69 【R18RP】乾いた風の向こうへ
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[ 目を開いた彼が何かを探すように腕を伸ばしたと思うと自分の身体を抱き寄せた。
悪戯げに額を擦り寄せ、夢じゃない、というのは、彼自身へ確認しているのか、それとも自分に言い聞かせているのか。]
[ 荷物を封解こうと長椅子に腰掛ける自分へダンテが身を屈める。
昨日なにかを言えたかと聞くから何のことかと小首を傾げると、そのまま彼は長椅子の背に手を掛け更に身を屈めた。寄せられる唇に目を閉じた。頬へと柔らかな感触が滑る。
目を閉じていたので、何処か恥ずかしげにも聞こえたおはようのキス、と言った時の彼がどんな顔をしていたかはわからない。]**
| [ >>23寝ぼけた様子だった主は、タイマーの音で目覚めたらしい。便利な仕組みだなと見送って] この国だと朝の定番はどんなものだい? 私の祖国では、パンと飲み物という シンプルな組み合わせだけれど。 [朝は軽く、昼以降しっかり食べるのがダレンの祖国流だった。 用意された朝食は話しながらゆっくり楽しむことになるだろう] (27) 2021/04/21(Wed) 12:44:32 |
| 良い布製品の店か。もしかしたら知っているかもな。 市場に馴染みがあるようだし、 布袋が丈夫と教えてくれたのもその人なんだ。 [アルフシルバーは果たしてシルバーの店なのだろうか。詳細は判然としないが、看板が出ていることは知っていた。 営業時間も不明だが、大方の店と同じくらいであろう。開いてなければ一度市場に先に顔を出してもいいだろうし] 上手いのかな…… 兵舎で集団生活だったからだろうか。 あと、私はあまり自分から話さなくてな。 聞き役になりやすいから、 自然と情報が入るのかもしれない。 [ >>24人との交流について言われると、ダレンは首を傾げた。 意識してそうするわけではないが、気づけば聞き役に回っていることがよくある。温厚そうに見えるらしいのも理由のひとつだろうか。 主は身分は上であっても歳下である。人生経験の量を加味すれば、ダレンの側から教えられることもいろいろあるのかもしれない。 アルフシルバーへは朝食を終えてひと休みしたあとに赴くことになろうか]* (28) 2021/04/21(Wed) 12:44:58 |
鼠の死体を得意げに咥えて持ってきたとて、
嫌悪感を滲ませて叫んだりしては
いけませんよ。
ピヤールを褒めてあげてくださいね。
[ 貴族の娘にあるまじき、
地面にドレスの裾が擦れるほどに
しゃがみこんだ姿勢の彼女と
いつものように壁に背を預け
床に足を投げ出して座る己の視線は
柔らかく絡む。
精神的な隔たりが少しずつ解けるに従って
物理的にも距離は詰まった。
初めの頃とは、座る位置が少し変化していて。
格子から離れた部屋の隅に居たのが、
今は床について伸ばした手は、
白い手が外から侵入し、己の指を
容易く掬い絡め取ることが
容易になるほどにすぐ、側で。 ]
[ 彼女の口から出た唐突にも思えた
疑問の理由がぽつりと聞こえる。
なんとなく、想像がついていたことだ。
僅かに眉が動くだけで、
表情が大きく乱れたり変化することはない。
ただ、言葉の最後に、
消えそうに小さな声で呟かれたことには、
思わず目を見張った。 ]
─── 馬鹿なことを。
あなたの相手が俺になるなど。
[ 珍しく、いつもより大きな声は微かに震えた。
住む世界の違いに気付かぬほど、
考えのない娘とは思えないのだけれど。
嗚呼、やはり、ここへ来ていることは
正しくはなかった。
わかりきっていたことなのに、
己の甘さに反吐が出そうだ。
]
……良いと、思いますよ。
