人狼物語 三日月国


147 【ペアソロRP】万緑のみぎり【R18G】

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 全部、ちゃんと飲んだわよ。



[あーん、とあえて口を開けて、もう飲み干してあることを確認させて。
先ほど彼に見せびらかした可愛い下着は、自分が口を犯されただけで感じてしまったのか、広がりつつある愛液が染みてしまっている。
また着替えないといけないのだけれど、彼が他の人の配達をしている間に下着をつけかえようと思い]

 
[僕の名前が呼ばれた夜のこと。
 



[無慈悲に断ち切られた希望の糸、
痛みという見えない拒絶で遠ざけられた温度。

悪魔はもう何もかも、育てた人の仔から受け取るつもりが無い。
その裏切りを理解し、契約の終了を遂げることを決めてしまっている。

宙に跳ねた手の五指の強張りすら解けぬ前に、
ひゅっ、と無様な音が恐怖に収縮した喉を鳴らした。]

私、私は……

[先程まで葡萄酒を流し込んでいた筈の口内が異様に乾いている。

上手く舌が回らず口籠る。
怯えからなのか返す言葉が無いからなのか。
それは、自分でも分からなかった。まるで思考が止まったようだった。

偽りを被れなくなり、主の望みとかけ離れてしまった下僕は
まるで頼る当ても持ち合わせない子供のように、
近づく運命に、与えられる処遇に、何も出来はしなかった。]



 ぐっ……
う……あ


[悪魔の感情が肌身に感じられるような凍てつきの中、
睨む瞳に竦む身体は最後まで抵抗らしい抵抗もしないままで
見えない手により絞め上げられ、空中へと吊し上げられる。

未だ手の中にあったブローチが落下する
暴れた足が浮き上がる最中に椅子に当たり、蹴り倒し
縄を外そうと藻掻く罪人の如く両手で首を引っ掻いても何も無い。
死の危機に貧した本能の行動は加減無く、白肌に赤い線を幾つも作り

意識を喪失し楽になることも出来ないまま、苦しみだけが延々と続く
悲鳴にも届かない呻きが、弱々しく響き続ける。]

 
あぁ……、


[色の無い濡れた一筋が閉じた目の縁から生まれたのは、
心の翳りすら、全てが悪魔の手の上だったと知ったからなのか
記憶の自分と重なる言葉を耳にしたからなのか。
きっと、どちらもだ。

己の身一つ自由に出来ない拷問の中、
主が語った通り、彼の物としての自分を認識させられる。

────悪魔の言うとおりだ。なんと不相応な願いだっただろう。]



[────それでも、
家畜として喰われるのは、邪教の徒として裁かれるよりも恐ろしかった。
愚かな人間は、自ら選んだ結末に恐怖してしまった。

悪魔が、奈落の王が。
貴方が私を人でなしにはしてくださらなかったからだ。
半端者の信仰者に留めてしまったからだ。]

っ……

[吊り上げられ、落とされて。
転がる椅子の傍らに、倒れ込む様は思うがまま遊ばれる玩具の如く。
激しく咳き込み、必死に酸素を取り入れる。

これから終わる命でも、身体は懸命に生きようとしてしまう。]



[虚ろな目がいつかを模すように、身を伏したまま悪魔を見上げる。

かつての邂逅よりも翠と黒黄には距離があり、
背の高い彼の顔を視界に捉え続けるのは
虐げられた冷えた身体にはとても億劫ではあったけれど。]


 
暗闇は、怖いよ


[幼い響きが短く思いを告げた。

全てを受け入れた魔術師は、今や畏れを顕にする下僕の表層を崩し
成長しなかった歪んだ少年の本性を剥き出している。

再び生まれた流れが頬を伝う。
溢れ出した河のように、一度では終わらなかった。]



本当に、莫迦な仔

[ 苦しみを示す様子の全てを、余すことなく赤色の肴としていた悪魔は
  やっと理解した愛し仔の為にとびきり優しく声を暖めて、
  傍らに膝をつき身体を起こさせた。

  白い首に滲んだ赤を爪が当たらぬように指の腹で拭い、
  落ちたままのブローチを拾い上げ、胸に着けてやる。
  指導者として箔を付ける為なのかは知らないが、
  人間が作ったらしい法衣などよりも、ずっと似合うと感じた。

  一度はかけ離れたところに行ってしまったけれど
  今漸く、魔術師は心身共に再び己のものへと堕ちたのだ。 ]



