65 【ペアRP】記憶の鍵はどこ?【R18】
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[
冷たい返事だと思うけど事実。
でもこれでは流石に少しだけ可哀そうかな、
なんて思ったから。もう少し言葉を重ねる。
]*
人のことを聞きたいなら、まずは自分のことを
知ってもらうことからじゃないですか?
私は貴方の下の名前すら知らない。
そんな人に何か話したいなんて
思えるわけないと思いますけど?
……忽那潤。
京都生まれ京都育ち。
貴方と同い年で、
母親は専業主婦。父親は会社員。
大学からこっちに出てきて、就職決まって
歳月荘に引っ越してきました。
貴方の住んでいた203の横、202に。
菓子折を持って行ったら、怪訝そうな目で
見られて、名前聞いたら若干嫌そうな顔されて。
でも、自然体で生活してるんだって
思ってしまったから、一目惚れをしました。
そこから、貴方に連絡先を聞くまでに2年。
付き合うまでに2年かかりました。
…………自分が覚えている体型より、
体つき丸くなったと思いません?
[
確かに、今回に関しては
フルネームで自己紹介をしなかった。
故に、彼はダム決壊のように
つらつらと真顔で彼女を見ながら
ある程度のことを話した。
それで彼女がどう出たかは定かではないが
少しでも、彼女に警戒されないように
話せることは話したかった。
]*
[
自己紹介をひとまず遮らず聞く。
正直ツッコミどころだらけというか。
いや、彼にとっての事実ならおかしなところは
ないんだと思う。思うんだけどー…。
……一目惚れなんて、現実にある…?
でも、この人は顔じゃなくて
私の……素に惚れた…?
そんなことある……?
だって私、相当自堕落な生活をしてたはず。
自然体って言えば聞こえはいいんだけどさ…。
……少なくとも四年間くらいずっと、
この人とは何らかの付き合いがあった。
そういうことになる、んだけど……。
……………私の記憶に、ない。
え、そもそも……
]
……ありがとうございます。
あの、いくつか言いたいというか、
確認というか……。
一つ目。
私は確かに歳月荘の203に住んでました。
でも……
・・・・・・・
202は、空室だったはず、なんですけど…。
[
そう、204なら隣人の記憶がある。
でも、202は…ずっと空室だったと思う。
……あれ、もしかして本当に記憶が消えてるなんて
そんなこと、ある…?
だって、この人が嘘ついているのなら、
私が歳月荘の203に住んでたって
知ってるのはちょっと不自然、だよね…?
]
二つ目。
……隣人としての私は、
どんな態度を取っていましたか?
連絡先を私から聞くって相当…
難しかったんじゃないかと思うんですけど。
[
私は基本的に煩わしい付き合いが嫌いなので
警戒している相手にはまず連絡先なんて渡さない。
年下の男の子であったり、私が苦手なタイプでなければ
隣人として連絡先を交換してもいいか、とは
思うだろうけど…この人は多分。
私が連絡先を渡さないタイプの人だ。
関わったら面倒ごとに巻き込まれそうだし…
]
三つ目。
体型は……私ちゃんと朝食をとるようになって
自炊も…………。
………もしかして、
貴方が私に食べさせたりしてましたか…?
[
体型の事を指摘されれば、
確かにそう。
いつから太るほど食べるようになったっけ、
と思い返しても、食べてる時の記憶がない、
と言うか…お昼ご飯の記憶なら思いだせるけど
朝と夜の記憶が、いや一人で食べてはいるんだけど。
夜は私が作っている記憶が確かにあるんだけど。
朝食は、誰が作っていた……?
]*
う…ん
[ぱちり、と目を開けると寮の自室だった。俺はあまり寝起きがよくないから眠る前のことをゆっくりと思い出して──]
……ん?
