す。 「お前が大きくなった頃。 もっと簡単に直せるようになった未来に、」 「もう一度動かしてやってくれ」 これは某――年。数年前に、 「夜長晴臣」に託した、二人しか知らない話。 (L5) 2021/08/15(Sun) 9:00:40 公開: 2021/08/15(Sun) 9:05:00 |
【人】 巡査部長 鬼走>>3:@14 【海の洞窟】夜長 「因果関係と迷子は知らんが……正直全部信じ切ったとも言えん。だが晴臣が誰かに渡す……も、ないな。奪う必要性だって話を知らなければただの壊れた時計だ。……はぁ」 ますます持って、彼が7歳児の晴臣の大きすぎる姿。としか言えなくなった。否定しようにも肯定しようにも滅茶苦茶である。とは言え悪意や害意のようなものは今まで関わって来て一度も感じなかったし、それどころかまるで違和感がない。この淡々とした無表情っぷりとこの空気感は自分と和臣と、晴臣なのも知っている。 「大人になりたくてそんなになれる奴がいるか。と言いたいが、もう原因を解明とかそんな段階じゃないな。雪子に電話、……も繋がらないのか」 この時ばかりは田舎の不便さを恨んだ。村を出て16年。こんなにも電話が恋しく、こんなにも雪子か和臣と話をしたいと思う日が来るとは思わなかった。 「……仕方ない。今の所はお前が「晴臣」なのは信じる。一つ気になったんだが、お前はどうしたいんだ晴臣。俺が説明した所で信じる奴がいるかすらわからないが、まあ0とは言い切れない。お前は「晴臣」としてみんなと接したいのか。それとも和臣と勘違いされたままで構わないのか」 (9) 2021/08/15(Sun) 9:13:28 |
【人】 少年 編笠「……?」 夏祭りに向かう道――。 小さな自分の背中を見つけた。 親から与えられた千円を握りしめて、 楽しいはずの祭りに向かう子供の自分がいる。 それは初めてで、最後の、独りだけの祭りの記憶だ。 結局その千円は俺の小さな手に握りしめられたまま、 親の財布に戻っていったことだけは覚えている。 どんな食べ物だって。 どんな遊興だって。 みんながいなければ、何の価値もなかった。 みんながいなければ、何の意味もなかった。 ……大丈夫だよ。 その小さな自分の、俯いた頭に触れる。 優しく、安心させるように、静かに。 幻影のそれに触れられるわけはないけれど、 何も言わなくても伝わるように。 ……――俺が絶対に、助けてやるから。 (10) 2021/08/15(Sun) 15:04:58 |
編笠は、ずっと皆で。――この祭りに来たかった。 (a1) 2021/08/15(Sun) 15:06:20 |
【置】 学生 涼風拝啓 朝顔の花にも名残惜しさが感じられる頃となりました。お変わりなくお過ごしでしょうか。 貴方へ送る手紙も、いつのまにか片手で数えられる分をゆうに超えていましたね。頓挫せずに続けることができてほっとしています。 (中略) 芸術とは何のために存在すると思いますか? 人がただ生きるのであれば労働を続け、得た対価で命をつなぐ為の食べ物を買い、適度に体を清潔にして必要な睡眠をとればいい。けれど、決してそうはいかない。 「芸術は、それによって一層幸せになれる人のために存在した。」「芸術は人間の仕事を幸福なものにし、休息を豊かにするのである。それゆえ、真の芸術とは人類に対する純粋な祝福である。 」「芸術の目的は、仕事に創造の喜びを与えることで労働にかけられた呪いを破壊することにある。」 多方面で活躍したとある人物が提唱したものです。深い話を始めるともっと長くなりますから、かい摘んで言うとこのようなものになります。 きっと人によって結論は様々です。私も話すと少し長くなりますが、ひとまずはこれだけ。 小説、絵画、写真、音楽……芸術の分野は多くありますが。 芸術とは多くの人の手に届きやすい位置で、見えないものをすくいあげて伝える為に存在するのだと思っています。 感情、記憶、希望……見えないものは様々。 貴方は何を伝えたいですか?私は── (中略) 敬具 20××年 8月××日 涼風薫 (L6) 2021/08/15(Sun) 16:13:16 公開: 2021/08/15(Sun) 16:30:00 |
【置】 学生 涼風 家か、或いは関係者に渡したのか。 手触りのいい和紙の便箋がとある人宛に送られた。 『髪置くんへ お祭り行くでしょ?行こうね! 追伸 いちご飴とりんご飴、どっちが好き? 今度は私が奢ってあげるね そうじゃなくても、あとで君についていって遊ぶところを眺めたいな。 』君がいきいきと動くところを見るの、好きだもの。許してくれる? ほっそりとした字で、ガキ大将のような無茶振りが書かれている。 文章の内容に従うも従わないも自由だ。そもそも、海原のようにおおらかで自由な貴方はいつ気付くだろうか。手紙を書いた人物は、きっとどう転がるか分からない結果さえも楽しみにしているかもしれないが。 (L7) 2021/08/15(Sun) 16:21:50 公開: 2021/08/15(Sun) 16:30:00 |