お父上が連れて来られた方であれば、
申し分のない男性でしょう。
[ 平静を装って、婚姻を勧める。
彼女を利用してここから出ようなどという
考えはいつのまにか、何処かへ消えていて。
彼女の幸せを願う想いだけが残っているようで。]
そういうことなら、今度こそ此処へは
来ないほうが良い。
俺はいつでもあなたとピヤールの幸せを
祈っています。
[ ふ、と口元を三日月の形に持ち上げて
彼女から視線を逸らした。 ]
*
[ 彼女から婚姻の話を聞いて、しばらく。
彼女の父に閨に呼ばれた際、
あえて己のほうから、
そういえばお嬢様のご結婚、
誠におめでとうございます、と
完璧な笑顔を添えて言ってやった。
幾つもの修羅場を潜ってきたであろう
彼女の父は、取り乱すようなことこそ
なかったが、それでも生意気な犬から
不遜な事実を聞き出そうと
様々な方向性からの陵辱や暴力を
与えることになった。 ]
[ 呻き声ひとつ、あげることを拒みながら。
薄ら遠のく意識の寸前には、
心配しなくても手は出してねェよ、と
言ってやった。
不敵に見えるよう笑んだつもりだったが、
上手くいっただろうか。
そのまま、視界は闇に沈んだ。 ]*
| あぁ……なるほど、パンケーキ。 どこの国もそう大きく変わらないものだな。 [ >>29親しみが湧いたのか、話を聞いて微笑む。 今朝の食事がお菓子の味見を兼ねているのは気にした様子がなかった。朝は軽食と最初から思っているせいだろう >>27] ハールーン殿のお菓子は相変わらず美味しいな……。 アンタル殿にも気に入ってもらえるといいな。 [満足げな表情で味見の感想を言った。 >>30途中で出てきたチーズをかじると] これは酒のつまみになりそうだな……。 [思ったことをぽつりと呟く。 そう酒好きなわけでもないのだが、食べた素直な感想はそうだったらしい] (33) 2021/04/21(Wed) 16:01:50 |
| [ >>30浮かれた様子の主を微笑ましく思いながら軽食を続けて] 堂々と行ける場所が増えるといいな。 白昼に襲撃なんてことも、 そんなに起きるものとは思えないし。 [翌日、ある場所で起きる襲撃事件は朝なのだが >>8、それは今は知らない話。その事件を知ることがあれば、認識を改めて警戒することになるかもしれない] 試験のときは、話す用事が多かったから。 いつもは相手に返事をする形が多いかな。 [会場では確かにいろんな話をした記憶がある……が、あまり個人的なことは話さなかった気がしていた] (34) 2021/04/21(Wed) 16:02:10 |
| [ >>31主がお菓子を包み終えると、それを持とうと手を差し出す。そこは譲れなかった。 会う予定の相手が相手だ、従者が荷物持ちをしないのではどんな関係かと思われかねない。 >>32「俺の事考えてもらっていい?」と言われて、ダレンは目を瞬いた] 魔法ではぐれず移動するためなら、 手を繋ぐのは必要なことではないのか……? それすら警戒しなければならないのだろうか。 ハールーン殿から意識を逸らさないようには しておくよ。 [そんな義務として行ってもおかしくないことまで嫌疑の種になるのでは厳しすぎやしないかと思うものの、敵にしてみれば殺す口実は多いほうがいいのだろう。 それに先日はぐれたときは、確かに主のことよりこれから行く先のことを考えていたように思った。 アルフシルバーの場所は知らないため、店に出ている看板を探しながら歩くことになるが、かの店は民家と変わらない見た目をしているらしい。 >>0:175 探すのには苦労することになるのかもしれない]* (35) 2021/04/21(Wed) 16:03:27 |
.
[――本当に、最近の己は頭がまわらないようで。]
.