[ハチヤが俺のことを忘れていた。
あれは夢だったのか現実か。よく分からない。寝返りをうとうとしたけど、腰がだるすぎて諦めるしかないらしい。
ハチヤに風呂に入れてもらったのは本当?あれが本当だとしたら、ハチヤの記憶喪失も本当になるのだが。でも寮の自室の風呂は木製なのに、あの時に風呂は大理石風だったような。あれは寮じゃなくてクルスの家の]
……そっけなさすぎて、
引越しを考えるくらいだったかな。
挨拶しても若干避けられたし、
お裾分けに行ってもなんとも言えない対応。
あれ、俺初対面で何か悪いことした?
ってすごく考えたこともあった。
別になびいてほしかったわけでもないし、
警戒され続けるなら友達にもなれない。
めちゃくちゃとまではいかないけど、
かなり、滅入った時もあったかな。
ご飯は付き合い始めてからはよく
一緒に食べるようになったんじゃない?
美味しそうに食べてくれるから
作るときは結構頑張ったなぁ……
……分からんなぁ。
[そもそも記憶なんて狙って取れるものか、取れたとして何の意味があるのか。それから
ほんとうに、その記憶を戻らせる必要があるのか]
[
彼女の確認事項に、丁寧に答える。
それは、現状把握のために
とても必要なことだから。
彼女との物理的距離が少しでも
短くなれば行動しやすくなるけれど、
多分それにはもう少し時間がかかりそう。
彼は彼女に、まだ質問ある?と尋ねただろう。
]*
[ハチヤは俺と違ってコミュニケーション能力が高くて、俺はいつもハチヤの斜め後ろから学園を眺めていた。
例えば、記憶が戻らなかったとして。あいつは俺とあったことなんて忘れて皆と楽しく過ごして卒業していくのだろう。なんの問題もない。これが記憶をなくしたのが俺だったら、そうはいかない。ハチヤ以外に知り合いのいない学園でハチヤを失ったら。なかなか打ち解けられない俺は、きっと今よりも孤立するのだろう。
そう、そう考えればハチヤの記憶なんて戻っても戻らなくても大した問題ではないじゃないか。鍵も、みつかったらラッキーくらいで。気楽に、さがせば、いいじゃないか。
なんの問題もない。忘れられた俺のこの感情なんて。]
──嫌、だなぁ…
[どうでもいいものだ]
[ちょっと目じりに浮かぶものを振り払って視線を動かすと、視界の端に光るものがみえた。何の気なく手を伸ばして触れて、あ、これひょっとすると鍵?と思うのだけれど]
うわ?!
[触れた瞬間にぱちりと小さく痛みが走る。静電気のような。同時に頭の中に笑い声と、話し声が響く]
『あいつめんどくさいよなー。クルスに拾われただけの出来損ないのくせに』
[誰の声だかは知らないが、言われている内容はいつものものだ。俺は陰で俺がなんて呼ばれているかなんて知っている。『クルスの出来損ない』なんて、もう言われ慣れたものだ。けれど]
『だよねー。クルスじゃなきゃ、話しかけないって』
[答える声が聞きなれたものというだけで、意味が違ってくる。ちがう、あいつはそんなの言わない。俺は枕で両耳を塞ぐようにして、必死で聞こえないふりをした*]
[
確認事項に相手は丁寧に答えてくれる。
素っ気ない態度。
避けてた、お裾分けにもあんまり反応しない。
……私が想像した通りの対応。
本人がそうするだろうって思うことを
この人が知ってるってことはつまり、
ほんとにそうされたってことで……
私は結構その、極端なことしてしまう自覚はある。
多分、“失礼だろうな”と自覚するくらいに、
素っ気ない態度を取ってたんじゃないだろうか。
……ご飯も作ってもらってたことがあるなら
作った記憶がないのに、美味しい料理を食べた記憶とか
私なら作らないような朝食を食べた記憶とかを
覚えているのは……辻褄があう。
しばらく考え込んでしまったと思うけど……
記憶が欠けているのは、多分事実だ。
頭では多分そうだろうとわかっても
心が追い付かないので、質問を重ねる。
]
……そうでしょうね。
私なら、そうする。
その上でもう一つ聞きたいんですけど。
そんなことされて嫌いにならないんですか?
