人狼物語 三日月国


45 【R18】雲を泳ぐラッコ

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[まだ覚えていられたままの声が、
ただいま、と空気を震わせた

ちゃんと生きていてくれたことに、感謝と苦しさを覚える。
そこに「娘だ」と小さい子を紹介されるのは
とことん心臓に悪かった。
寝直そうかと思った。


まるい二つの目がこちらを見ていて、
情けないことは避けた。
この子の前ではキチンとした大人でいたいと、
優雅にドレスの裾を持ち上げて一礼をする。
子供受けはいい仕草だけど、
くりくりした目にはどう映ったのだろう]

[庭の住人とその(義)娘さんと
自慢のレモネードを頂きながら積もる話をした
積もる分だけ生きてきたお嬢さんには、庭の花壇を案内した。]

 ずいぶん遠くまで……。
 そうですか、この度教会にお勤めに。

 私、教会の孤児院にはよく行くんです。
 ……跡継ぎを探していて。

 あら、ルミさま気をつけて。
 バラには刺がありますよ。

[蔓バラに触れないように小さな手を包んだ。
小さな淑女には秋桜などいかがだろう。
一輪摘み取って彼女の胸元に飾って、
お綺麗ですよって微笑んだ。]

 ルミさまも一緒に。
 それなら宿が近い方がいいかしら。
 お決まりでないなら屋敷の部屋を用意しますけど。

[教会で宿を手配していたかもしれないが、
一晩はお屋敷にと願った。

教会から戻り夜の客室に、
騎士さまと(義)娘さんを招いた]


 おみやげ?
 ふふ、いいですよ。
 帰ってくるなんて言わなかったじゃないですか。
 帰ってくると思ってなかった、ですから。

[甘い甘いアイスワインのグラスを傾けて、匂いを楽しむ。
リフルには望んだお酒を用意したが、
お嬢さんにはブドウジュースをサーブした。
季節のフレッシュジュースは
去年のワインより贅沢かもしれない]

 しばらくはこの街で牧師さんをするの?
 ……どうしてリフルは私が行くところに現れるんだろう。


 そんなだから好きになっちゃうんですよ。

[くす、といい気分で笑った頃には
ルミさまは眠っていただろうか。
聞かれたって構わないほどに公然の秘密になっていたけど、
お父様のこんな話を聞かせるのは良くないだろうか。
つき合ってるわけでもないのだから。]

[盗賊団の顛末とご両親の話には真摯に頷きを返した。
右目を怪我した話にはモノクルの奥を覗こうとした。
ハガキを送ってくれたこと、王国の音楽家に会いに行ってくれたことには目を細めて懐かしさに浸った。
手紙も届かない地で被害者に寄り添って、
ルミさまと会った話には、]

 騎士さまみたい

[勲章を贈った本人とは思えないセリフで笑った]


 騎士の名に恥じない働きに感謝します。
 よく働いてくれました。
 他国に変わり、礼を申し上げます。

 ……見ない間に素敵な顔になったね。

[このまま手を伸ばしたら
触れたところを撫でてしまいそうで一度握り拳にした。
沢山の人を助け自慢の騎士になった彼の手に
触れないように手を重ねる。
指一本離れたところでも体温は伝わるはず]


 左手は直ったみたいね
 右手は動かせるの……?

[これが気がかりだとばれないように
目をそらしていたから、直接訊く羽目になる。
小さな子と旅をしてきたんだから、支障はないのだろうけど]

 私、責任取れなかったから。
 なにかあったら遠慮なくいってね。
 リフルも私の守る民なんだから。

[ワインを二口飲んでのどの奥に残った言葉を飲み下した]

 あの頃は若かった、ね。
 迷惑かけてごめんね

[『よければお屋敷に住みませんか』
未練がましく顔を出す私に冷や酒を浴びせて
笑顔を彼に向けた**]

 
[基本、無愛想。
 虫のことを語らせれば
 楽しそうとか、活き活きしているとか
 思われることがあっても、

 ”可愛い”なんて
 言われた記憶は
 どこを探しても見つからない。

 妙にくすぐったくて
 そわそわして
 けど、決して居心地が悪い訳じゃない言葉。


   (でも…、貴方の方が
       ずっと似合っている)