髪置は、全速力で記憶に残っていた"らしい"涼風の家を訪れて、呼び鈴を鳴らしまくった!!! (a2) 2021/08/15(Sun) 17:26:11 |
涼風は、笑いながら立ち上がる。傍にいたおばあちゃんはころころ笑っている。 (a3) 2021/08/15(Sun) 17:36:32 |
【人】 学生 涼風>>12 髪置くん! 「はーあーいーっ!」 どたばた。どたばた。からん。ころん。 忙しなく廊下を走る音。その数秒後、下駄が鳴る。歌うように軽やかに。 柔らかな象牙色の浴衣に黒の兵児帯。朝に着た母の着物と色合いは少し似ているが、こちらはれっきとした男物の浴衣だ。 長い髪を編み込んで髪を短く見せた少年は満面の笑みで飛び出した。 「ふふっ。来てくれるって信じてた。それじゃあ行こっか。 モモには先に行っててって言ってあるし、他の人もきっとお祭りに行ってると思う。きっと賑やかだよ」 そう言って当然のように自転車の後ろに座った。今日はお祭り、無礼講。警察に籍を置く皆さんが帰省しているが、バレたらその時謝ればいい。涼しげな顔で、悪どいことを考えながら。 (13) 2021/08/15(Sun) 17:36:54 |
【人】 おかえり 御山洗「……」 まだ昨日の内から気の晴れないまま。海の記憶が残ったまま。 幸いにして家の中に昔の浴衣はあって、幅は調整すれば着れそうだった。 着れそうだな、というところまで確認したのに、まだ袖は通していない。 蒸し暑く射す太陽を受けながら、玄関先の縁台に座ってぼんやりとしている。 みんなお祭りに行っている頃だから、ぼんやりとしているのを誰かに見られることはないだろう。 もう少し、あと少し。気分が晴れてから向かえばいいだけだ。 (15) 2021/08/15(Sun) 17:43:56 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥 黒地の女物の浴衣。 白の花々が散るそれに赤い帯を締めて、 これまた赤い鼻緒の下駄をからんと鳴らして 祭りに浮き立つ村の中を行く。 涼風の祖母に尋ねれば、やはり今日は祭りがあるようで ならばと今日も皆を誘って回るのだ。 後頭部のやや高くで括った髪を揺らして、 目に付く限りの人に、一緒に遊びに行こうと 明朗に声を掛ければ、ほら、大丈夫。 こうしていれば、まだ呼子鳥と同じで居られる。 (16) 2021/08/15(Sun) 17:47:06 |
【置】 君ぞ来まさぬ 百千鳥──また明日。 また明日、がいつまでも続くと そう無邪気に思えるほど子供では居られなくなってしまった。 いつだって時間は有限で、そしていつかは 別れの時 が来る。だから、この今日という日が 少しでも長く続いてほしいと願ってしまう。 それなら最初から、期待なんかしなければよかったのに 自ら選び取った 延命処置 に心は緩やかに絞め殺される。こんな事をしている間にもきっと、 意地悪な時は足早に逃げていってしまうのだろう。 明日になれば、 夢のように 何もかもが消えてしまう気がして。本当はもう、ここが甘い夢だと知っているから 何もかも いつかは覚める夢 だと知っているからだからどうか夢が覚めないでほしいと願うのだ。 夢は見るものであって、住むものではないのに。 それでも、一番に望むものはもう、この夢の先にしかなくって。 (L8) 2021/08/15(Sun) 17:51:03 公開: 2021/08/15(Sun) 17:55:00 |
百千鳥は、そんなふうに「また明日」を言える夜長の事が羨ましかった。 (a4) 2021/08/15(Sun) 17:51:15 |
百千鳥は、卯波のように愛情深くはなれなかった。 (a5) 2021/08/15(Sun) 17:51:22 |
百千鳥は、結局誰のようにもなれなくて、それでも姉の面影をなぞり続ける。 (a6) 2021/08/15(Sun) 17:51:30 |
百千鳥は、今日も皆に声を掛けて回る。「一緒に遊びに行こう!」 (a7) 2021/08/15(Sun) 17:52:03 |
【人】 花守「……とおいね」 一向に街に辿り着かないことの違和感はあった。 最初はあなたがわざと遠回りしてるのではと疑ったが。 違った。 恐らく、先ほどからずっと"同じ道を走り続けている" それでも切り出せずにいた、切り出さないでいいと思った。 都会の蜃気楼を追いかけて延々と走り続けて、この刻を永遠にしてしまえばいいと思った。 「じゃあ、センパイはどうやって飲み込んだの? どうして"オトナ"でいられるの?」 花守縁は"オトナ"になれなかった。 (17) 2021/08/15(Sun) 17:57:34 |