滅入るくらいのことされて、
失礼な態度を取られて
……私じゃなくたっていいじゃないですか。
私なんかよりいい人なんて絶対いるのに、どうして。
それに……私と貴方が恋人だったのなら聞きたい。
貴方は幸せだったんですか?
さっき言いましたよね、
潮時かもしれないと思ったって。
私は隠し事してて、信頼されてないと感じてたって。
そんなふうに思うなら……
私に執着する必要ないじゃないですか。
そう、今この瞬間だって。
*
| [
──その屋敷はよく似ていた。 ほとんどが焼け落ちて柱のみで間取りを示していたのなら、瓦礫でふさがれた地下に続く隠し通路なんてものがあったなら、ハチヤは気づいただろうけど。
館の形をしていた頃の館の姿を、地下で生まれ地下で育ったハチヤが知ることはないし、 こちらには地下室なんてものは存在自体していないから、きっと偶然の産物なのだろう。
健在のころの屋敷を知るであろう人物は招かれていないのだ。 きっと偶然の産物なのだろう。
] (29) 2021/04/05(Mon) 1:46:54 |
| [部屋を出たおれはふと窓の外を見てみたけど、真っ暗で何も見えなかったんだ。 吸い込まれそうな黒を眺めていたら、自分がどこを見てるのかわからなくなって気持ち悪くなってきちゃったから。
できるだけ窓から離れて階段を降りていこう。 こういうお屋敷って一階中央に広間があってその奥とかに厨房って感じだろうだし] (30) 2021/04/05(Mon) 1:47:38 |
| [やっぱりね! エントランスホールについたら、大広間って感じのでっかい扉があったから、おれはさっそくお邪魔した。
広間自体もテーブルの上もやたら豪奢だったし、並べられた料理からは湯気がたっていたけれど、 料理に用はなかったのでおれは果物籠だけもらって、 厨房に続く扉に耳を当てて物音がしないのを確認してから、中に滑り込んだんだ]
……
[温かい食事が並んでいたのに、滑り込んだ厨房には誰もいないなんて状況、おれだってさすがに変だって思うから] (31) 2021/04/05(Mon) 1:48:27 |
| [オレンジとメロンにご退場いただいた果物籠に、皿とカトラリー、ついでにマグも突っ込んで…… それからほかにも何かないかって冷蔵庫をあけたんだ。
そして、閉めた] (32) 2021/04/05(Mon) 1:50:42 |
| [それからおれは、果物籠をひっつかんで全力ダッシュで部屋まで帰ったね! ちょっとこの屋敷ろくでもないんじゃないかな!! エンに料理は食べるなっていっとかないと。 あと冷蔵庫も開けちゃダメって言っとこう! どっちも、 ごはん を見たことないエンには、ちょっとどころじゃなく刺激が強すぎる!! **] (33) 2021/04/05(Mon) 1:51:46 |
[勢いよく扉を開け、部屋に転がり込んで、
おれはすぐさまエンの眠ってたベッドを見たんだけど]
……エン?