 声を立て、
 肩を揺らして笑う姿に思う。]
 

 
[堪らず見惚れていると

 胸の真ん中あたりが
 ぎゅっと少し苦しくなって
 あったかくもなって

 そこから、ベニスカシジャノメが
 次々と翅を広げて
 貴方に向けて
 飛び立って行くような心地が、した。]*
 

【人】 在原 治人

 
[外へ出てからは、慌ただしく過ごした。

 本当は少しの期間も
 手放したくはなかったけれど、
 貴方は大企業の代表で、忙しい身の上だ。

 俺は俺で、旅行らしい旅行などしたことがなく
 パスポートを申請するところから
 やらなければならなくて
 最短で7日間+移動を含む1日
 逢えないことが確定してしまった。


   
(…………淋しい)



 もう二度と、
 こんな想いはしたくないから
 手も目も掛けてやらなきゃいけなくて
 足枷になり得る甲虫たちは
 躊躇なく、全て引き取ってもらうことにした。]
 
(18) 2020/10/09(Fri) 11:28:40

【人】 在原 治人

 
[一般的に買取りは
 幼虫は2齢のみ、成虫はA品のみ等と
 条件が付くことが多いのだが、

 AlberTだと名乗れば
 わざわざ定休日に店長自ら出向いてくれて
 卵に至るまで全て、諸手を上げて買い取ってくれた。

 大きさ、艶、角やアゴの形の美しさ
 青みが強く出た人気のスーパーブルー、稀少な亜種など
 超優良血統ばかり。

 手塩にかけて育てた彼らを
 どうして手放すことにしたんですか?と
 不思議そうに訊ねられ、]



   外国に行くんです
   長期になるかもしれなくて、それで…



[要領の得ない答えを返せば、
 ついにワイルド個体を自らの手で
 捕まえに行くことにしたのか?と食いつかれた。]
 
(19) 2020/10/09(Fri) 11:30:53

【人】 在原 治人

 


   いや、 あの…
   クワカブじゃなくて、 ひと、なんです



[彼の、屈託のない笑顔や
 綺麗な微笑みを
 思い浮かべながら否定をすれば
 自分でも気づかぬうちに表情に出てしまっていたのだろう。
 
 おめでとうございます、と
 何故か買取り金額に
 色まで付けてもらってしまった。

 店頭に並べば、1頭で
 軽自動車が買えてしまう7桁を超える雄も居たから、
 しばらく、自力でも
 あちらに滞在できる程度の金額になったのは
 とても有り難かった。]
 
(20) 2020/10/09(Fri) 11:33:32

【人】 一年生 小林 友

[大学は、まさに人の坩堝。
 同じ講義を受けてる人間の名前なんか
 全く知らずに同じ教室にいる。]


  『おーい、小林!消毒!』


[小埜先生から呼び止められて視線を上げると
 隣に、背の低い先生より頭半分高い
 見たことのあるような女の子がいる。
 先生に招かれて近くによると
 背丈は、俺と同じくらいだろうか。

 あの子はチアをしていて
 筋肉がどうとか言ってたっけ。



  「「小林、こいつが前ちらっと話した面白いやつだ。
   文学部じゃないのに俺の授業とって
   歴史に残る酷いレポートを書きながら
   毎回授業取ってくる。
   今年も落ちる予定だ、なあ早乙女」」


[先生がそう、笑って紹介してくれた
 その女の子の胸には、ボロボロの
 『小川未明 童話集』。]
(21) 2020/10/09(Fri) 18:44:39

【人】 一年生 小林 友



[その背表紙に『私立桐皇学院高等学校所蔵』と
 書いてあるのを見た瞬間、息が止まった。]

 
(22) 2020/10/09(Fri) 18:45:00

【人】 一年生 小林 友



  …………小林、ユウ、です。
  友、と書いて、ユウ。


[あれだけ見たいと願っていた顔が
 水面に揺らぐようにぼやけていく。
 話し掛けたいと思っていたのに、声が出ない。

 人違いだったらどうするんだ、と
 冷静な自分に急き立てられるように
 俺は、ただの小川未明好きかもしれない人に
 こう尋ねるんだ。]
(23) 2020/10/09(Fri) 18:45:44

【人】 一年生 小林 友

[もし、それに肯定が返ってきたならば。

 ……ああ、先生の前でキスなんかしたら
 後でしこたまからかわれるし……。
 世界を越えてもままならないことばかり!