【人】 少年 編笠>>+12 卯波 楽し気にカメラを持つ卯波に少しだけ違和感を覚える。 何かが、決定的に変わった様なそんな違和感。 焦燥に後押しされるように口を開く。 「俺は……。 そういや、昔からあんまり祭り得意じゃねーらしい、実は」 ポケットに手を突っ込んだまま、言う。 「別に嫌いってわけでもないし、好きなんだけど。 それでも、苦手なんだよ。 祭りは必ず終わりを迎えて、 終わった後の日常は始まる前より寂しいから。 なあ卯波、祭りの最中に、この祭りが ずっと続けばいいなって思ったことねーか?」 薄暗くなってきた周辺の真ん中に立ち、 静かにそう尋ねた。表情は何も変わらない。 (18) 2021/08/15(Sun) 18:10:18 |
【人】 影法師 宵闇遠くから聞こえる祭囃子、遊びへと誘う声 ──お祭りの気配がする。 「……なあ、母さん。浴衣ってあったっけ。 祭りに行くなら雰囲気ってのは大事だろ?」 今の自分に合うサイズが実家にあるのはおかしかったが なんの疑問ももつことはなくて。 或いは気づかないふりをして。 まるで思い通りの夢みたいにそれは不思議とそこにある。 どこまでも黒い、夜に溶けそうな黒地の浴衣を纏う。 履きなれない下駄をからころと鳴らして 帰りたくない (22) 2021/08/15(Sun) 18:39:08 |
【置】 おかえり 御山洗帰ってきてよかった。 帰ってこなければよかった。 それはどちらも嘘偽りのない心だ。 楽しかった思い出を、暖かかった思い出を。 子供の自分が守ろうとしたものを、掻き回しているのは俺だ。 誰にも暴かれることのなかった不発弾を、揺り動かしてせせら笑うのが俺だ。 ずっと、いつからだっただろう。もう遠くなった夏の頃からずっと抱えている。 恐れ、怯え、震えている。誰にも悟られなければいいと思った。 まだ保身ばかりを考えていた頃の自分はもう少しだけ演技が上手かったのに。 優しい風と暖かい日差しが、懐かしさで腕を降ろさせる。 どうせ、抱えていても意味のないものなら、捨ててしまえればいいのに。 (L9) 2021/08/15(Sun) 18:48:01 公開: 2021/08/15(Sun) 18:45:00 |
清和は、百千鳥と一緒に神社の方向に向かっていった。たくさんのショベルとスコップを持って。 (a8) 2021/08/15(Sun) 19:10:33 |
編笠は、いつの間にかポケットの中に入って居たメモに気づき、祭りの最中に開いて見た。 (a9) 2021/08/15(Sun) 19:17:24 |
涼風は、思った。りんご飴やいちご飴は上位存在があるのかと。りんロク、いちシチ、りんジュウ、いちジュウとか… (a10) 2021/08/15(Sun) 19:22:04 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>21 編笠 掛けられた声にちらりと視線を上げて、 新たにベンチに掛かった体重を感じながらりんご飴を齧った。 今は祭りの喧騒はずうっと遠くにあって、 何処か疎外感すら感じさせるほどだった。 道行く人々は自分達など眼中にないように過ぎ行くばかりだ。 「…うん、 僕 も少し疲れてきたとこ」下駄を突っ掛けた足をふらふらと揺らしながら。 浮かべた笑みは、思ったよりも淋しげなものになってしまった。 「疲れるんだね、夢を見るのって」 (27) 2021/08/15(Sun) 19:23:08 |
【人】 警部補 添木「流石に今アキラのズボンに花火突っ込むと怒られちゃうんだろうな。残念」 なんていいながら、祭りの喧噪を歩いている。 誰かに呼ばれたようで、すぐそちらへ行ってしまった。 (31) 2021/08/15(Sun) 19:55:46 |
編笠は、メモを畳んで、りょーかい、とだけ言ってそれをパーカーに仕舞った。 (a11) 2021/08/15(Sun) 19:56:05 |
【人】 少年 編笠「よーう、アオ。 いうと思った馬子にも衣装。 お前のために言わずにとっておいたからな」 それなりに祭りを楽しんでいる様子の親友に、 雰囲気だけで笑いながら言う。 「そういや花火とかも打ちあがるらしいな。 なんか毎年限られた予算のなかで頑張るよな……」 (32) 2021/08/15(Sun) 19:58:19 |
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