77 【ペアRP】花嫁サクリファイス 弐【R18/R18G】
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[血に塗れた、死装束に似た白い着物姿に、乾いた紅がこびりついた幽鬼のような色の顔。
手首に食らい付く勢いで命を啜り上げる白髪の男。
一体どちらが鬼なのか分かったものではない光景。いや、もう既にどちらも鬼なのだ。
なり方が特殊だった故か肉は全く喰らおうとしないが、似た存在と化したことに変わりはないだろう。
理性に欠いた獣の如く果てた存在を、紅鉄坊がどう扱っても
やがて肩の動きは安定し、瞳に知性の光が宿る。
いつの間にか新しい血は流れなくなり、着物の下で全ての傷が塞がっていた。]
……紅鉄様、俺は
[紅い左目が困惑を宿し、紅鉄坊を見上げる。
覚えているのは死に瀕し力なく目を閉じるまでの出来事。少なくとも、今は。
半分になった視界に未だ慣れないのか、目元に触れたりあちこちに目線を滑らせた。
惨い傷を目にし痛ましげに表情を歪めて、許されるなら腕を取り掌に頬を擦り寄せる。
労るように、許しを乞うように、──再会を喜ぶように。*]
よし、よし……もっと飲め
[ 目から耳から伝わる明らかな変化は、鬼の心に再び希望を灯した。
すぐに潰えそうだった息は、耳に届きやすく強くなる。
咽れば上体を上げ、背を軽く叩いてやる。
明らかに血を求めている様子が、
この行いが間違いではないと示していると鬼に感じさせた。
その思考は──ある意味では正しく、一方ではそうではない。 ]
千! ……?
どうした、私が分からないというのか!?
血なら幾らでも飲んで構わない、だから落ち着け!
[ やっと開いた目に喜んだのも早々、異様な様子に気づく。
人道を踏み外し、暗がりの世界へと堕とされた千
もしかしたらかつてより力を増していたのかもしれないが、
そこは腕っぷしと頑丈な身体を取り柄として生きてきた鬼
引き倒されることはなく、
むしろ片腕で抱くように捕まえることに成功する。 ]
まさか、私は……
[ 警戒し攻撃を仕掛けてきた様子から一転
或いはそんなこと気にもしていないかのように、
一心不乱に啜り上げる姿に漸く気づきが及ぶ。
自ら千を同胞へと変えてしまったのだ、と。 ]
……それでもいい、生きていてくれたら、それでいい
[ 幾分かの動揺を与えられたが、振り払う。
命すら啜られているような容赦のなさに痛みを堪えながら、笑った。
鬼が望んだのは花嫁が生き長らえることであり、
人間であり続けることではない。
どんな存在になろうと千は千に違いなかった。 ]
…………ああ、ああ、嗚呼
[ いつしか降りていた闇の中、全ての変化を捉えることは
視界からも余裕からも叶わなかったが
知性の光が一つ紅に灯る瞬間を、その目は間近で視た。
それは鬼から言葉を奪い取る程の光景。
あれ程苛み続けていた痛みと食欲が、今は全く感じられない。 ]
お前は、助かったんだ
今はそれだけ分かればいい
[先程までの姿を想えば、戸惑う千に記憶がないことは察せられる。
しかし今は多くの説明はせず、掌に齎される感触をただ受け入れた。
背にしていた壁に千を抱えたままで寄りかかり、
力を抜いて腰を落ち着かせ、それから。 ]
契りを守る義理など元来ラサルハグにはなく
一方的に反故にすることも厭わない。
しかし直ぐに村に伝えることは無いだろう。
契りを反故にされた事を
直ぐに伝えられた村人は何を思うか
忌み嫌うにも一定の理解が必要なのだ。