 それでも、君と一緒なら。]
(24) 2020/10/09(Fri) 18:46:28

【人】 一年生 小林 友



   窓を開けると、いい月夜でした。
   美代子さんは、自分の造った千代紙の花を
   すっかり、窓の外に投げ散らしました。
   二、三日すると、庭には、
   いろいろな花が、一時につぼみを破りました。
   千代紙の花が、みんな木の枝について、
   ほんとうの花になったのです。

    ─────『千代紙の春』
            小川 未明

 
(25) 2020/10/09(Fri) 18:49:54

【人】 一年生 小林 友

[まるで夢みたいな話で、きっと
 俺たち以外誰も信じちゃくれないだろうけど
 でも、他ならぬ君が信じていてくれるのなら。]


  俺はずっと、金の指輪の片方を
  探し続けていたんです。


[まだ千代紙の春は、始まったばかり。]*
(26) 2020/10/09(Fri) 18:53:54
──淡色の球体5───

[2度の大きな自己損傷。
幾度かの軽微な廃棄。

幸いにして、現在の記憶に齟齬は出なかったが、
過去の自分については脆く崩れている。

あの人が幸せになった世界で、
あの人を忘却した顔で再度接触するのは嫌だと漠然と考えていた。
余計な事を言って幸せを壊す事は望まない。
無様な姿を晒すくらいなら去るべきだ。

苦しんでいれば、手を伸ばしてしまうほどに、
長い付き合いになった仲間も嫌いではなかった。
だが、自分を消し去る事も心の奥底で恐れた。
国の情勢的に、続けていれば自分の存在を消すのが目に見えて。

独りでいるなら、平和な場所がいいだろうと故郷を選んだ。
万が一の為にも、完全に繋がりを切るつもりはなく、
戻る理由として適当な物が付けやすい。


そうして平和な国に渡り、
1年もせずに海の向こうへ思いを僅かに馳せながら、
意味もなく無為に生きていた。]*

【人】 二年生 早乙女 菜月

[小林君の視線が、私の手元に注がれる。>>22
 いつのまにかボロボロになってしまった本。
 驚いたような顔をする小林君に、私の感情が呼び起こされる。
 いくつもの「もしかして」と「まさか」が、
 水泡のように浮かんでは消える。]


 ゆう、くん……?


[嘘だ、って、とっさに思う。
 だけどそれ以上は声が出てこなくて、
 会えてうれしい、とか、
 ちょっとひねりを加えるなら、私はアキナだよ、とか
 うそっこ教えるのお揃いだね、とか、
 色々。もっといい言葉があったはずなのに、]


 ……なんでぇ?
 なんで、ともくんがここにいるの……?


[私が言えたのはそれだけで。
 友君の目の縁に溜まる雫に>>23
 私の涙も導かれた。]
(27) 2020/10/10(Sat) 7:14:50

【人】 二年生 早乙女 菜月

[そうして、友君の言葉を受けても>>-76>>26
 うん、うん、とうなずくことしかできなくて。

 私たちを見てちょっと焦った先生が、
「……死ぬにはまだ早いぞ?」
 自殺の誘いを目の当たりにしたと勘違いする。]
(28) 2020/10/10(Sat) 7:15:17

【人】 二年生 早乙女 菜月

[ぎゅっと抱きかかえた小川未明の童話集。
 友君の世界の名残と共鳴して、本が強く、脈打った。]
(29) 2020/10/10(Sat) 7:16:13

【人】 二年生 早乙女 菜月

「不意に、本が膨れ上がる。
 本は幾千幾万もの真っ青な
へと姿を変えて、
 私たちの視界を奪う。

 青い翼をはためかせて、銀の鱗粉が尾を引いて、
 私たちの周りを舞いながら、
 様々なものに姿を変えた。

 例えば、野ばらから尻を突き出したミツバチ。
 例えば、目を細めて針の穴をみつめるおばあさん。
 線香持ったおじさんや、太鼓を叩くラッコまで。

 それらは幾度も形を変えながら、
 窓の外へ、浮かぶ雲島へと飛んで行き、
 しまいには、魂は、みんな青い空へと
 飛んでいってしまったのだ。]
(30) 2020/10/10(Sat) 7:17:22

【人】 二年生 早乙女 菜月



 
雲を泳ぐラッコ、

を、

誰が見た、と言うのさ?