何も怖いことなんて無いんだよ
それは、君の味方だったじゃないか

思い出してご覧。オレと君が出会ったあの暗闇を、
二人で過ごしたこの館での生活を
表立って生きられない君を、隠していたものを

[ 虚ろな瞳を見つめ、そう呼びかけられたとして
  昼行性生物の本能は奥底に根付くまま。

  だが彼はもう知っているだろう。
  本来生きるべきだった光の下に、お前の帰る場所は無い。

  啜り泣く弱々しい魔術師の背を撫で
  乾きを忘れた目元に舌を這わせ、涙を吸い取った。
  孤独な仔に寵愛を向ける存在なら、此処にいる。

  全てを間違え何も得られなかったその手に残る唯一たる悪魔が。 ]



今までよく働いてくれたね、君は本当にオレの誇りだったよ

[ 人でなしには成り切れず、光の下へも戻れはしない。

  いずれは狂気の熱から冷めると知りながらそんな半端者へ貶めた
  張本人たる主が耳元へ吹き込む囁きは、やはり甘い。
  今や拒むことも出来なくなった毒を、存分に注ごうとしている。 ]

君は作品にはなれないけれど、ブローチにもしない
他の人間の元になんか送り出さないさ

……オレと一つになるんだ、永遠にね

[ 語る悪魔はその手にはいつの間にかあの真珠のネックレスがあり
  正面から彼の首に手を回し、それを着けてやる。

  行動の説明をしないまま、細い身体を抱き締めた。 ]



[出来たばかりの傷に触れる細やかな痛みに少しだけ眉を寄せ、
しかし仔はされるがままに、全てを受け入れた。

与えられる優しさと世話をするような振る舞いに、
とうに残存より欠落が大きく占めていた幼少の記憶が擽られる。
……触れた冷たい唇だけは重ならなかったけれど、

それすらも含めて、まるで
愛されているみたいだ、などと錯覚を起こしてしまえば

温度を戻した声の呼びかけが、染み込んでいく。
根付いたものの上に注ぎ、積み重なっていく。

思考の沈黙を少し置いた後、翳りを帯びたままの目を細め頷いた。

帰る場所は無い。此処にしか、この悪魔の元にしか。]



 僕は、役に立っていたんだね?

[注がれる毒に、擽ったそうに吐息を零す。
これから害され死にゆく者には不相応の、隠しきれない誇らしさ。

その歪みを指摘し正す存在はゲヘナにも、地上にもいない。]

 じゃあ、もう……

[楽になってもいいのかな。
彼と一つになり齎される永遠の暗闇は、穏やかなのかな。

心内で呟く愛し仔に、驚きの感情はどこにも見当たらず。

契約内容に、終わり方の詳細は定義されなかったが────
そうなることは既に予期していた。

悪魔は多分、自慢の品々の一部を取り込む必要がある時期に達している
それが定期的なものなのか、何らかの危機かは知れないけれど。]



 インタリオ様、これ……

[数度瞬き、見つめたのは
いつの間にか主の手にあり、こちらの予期せぬ行動を起こした品。

それは、館を飾る芸術品の一つ。私が来た時には既にあったもの。
いつか彼の糧になる為の、保管されることに意味がある形を変えた魂。
……その筈だ。

困惑を隠さない表情で悪魔を見るが、気づけば身体は冷ややかな腕の中。
一時は硬直していたが、やがて応えるように腕を回す。

どんな顔で主が自分を抱き締めているかも分からないのに、
影のことなど視界に入るわけもなかった。

ピアスで彩られる耳に、願いを一つ囁く。*]



[ 多くを識り、人間程度の思考など容易に見抜く悪魔でも
  その時その時の思いの一つ一つまで掬い取ることは出来ないが。

  もし愛されていると確信を持てていないと知れたら
  やはり莫迦だと繰り返し笑ったのだろう。

  神の信仰を離れ教えるがままに染まっていく姿を
  己の為に永きに渡って魂を運んできたことを
  全てをいずれ自分に捧げる運命であることを
  誰より悪魔だけが、見て知っていたというのに。