故に人間を忌み嫌う蛇にはその愚かな道程を
想像するのは難しいことではない。
本当の愚か者は己が愚かであることにも
気づくことがない。
朽ち果てる寸前になって尚も喚き続けるだろう。
自身が何に守られているかも忘れ。
しかし村の行末を見守るのもまた新たな契り。
村を滅ぼすのは彼女の本意ではないのだから。
ならばラサルハグの取る手段が
一つに定まってくるのは自明であろう。
***
己の行動は彼女を幾度か驚かせたらしい。
その度に大丈夫だと告げることになるだろうが
それも繰り返せば慣れてくれたようだ。
ソフィアを娶ると決めた日から
ラサルハグは人の姿で隣の村に足を運んでいる。
彼女が生活が出来るように。
そして己が彼女の様式美を知るために。
しかし実際に必要なものは彼女がここに来て
初めて知ることになるだろう。
本人にしか分からないことなのだから。
「お前に出会わなければ知ることも
決してなかったのだろうな。」
彼女が村に閉じこもったままでは
知ることが出来なかったというのならば
洞窟に一人閉じこもったままでは
ラサルハグは知ることが出来なかっただろう。
それもまた運命と呼べるのだろうか。
────犠牲を忘れることなかれ。
己の願いを叶えた彼女を
ラサルハグが生涯忘れることはない。
彼女が全てを忘れなかったのに同じ。
ラサルハグはソフィアという賢者の歩み。
その歴史の語り部となることを決断する。
時の刻みは種族の壁を超える。
普遍の真理の前には全てが無力のまま
長い時の中で朽ちていくのが摂理。
しかし、無力でありながら無価値ではないと
ラサルハグにその気付きを与えたのは
紛れもなく彼女である。
今宵もまた互いの選ぶ道が重なろう。
ラサルハグは柔らかに微笑み
裏葉柳に水を与えるがごとく彼女に語りかける。
『賢く強く、育ちますように。』
あなた達に与えられた名前に恥じない人間に
私はなれているだろうか。
── ▷ epilogue ──
フライパンに被せた蓋を開ければ
もわ、と湯気が立ち上がり、
美味しそうな匂いを辺りに振りまいた。
すっかりと出来た移住スペースで調理中。
焼けたものをお皿に載せると
クリームを全体に塗り、果物を飾り付けていく。
「 出来たわ! 」
やがて、やり遂げたという達成感に
思わず歓声をあげれば。
転ばないように気をつけながら、
彼の待っている机へと両手で皿を持ち運んでいく。
ただ、待っていてとしか伝えていないから
なにをしているのかも、なにも
わからないんじゃないだろうか。
彼はどんな表情をしているだろう。
私は目を弛ませて柔くほほ笑みかける。
擽ったそうにしながら伝えると
いつかのように、彼の手を取る。
触れる体温は冷たい。
でも、私の心はほかほかと
温かい気持ちでいっぱい。
だからその後の行動は、何気なく。
彼の手をそのままそっと持ち上げれば、
甲に顔をちかづけ、唇を寄せる。
それは誓いの口付けのように淑やかに。
閉じていた瞳を開けば、
頬を染めて照れくさそうに笑った。
[ 天狗には会ったことがない
鬼にも、龍にも、大蛇にも
そも嫁たちの生まれ育った里ですら
己はこの目で確かめたことはない
それなりに生きてきたとは自負しているが
それなお、己の知る景色はあまりに少なすぎる
鼻をかむのすら手伝おうとする冥桜
幼児に対する様なその仕草に
わずかな苛立ちを覚えはするものの ]
鼻ぐらい自分でかめるが
────……まぁ、いい
しかし、強くしすぎてもダメで
優しくしすぎてもダメとは難しい
取り外せたら楽だとは思わぬか?