| お酒かい……? 買い置きを作るほど飲まないんだけれどね。 [ >>36酒に強いのと酒好きかどうかは別の話である。飲む必要があれば飲むけれど。 主のただ一人の護衛兼従者である以上、酔うほどは飲まないだろう。 >>38警戒を言われれば頷いて] 用心して損をすることはないからな。 [狼狽える主を落ち着けようと微笑みを浮かべた。 そして一言聞いただけだが、イスハークという皇子が玉座に就くのは望ましくなさそうだと感じていた。 アンタルのような王ならこの国をより豊かにしてくれそうなものだが] (49) 2021/04/21(Wed) 19:24:23 |
| ─ 市場周辺 ─ [ >>39言われた通りに主から意識を逸らさずにいて、無事にはぐれずたどり着いた。 何を考えていたかと言われると、試験のときの主の様子を思い出していただけなのだが] 住宅街にあると聞いたが、 正確な場所はわからなくてな……。 看板が出ているそうだから、探してみよう。 [そう言って住宅街へ向かい、『アレフシルバー』を探す。 店は 見つけるまでに迷い、かなり時間がかかった]* (50) 2021/04/21(Wed) 19:24:50 |
| (a8) 2021/04/21(Wed) 19:25:56 |
兄弟ならこんなに格好悪く迷走してないよ
[ 普段が格好良いかといえばいささか自分でも疑問なのだができる限り格好つけたいとは思っている。そんなことはおいといて、独占欲の話をしたなら驚いた様子の後に再び笑うような気配。ヴィが自分のためにだろう笑おうとしてくれているから、そのことで自分の目頭の奥が熱くなってくる。
過去に彼に押し付けてしまった鈴のお守りだって魔除けの意味が込められていて、どうか自分以外の邪なものが彼に近づかないようにとかそんな願掛けだというのに。
兄弟は上にも下にもいて、さらに甥っ子姪っ子もいるから帰省なんてすれば囲まれているし、扱いも慣れているのだが。]
君を小さな子だなんて思ってないよ
[ 今は自分も少し笑い声混じりだったかもしれない。腕の中でヴィは今もじっとしていて、ぐしぐしと目の前の衣服で涙を拭う。もちろんそれは自分が寝間着にしている木綿のシャツだが、その事が甘えられているようで抱きしめる腕に少しだけ力がこもる。]
僕が君を泣かせちゃったんだよ
わからないならそうしといて
[ 泣きたいわけじゃないんだけどという彼にはそう冗談めかして返した。いつも凪いだ湖面みたいな彼が感情を揺らすなんて、
今すぐ思い出せるのは、手帳を彼が読んだ朝か、自分が見送りを遠慮して一人で出発しようとした時くらいしか]
…君が泣きそうなのに笑ってくれるから
[ 自分が泣いてしまいそうなのはそれしかない。*]
なら、近くに布を置いておくわ……
褒めるのね、褒める……
[ 慣れていないことに変わりなく。
こうやって、彼は知っている知識を彼女に
優しく教えてくれることが多い。
やはり、この国ではない彼だからか。
外を知っている分、知識量は遥かに多く。
近い距離で話をするようになってから
彼の吐息を偶に感じるようになった気がして
その度に胸の鼓動は速くなる。
熱というものを、手のひらとその吐息で
密かに感じてしまっているからだと
彼女も少し気づき始めていた。
しかし、いつもより大きな震え声に
その感情は一気に切り裂かれてしまう。 ]
[ 自分は知るよしもなかったが、ヴィがダンテは眠いのでは?と考えた、目元が赤かったのなんて昨日の晩のせいにきまってる。
ヴィの顔はどうだったか、自分のぼんやりした様子とちがい、夜中から朝の彼は薄暗い部屋でそこだけ薄ぼんやり光っているみたいに涼やかで。]
君こそ、眠たくなったら言ってね
[ これは夢じゃない、昨日のことも今も。彼はここにいるという、額に触れるような口づけをくれたのだから、これくらいは許してと、それにこんなにそばにいるのだからと。彼を抱きしめて額をすり寄せる言い訳にして。*]
どうして、そう言うの…?
私は、…………
[ ひとまわり以上歳が違う異性のところなんて。
その一言さえ言えていたら、
話は変わったかもしれないのに。
彼くらいの年齢、
もしくは彼女と同じくらいの年齢なら
もう大人しく従うしかないと思ったが、
まさか、12歳以上も歳上の相手だなんて
まだうら若き彼女にとっては受け入れがたい。
だから嫌だと言っていたいのに、
結局は子供は親には勝てないことが分かる。
どう足掻こうとも、この婚礼は勝手に決められる。 ]
っ……────
期待をしてしまった私が……
子供だったのよ。そう、ね。……
[ 口元は笑っているのに視線を逸らされると
彼女は立ち上がり別れの挨拶もなく
その場を去っていった。
その瞳は絶望を感じていたが、
視線は合わなかったので彼に気づかれることも
なかったと思われるのだが、定かではなく。 ]
──────────
[ あれから、彼の元へ迷子にはなることはなく。
ただ手元にピヤールを置いて
彼女は窓の外を眺めるのみ。
婚礼など頭にはなく、衣装なんて
そこに飾ってあるのみで、
日の目を見るのだろうかと考えさせられる。 ]
ピヤール?…………
彼の元に行けるわね?