  
  それは人間が人間に向ける感情とは種は違いすぎていたけれど。
  大人しく全てを受け入れ、従順に頷く幼い素振りは、
  愉快ではなくとも、好ましくあった。

  自身の向かう終わりについて教えられ、
  感情の揺れ一つ見せない彼は、全て受け入れるつもりでいる。 

  あれ程同胞に対して悪辣で、悪魔に魂を売る程生き汚くあった仔が
  まるで自ら身を投げ出し贄となる羊のよう。 ]



[ 自ら封印となり、凶暴な同胞を抑える悪魔の力の減退による飢えと
  下僕の限界が重なったのは偶然か運命か。

  分かるのは、違った刻だったとして同じ選択をしたことだけ。

  こちらに染まりすぎた魂は美しい形にはならないし、
  ただの道具であり人間による悪魔信仰のシンボルとするには
  彼の今までの功績とあまりに釣り合っていない。 ]

……君は相変わらず強欲だな
いいよ、ゾラ。君の思うがままに

[ だから、叶えられないわけもなかった。

  その耳に飾られたピアスも囁かれた願いも、等しく
黒い
 ]



折角こうして、家族全員が揃ったんだものね


[ 身を離した主はそう言い、目線を彼の胸元に下げる。

  何を見ていたのか、
  他でもない自分の身体に飾られた物のことは分かるだろう。

  何を意味しているのか、
  芸術の悪魔に仕える者が気づかないわけもないだろう。

  ――そして、過ぎ去った邂逅の夜を今も覚えているのなら
  あの時既に体現した姿で小屋に現れたと
  思い出すことも出来るだろうか。

  それは気まぐれの散歩などではなかったということ。
  何もかも知ったことのように語った悪魔は
  事実、あの村で全てを見ていた。 ]



[ 悪魔が元々狙っていた魂は別にいた。
  無実の罪で拷問され、死にゆく哀れな女達だ。

  その他に、偶然手に入れたものもあった。
  自身を迫害する村から逃げ出し、事故で死んだ男や
  二つの血を継ぎながら、唯一生き残るも病に侵された少年だった。

  彼らは“信心深い彼女”のような芸術となる適正を持たなかったが、
  収集家の嗜好は別の方向性で満たすこととなった。 ]

いつかこうやって、君の首に彼女を掛けてあげたかったんだよ

[ その声と表情は、まるで彼を真似たような誇らしさでも含んでいたか。

  そんな話をしている間にも、膨れ上がり続けていた影は
  ついに実体を持ち広がり、黒い花弁のように二人を囲い

  黒い男ごと、悪魔の愛し仔を呑み込んでゆく。 ]*



 嗚呼、インタリオ様……嬉しい
 貴方だけが、僕の生きた意味だ

[悪魔と魔術師とを繋ぐのは隷属じみた契約関係で、
向いた感情の種や、ズレた互いの愛の概念について語らうことは無い。

それは恐らく必要も無いことだった。
主は育て上げた仔の捕食を、下僕は終焉を望んでいるのだから。

故に私は、最期の願いが容易に受け入れられたことに悦びを感じた。
これで、何一つ成し得なかったと思いながら死ぬことは無いと。

恍惚と彼を呼び、
触れた身体が離れていくことに惜しさすらも覚えて────]



 ……え?

[一瞬でその熱が冷めてしまった。
聴覚に置き去りにされた思考は、一つ一つを掬い取り追いついていく。

主がこの身に飾った、ブローチとネックレス
人間の魂を加工し作品とする、芸術の悪魔


じわじわと湧き上がる悦びではない何かに名前を付ける前に、
悪魔の昔話が、逃避出来ない真実を告げた。]

 
は、……嘘
   なんで、どうしてそんなこと……


[信じられないものを見る目で、誇らしげな笑顔を見つめた。

悪魔に学びを授かる自分を見守っていたものは、
その下僕となり、邪悪な行いを繰り返した魔術師の胸元にあったのは

惑う声は体現した影の花により長くは保たなかった。
突然の出来事への悲鳴すらも、黒に呑み込まれて消える。*]



何で?


[ 気づけば仔は静寂に包まれる黒一色の世界にいる。
  濃すぎる闇の中、己の身体すら視認は出来ない。
  そして指先一つ動かせはしない。

  まるで黒い袋の中にでも囚われたようだ。
  布の感触もまた、当然感じるわけもないのだけど。

  そんな彼の耳に聞き慣れた主の声が届く。
  目前に黄黒の瞳だけが二つ浮かんだ。
  この黒い世界そのものが悪魔の身体であるかのように、
  他の部分はどれ程目を凝らしても見えず、闇に溶けている。]



むしろしない選択があるの?
家族全員を別の形でオレの物にして揃えるなんて
今までしたことも無かったんだよ。いい機会だったろう?