[ 促されるままに鼻をかむ
右、左、交互につままれ鼻から息をし
そうして吸い込んだ水を出し終えたなら
ふぅ、と安堵の息を吐き ]
[ また一つ、知らぬ話に瞬きを
女子は──と言われれば
平らな己の胸にぺたりと手を置き確かめて
次の話には興味深げな視線を脚の間へ向け ]
ふぅん
知らぬことが沢山で
少しばかり癪にさわる
それもまた、
我が大きくなるまでは
内緒のままということか
[ 教えろとねだる気にはなれない
子供ではないと言い募る気にも
ため息一つ
せめてもの仕返しに
邪魔なものを太腿で締め付けつつ
肩口はおろか口元まで湯に沈み込み ]
────ん
[ 顔半分、湯に潜ったまま嫁の言葉にこくり
湯を飲まぬようあくびを噛み殺した* ]
― 勘違い ―
な、なんと。本当はかんぅ殿は余を殺すためにやってきておったとは……。
[白竜様がぷるぷると震えながら、本を読んでおられます。
上流に捨てられた本がどうやら滝壺に流れついてきたようだ。
それは大和という国の神話らしい。
ぱらぱらめくっていたら、生贄の女性の代わりに一人の若者が女装し、相手の居住地に乗り込んできたとかなんとか。
色々な神話が混ざっているが、え、デジャブを感じる。
自分たちをベースに二次創作してる?レベルにそっくりで。
というより、古来よりよくあるパターンなのだろう。
魔物に嫁いできた女装男が大きな蛇の化身である男を酔わせて、剣を突きつけるシーンでは、とうとうさめざめと泣きだしてしまった。
読者多しといえども、魔物側に感情移入をして読んでいるのはきっとヤオディだけだろう]
かんぅ殿も本当は、いつも背負っている青龍偃月刀で余を殺すために……。
女装をしていたのも、余を油断させて、殺しやすくするため……
[ぼろぼろ泣きながら読み進める。そこ泣くところじゃないし。
ヤオディ、ちゃんとよく嫁。いや読め。
かんぅはあっさりと男と見破られていたのだから、その女装意味ないし。
その後も嫁であることにこだわって女物を着るの大好きなとことかは、綺麗に忘れているらしい。
あの人、絶対、ほんとに嫁に来たがってただけだから]
ふむふむ、この後は……。
[涙をふきふき読み進めていくと、なんかふいんき(変換できない)が変わっている。
女装をしていた男が、俺の草薙剣をくらえ、と酔った魔物をズコバコと下半身の生身の剣で突き刺して、くんずほぐれつしている。
わー、すごい、こんなことまで!?
縛って目隠ししたり、あれやこれや、知らない道具を使って魔物を責めている。
確かに、ヤオディもかんぅから色々なことは教わってはいるが、かんぅは基本、ヤオディに激甘なので、痛いようなプレイはしないから。
感じすぎて死んじゃう、というのはあっても、せいぜいぴしゃん、とお尻を叩かれるくらい]
か、かんぅ殿ももしかして、余にこういうことしたいのか……。
[真っ赤になって一人で慌てている。
こんな激しいことはされてはいないが、嫁となってきた者に、魔物が肉剣に倒されたのも同じ。
あはんでうふんな本を、河原とかに捨てて次の若者の糧にするのはどの時代、どの世界でも同じこと。
よりによってマニアックな一冊が滝壺に流れ着いてしまったようだ。
その本でも結局、魔物は英雄の剣「に」屈服し、もう悪いことはしませんでした、めでたしめでたし*]
[よもや婿殿が多趣味(あぶのーまる)であったとは。
かんぅが其れを見つけたのは二人の愛の巣の寝具の下である。ふんふんと筋肉掃除をかんぅをしていたところ、ついうっかり見てしまったのである。其の本の題名は、俺の草薙剣であった。
なぜよりにもよってその本を…
これが、他の本ならば
婿殿をかんぅが殺すはずがないと誤解を解いて
美しく幸せな接吻(きす)をするはずだったのに。なぜかよりにもよって、くんずほぐれつをしているほうを見てしまったのか。其れをかんぅは熟読した]
…ほう、ほう?目隠しとな
[ああ、読み進めているよ。
婿殿早く来て、止めて]
道具 む?滝壺 か
[滝壺?!滝壺で何をするの。
蛸壺とかじゃないかな。まってとても危険。危険が来る。河原とかに捨てたあはんでうふんな本から飛躍していく。この男自体が、危険すぎて河原に捨てられかねない。
そんな危険(R18)な妄想を逞しくし
すくっと立ち上がれば]
婿殿!!!婿殿!!!!
[かんぅと夜の合戦をしようぞと
駆け出した。性交(あぶのーまる)。
婿殿の明日はどっちだ。真っ赤になっていた可愛い婿殿はどうなっちゃうのか。でも、期待しちゃっているところあるから、きっとうまくいくでしょう。たぶん。
婿殿が叫ぶ結果になるのは目に見えているが
それも愛ゆえに。頑張れ、婿殿。
俺たちの戦い(せっくす)はまだ始まったばかりだ。*]
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