 
(31) 2020/10/10(Sat) 7:18:28

【人】 二年生 早乙女 菜月

「空にラッコ?」「ラッコが雲を泳いでる……?」
[空を見上げた人たちが、さわさわと騒ぎ出す。]
(32) 2020/10/10(Sat) 7:20:05

【人】 二年生 早乙女 菜月

[白昼夢だと思ったんだろう。
 「……俺、寝る。今日休講な]
 小埜先生はふらふらと去っていった。

 その後ろ姿を見送って、私は泣きながら、

 笑ってしまった。]**
(33) 2020/10/10(Sat) 7:21:05

【人】 在原 治人

 
[スーツケースと衣類も買い終え、
 時期的に少し早いが
 年に1度の定期検診のついでに
 主治医にもドイツへ行くこと
 長期になるかもしれないことを報告すれば、

 あっちで何か異変があった時に
 頼れる医師への
 紹介状も書いてくれて

 着々と準備だけは進んでいく。]
 
(34) 2020/10/10(Sat) 8:38:54

【人】 在原 治人

 

[だけど、時間は 遅々として進まない。]

 
(35) 2020/10/10(Sat) 8:39:50

【人】 在原 治人

 
[持て余した時間は
 ネットの情報を漁ったから、
 逢いたくて逢いたくて仕方がない貴方の
 写真や動画を保存したフォルダーが
 ひたすらに膨れていった。

 世界中の人が憧れる
 このひとに、俺は触れたのだ。
 剰え、針で────…


 手当ての時の、痛みを堪えた息遣い>>3:*27
 服を身に着けていく時の少し照れたような表情>>3:*28
 もう少し…と眠ったふりをして堪能した
 ぬくもり、匂い、それから重み。>>3:*30


 あのチャペルでの24時間を
 切なさと共に、脳内に蘇らせていると

 なんだか堪らなくなって
 それで…

 
初めて誰かを想って、シた。
]*
 
(36) 2020/10/10(Sat) 8:45:43

【人】 在原 治人

 
[当日は気が急いて
 めちゃくちゃ早く空港に着いたから
 迷子になっても平気だった。]



   すみません
   これに乗りたいのですが…
   なんか、どこに行ったらいいか分からなくて…



[貴方が手配してくれたチケットを見せたら>>3:38
 待ち時間はこちらで…と案内された
 ラウンジが凄くて驚いたし

 飛行機の中も快適すぎて
 食べ物なんか
 喉を通らないだろうと思っていたのに
 見た目も美しい料理に、つい口を付けてみたら
 するすると腹に納まってしまった。

 貴方が、俺を大切にしてくれているのが
 行き届きすぎてる
 サービスからも伝わってきて

 今、まさに向かっているところだというのに
 早く逢いたくなって、困った。]
 
(37) 2020/10/10(Sat) 11:08:18

【人】 在原 治人

 


  ”Holiday”、…”3 months”、…”Friend's house”



[自身の希望と、
 言葉にしづらい関係性を
 納得いかないままに片言の単語に載せて
 入国審査をやり過ごすと
 かなりの早足で、出口を目指す。

 ネットの情報によれば
 もう空港には到着しているらしい。>>3:37
 サングラスなんかしていたって
 その素晴らしく長い脚は隠し切れていない。]
 
(38) 2020/10/10(Sat) 11:10:07

【人】 在原 治人

 
[扉をくぐった瞬間に、名前が呼ばれ
 はっ!と顔をそちらに向ければ
 切望して止まなかった姿が飛び込んできたから
 スーツケースを置き去りにして、駆け寄った。

 いつから来てくれていたのかまでは
 知らなかったけれど、
 待ち侘びていてくれたのだろうと
 表情の変化から伝わって>>3:37



   アクスル…!



[嬉しくて、浮かれて
 自分より長身の彼を抱きしめたくなった。

 人目がある手前
 どうにか押し留まったけれど、
 抑え付けた分、余計に欲は膨れて。]
 
(39) 2020/10/10(Sat) 11:11:17
 




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