でも、こんなに永く大切に使うことになるとは思わなかった
だから、お前は本当に特別だよ。ゾラ


[ こうしてかつて忌んだ名前を、何度も呼んでやる程に。

  ゲヘナから隔絶される前の言葉を拾い
  悪魔の語る全てに、悪びれた様子や悪意は乗らない。
  細めた両目はじっと愛し仔を見つめる。

  これで最期だから、忘れないことを願われたから。

  どうしようもなく、両者は重ならない。 ]



愛しているよ、オレの大切な仔

特別なお前の願いを叶えてあげる
終わっていく姿を、最期まで見ているからね


[ 笑みの気配が声に乗る。

  どこまでも穏やかに、
  拾い仔への愛を人ならざる者の価値観で、示す。 ]



[ 倒れた瓶からワインが滴り、机を汚している。

  その傍ら、大きな黒い花は今は蕾のように閉じて
  消えた二人の声など書斎には届かないが

  
何かを砕き、へし折るような音だけが断続的に響いている。


  床まで流れた真紅はまるで、血の代役をしているかのようだった。 ]*



[私には最早怒る権利も、そうする気力もありませんでした。

思い出の殆どを失い、
母親を無残な姿に変えられ、父親に裏切られた記憶だけが鮮明な今や
蘇らせる愛情も無いのです。

私に残されたものは彼らではなく、
彼らを天に還さず我が子の側に留めていた悪魔であることに
今尚、変わりはありませんでした。

湧き上がったものはきっと、ただただ純粋な絶望なのでしょう。]



[母親と二人、見渡す限りの緑の中で

それは、生きたまま身を砕かれ喰われていく痛みに襲われる前
最期の正気が思い出させた記憶。

最早音でしかない叫びが口から漏れ続けるのと裏腹、
どこまでも穏やかな光景。

やはり、悪魔の仔と化した私は彼女の声を忘れたままで────*]

―― 翌日/学園にて ――

[ それは、いつものように授業を終えて
 図書館へ立ち寄ろうと考えていたときのこと。 ]

『アウローラさん』
『……ちょっと、いいかしら?』


 あ……。


[ 突然話しかけられて、言葉に詰まった。 ]


 ……マティルダ様。



『話があるの。
 貴方たちに関する、大事なことよ。

 一先ず、わたくしと一緒に来て下さらないかしら?
 人払いはすませてあるから、安心して』


 えっと……、…はい。わかりました。
 
 
[ ……いろいろ、思うところはある。

 さっき、彼女は『貴方たち』と言っていた。
 それはつまり…わたしだけではなく、
 彼のことも既に把握しているということだろう。

 嫌な予感はする。
 けれど…とりあえずわたしのほうに選択権はない。
 いつのまにか強く握りしめていた掌を
 緩く開いて息を吐く。
 そうして、彼女に促されるまま、踏み入れたのは。
 学園内にある小さな礼拝堂。 ]

[ 人気のない、だけど手入れの行き届いた礼拝堂の中を
 ステンドグラスから差し込む淡く色づいた光が照らしている。
その中の一席に優雅に腰掛けると、
こちらにも座るようにと、傍らの席を手で指し示す。 ]


『単刀直入にいうわ。
 …貴女、転生者なのでしょう?』

 …っ。


[ 席に座るのとほぼ同時に言われた言葉。
 覚悟はしていたはずなのに、
 反射的に身構えてしまった。
 それが表情にも出ていたのだろう。
 こちらを安心させるようにと
 彼女の表情を柔らかくなるのがわかった。 ]


『そんなに緊張しないでほしいわ。
 何もとって食べようというわけではないもの。
 ……ただ。
 いいえ、寧ろといったほうがいいかもしれないわ』


[ そういうのと同時に、彼女が深々と頭を下げる。
 戸惑うわたしの言葉を遮るようにして、彼女は言葉を続けた。]


 えっと…。

『ごめんなさい』


[ 彼女の艶やかに色づいた唇から発されたのは
 わたしとしては意外な言葉だった。]

『わたくし、貴女も転生者だと思わなかったの』

『だから』

『貴女に、わたくしの代わりになってもらおうと思っていた』

 




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