[ そう言って、彼女は簡単な手紙を
愛猫の首輪にくくりつけて送り出した。
多分、これが最後かもしれなくて。
筆記具もなかっただろうから、
彼からの返事は期待できないけれど
もう会えないのであれば、
最後くらい甘えさせてほしい。
というのも、あの後彼女はほぼ幽閉に近く
部屋から出ることを禁じられ、
婚礼までの間、会う人を制限されていた。 ]
[ たしか、地下室を出るときに
この言葉を使ったことはない。
また、といつも言っていたはずだから。
気づいてくれるかどうかもわからないけれど
彼女は輿入れのタイミングを見計らって
生きることから逃げ出してしまおうとしている。
それは、勝手に婚礼を決めた父親への反抗。
それだけを示しているが、
正直言って怖くてたまらない。
どうせなら誰かに連れ去られてしまう方が
まだいいのではないかと、
悪い方向にばかり考えてしまうほどに。 ]*
[ 浴室へ向かう途中、長椅子の前で立ち止まり彼のそばに身を屈め。謎かけのようなことを言えば、ヴィは小首を傾げるばかりで、きっと自分は何も言えないまま眠ってしまったのだろう。それともヴィが眠ってしまったのか。
改めて言うねと、言いなおす自分は多分恥ずかしげに聞こえたことだろう。
ヴィがだまって目を閉じてくれたから、彼が身を預けた長椅子の背に片腕を置き、それを支えにして彼のそばに寄る。
目元と頰に触れるだけの口づけ。]
おはよう
[ 一応建前どおり挨拶の言葉を呟き、たったこれだけなのに鼓動が早まっているのがわかる。
ヴィが目を閉じた様子はひどく可愛らしくて、いつもより幾分か柔らかな様子に見える頰や唇。もっと触れたいと思い寸手で堪えて身を離す。*]
| ─ アルフシルバー前 ─ [アルフシルバーにたどり着いた頃には、もう主の本宅に向かうべき時刻が近づいていた。 >>54 時刻は昼近く。アルフシルバーは開いているだろうか >>6] そうだな……先にあったほうがいいだろうか。 [己の身を気遣ってくれる主を思えば、先に店に立ち寄りたいものである。 扉をノックして] アルフ、いるかい? 昨日市場で会ったダレンだけれど。 [扉の向こうに声をかけてみた。 少し待っても返事がなければ、また出直すことになるだろう]* (60) 2021/04/21(Wed) 21:43:32 |
- ねずみのこ -
[彼女は、ダイゴと同じように父母を病で亡くした孤児だった
同じ士官学校の学友として、木刀を何度も交わした。
弁当なんて作る親がいなかったから、至急される握り飯を隣で食べた。
戦場で剣を振るっているにも関わらず、
それが続けばいい、と。彼女が願うのは安穏だった。
果たして、願いは届いている筈だった。
繰り返される乱闘、喧噪、滴り濁る血の泡沫。
何も変わらないのだ。何も変わらなかった。
自分達に出来る事はこれだけなのだと、塵が積もっていく。
虎の子は、何も変わっていなかった。接していた。
靡くだとか揺れるだとか震えるだとか一切も無く。
ことの顛末を全て受け入れているように見え始めていた。
―――それは、本当に良い事なのかしら。
彼女が疑問に思い、悩む事は、当然の事だ。
虎が可笑しいだけなのだから。
その考え自体が、虎にとって裏切りであると、
普通は繋げない。考えない。だからこそ、]
「……失礼、傭兵団というのは此処で合っているか?」
「あ、はい……貴方は…?」 **
『私は……私なりに国の為を思って動きました。
だって団長……ダイゴ。
貴方、何も変わってくれないんだもの。』
[鼠の剣がずるり、という音をたてたような気がしたかと思えば、たちまち錆びたように黒ずんでいく。
彼女の得意とする毒の魔法だ。自分と同じように遠距離ではなく近接で攻め、齧りついた所で弱らせていく。手の内がわかりきっているのは此方も一緒だ。
けれど、ぶつからざるにはいられなかった。]
『王が作ってきた国が、こんなにも揺らいでいるのに、
守ろうとか、なんとかしようなんて、一言も言わない。
私達にも何も相談してくれない!
私、この国が好きなの!守りたいの!
でも私の立場じゃあどうすることもできない!』
[ずぐ、と毒から漏れる腐臭が漂う。]
『国を変えようって、言ってくれたのよ、
ココウの力を貸して欲しいって、だから!!』
ひとつ。私は、
王にこの国を「守ってくれ」なんて命じられていない。
結末を見届けてほしいと言われたんだ。
それが例え砂の城であったとしても、だ。
お前ほど多分、私はこの国を愛してはいなかったよ。
私は何も変わってない。
アーサーも何も変わってない。
本当に変わろうとするなら、その時に私が止めるさ。
……戦場の友として、必ず。
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