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【人】 工藤 彩葉[…それから。 願いの取り違えはもう起こらないだろうと、 私も少し、幽霊に声をかけてみたりしたけど やっぱり、彼女のことはよくわからなかった。 幽霊の姿が見えなくなってからだったかな、 私はあおちゃんの、袖のあたりを軽くつまんで、 遠慮がちに声をかけ。] …その、大丈夫? 願いの実感とか、まだないでしょう。 やっぱり、心配かなって…… [一番いい道を選べたら、と思って あれこれ提案したけど。そのために彼女は、 これから不安と戦わなくちゃいけないんだろう。 少し申し訳ないような気もする。 …だからこそ、ううん、 さっきの言葉をもらったからこそ。>>537 私にはひとつ、伝えておきたいことがあった。] (569) 2022/10/24(Mon) 2:50:35 |
【人】 工藤 彩葉…あのね、これはさすがに… その、自惚れがすぎるかなって 言えてなかったんだけど。 私には、幽霊さんみたいな力はない。 でも、あおちゃんの望みには全然足りなくても、 少しならその願い、叶えられるんじゃないかって。 打ち明けてくれた時から、思っていて。 …つまりね、これからずっと。 明日からの三か月もだよ。ずっとね、 私の前では青葉ちゃんだから。 あおちゃんは、ずっと女の子だからね。 (570) 2022/10/24(Mon) 2:50:37 |
【人】 工藤 彩葉[そう言ってまた、照れくさそうに笑って。 でも私は、目を逸らさなかったよ? 今度、お店に行く約束は もちろん覚えていてくれるよね。 三か月の間にも機会があったら、 私の制服着てみる?と聞いてみようか。 あおちゃん、髪を伸ばしたりしないのかな。 今の長さでも、少し巻いてみたら可愛いかも。 私、それだけは得意なのよって 腕前披露の機会も狙ってみよう。 その先も、たくさん、たくさん、 一緒にやってみたいことがあって。 私たち同じこと考えてたねって、 いつかきっと、答え合わせができるはず。 …そうして話が一段落したら、 私は慌てて、一旦外に 走って行ってしまったんだけど。>>542 慌ただしくてごめんねって、あとで謝って。] また明日ね! [と笑って、その日はお別れできたと思う。]* (571) 2022/10/24(Mon) 2:50:41 |
【人】 軽音部 千葉郁也──3day夜・帰り道 工藤と── [旧校舎前、月明かりの下で会えた面々とは どのくらい会話を交わしただろうか。 工藤を送る帰り道の途中は、 別のことに心臓が多少忙しくはあったから 物音や横切る猫の影なんかには 驚いたりはせずに済んでいたかな。 唐突に再開した話の続きに 工藤は不思議そうな顔をしていて。>>547 前置きを忘れていたことに気づいて、 どんだけ緊張してんだよと頭を掻いた。 渡したピックのお返しの件って伝えたら、 戸惑ったような笑みが返されて。 “それじお礼にはならない“って返事は、 断られたかなと一瞬思った。 工藤からの願いごとになると言われたら、 教える以上は便宜上そうなるかもとは わかってはいるのだけど。] (577) 2022/10/24(Mon) 4:40:41 |
【人】 軽音部 千葉郁也[納得したつもりの“もっともらしい理由“、 それがなくなった後も切り出せなかったのは 俺が臆病だからで。 クラスも別れれば尚更、 また話を持ち出すのは不自然かもしれない。 今もなんで?って思ってるんじゃないかなとは。 なんでって聞かれたら、なんて答えたら良いのだろう。 それこそギターの練習どころじゃなく、 気まずくなるかもしれない。 答えられる気がしないのは やっぱり臆病なのだと思うけど。 今はまだ、もう少し俺に勇気が出るまで 猶予があることを願った。] (578) 2022/10/24(Mon) 4:41:00 |
【人】 軽音部 千葉郁也[そうして、伝えられた提案は予想外のものだったから、 少し驚いたような顔で見てしまったと思う。>>551] ん…、『 Let It Be 』が弾けるように なるまではもちろん付き合うけど、 俺の好きな曲…、は、うん、わかった。 その時教える。 [弾けるようになったその先もあるって 意味だと受け取れば、 それは正しく俺にとっては 嬉しいことだから充分すぎるお礼だ。 だから、その約束をお礼として 受け取れる日を待つことに頷いた。 はにかんだ笑顔に上手く笑って返すのは 少し難しかったかもしれないけど、 何度か見せた変な顔になるのは堪えたつもり。] (580) 2022/10/24(Mon) 4:41:37 |
【人】 軽音部 千葉郁也[卒業くらいまでには?って言ってた教本も、 返す必要はなくて。 期限はやっぱりなくていいよって伝えておこうと思う。 お礼の曲を聴かせてもらえる時には 必要なくなっているかもしれないけど、それでも。 工藤の歌も聴きたいっていうのは しつこい勧誘のことを思えば知ってるかもだけど。 いつか一緒にセッションできれば良いとは思うから。 その日が来るまで練習は付き合いたい。 願いごとが増えてしまって困るけど、 それも自分で叶えていけたら良い。 此方の顔から逸らされた目線が下に落ちるのを>>554 追った視線の先、ポケットに突っ込んでた手を出して。 幽霊から記念品を受け取った掌を、 月明かりの下で見つめる。 一度目を伏せて息を吐くと、 硬くて繊細さの欠片もない俺の指先とはまるで違う、 隣を歩く細くて柔らかい指に触れた。 夜道が怖いからとかそういう照れ隠しを 今は言わないでおくくらいの勇気が 幸いまだ品切れしてなかったのは、 さやけく照らす月明かりのおかげなのかもしれない。]** (582) 2022/10/24(Mon) 4:42:54 |