[枕を被ってぷるぷるしてるエンがいるんだけど、一体何があったんだろう。
厨房のあれを見た後だと、震えるエンに不安になるから。
おれは枕をひっぺが──…せるかはわからないけど、エンの安否を確認したいから頑張る]
[ふっくらした枕を通すと音は遠く鈍くなるらしい。
くい、と枕を引っ張られて俺は素直に枕を手放す。だってここにいるとしたら、ハチヤしかいないだろうから。
現れた顔はやっぱりハチヤのもので、ほっとした顔を見たら胸に蟠ってた不安のはしっこが崩れる。だってこいつの目はすごく感情を表すから。心の中ではあんなことを思いながら俺に接していただなんて、こいつを見ていたら、ないって思える]
はちや…
[それでも残る不安に、声は小さく頼りないものになった。掴まるみたいに、片手を伸ばす*]
[弱弱しい声と一緒に差し出された手を取って、遅れてやってくるエンの体も抱きとめると、エンの顔がこんなにも近い。
今にも零れそうだった涙がぴんとまつ毛に弾かれて、雫となって流れるのを、おれは、とてもきれいだなんて思ってしまったから。
だからおれは──…
額に落とす唇に許可なんてとらない。
頬を撫でる唇に許可なんてとらない。
耳を緩く噛む唇に許可なんてとらない。
エンを宥めるようにあやすように唇を落として、きょとんとするエンを抱きしめたベッドに潜り込んでしまおう]
[
それにしても。
こんなに可愛くてきれいなお嫁さんを不安にさせるなんて……
ハチヤって奴はほんと悪い奴だな。
おれだったらこんな……
……記憶が戻ったら、おれは、どうなるんだろう。
消えるのかな? それはちょっと嫌だな。
でもエンが会いたいのはきっと、おれじゃないハチヤだから。
*消えなきゃいけないんだろうな……*
]
[夕べこそああいうことになったけれど、もともとハチヤと俺の間にあった感情は恋愛ではない。いやそうだったのかもしれないけど、少なくとも俺がそうだと認識する関係ではなかった。なのに。
緩く額に唇が落とされる。
そこから頬までゆるゆると移動して、
最後に耳がやわく食まれる感触に俺は身を震わせた]
ん……
[安心させるみたいな唇。なんでこんなことをするんだろう。こいつは、俺を覚えてないのに。
俺のいるベッドの中に潜り込んでくると、ぎゅっと抱きしめられるのに安心する]
──、
[今度の声は、小さすぎて声になってない。ほとんど唇が動いただけみたいな小さな呼びかけなのに、さらにぎゅっと抱きしめられて心のどこかが安心する、を通り越してぽっと温かくなった。だから]
おや、すみ。
[耳元でそっと囁いて、あいつからは触れなかった唇に小さく口づける。お預けって言った俺がこういうことするのはダメなんだろうけど。なんか、胸の中心が熱くてしたくなったんだよ**]
| ──回想:三年後 アマミside── [実際のところ、あの島でアマミがクラヴィーアに告げた3年という時間は縁切りのようなものであった。 それは火が自然に収まるのを待つかのよう。 そもそも婚約や恋愛など政略の利害に基づいた極めて合理的なメソッドに過ぎない。 それはアマミが人生を経て培った持論のひとつであったが、その持論は極めて非合理な少女に3年の刻をもって壊されることとなった。 元来アマミにとって、自身と添い遂げようとする女達は皆金や名声にがめつく蛇でしかない。 長年培い続けた持論を直ぐに手放すことは出来ず、アマミは少女にあの言葉を告げた。 >>0:81未熟なEveは蛇に唆され、リンゴを食べて堕ちた。 未熟なリンゴは果たして毒か、蛇か。あるいは両方か? アマミは3年も経てば、糸は切れると思っていたのだ。 そして想定では3年経った頃にはもう二度とクラヴィーアに会うことなどないはずだった。] (34) 2021/04/05(Mon) 6:42:57 |
| [しかし、それがどうしたことか。 少女は心身共に成長を遂げ、自身の前へと現れた。 あの時アマミは自身が培った経験や想定の中ではありえない事が起きたと、彼女には見えないお面の奥目を丸くしていたのだ。 「アマミさん、私は貴方が好きだ。 貴方の側にいさせて下さい。」 そう頬を赤らめながら告げるクラヴィーアを前にして、アマミは思い知らされる。 彼女は蛇なんかではなかったのだと。 『未熟だったリンゴ』は毒など微塵も入ってはいないのだと。 自身の想定した二者択一の中には そもそも正解なんて存在しなかったのだと。 ] (35) 2021/04/05(Mon) 6:45:42 |
| [彼女を前に己の経験など何の役にも立たない偏見に過ぎないと気づいた時、アマミは彼女を家に招き入れることを決めた。 「君にはまいったよ。」 そう冗談交じりに彼女に告げたアマミだったが。 あの時の彼女に対する心象はそれに尽きるのだと、アマミは今でもそう言うだろう。 らしくないのは承知の上で、運命とはこういうものなのだとすら思えてしまったのだ。]** (36) 2021/04/05(Mon) 6:54:08 |
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