【人】 工藤 彩葉― 夜・旧校舎の外で ― かなちゃん、 [その姿を認めたのは、>>518 千葉くんと話をしていたあとのこと。>>542 千葉くんも気付いたみたいで、>>558 少しみんなで言葉を交わすことはできたかな。] うん、幽霊さんには もう一回声をかけてみたんだけどね。 やっぱり、名前を聞くこともできなくって。 あ、でもあおちゃ…、天ヶ瀬くん、には 少しお話してくれたみたい。すごいよね。 [幽霊の話には、そう返したんだけど。>>519 あおちゃんのみんなの前での呼び方、 さっき確認しておけばよかったって、内心焦った。 どうしよう、私もう馴染んじゃって、 最初に出てきてしまう。 まだ色々内緒だったら気をつけないと… なんてこっそり頭の中で考えて。] (583) 2022/10/24(Mon) 4:52:42 |
【人】 工藤 彩葉[それから、少しの間。 私、何を言われるのか ちっとも予想できていなかったから。 かなちゃんの願い事は何だろう、 良くないことだったらどうしよう、 この時間なら、もう行ってきたあとかな、 そうだよね、悪いことは何もないよね。 なんて、顔には笑顔を浮かべているくせに、 頭の中ではぐるぐる考えて。 それでもやっぱり、聞けないでいたんだけど。] (584) 2022/10/24(Mon) 4:52:45 |
【人】 工藤 彩葉……かなちゃん。私も、 話したかったことがあるの。 …その、少し、二人で。 聞いてくれるかな。 [ちょっと、言いにくい話だから。 ちらりと周りを見て、 のけ者にするつもりじゃないんだけど ごめんねって、申し訳なさそうな視線を送り。 私はかなちゃんを、少し離れた場所に 引っ張って行った。 完全に聞こえない場所じゃなかっただろうけど、 こう、気持ちの問題だから。] (587) 2022/10/24(Mon) 4:52:53 |
【人】 工藤 彩葉[まず、私はかなちゃんに、中学時代の話をした。 事情は違うけど、かなちゃんと同じようなきっかけで 仲良くしてた つもりだった 同級生がいたこと。荷物とか、プリント届けたりとか。 お昼を一緒に食べた回数は、 多分かなちゃんよりも多かった。 だって先生に頼まれてたから 彼女は見えないところでいじめられていて。 だんだん、保健室登校の日が多くなって。 なんでも言ってね、友達でしょ、って そう言ってみたけど、答えはなくて。 もしかしたら、私も安心していたのかもしれない。 だって、私に何ができるかわからなかった。 その関係を、私は 傲慢にも 友達と呼んでいたけど。彼女にとってはそうじゃなかった。 私の『一番』は他にいて、 そうじゃない友達だって、何人もいて。 彼女には、――――…… …やっぱり事情は違うけど、彼女は最後、 今のかなちゃんのように学校をやめると言った。 そんな、面白くもない話。] (588) 2022/10/24(Mon) 4:52:56 |
【人】 工藤 彩葉それで、言われたの。 私のしてきたこと…全部、何もかも、 最初から気に入らなかったって。 本当はずっと、私のことが嫌いだったって。 ――かなちゃんをね、 その子と重ねて見てたわけじゃない。 そんなつもり、全然なかったのに。 …でも、気付いたら、 あの時のこと思い出しちゃって…私…… (589) 2022/10/24(Mon) 4:52:59 |
【人】 工藤 彩葉…………かなちゃんは、 私のこと嫌じゃなかった? 嫌に、ならなかった? 今、話していて、 [ずっと言えなかった理由はこれだった。 お前なんか友達じゃないって、 そんな資格はないんだって、 いつか言われるんじゃないか。 いつも考えてしまって。 だから、これ以上近付けなかった。 でもこの先に進むなら、言わなくちゃいけない。 掠れた声がこんなふうに、震えてしまっても。] (590) 2022/10/24(Mon) 4:53:01 |
【人】 工藤 彩葉もし、嫌じゃなかったら…… 私も、かなちゃんのことが好きだから。 こちらこそ、これからも。 友達でいてください。 [幽霊じゃなくて友達に叶えてほしい 願い事をひとつ、かなちゃんへ。] (591) 2022/10/24(Mon) 4:53:04 |
【人】 工藤 彩葉[…かなちゃんが頷いてくれたなら。 私は緊張で詰めていた息を吐きだして、 情けない顔で笑いながら、 それでもありがとうって言ったと思う。 グループ以外の連絡先も交換しようね。 くだらない話でいいから、いくらでも話をしよう。 それで私は、こう言うの。] …かなちゃん、今度、 調子のいい時に。 一緒にカラオケに行こうよ。 それで私、ユメリンの曲覚えてくるから、 かなちゃんと一緒に、歌いたいな。 ……駄目? [かなちゃんの方が、知らなくても。 私はかなちゃんの歌声を知っているから。>>527 その時がきたら、私もかなちゃんの声が好きなこと、 あらためて伝えられるかな。 え?もしかして、配信されてないとかあります? そこに持ち込み音源がありますよね] (592) 2022/10/24(Mon) 4:53:07 |
【人】 秋月壮真― 三日目・朝(秋緒) ― [ 時間は止まらない。 決断を迫る期限は目前だ。 だから人は最後まで 足掻き、迷い、揺れるのだろう。 願いが決まったとしても────。 正解を求めてしまうのが人だから。 ] (594) 2022/10/24(Mon) 5:38:52 |
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